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第10章 エルフの試練
16 外縁との確執
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「でもあの時見た子供たちはテリースと違ってちゃんとエルフっぽく見えてたぞ?」
教会に襲われた外縁の者たちのことを話し終えたシモンに俺がそう尋ねるとシモンがコクリと頷いて返事を返す。
「そうですね。彼らの方が普通なんです」
そう言うとシモンは話しづらそうにテリースを横目で見ながら続けた。
「通常エルフとの混血は耳の形や体形など見た目がエルフに似て生まれますがその本当の特性はほぼ受け継がれることはありません。逆にテリースは曲がりなりにも最もエルフの血の濃い私の血縁ですので逆のパターンです。見た目はこのエルフ独特の細い金髪くらいしか似ていませんが魔力特性も寿命も我々の特徴を引き継いでいます」
言われてみて思い出した。確かに貧民街のエルフには金髪の者はいなかった気がする。だけど……
「待ってくれ、それじゃあダニエラはどうなんだ? エルフじゃねーのか? あいつ金髪のうえ外見も完全にエルフだろ」
「そう、それです。お爺様、なぜ彼女を街に放置したのですか?」
俺とテリースの言葉にシモンが難しい顔になった。
「ダニエラ、ですか。あの子は実はここのエルフの者ではないのですよ。どこかで奴隷商人に買われてきたようで一度は市場に出ていました。それをマーティンが引き取って連れてきたのですが言葉も通じない上に奴隷市に来ていたもう一人の獣人の子供と離れるのを嫌がっていたので我々の所には引き取れなかったのです」
「え、じゃあダニエラちゃんは純粋なエルフなんですか?」
「はい。言葉も怪しいですしよっぽど遠い所から流れてきたのでしょうね」
「……じゃあお前ら以外にもエルフの一族がいるってことか?」
内心少しの期待を込めて俺が聞くと今度はシアンが口を挟む。
「いる事はいるんでしょうけど全ては過去のどこかの時点で私たちの一族から逸れた者たちですわ。多分人族が生まれるよりも前にっ……てこの辺りは皆様にお聞かせするわけにいきません」
気になる事を言われて突っ込もうとしたらその前に拒絶された。すぐにはぐらかすようにシモンが別の話を始める。
「ダニエラの件はネロさんたちにお任せいたします。それよりも本題に戻しますがいいでしょうか。シアンはこの通りここに残りたいと言っていますが私自身はここに逗留する事に反対しています。個人的にはシアンを救出出来たらすぐにここを出たいと考えていました」
「そう言えばそう言ってたよな。じゃあなんでシモンもここにいるんだ?」
今までの話の流れからすっかりエルフは全員ここに残りたいと思っているんだと勘違いしていた俺は驚いて聞き返した。
「ここに来ざるをえなかっただけです。なんせシアンがもめ事の最中に勝手に一族引き連れてここに移ってしまいましたので」
そう言ってシモンがシアンを軽く睨む。
「実はこちらが本来ネロさんにご相談しようと思っていた事なんですが、教会の件があって以来関係が非常に微妙になっていました外縁の者たちに追い打ちをかけて面倒な事が起きまして」
そこでため息を付いてまたもシモンが説明を始めた。
「実は我々は以前からギルドの依頼を受けて魔晶石の特殊な研磨や鑑定を行っていたんです。その他にも薬用品に関してほんの少しだけ技術を提供していました。我々の医療と魔晶石に関する知識は初代王の頃から蓄積されているのでギルドにしてみれば本当は喉から手が出るほど欲しかったでしょう。しかし教会の制約の手前、あまり表立って依頼できないようでした。我々にしても目の届きにくい貧民街に自分たちの居住区を借り受けてシアンの奪還を企てている都合上あまり目立つことはしたくありませんでした。結果、互いの為にもこれらの取引は秘密裏に行い、金銭のやり取りも人知れず行ってきました」
そこまで言ってシモンがエミールとキールを見ると二人が頷いている。
「まあ、それはギルドからも報告は来ていたし軍でも把握していた。必要な特殊技術だから黙認してきたし今後も問題にするつもりはないぞ。税金はしっかり払ってもらうがな」
キールがシモンを安心させるようにそう答えるとシモンも少しほっとしたように頷いて話を続けた。
「そうしていただけると助かります。ところが今回の一件でキーロン陛下の勅令により教会の制約がなくなると、途端表立ってギルドと商家がこぞって我々に商売を持ち掛けてきたのです。それを見た外縁の者たちが今までも純血の我々だけが中でいい思いをしてきたのだろうと不満を訴えてきました」
「……それはまあ、もしあんたらだけが自分たちの居住区で贅沢をしてたってんならそうかもしれねーな」
俺がそう正直な感想を呟くとシモンも悲しそうに頷きながら答える。
「そう思われても仕方ないのですがそれは勘違いなのです。むろん我々も稼いだ金銭をある程度自分たちの口を賄うのにも使っていましたが元々我々エルフはそれほど食料を必要としません。我々の使う服なども生成方法が違いますからお金があったからと言って買えるものでもありませんし。ですから我々エルフはお金にはあまり執着がないのですよ」
それを聞いた俺はついテリースをジッとみた。
「……テリース、じゃあお前のその守銭奴根性はどこで拾ってきたんだ?」
「何を言っているんですか。私はお爺様たちとは違ってちゃんと限られた『予算』の中で生計をやり繰りする事ができるだけです。こんな事言ってますがお爺様たちには普通の人間の『予算』という感覚がまるっきりありませんからね」
ついそう尋ねた俺にテリースが不服そうに答える。
「確かに我々は普通の人間と同じ尺度でお金を貯めたり使ったりすることもあまりありませんので、頂いた賃金は基本マーティン達を通して貧民街全体に還元していたんです」
「そ、それはすごいですね。じゃあエルフの皆さんのおかげで貧民街の皆さんにもお金が回っていたって事じゃないですか。でしたらそれを外縁の皆様にも説明すれば分かってもらえるんじゃ……?」
あゆみの言う事は最もだ。俺も同じ思いで頷くとシモンがそれを苦笑いしながら首を横に振った。
「そうとも言えるのですが。それを説明してもなお彼らは納得してくれませんでした。なぜ『全員』に分け与えたのか、と。なぜ自分たちだけではなかったのかと言って駄々をこね始めたんです」
「駄々っておい、子供じゃねーんだろ?」
「ええ、もちろん。でも子供じゃないから余計手に負えない。大の大人たちが我々の所に来て自分たちを産んだ責任を取って『自分たち』に金を寄こせと騒ぎだしました」
あまりの話に俺も呆れずにはいられなかった。
「そうこうしているうちにシアンが目を覚まし、その状況を理解してかしないでかその日のうちにエルフ全員でここに移ってしまったというわけです」
シモンはそう締めくくると一つふーっと大きなため息を吐いた。
「私はいっそ我々がいなくなれば彼らも諦めて自分たちだけでやり繰りしていくだろうと言っているのですがシアンがそれを聞きません」
「それはそうでしょう。あの状況だったからこそすぐにここに移りましたが私にはシモン、あなたたちのほうにも充分問題があったと思いますよ。自分たちが傷つく事ばかり恐れて自分の血を分けた者たちを外縁と切り分け、あまつさえ教会に子供の身柄を捕らえられてもすぐに動く事もしなかった、そのツケが回ってきたと考えるべきよ」
文句を言いたそうなシモンにシアンがぴしゃりとそう言うと小さく息を吐いてキールに向き直った。
「キーロン陛下。このような理由で私はこの街にいるエルフと共にこの屋敷に留まり、しばらくの間外縁の者たちの行く末を見守りたいと思います。ここならば外縁の者たちと少し距離をおけますし、また逆に彼らが昔のテリースのように我々から見捨てられたと誤解するような事もないでしょう。その為にも私と全てのエルフが政治的な制約を受けることなくこの街に留まれるよう取り計らっていただけないでしょうか?」
チラリとテリースを見ながらそう告げたシアンの言葉を受け、しばらく考え込んでからキールがゆっくりと話しだした。
「この屋敷のことは一旦置いておくとして、以前出した勅令通りここに留まるエルフに教会が危害を加えるようなことを二度とさせるつもりはない。またエルフをエルフだという理由だけでこの街から追い出すなどという事は考えていない。俺としてはこの街にいる限りエルフも他の種族と全く同等に扱うつもりだ。エミール、お前もそこまではいいか?」
「陛下のご裁断に従います」
キールの問いかけにエミールが即答する。
「宜しい。では次にこの家の取り扱いだが。君たちの要求に答える前にまずはなぜここの農民が素直にお前らの命令を聞いて動いているのかを説明してもらおう」
キールが少し厳しい視線でシアンを射貫き事実の確認を要求すると、シアンとシモンがグッと一瞬黙り込んだ。
言われてみればキールの言う通りだ。こいつら普段から偉そうだから俺もあゆみもつい当たり前のように受け流しちまったが確かにこの村の連中がこいつらエルフにここまで付き合う理由が見つからない。
問いかけたままじっと答えを待ち真っすぐシアンを見つめるキールをシアンもしばらく無言で見つめ返していたが、やがてふぅっと小さくため息を吐いてパンッパンッと音を響かせながら手を叩いた。すぐに外に控えていた農村の娘が顔を出したのにシアンが「あの子たちをここに入れて」と軽く言いつけた。
すぐに言いつけられた娘が隣の部屋からぞろぞろと子供たちを引き連れて入ってくる。
「まず最初に言っておきますが、私もシモンも何も強制はしておりません。ですからこれは自然と起きてしまった、というのが私たちの答えですわ」
「え……」
「これは……」
部屋に入ってきた子供たちは皆一様に物静かにシアンの後ろに正座した。その子供たちは一見なんの変哲もない人間の子供に見える。
ただし。
大人しく正座したその子供たちの頭には俺同様に獣の耳が生え、服の後ろからはそれぞれ尻尾が見え隠れしていたのを除けばだが。
教会に襲われた外縁の者たちのことを話し終えたシモンに俺がそう尋ねるとシモンがコクリと頷いて返事を返す。
「そうですね。彼らの方が普通なんです」
そう言うとシモンは話しづらそうにテリースを横目で見ながら続けた。
「通常エルフとの混血は耳の形や体形など見た目がエルフに似て生まれますがその本当の特性はほぼ受け継がれることはありません。逆にテリースは曲がりなりにも最もエルフの血の濃い私の血縁ですので逆のパターンです。見た目はこのエルフ独特の細い金髪くらいしか似ていませんが魔力特性も寿命も我々の特徴を引き継いでいます」
言われてみて思い出した。確かに貧民街のエルフには金髪の者はいなかった気がする。だけど……
「待ってくれ、それじゃあダニエラはどうなんだ? エルフじゃねーのか? あいつ金髪のうえ外見も完全にエルフだろ」
「そう、それです。お爺様、なぜ彼女を街に放置したのですか?」
俺とテリースの言葉にシモンが難しい顔になった。
「ダニエラ、ですか。あの子は実はここのエルフの者ではないのですよ。どこかで奴隷商人に買われてきたようで一度は市場に出ていました。それをマーティンが引き取って連れてきたのですが言葉も通じない上に奴隷市に来ていたもう一人の獣人の子供と離れるのを嫌がっていたので我々の所には引き取れなかったのです」
「え、じゃあダニエラちゃんは純粋なエルフなんですか?」
「はい。言葉も怪しいですしよっぽど遠い所から流れてきたのでしょうね」
「……じゃあお前ら以外にもエルフの一族がいるってことか?」
内心少しの期待を込めて俺が聞くと今度はシアンが口を挟む。
「いる事はいるんでしょうけど全ては過去のどこかの時点で私たちの一族から逸れた者たちですわ。多分人族が生まれるよりも前にっ……てこの辺りは皆様にお聞かせするわけにいきません」
気になる事を言われて突っ込もうとしたらその前に拒絶された。すぐにはぐらかすようにシモンが別の話を始める。
「ダニエラの件はネロさんたちにお任せいたします。それよりも本題に戻しますがいいでしょうか。シアンはこの通りここに残りたいと言っていますが私自身はここに逗留する事に反対しています。個人的にはシアンを救出出来たらすぐにここを出たいと考えていました」
「そう言えばそう言ってたよな。じゃあなんでシモンもここにいるんだ?」
今までの話の流れからすっかりエルフは全員ここに残りたいと思っているんだと勘違いしていた俺は驚いて聞き返した。
「ここに来ざるをえなかっただけです。なんせシアンがもめ事の最中に勝手に一族引き連れてここに移ってしまいましたので」
そう言ってシモンがシアンを軽く睨む。
「実はこちらが本来ネロさんにご相談しようと思っていた事なんですが、教会の件があって以来関係が非常に微妙になっていました外縁の者たちに追い打ちをかけて面倒な事が起きまして」
そこでため息を付いてまたもシモンが説明を始めた。
「実は我々は以前からギルドの依頼を受けて魔晶石の特殊な研磨や鑑定を行っていたんです。その他にも薬用品に関してほんの少しだけ技術を提供していました。我々の医療と魔晶石に関する知識は初代王の頃から蓄積されているのでギルドにしてみれば本当は喉から手が出るほど欲しかったでしょう。しかし教会の制約の手前、あまり表立って依頼できないようでした。我々にしても目の届きにくい貧民街に自分たちの居住区を借り受けてシアンの奪還を企てている都合上あまり目立つことはしたくありませんでした。結果、互いの為にもこれらの取引は秘密裏に行い、金銭のやり取りも人知れず行ってきました」
そこまで言ってシモンがエミールとキールを見ると二人が頷いている。
「まあ、それはギルドからも報告は来ていたし軍でも把握していた。必要な特殊技術だから黙認してきたし今後も問題にするつもりはないぞ。税金はしっかり払ってもらうがな」
キールがシモンを安心させるようにそう答えるとシモンも少しほっとしたように頷いて話を続けた。
「そうしていただけると助かります。ところが今回の一件でキーロン陛下の勅令により教会の制約がなくなると、途端表立ってギルドと商家がこぞって我々に商売を持ち掛けてきたのです。それを見た外縁の者たちが今までも純血の我々だけが中でいい思いをしてきたのだろうと不満を訴えてきました」
「……それはまあ、もしあんたらだけが自分たちの居住区で贅沢をしてたってんならそうかもしれねーな」
俺がそう正直な感想を呟くとシモンも悲しそうに頷きながら答える。
「そう思われても仕方ないのですがそれは勘違いなのです。むろん我々も稼いだ金銭をある程度自分たちの口を賄うのにも使っていましたが元々我々エルフはそれほど食料を必要としません。我々の使う服なども生成方法が違いますからお金があったからと言って買えるものでもありませんし。ですから我々エルフはお金にはあまり執着がないのですよ」
それを聞いた俺はついテリースをジッとみた。
「……テリース、じゃあお前のその守銭奴根性はどこで拾ってきたんだ?」
「何を言っているんですか。私はお爺様たちとは違ってちゃんと限られた『予算』の中で生計をやり繰りする事ができるだけです。こんな事言ってますがお爺様たちには普通の人間の『予算』という感覚がまるっきりありませんからね」
ついそう尋ねた俺にテリースが不服そうに答える。
「確かに我々は普通の人間と同じ尺度でお金を貯めたり使ったりすることもあまりありませんので、頂いた賃金は基本マーティン達を通して貧民街全体に還元していたんです」
「そ、それはすごいですね。じゃあエルフの皆さんのおかげで貧民街の皆さんにもお金が回っていたって事じゃないですか。でしたらそれを外縁の皆様にも説明すれば分かってもらえるんじゃ……?」
あゆみの言う事は最もだ。俺も同じ思いで頷くとシモンがそれを苦笑いしながら首を横に振った。
「そうとも言えるのですが。それを説明してもなお彼らは納得してくれませんでした。なぜ『全員』に分け与えたのか、と。なぜ自分たちだけではなかったのかと言って駄々をこね始めたんです」
「駄々っておい、子供じゃねーんだろ?」
「ええ、もちろん。でも子供じゃないから余計手に負えない。大の大人たちが我々の所に来て自分たちを産んだ責任を取って『自分たち』に金を寄こせと騒ぎだしました」
あまりの話に俺も呆れずにはいられなかった。
「そうこうしているうちにシアンが目を覚まし、その状況を理解してかしないでかその日のうちにエルフ全員でここに移ってしまったというわけです」
シモンはそう締めくくると一つふーっと大きなため息を吐いた。
「私はいっそ我々がいなくなれば彼らも諦めて自分たちだけでやり繰りしていくだろうと言っているのですがシアンがそれを聞きません」
「それはそうでしょう。あの状況だったからこそすぐにここに移りましたが私にはシモン、あなたたちのほうにも充分問題があったと思いますよ。自分たちが傷つく事ばかり恐れて自分の血を分けた者たちを外縁と切り分け、あまつさえ教会に子供の身柄を捕らえられてもすぐに動く事もしなかった、そのツケが回ってきたと考えるべきよ」
文句を言いたそうなシモンにシアンがぴしゃりとそう言うと小さく息を吐いてキールに向き直った。
「キーロン陛下。このような理由で私はこの街にいるエルフと共にこの屋敷に留まり、しばらくの間外縁の者たちの行く末を見守りたいと思います。ここならば外縁の者たちと少し距離をおけますし、また逆に彼らが昔のテリースのように我々から見捨てられたと誤解するような事もないでしょう。その為にも私と全てのエルフが政治的な制約を受けることなくこの街に留まれるよう取り計らっていただけないでしょうか?」
チラリとテリースを見ながらそう告げたシアンの言葉を受け、しばらく考え込んでからキールがゆっくりと話しだした。
「この屋敷のことは一旦置いておくとして、以前出した勅令通りここに留まるエルフに教会が危害を加えるようなことを二度とさせるつもりはない。またエルフをエルフだという理由だけでこの街から追い出すなどという事は考えていない。俺としてはこの街にいる限りエルフも他の種族と全く同等に扱うつもりだ。エミール、お前もそこまではいいか?」
「陛下のご裁断に従います」
キールの問いかけにエミールが即答する。
「宜しい。では次にこの家の取り扱いだが。君たちの要求に答える前にまずはなぜここの農民が素直にお前らの命令を聞いて動いているのかを説明してもらおう」
キールが少し厳しい視線でシアンを射貫き事実の確認を要求すると、シアンとシモンがグッと一瞬黙り込んだ。
言われてみればキールの言う通りだ。こいつら普段から偉そうだから俺もあゆみもつい当たり前のように受け流しちまったが確かにこの村の連中がこいつらエルフにここまで付き合う理由が見つからない。
問いかけたままじっと答えを待ち真っすぐシアンを見つめるキールをシアンもしばらく無言で見つめ返していたが、やがてふぅっと小さくため息を吐いてパンッパンッと音を響かせながら手を叩いた。すぐに外に控えていた農村の娘が顔を出したのにシアンが「あの子たちをここに入れて」と軽く言いつけた。
すぐに言いつけられた娘が隣の部屋からぞろぞろと子供たちを引き連れて入ってくる。
「まず最初に言っておきますが、私もシモンも何も強制はしておりません。ですからこれは自然と起きてしまった、というのが私たちの答えですわ」
「え……」
「これは……」
部屋に入ってきた子供たちは皆一様に物静かにシアンの後ろに正座した。その子供たちは一見なんの変哲もない人間の子供に見える。
ただし。
大人しく正座したその子供たちの頭には俺同様に獣の耳が生え、服の後ろからはそれぞれ尻尾が見え隠れしていたのを除けばだが。
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