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一章
退職と絶望
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退職届を出すと、私は顔をあげることも出来ずに会社から逃げるように駅に向かった。三か月で仕事を辞めてしまうことに自分が本当に情けなくなった。帰りの電車ではどうにか涙を流さずにすんだが、それはただ、放心状態であっただけかもしれない。
「何回も言ったよね、このフォーマット通り入力してくれないと困るの」
私を叱責した女性の上司の言葉が今でも頭に鳴り響く。彼女は私より十も年上で仕事が出来た。最初は憧れの存在だったのに、だんだんと恐怖の対象として映ってしまったのが悲しい。
彼女の荒げた声を聞くたびに心臓が締め付けられる気がした。最後の一週間では無断欠勤さえしてしまった。子供じゃないのに…。私は私に嫌気がさした。
家に帰ると家族は誰もいなかった。母はパートに出て、父は仕事だ。自分の部屋に入ると電気も点けずベットの上に座り込んだ。気づけば涙が溢れていた。腕に顔を伏せ泣いていると、温かい息と涙で袖が濡れた。
「私、だめなんだ。学校でも職場でも、だめなんだ」
元来、人と喋るのが苦手だった私は学校でもうまく友達が作れなかった。ただ、勉強をするしかなかったけれど、好きでもない勉強をするのも苦痛でしかなかった。だから、大人になったら自分のやりたいことをするんだと思っていたのに、その会社では学生の時より何倍も辛い思いをしなければならなかった。
一通り泣き止むと私は自分のノートパソコンを開いた。趣味でやっていたネットのライブ配信と動画投稿が出来るサイトを覗いていた。
そのサイトで、私は顔は出さずに自作の絵と動揺を自分で歌った動画をアップしていた。それだけが、自分を表現出来る場であった。私のリスナーさんは皆優しかった。褒めてくれるコメントが来るたびに心が躍った。
ふと見ると、ライブ配信をしているチャンネルがあった。「お悩み相談と雑談男」
そう、銘打ったタイトルのチャンネルの配信を何気なく視聴しようとした。
「何回も言ったよね、このフォーマット通り入力してくれないと困るの」
私を叱責した女性の上司の言葉が今でも頭に鳴り響く。彼女は私より十も年上で仕事が出来た。最初は憧れの存在だったのに、だんだんと恐怖の対象として映ってしまったのが悲しい。
彼女の荒げた声を聞くたびに心臓が締め付けられる気がした。最後の一週間では無断欠勤さえしてしまった。子供じゃないのに…。私は私に嫌気がさした。
家に帰ると家族は誰もいなかった。母はパートに出て、父は仕事だ。自分の部屋に入ると電気も点けずベットの上に座り込んだ。気づけば涙が溢れていた。腕に顔を伏せ泣いていると、温かい息と涙で袖が濡れた。
「私、だめなんだ。学校でも職場でも、だめなんだ」
元来、人と喋るのが苦手だった私は学校でもうまく友達が作れなかった。ただ、勉強をするしかなかったけれど、好きでもない勉強をするのも苦痛でしかなかった。だから、大人になったら自分のやりたいことをするんだと思っていたのに、その会社では学生の時より何倍も辛い思いをしなければならなかった。
一通り泣き止むと私は自分のノートパソコンを開いた。趣味でやっていたネットのライブ配信と動画投稿が出来るサイトを覗いていた。
そのサイトで、私は顔は出さずに自作の絵と動揺を自分で歌った動画をアップしていた。それだけが、自分を表現出来る場であった。私のリスナーさんは皆優しかった。褒めてくれるコメントが来るたびに心が躍った。
ふと見ると、ライブ配信をしているチャンネルがあった。「お悩み相談と雑談男」
そう、銘打ったタイトルのチャンネルの配信を何気なく視聴しようとした。
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