23 / 26
23
しおりを挟むアイザックの告白に、思わず耳を疑う。
「アイクが・・・私を?」
「何でそんなに驚いてるの?俺、これまでも結構、アピールしていたつもりだったんだけど」
え!?気付かなかった・・・・
私の表情で全てを悟ったのか「はぁ・・・」とアイザックは溜息を吐いた。
「確かに、言葉で伝える事は大事だよな。―――・・・俺の場合は、驕りが原因だけど・・・」
最後の方は声が小さくて聞こえなかったけど、ここ数日ではなく、前からアピールしてたんだ・・・と、なんかびっくり。
「親父がこの国に来たのは、俺に喝を入れるためだと思う」
「え?」
「昔、俺がこの国に来るために、親父達に宣言していた事があるんだ」
「宣言?」
「あぁ、ベアトリス殿下と結婚するためにシュルファ国へ行きたい、と」
「あ?・・・・えぇぇぇぇ!?」
「そんな大口叩いて帝国を出てきたってのに、何時まで経っても婚約の話は聞こえてこないし、何故かビーはアルンゼン国王と結婚する事になったし・・・それを聞いて、わざわざ尻を叩きに来たんだよ」
え?ぇぇぇ?アイザック、私と結婚したくてこの国に来たの!?
私の騎士になってくれたの?
えぇぇぇぇ!・・・・・嬉しいんだけどっ!!
「親父の見合いの話だって、相手は多分いない。いたとしてもビーの事だと思う」
「わ、たし?」
「あぁ。俺が余りにも不甲斐ないから、親父がカノープス公爵家から王女殿下へ結婚の申込をしようとしたんだ。熊の様に見えて子煩悩なんだよ。うちの親父は」
確かに。無関心だったらアイザックを心配してわざわざ会いにきたり、カル兄様の話を聞いた途端、速攻で帰国したりしないわよね。
「アイク・・・本当に、私と結婚するために、この国に来たの?」
やっぱり信じられなくて、聞き返してしまう。
「本当だよ。俺はビー以外の女はいらない。だから、花街にも行ったことはないし、恋人を作ったこともない」
「え?じゃあ、アイクって・・・・・」
その先はわざわざ言わないけど・・・童貞?声には出さないけど・・・・童貞?
私の言いたい事なんてすぐにわかる彼は、開き直ったかのように「悪いか?」と言ってくる。
「悪くはないわ!・・・・何処の国でも同じような考えで、男は遊んでなんぼみたいに言われて、女が遊ぶと身持ちが悪いと言われる・・・不公平だと思うの。特に高位貴族は。だから、相手を想って女性経験がないって言うの、私は支持するし好きよ!」
女誑しではないという事、アイザックが私以外を求めていなかった事が思っていた以上に嬉しくて、抱き着く勢いでアイザックに迫った。
「お・・おぅ・・・喜んでもらえて、嬉しいよ」
頬をほんのり染めて私の手を握るアイザックは、いつもの彼とは違って可愛らしい。
「ビーは兄貴が好きなんだと、ずっと思ってた・・・・」
「カル兄様を?それは大好きよ。優しいし、カッコイイし、可愛らしいし」
私がカル兄様をべた褒めすると、あからさまに彼は顔を歪めていく。
そんなアイザックが愛しくてたまらない。・・・・困ったわ。箍が外れるってこういう事を言うのかしら。こんなにも浮かれてしまうなんて・・・
「でもね、カル兄様に対する好きとアイクに対する好きは、全く違うのよ」
「誰の目から見ても、ビーは兄貴に夢中だったじゃないか」
「それはそうよ!まるで私の想像していた理想のお兄様そのものなんだもの!」
私は一人っ子だから、兄や姉、妹や弟と言うものにとても憧れていた。
だからカル兄様と接していくうちに、自分の理想そのものだと思ったの。
「え?理想の、兄?」
呆然としたよな表情の後に、アイザックは大きな大きな溜息を吐いた。
「俺は、ビーは兄貴が好きだと思っていた。だけど諦めたくはなかった。俺は一目見た時からビーしか見えていなかったし、初めは確かにその容姿に惹かれたけど、実はとんでもなくお転婆で正義感が強く豪胆で・・・でも、危なっかしくて・・・・目が離せなくなっていた。だから兄貴には取られたくなかった」
突然の熱烈告白タイムにギョッとする私。顔が熱くなってきたわ!
「ずっと側に居て、ビーを支えたいと思ったんだ。だから・・・・」
そう言うと、これ以上密着できないというくらいに腰を抱き寄せ、私の左手に口付けた。
「私アイザック・クルス・カノープスは、ベアトリス王女殿下を誰よりも愛しています。私と結婚して下さい」
膝の上に抱いたままに王女へのプロポーズなど・・・
―――だけど、死ぬほど嬉しいわ。
「えぇ。喜んで」
そして私達は、初めての口付けをした。
それは長くて深くて・・・・初めはぎこちなかったけれど、それすら嬉しくてとても幸せな口付けだった。
148
あなたにおすすめの小説
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~
くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」
幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。
ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。
それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。
上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。
「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」
彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく……
『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。
私の婚約者はちょろいのか、バカなのか、やさしいのか
れもんぴーる
恋愛
エミリアの婚約者ヨハンは、最近幼馴染の令嬢との逢瀬が忙しい。
婚約者との顔合わせよりも幼馴染とのデートを優先するヨハン。それなら婚約を解消してほしいのだけれど、応じてくれない。
両親に相談しても分かってもらえず、家を出てエミリアは自分の夢に向かって進み始める。
バカなのか、優しいのかわからない婚約者を見放して新たな生活を始める令嬢のお話です。
*今回感想欄を閉じます(*´▽`*)。感想への返信でぺろって言いたくて仕方が無くなるので・・・。初めて魔法も竜も転生も出てこないお話を書きました。寛大な心でお読みください!m(__)m
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~
朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。
婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」
静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。
夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。
「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」
彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。
侯爵令嬢はざまぁ展開より溺愛ルートを選びたい
花月
恋愛
内気なソフィア=ドレスデン侯爵令嬢の婚約者は美貌のナイジェル=エヴァンス公爵閣下だったが、王宮の中庭で美しいセリーヌ嬢を抱きしめているところに遭遇してしまう。
ナイジェル様から婚約破棄を告げられた瞬間、大聖堂の鐘の音と共に身体に異変が――。
あら?目の前にいるのはわたし…?「お前は誰だ!?」叫んだわたしの姿の中身は一体…?
ま、まさかのナイジェル様?何故こんな展開になってしまったの??
そして婚約破棄はどうなるの???
ほんの数時間の魔法――一夜だけの入れ替わりに色々詰め込んだ、ちぐはぐラブコメ。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる