初めから離婚ありきの結婚ですよ

ひとみん

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可愛くてカッコイイ、私の旦那様。
今までの彼のアプローチに気付かなかった自分が恨めしい・・・
もっと早くに気付いていれば、もっともっとアイザックとイチャイチャできたのに・・・
思わずそんな事を考え、改めてどれだけ彼の事を愛しているのか自覚して悶えた。

「私が愛しているのはアイクだけよ。あなたが側に居てくれるから私は王女でいられるの。―――・・・・それよりも、またコーン伯爵令嬢にいちゃもんつけられたわよ。彼女と熱い夜を過ごしたんだって?私はこんなにもアイクを愛しているのに、堂々と浮気?」
当然、私は信じていない。彼と結婚してからと言うもの、貴族令嬢に絡まれる事は少なくはなったけど、未だに言いがかりを付けてくる者もいるのは確か。
最たる人物がコーン伯爵家のミネルバ嬢。彼女を筆頭に侯爵、伯爵、子爵令嬢と合わせて四人の令嬢が、何かある毎にグチグチと嫌味を言ってくる。
私、この国の王女なのに。彼女等より身分は上なのに。舐められたものね。
彼女等の嫌味を思い出し、鼻息荒くまなじりを吊り上げると、その眼差しで人を殺せるのではないかと言うくらい静かに怒るアイザックが、冷たく低い声でぼそりと呟いた。

「・・・・また、あのクズどもか・・・・俺の愛する妻に・・・・いっその事、家ごと潰すか?」
と、不穏な事を言い始める。

彼女等は本当にアイザックの事が好きなのかもしれない。でも、彼はこの国に来た時から・・・いいえ、その前から私しか見えていなかったのよ。―――本人曰くだけど。
アイザックが私しか見ていないのは誰から見ても明白だったらしく、令嬢達は何とか自分に目を向けさせようと必死で、時には汚い手を使おうともしていたらしいけど、全て未然に防がれていた・・・みたいね。
犯罪一歩手前(媚薬とかね)の事をしようとした家には国王直々に厳重注意され、修道院に送られた令嬢もいるとかいないとか。
モテモテなのよ。うちの旦那様は。

アイザックは私と結婚し初めて、デルーカ帝国カノープス公爵家出身であるとその正体を明かした。
今更だが、目の色を変えた貴族の、その多い事。
正体がばれる前からアイザックは人気者だったけれど、帝国の平民か良くて下位貴族だと思われていて、令嬢達は美しい彼をずっと狙っていたけど親たちが乗り気ではなかったのよ。
後悔した貴族も多かったと思うわ。本当、今更よね。
殆どの貴族は、アイザックが私と結婚した事で諦めたけど、そうでない令嬢達もいるのよ。
それがミネルバ嬢達。なんとしても彼を手に入れたいみたい。アイザックはカッコイイけれど、明かされた家柄がそれ以上に魅力的。
しかも、結婚する前よりもしてからのほうが、彼女等はえげつなく絡んでくるのよ。
お手付きになりさえすれば、私達の間に割り込めると・・・・浅はかよね。アイザックを見れば無理だって一目瞭然なのに・・・・
まぁ、彼女等もそこそこの年齢だし、焦ってるんでしょうけど。
こんな無駄な事に時間を費やさずに、嫁ぎ先を探した方が有意義だと思うんだけどね。

はぁ・・・と、溜息を吐けば、不安そうにアイザックが私の顔を覗き込んだ。
「ビーはまさか、あいつらの言葉なんて信じてないよな?」
信じるわけがない。『熱い夜を過ごした』と自慢げにミネルバ嬢は言っていたが、彼女が言っていた日はアイザックは私とミラ、そして国王夫妻と会食をしていたのだから。
しかも当然の事ながら、結婚したその日から寝室は一緒だ。
つまりは、彼が外泊なんてしたらすぐにわかるし、するはずもないのだ。
「王族に対し起きるはずもない事を、さも事実の様に偽証した事は許されないわよね。公の場で公表すればいいのかしら?」
ポソリと呟けば、アイザックは嬉しそうに私を抱きしめ、顔中にキスの雨を降らせる。
「賛成!彼奴らしつこいんだよ。何であの女と夜を過ごしたことになっているのか、全く分からない。挨拶程度しか言葉を交わしたこともないのに」
そうなのよね。アイザックは常に私の側を離れない。それは結婚する前からずっと。
私生活だって、恋多き男と一時は噂されていたけど、今思えば令嬢達の妄想劇を聞かされていただけなんだろうな。
冷静に考えれば絶対にあり得ない事。だって、休みの日だろうと何だろうと私の側を離れなかったのだから。
話を聞いただけだとブラックな職場に思えるけれど、彼が自主的に側に居てくれたのよね。
それを考えると嬉しくて、思わずアイザックの頬にキスをした。
彼が私にキスをしたがるのが、今ならわかる。
好きすぎて、その気持ちを抑えられないからなのよね。

滅多にない私からのキスに、アイザックは目を丸くし顔を真っ赤にする。
グイグイ来るくせに、私がこういう事をすると恥ずかしそうにするのだから・・・・堪らない。
こんな可愛くて愛しい彼を、あんな馬鹿令嬢達の毒牙にかけてなるものか!排除よ!排除!
「ねぇ、ミネルバ嬢がいる筈もないアイクと熱い夜を過ごしたというのだから、きっと貴方と勘違いして誰か他の男性と情を交わしたのかもしれないわね」
そう言うと彼はピンときたらしく、悪人の様な表情で口の端を上げた。
「そうだね。直ぐに探らせるよ。そして速やかにその男と結婚させてあげなければね。深く愛し合っているようだし」
そしてお互いに意地の悪い笑みだなと思いながらも、今ではすっかり慣れた深く官能的な口付けを交わした。

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