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突然現れた私に、アリオスは驚き狼狽え、スカーレット嬢は目を見開き私を凝視した。
あぁ・・・何か色んな意味で二人の視線が痛くて怖い・・・
先ほどまでの決意は何処へやら。震えそうになる足に力を込め、にっこりとほほ笑みながら私はアリオスに近づいた。
「サクラ・・・」
アリオスは浮気がばれた夫の様に焦った表情で、彼女を身体から勢いよく引き剥がした。
「サクラ!違うんだ!これはっ・・・・」
なんて説明したらいいのかわからず、彼は言葉を飲み込むと、本当に困った様に私を見つめている。
それが何だか可笑しくて、思わず「ふふふっ」と笑えば、アリオスだけではなくスカーレット嬢まで、虚をつかれたかの様なちょっと間の抜けた顔をした。
「何をそんなに焦っているの?やましい事でもあったのかしら?リオン?」
するとアリオスはワンコの様に、ぶんぶんと頭を横に振り私をいきなり抱きしめた。
「俺が好きなのはサクラだけだって知っているだろ?サクラだけが唯一なんだ!」
そう言いながらぎゅぎゅうと抱きしめてくる力が半端なくて、私は色気も素っ気もない「ぐえっ」と声を漏らした。
「わ・・わかったから!リオン、力緩めて・・・くるし・・・・」
ギブギブ!と背中をバンバン叩けば、「ごめん!!」と解放し、今度は離れないとばかりに腰に手を回し引き寄せた。
なんつーか・・・こういうスマートな仕草?っていうか、女の扱い?・・・・慣れてるよね。まぁ、王子様なんだから、当然っちゃー当然なんだけど。
私が感心しながらも息を整えていると、アリオスがいつも以上にというか、目の前の人に見せつけるかのように遠慮なしにべたべたし始めた。
腰を抱き、開いてる手で私の手を取り指先に唇を落とす。
そして、いつもならば甘く蕩ける様な眼差しで見つめながら、顔中にキスの雨を降らせるのだが・・・・そんな公開処刑みたいなことは阻止!
迫ってくる彼に、にっこり微笑み「お知合いですか?」と、呆然としているスカーレット嬢に視線を映した。
アリオスははっとしたように表情を改めると、目の前の美女を紹介してくれた。
「彼女は宰相閣下のご息女、スカーレット嬢だ」
遠目で見ても綺麗だったけど、近くで見ると本当にめちゃくちゃ綺麗で、貴族令嬢としての気品と迫力がひしひし伝わってくる。
こういう人がアリオスの嫁にふさわしいんだろうなぁ・・・・
―――あぁ・・・回れ右して、帰りたい・・・・
弱気になりそうな気持ちを押し殺し、リズに言われた通り、とにかくにっこりほほ笑んだ。
「まぁ、エヴァンドール宰相閣下のお嬢様。わたくし、葉月桜と申します。どうぞお見知りおきを」
そう言って、ジェラール先生に叩き込まれた挨拶を優雅にして見せた。・・・・あくまでも、自分で優雅に見えるよう頑張ったつもり!
そのスカーレット嬢はというと、何故か私をガン見したまま動かない。
なんというか、まるで石の様に固まってる。
見れないくらい無様なお辞儀だったのかな・・・一抹の不安が過るけど、此処は笑顔で切り抜けよう!!ジャパニーズ スマイルよ!
そう思い、更ににっこり笑えば、彼女は綺麗な瞳を更に見開き、ほんのりと頬を染めた。
一体何がどうなったのか・・・どう対処していいのかもわからなくて、助けを求めるようにアリオスを見上げれば、彼もまた彼女と同じように石化していた。
彼は何故か私をじっと見ていて、その瞳には色んな感情が見え隠れしていたようだけど、当然、私には読み取れない。
もう、どうしたらいいのかわからず、限界まで首を捻り、結局はリズに助けを求めてしまった。
遠くで様子を見ていたリズは、しょうがないなぁという顔をして「サーラ様、こちらにおられましたか」と、ちょっとわざとらしい演技を交えながら歩いてきた。
その声にはっとしたように二人の石化が解け、目の前の美女は「リゾレット様・・・」と驚きの声と共に、焦った様に私に挨拶をしてくれた。
「お見苦しい所をお見せして申し訳ありません。わたくし、スカーレット・エヴァンドールと申します。サーラ様とはお初にお目にかかります」
と、それはそれは同性ですら見惚れるほどの優雅な所作で挨拶をしてくれた。思わず心の中で溜息を吐いてしまうくらい、素晴らしい!
そして彼女はリズに視線を映し、同じように優雅にお辞儀をした。
「リゾレット様もご機嫌麗しく。・・・・・父からは聞いておりましたが、本当だったのですね・・・」
スカーレット嬢はリズと私を交互に見て、悲しいとも悔しいとも取れるような表情をした。
「ええ。私は今、サーラ様の護衛兼侍女をしておりますの。彼女はこの国の最重要人物ですし、アリオスにとっても大切な方ですので」
その言葉に彼女の綺麗な顔が歪み、対照的に、リズの冷たい眼差しが彼女を射貫く。
――――なんか・・・怖いんですけど・・・
先ほどリズが、彼女の事を『綺麗だ』と言った時にも感じていたんだけど、リズはスカーレット嬢の事、あんまりよくは思っていないみたい。
まぁ、私には分からない事で色々思う所はあるのかもしれないけれど・・・・美人の真顔は、怖いです・・・・
二人の間に漂う空気に、私は知らず知らずアリオスの腕にしがみ付く様に身を寄せてしまっていたようで、アリオスの身体がびくりと揺れた。それに気づき「あ、ごめん!」と私は彼から離れる。
「あ・・・いや・・・」
そう返すものの、何だか何時もの彼らしくない歯切れの悪い返事と態度に、首を傾げる。
いつもならこれ幸いと、べたべたしまくってくるのに、何だか困ったような顔をしていた。
「どうしたの?」
顔を覗き込めば、彼はあからさまに一歩後ろに身体を引いた。
避けられてる??
先ほどまで、べたべたしてきたくせに、意味が分からない・・・
もしやよくある『押して駄目なら引いてみな』的な作戦?まさか、それ、今やんないよね~。
じっと探る様に彼の目を見ると、口元を手で覆いながら耐えきれないとばかりに視線を逸らされた。でも、彼の耳は真っ赤。
まじ、分かんない・・・・
彼の態度に引っかかりつつも、私はいまだ睨み合っているリズとスカーレット嬢に視線を移した。
こちらでは静かなる戦いが繰り広げられようとしていたのだった。
あぁ・・・何か色んな意味で二人の視線が痛くて怖い・・・
先ほどまでの決意は何処へやら。震えそうになる足に力を込め、にっこりとほほ笑みながら私はアリオスに近づいた。
「サクラ・・・」
アリオスは浮気がばれた夫の様に焦った表情で、彼女を身体から勢いよく引き剥がした。
「サクラ!違うんだ!これはっ・・・・」
なんて説明したらいいのかわからず、彼は言葉を飲み込むと、本当に困った様に私を見つめている。
それが何だか可笑しくて、思わず「ふふふっ」と笑えば、アリオスだけではなくスカーレット嬢まで、虚をつかれたかの様なちょっと間の抜けた顔をした。
「何をそんなに焦っているの?やましい事でもあったのかしら?リオン?」
するとアリオスはワンコの様に、ぶんぶんと頭を横に振り私をいきなり抱きしめた。
「俺が好きなのはサクラだけだって知っているだろ?サクラだけが唯一なんだ!」
そう言いながらぎゅぎゅうと抱きしめてくる力が半端なくて、私は色気も素っ気もない「ぐえっ」と声を漏らした。
「わ・・わかったから!リオン、力緩めて・・・くるし・・・・」
ギブギブ!と背中をバンバン叩けば、「ごめん!!」と解放し、今度は離れないとばかりに腰に手を回し引き寄せた。
なんつーか・・・こういうスマートな仕草?っていうか、女の扱い?・・・・慣れてるよね。まぁ、王子様なんだから、当然っちゃー当然なんだけど。
私が感心しながらも息を整えていると、アリオスがいつも以上にというか、目の前の人に見せつけるかのように遠慮なしにべたべたし始めた。
腰を抱き、開いてる手で私の手を取り指先に唇を落とす。
そして、いつもならば甘く蕩ける様な眼差しで見つめながら、顔中にキスの雨を降らせるのだが・・・・そんな公開処刑みたいなことは阻止!
迫ってくる彼に、にっこり微笑み「お知合いですか?」と、呆然としているスカーレット嬢に視線を映した。
アリオスははっとしたように表情を改めると、目の前の美女を紹介してくれた。
「彼女は宰相閣下のご息女、スカーレット嬢だ」
遠目で見ても綺麗だったけど、近くで見ると本当にめちゃくちゃ綺麗で、貴族令嬢としての気品と迫力がひしひし伝わってくる。
こういう人がアリオスの嫁にふさわしいんだろうなぁ・・・・
―――あぁ・・・回れ右して、帰りたい・・・・
弱気になりそうな気持ちを押し殺し、リズに言われた通り、とにかくにっこりほほ笑んだ。
「まぁ、エヴァンドール宰相閣下のお嬢様。わたくし、葉月桜と申します。どうぞお見知りおきを」
そう言って、ジェラール先生に叩き込まれた挨拶を優雅にして見せた。・・・・あくまでも、自分で優雅に見えるよう頑張ったつもり!
そのスカーレット嬢はというと、何故か私をガン見したまま動かない。
なんというか、まるで石の様に固まってる。
見れないくらい無様なお辞儀だったのかな・・・一抹の不安が過るけど、此処は笑顔で切り抜けよう!!ジャパニーズ スマイルよ!
そう思い、更ににっこり笑えば、彼女は綺麗な瞳を更に見開き、ほんのりと頬を染めた。
一体何がどうなったのか・・・どう対処していいのかもわからなくて、助けを求めるようにアリオスを見上げれば、彼もまた彼女と同じように石化していた。
彼は何故か私をじっと見ていて、その瞳には色んな感情が見え隠れしていたようだけど、当然、私には読み取れない。
もう、どうしたらいいのかわからず、限界まで首を捻り、結局はリズに助けを求めてしまった。
遠くで様子を見ていたリズは、しょうがないなぁという顔をして「サーラ様、こちらにおられましたか」と、ちょっとわざとらしい演技を交えながら歩いてきた。
その声にはっとしたように二人の石化が解け、目の前の美女は「リゾレット様・・・」と驚きの声と共に、焦った様に私に挨拶をしてくれた。
「お見苦しい所をお見せして申し訳ありません。わたくし、スカーレット・エヴァンドールと申します。サーラ様とはお初にお目にかかります」
と、それはそれは同性ですら見惚れるほどの優雅な所作で挨拶をしてくれた。思わず心の中で溜息を吐いてしまうくらい、素晴らしい!
そして彼女はリズに視線を映し、同じように優雅にお辞儀をした。
「リゾレット様もご機嫌麗しく。・・・・・父からは聞いておりましたが、本当だったのですね・・・」
スカーレット嬢はリズと私を交互に見て、悲しいとも悔しいとも取れるような表情をした。
「ええ。私は今、サーラ様の護衛兼侍女をしておりますの。彼女はこの国の最重要人物ですし、アリオスにとっても大切な方ですので」
その言葉に彼女の綺麗な顔が歪み、対照的に、リズの冷たい眼差しが彼女を射貫く。
――――なんか・・・怖いんですけど・・・
先ほどリズが、彼女の事を『綺麗だ』と言った時にも感じていたんだけど、リズはスカーレット嬢の事、あんまりよくは思っていないみたい。
まぁ、私には分からない事で色々思う所はあるのかもしれないけれど・・・・美人の真顔は、怖いです・・・・
二人の間に漂う空気に、私は知らず知らずアリオスの腕にしがみ付く様に身を寄せてしまっていたようで、アリオスの身体がびくりと揺れた。それに気づき「あ、ごめん!」と私は彼から離れる。
「あ・・・いや・・・」
そう返すものの、何だか何時もの彼らしくない歯切れの悪い返事と態度に、首を傾げる。
いつもならこれ幸いと、べたべたしまくってくるのに、何だか困ったような顔をしていた。
「どうしたの?」
顔を覗き込めば、彼はあからさまに一歩後ろに身体を引いた。
避けられてる??
先ほどまで、べたべたしてきたくせに、意味が分からない・・・
もしやよくある『押して駄目なら引いてみな』的な作戦?まさか、それ、今やんないよね~。
じっと探る様に彼の目を見ると、口元を手で覆いながら耐えきれないとばかりに視線を逸らされた。でも、彼の耳は真っ赤。
まじ、分かんない・・・・
彼の態度に引っかかりつつも、私はいまだ睨み合っているリズとスカーレット嬢に視線を移した。
こちらでは静かなる戦いが繰り広げられようとしていたのだった。
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