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本編
プロローグ(ロイス)
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私はロイス・リーマン。この国の第一王子だ。
父上である陛下に言われ、めんどくさいが、婚約者であるリース・マグノイア公爵令嬢に会いに行くことになった。侍従が既に1週間ほど前に前触れを出し、公爵も了承していたので、今更行かないと言うわけにもいかない。
私は、王子だ。好きに恋愛してもいいではないか!王子なんだぞ?好きに何でもできるだろう?
そう思い、多少地団太を踏んだが、誰にもその主張は認められなかった。
くっそう!!リースなんて女、こっちから願い下げだ!公爵令嬢の地位を利用し、私を我が物にするとは実に醜い。地位が無ければ、何もできない令嬢だろうに、生意気な!!!
そう思いながらも、馬車は進む。
公爵邸につき、馬車のドアが開けられる。侍従に促され、馬車から降り、玄関で待っている令嬢のもとに歩みを進める。
そして、先ほどまで考えていた言葉を発した。
「ふん。貴様が、婚約者か。ちっ。」
思いのまま、令嬢の顔も見ずにそう言った。
これで、罵声が飛べば、婚約解消さ!
と思っていたが、返事が返ってこない。
リース令嬢の方を見れば、ジッとただ、見つめてきている。
え?
戸惑った。そこで初めてまともにリース嬢のことを見た。リース令嬢はとてもとても可愛く、綺麗だった。
私の知るどんな白よりも白い肌。艶めいており、透明感さえ感じる。金色の髪は、さざ波を打つようにカールしており、整った顔立ちは、人形の様に整っている。しかし、人形であれば、冷たい印象を受けるのに、彼女の場合は違う。まるで、金色の翼をもつ幻の鳥のような・・・清純な中に温かみを感じる。そんな、美しい彼女の竜胆のような濃い青の瞳がジッと、ただ、ジッとこちらを見ている。
・・・綺麗だ。美しい。
・・・そうだ。少し考えれば、彼女がどうにかできた問題ではないのだ。彼女が生まれる前からこの婚約は決まっていた。彼女のせいではないのだ。
今更ながら、私は短慮だ。彼女に罵声をもらうのは当然かもしれない・・・。
しかし、彼女は一向に何も言わず、ただ、私を見つめるだけ。
・・・は、恥ずかしい。
・・・私は先程、かなり痛い発言をしたんだ。何とか言ってくれ。
これは、封印だ。黒歴史だ。
だ、誰でもいい。なにか、なにか切っ掛けを。
すると、当の本人のリース嬢が突破口をくれた。
リース「本日は、お越しくださり、誠にありがとうございます。殿下。」
「え?あ、あぁ。」
リース「・・・。」
その声は、まるで、ガラスの鐘の様に凛とした響きだった。美しい声にドキンとする。何を言われたのか、一瞬分からず、適当に返してしまった。
私は、何を言われた?
・・・そうだ、挨拶を言われたんだ。来てくれてありがとうだって、可愛い。こんな態度の俺に丁寧に挨拶するなんて、3歳なのに凄い。俺は5歳なのにまともに挨拶もできていなかったのに。
それにしても、リース令嬢はなんて可愛いんだろう。小さなピンク色の唇から紡ぎだされる声はとても現世のものとは思えない。夢うつつの気分になりつつ、リース嬢が言っている言葉を半分も理解する間もなく、反射で何か答えた気がする。
なんだか、後頭部がチリチリと焼けつくような気がする。振り向いたが、侍従と公爵とその子息しかいない。
色々考えていたら、リース嬢から提案をくれた。
リース「・・・殿下、お茶でもいかがでしょうか?あちらにお茶の準備をしております。」
「あぁ、そうだな。頂くとしよう。」
公爵家のメイドに案内を受け、恐らく庭に向かって行くことになった。
その道中もリース嬢はとても可愛く、小さい手を一生懸命に振りながら、よちよちと歩いている。ちょっと彼女には速いのかもしれない。そう思い、彼女をつい、抱き上げてしまった。
彼女は思うよりもとても軽かった。
本当に人の子なんだろうか?妖精とか精霊の類ではなかろうか?
「・・・軽いな。」
とつい、呟いてしまった。
しまった。貴族の令嬢に体重の話は厳禁と母上から言われていたのに。
しかし、リース嬢から非難はない。それどころか、無言で赤くなられてしまった。
耳どころか首まで真っ赤になって、顔を背けたいのにできないと言う感じの仕草。その際に、髪が一筋顔の方に垂れる。
ドキンとした。鼻血が出るのかと思うくらい興奮した。興奮?いや、照れたんだ。違う。私は、ロリコンじゃない。そう。気の迷い。そう、違うぞ~。
一生懸命、ポーカーフェイスを取り戻そうと必死になったが、全然どうにもできない。
さっきっから、後ろからの視線が3つ・・・いや、それ以上の数の視線がチクチクどころか滅茶苦茶ザクザク刺さっている気がする。
しかし、緊張しすぎて、振り向くことも動くこともできない。
誰か、私をなんとかしてくれ!
そんなことを思っていたら、公爵家のメイドがリース嬢をよこせと言う感じのジェスチャーをした。
思わず、丁寧に彼女をメイドに渡すとそのまま、どこかに去って行ってしまった。
「え?」
戸惑う私にリース嬢が手を振ってくれた。思わず、手を振り返すとにっこり笑ってくれた。
私はその場で口と鼻を抑えた。
リース嬢には気付かれなかっただろうか?私が鼻血を出したのを。
しばらく、出血していたら、侍従が怖い笑顔で、ハンカチを出してきた。
受け取って、鼻血を拭く。
立ち上がったところには、悪鬼の表情の公爵とその子息。
初の顔合わせは、公爵の説教で終わった。
ちなみに、帰って、父上と母上と3歳になったばかりの妹にも説教を食らった。
・・・そう、私は彼女に名乗るのを忘れたのだ。
・・・私は、なんてバカなんだ・・・。
封印したい。
できれば、時間を遡りたい。
だれか、やり直しの魔術を知らないだろうか?
父上である陛下に言われ、めんどくさいが、婚約者であるリース・マグノイア公爵令嬢に会いに行くことになった。侍従が既に1週間ほど前に前触れを出し、公爵も了承していたので、今更行かないと言うわけにもいかない。
私は、王子だ。好きに恋愛してもいいではないか!王子なんだぞ?好きに何でもできるだろう?
そう思い、多少地団太を踏んだが、誰にもその主張は認められなかった。
くっそう!!リースなんて女、こっちから願い下げだ!公爵令嬢の地位を利用し、私を我が物にするとは実に醜い。地位が無ければ、何もできない令嬢だろうに、生意気な!!!
そう思いながらも、馬車は進む。
公爵邸につき、馬車のドアが開けられる。侍従に促され、馬車から降り、玄関で待っている令嬢のもとに歩みを進める。
そして、先ほどまで考えていた言葉を発した。
「ふん。貴様が、婚約者か。ちっ。」
思いのまま、令嬢の顔も見ずにそう言った。
これで、罵声が飛べば、婚約解消さ!
と思っていたが、返事が返ってこない。
リース令嬢の方を見れば、ジッとただ、見つめてきている。
え?
戸惑った。そこで初めてまともにリース嬢のことを見た。リース令嬢はとてもとても可愛く、綺麗だった。
私の知るどんな白よりも白い肌。艶めいており、透明感さえ感じる。金色の髪は、さざ波を打つようにカールしており、整った顔立ちは、人形の様に整っている。しかし、人形であれば、冷たい印象を受けるのに、彼女の場合は違う。まるで、金色の翼をもつ幻の鳥のような・・・清純な中に温かみを感じる。そんな、美しい彼女の竜胆のような濃い青の瞳がジッと、ただ、ジッとこちらを見ている。
・・・綺麗だ。美しい。
・・・そうだ。少し考えれば、彼女がどうにかできた問題ではないのだ。彼女が生まれる前からこの婚約は決まっていた。彼女のせいではないのだ。
今更ながら、私は短慮だ。彼女に罵声をもらうのは当然かもしれない・・・。
しかし、彼女は一向に何も言わず、ただ、私を見つめるだけ。
・・・は、恥ずかしい。
・・・私は先程、かなり痛い発言をしたんだ。何とか言ってくれ。
これは、封印だ。黒歴史だ。
だ、誰でもいい。なにか、なにか切っ掛けを。
すると、当の本人のリース嬢が突破口をくれた。
リース「本日は、お越しくださり、誠にありがとうございます。殿下。」
「え?あ、あぁ。」
リース「・・・。」
その声は、まるで、ガラスの鐘の様に凛とした響きだった。美しい声にドキンとする。何を言われたのか、一瞬分からず、適当に返してしまった。
私は、何を言われた?
・・・そうだ、挨拶を言われたんだ。来てくれてありがとうだって、可愛い。こんな態度の俺に丁寧に挨拶するなんて、3歳なのに凄い。俺は5歳なのにまともに挨拶もできていなかったのに。
それにしても、リース令嬢はなんて可愛いんだろう。小さなピンク色の唇から紡ぎだされる声はとても現世のものとは思えない。夢うつつの気分になりつつ、リース嬢が言っている言葉を半分も理解する間もなく、反射で何か答えた気がする。
なんだか、後頭部がチリチリと焼けつくような気がする。振り向いたが、侍従と公爵とその子息しかいない。
色々考えていたら、リース嬢から提案をくれた。
リース「・・・殿下、お茶でもいかがでしょうか?あちらにお茶の準備をしております。」
「あぁ、そうだな。頂くとしよう。」
公爵家のメイドに案内を受け、恐らく庭に向かって行くことになった。
その道中もリース嬢はとても可愛く、小さい手を一生懸命に振りながら、よちよちと歩いている。ちょっと彼女には速いのかもしれない。そう思い、彼女をつい、抱き上げてしまった。
彼女は思うよりもとても軽かった。
本当に人の子なんだろうか?妖精とか精霊の類ではなかろうか?
「・・・軽いな。」
とつい、呟いてしまった。
しまった。貴族の令嬢に体重の話は厳禁と母上から言われていたのに。
しかし、リース嬢から非難はない。それどころか、無言で赤くなられてしまった。
耳どころか首まで真っ赤になって、顔を背けたいのにできないと言う感じの仕草。その際に、髪が一筋顔の方に垂れる。
ドキンとした。鼻血が出るのかと思うくらい興奮した。興奮?いや、照れたんだ。違う。私は、ロリコンじゃない。そう。気の迷い。そう、違うぞ~。
一生懸命、ポーカーフェイスを取り戻そうと必死になったが、全然どうにもできない。
さっきっから、後ろからの視線が3つ・・・いや、それ以上の数の視線がチクチクどころか滅茶苦茶ザクザク刺さっている気がする。
しかし、緊張しすぎて、振り向くことも動くこともできない。
誰か、私をなんとかしてくれ!
そんなことを思っていたら、公爵家のメイドがリース嬢をよこせと言う感じのジェスチャーをした。
思わず、丁寧に彼女をメイドに渡すとそのまま、どこかに去って行ってしまった。
「え?」
戸惑う私にリース嬢が手を振ってくれた。思わず、手を振り返すとにっこり笑ってくれた。
私はその場で口と鼻を抑えた。
リース嬢には気付かれなかっただろうか?私が鼻血を出したのを。
しばらく、出血していたら、侍従が怖い笑顔で、ハンカチを出してきた。
受け取って、鼻血を拭く。
立ち上がったところには、悪鬼の表情の公爵とその子息。
初の顔合わせは、公爵の説教で終わった。
ちなみに、帰って、父上と母上と3歳になったばかりの妹にも説教を食らった。
・・・そう、私は彼女に名乗るのを忘れたのだ。
・・・私は、なんてバカなんだ・・・。
封印したい。
できれば、時間を遡りたい。
だれか、やり直しの魔術を知らないだろうか?
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