助けてと言われたけど、私は方向音痴です(狂人向け)

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目を覚ますと夢の中に居た。
夢の中なのに目を覚ますとはこれ如何に?

さておき、今日の夢はどうやら私の夢ではないらしい。
「たすけて!たすけて!」
振り向けば、女子高生。

ちょっと化粧してて、比較的可愛いと言うか美人と言うか、きっと整っている外見の女の子で、瞬間、彼女の生前の記憶が流れ込んできた。

彼女は家族に愛されていない子だった。
下手したら、捨てたいと母親も父親も思っているのが分かる目線の記憶。
言動こそそういった類のことはないもののどう考えても一緒にいるのは不愉快だと言う態度は隠してはいない家族だった。

いや、本当にこれは家族なんだろうか?
顔合わすだけで不愉快さを示すなんてと当時の私はそう思ったものだけど、夢の中の私は何故だか彼らと彼女にしっかりと血縁の証が分かり、すごく悲しさを覚えてしまった。

彼女は望まれて生まれていないし、これからの人生さえも望まれてはいなかったのだとしっかりと理解した。

それを彼女を通して記憶を手繰ることで理解はしたが、彼女自身はまだ、両親のことを信じていたし、好きでいた。

そのうえで、彼女は自分が死んでいることを自覚していない。

あぁ、でもこれは・・・。

彼女に案内された一軒家。
「起きたらここに来て、私を救って!」
と言われた。

一軒家の中はとても整頓されており、とても清潔感のある家だった。
玄関にはピンク色の花も飾ってあるし、どこもかしこも埃一つない。
リビングにはテレビの音が聞こえて、そこに二つの影があった。

一つは彼女。
もう一つはテレビの芸能人よりも整った顔の青年だった。
青年は彼女の死体を抱き寄せながら、テレビを見ている。

彼女のことを大事にしているのがとてもよくわかる。
「早く家に帰して!この男のことを警察に訴えて!」

彼女は一生懸命に私に訴えた。
私は彼女にこう言った。
「私はここの道が分からない。」
「もし分かったとして、ここに私が来て、私が殺されない自信がない。」
「警察に訴えたとして、彼が捕まるともどうも思えない。」
と。

彼女は怒った。
「ちゃんと道順を教えたじゃない!」
「警察なら大丈夫よ!」

そう彼女は声高に言ったけど、私は知ってる。

「道順と言っても、スタートがどこかが分かんないんだよ。」
「それにね、警察もそんなに信用しちゃだめだよ。だってさ、あの人は〇〇〇〇。」

自分が言ったのに、内容は思い出せない。

ただ、その言葉に彼女は愕然として、そして、私を解放してくれた。

そして、ようやく本当に目を覚ました。

数週間後、また、夢の中で私は目を覚ました。

そこには棚の上でにっこりと笑う彼女が居た。

「今、私幸せなの。」
彼女はそう言って本当の意味で幸せそうに笑った。

記憶の中の生前の彼女よりとっても幸せそうな笑みだった。

「彼はね、起きたら私におはようって言ってくれるの。」
「彼はね、お出かけの前にいってきますのキスをしてくれるの。」
「彼はね、帰ってきたらただ今のキスをしてくれるの。」
「彼はね、一緒に向かい合ってご飯を食べてくれるの。」
「彼はね、一緒にお布団に入ってお休みって言ってくれるの。」
「彼はね、彼はね、私のこと愛してくれているの。」
「私、貴方に助けてもらわなくて良かったと思ってる。感謝してるわ。有難う。」

「・・・うん。」
「私、いま、とっても幸せ。あの人と永遠に一緒に居るわ。」
「・・・うん。お幸せに。」

私の夢はまだ続く。
生きているあの殺人者である青年は彼女で6人目なのだと。
そして、5人も同じように死んで、同じように廃棄されていることを。
彼女も彼女の死体がどうしようもなく腐ったら、あの5人と同じことになるのだと思われることを。

どうしても、彼女に伝えることはできなかった。

でも、もしかしたら、彼女は永遠に彼と一緒に居れる可能性もあるとも思えた。
だって、彼女は心から彼のことを愛しているのだから。
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