聖騎士たちに尻を狙われています!

トノサキミツル

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「ソウタ、またせたな」
「おう」
 クロはうつらうつらしているルゥを横から小突いて、起こした。
「ルゥ、起きろ。いくぞ」
「クッ!」

 途中、宿まであと少しというところで、手を掴まれた。
 どうしたんだと立ち止まっていると、クロがごそごそとなにかを取り出している。

「……ちょっとまて」
「はい?」

 俺の手のひらをとる。一点が輝いている。どっかでみたことのある、デジャブにまじまじと眺める。

「これをおまえにやる」
「…………あっ!」
「指輪だ」
「これ……」
 
 あっちの世界から引き込まれたときにつけた指輪だ。

「気に入ったから買った」
「ええっ。ち、ちょっとおちつけ!」

 精緻な彫りがほどこされた台座に濃いコバルトブルー。あやしげな紋章もほどこされている。きらりと青く光を放っている。

「不満か」
「ち、ちがう……」

 あうあうとしていると、真剣な眼差しを向けられる。

「おまえのためだ。気にする必要なんてない」
「でもさ……」
「いやなら捨てろ」

 うっ。すてたい。捨てたいけど、そういう状況でもない。

「いや、でもさ。なんかわるい」
「気にするな」
 そう言われても、気にするつうの。
「……これ、高いやつだろ」
「ふつうの値段だ。その指輪は能力を高めるらしいぞ」
「たかめる?」
「ああ。潜在能力を上げるらしい」

 なおさら、捨てたい。

 俺のケツになにかあったらどうすんだ。

「……ひっ」
「捨てたいなら、いまここで棄てろ」

 ものすごい形相で睨まれる。目の奥が笑っていない。

「…………いや、しません。ありがとうございます」
「ちゃんとつけろよ。それとへんなやつに声を掛けられなかったか? まえに連れて行かれそうになったからな」
「あ、あれは道を尋ねられただけで。相手は老人だし……」
「老人でもだめだ。老人の面を被った悪人だっている。それと、俺のそばを離れるな」
「……はい」

 後ろから客人が出てきたので、俺たちは店を出た。斜め横に古書店が見えた。すでに陽は傾き、香辛料を振って鶏を焼いた匂いが漂っている。

「夕飯を食べてから帰るぞ。終わったら、俺はルゥを飛ばしてくる。厩屋につないでばかりだからな」
「わかった」

 クロは俺の手をしっかりと握る。
 そしてずんずんと前へ歩き出した。仕事終わりの村人とすれ違い、軽く頭を下げて挨拶を交わす。

「なんだ?」

 うつむいて黙り込む俺を怪訝におもったのか、クロが振り返った。

「聖杯探しがなくなったら、城に戻んの……?」
「そんなのは見つけてから言え。そのまえにやるべきことがたくさんあるんだ、ほら歩け。早くしないと陽が沈むぞ」
「……わかった」

 しまった。また怒られた。
 鴉がカアと情けなく鳴いた。
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