親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐します。

ふるか162号

文字の大きさ
13 / 22
1章 親友が酷い目に遭わされたので

13話 エレンのお墓だそうです

しおりを挟む

 ツルツルを殺したその日のうちに、国王の影武者は民衆の前で処刑されました。
 これでファビエ王国は姫様のモノになったようです。私がそう言うと、「国は王族の所有物ではなく、国民の為に存在しているのよ」と教えて貰いました。

 その日は姫様が用意してくれた客間に泊まりました。次の日、私は姫様に呼び出されました。約束通りエレンのお墓の場所を教えてくれるそうです。

 朝早く起きて姫様の部屋に行ってみたのですが、お仕事みたいでいませんでした。
 姫様のメイドであるカチュアさんが紅茶を淹れてくれたのでそれを飲みながら待ちます。
 暫くすると、姫様が少し疲れた顔で戻ってきました。

「レティシアさん、待たせてたみたいね。じゃあ、行こうか」

 姫様は、エレンのお墓がある場所へと案内してくれます。


 エレンのお墓は、お城から少し離れた庭園の隅の方にコッソリと建ててありました。墓標には何も書いてなくて聞かなければ誰のお墓かもわからないと思います。
 けれど……。私にはここにエレンがいるのがわかります。

 事前にお城を調べた時には見つかりませんでしたが、まさか庭園にあるとは思いませんでしたよ。

「ごめんね。私としてはもっとちゃんとしたお墓を用意したかったんだけどね。お父様と教会のせいで聖女エレンの地位は地に落ちてしまっている。だから、このお墓の場所もバレてしまえば荒らされるかもしれなかったのよ……」
「いえ、ここにいるのは分かります」

 姫様は沈痛な表情で、エレンの最期を話してくれました。
 エレンは、ウジ虫に襲われた後、精神が崩壊したそうです。
 ベッドの上でずっと虚ろな目をして「レティ…レティ…」と繰り返していたそうです。
 ウジ虫がエレンに興味を失った後は姫様が看病してくれていたそうですが、ふと目を離した隙に部屋から抜け出し、王城の窓から飛び降りたそうです。

 私の頬に涙が流れます。エレンなんで……。

「飛び降りたのに気づいて、すぐに手当てをしたけど……間に合わなかった。最期の言葉は「レティ。ごめんね。大好き」だったわ。あの子にとって、貴女が一番大切だったんでしょうね。ねぇ、レティシアさん。復讐を止めない?」

 姫様は何を言っているのでしょうか?
 私は……。

「私は聖女であるエレンしか知らない。けれど、あの子は最期まで貴女を想っていた。だからこそ、貴女には幸せになって欲しいと願っていると思うわ」

 姫様は嫌がらせでこんな事を言っているとは思えません。きっと、本心なのでしょう。
 で、でも……。

「無理です。エレンの為でもありますが……いえ、それは言い訳です。本心は私自身の為です。私にはエレンしかいませんでした。エレンは私に色々な事を教えてくれました。忌み子・・・と言われていた私に、初めて優しくしてたのもエレンでした。自分が家族に酷い目に合っていたのに……それでも、私にやさしくしてくれました。だからこそ、エレンを利用した挙句に酷い目に合わせて殺したこの世界が許せません」

 私は、エレンのお墓に背をむけます。これ以上姫様と話をしていると、私の心が折れて復讐を止めてしまいそうになります。
 姫様この人も私に優しすぎます。

 姫様は「ふぅ……。分かったわ」と優しい顔をして私を抱きしめてきます。やはり良い匂いです。

「レティシアさん。全ての復讐を終わらせたらここに戻ってきなさい。私が貴女の帰りを待ってるから」

 私の帰りを待っている?
 
「そうよ。復讐が終わったら暇になっちゃうでしょう? だから、このお城で働けばいいじゃない」
「お城で働くですか。私は忌み子と呼ばれているんですよ。傍に置いておくと、エレンの様に不幸になっちゃいますよ?」

 私はお母さんが殺され町から逃げ出した後、ずっと一人で生きてきました。
 エレンと共に過ごした町の人間からは何度も殺されそうになったし、私の家に嫌がらせも何度もありました。何度も町の人間を皆殺しにしてやろうと思っていましたが、そんな時にエレンと出会い、エレンがいたから町を滅ぼさなかっただけです。
 そんな私が、お城で働く?

「嫌? 私はレティシアさんを気に入ったんだけど。その常識外れた強さも気に入るポイントだけれど、それよりもその真っ直ぐな目が大好きになっちゃってね。それに、このお城で働けばエレンのお墓に自由にお参りもできるわよ」

 姫様は私に笑いかけます。
 

「ありがとうございます。分かりました。でも、いいんですか? 復讐を終えた後の私は、世界の敵ですよ?」
「そうね。貴女は、神に認められた勇者を殺そうとしているものね。でも、いいわよ。クーデターをした時点で、周りの国からは王位を武力で奪い取った強欲な王女と言われるでしょうし、元々、アブゾル神なんて信じてもいないしね」

 姫様の目は真剣そのものですね。
 ……そうですね。

「分かりました。全てを終わらせた時には、私は姫様の剣になります。だから……。私の事はレティと呼んでください」
「ふふ。分かったわ」

 エレンのお墓にまた来る事を約束してから、姫様の部屋へと戻ります。
 さて、これからどうしましょうか。
 ウジ虫はどこにいるかは分かりませんし……教会でも潰しましょうか。
 私が悩んでいると姫様が次の標的を提案してくれます。
 
「それなら、いっその事、レティが魔王を倒したらどう?」

 私が魔王をですか?
 確かに魔王も私の復讐の対象の一人でしたが……。

「しかし、私は勇者ではありませんよ」
「レティ、私が思う勇者はね、魔王を倒すために呼ばれた召喚者ではないと思うのよ」
「……」
「今のこの世界には勇者はいないわ。だって、現にタロウは何も成していないもの」

 絵本や小説でもそうです。魔王を倒したから勇者になるのであって、今のウジ虫はただの色ボケウジ虫です。
 
「わかりました。元々、勇者をなぶり殺してから魔王も殺す予定でした。順番が入れ替わったとしても問題ないでしょう」

 私が次の標的を決めた丁度その時、レッグさんが慌てて姫様の部屋に入ってきました。
 駄目ですよ。将来姫様の旦那様・・・になるかもしれませんが、レディーの部屋にノックもなしで入ってくるのは減点です。

「ネリー姫!! 大変だ!! 魔族の軍勢が攻めて来た!!」
「なんですって!! 兵士達の準備は!?」
「今、急ぎでやっている!! だが、間に合うかは微妙だ!!」

 魔族の軍勢ですか。数はどのくらいなんでしょうかね?

「レティ。私達が魔族を押さえているうちに王都を出て。そして、まお「それはできませんねぇ」う……え?」

 私は立ち上がり部屋を出ようとします。

「ここは、私の帰る場所なんですよ。レッグさん。魔族の数は?」
「ざっと見た感じ五百人くらいだ……。レティシアちゃん……どうするつもりだ?」

 五百匹くらいですか……。
 久しぶりに本気・・が出せそうです。

「行ってきます」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...