22 / 53
俺から見た世界
十七日目(遊び編)
しおりを挟む「よっしゃ来たぞー!! 遊び尽くしてやる!!」
着いたのは近場のゲームセンター。最近リニューアルしたらしく、建物がすごく大きい……
中にはUFOキャッチャーや、音ゲームはもちろんのことボウリングや、ダーツなども遊べるフロアも設備されていた。
「さて! 何から遊ぶか!」
「あれやって見たい!!」
まず目に飛び込んできたのはUFOキャッチャーだった。
女の子が必死になって黒猫のぬいぐるみを取ろうとしていた。
アームが寸前のところでぬいぐるみがつかめず落下する。
お金を大切そうに握りしめてコインを投下する。
すごい集中力で絶対にとってやると言わんばかりの気迫を放っている。
俺と死神もその女の子から目が離せずにいた。心の中でずっと声援を送り続ける。
(がんばれ……あと少し……がんばれ……!!)
アームがぬいぐるみをがっしり捕まえた。
(よしっ! そのまま持ち上がれ! いけ!!!)
アームはぬいぐるみを持ち上げ運んでいく……が寸前のところでぬいぐるみが落下した。
「っあー!!!! おしい! あとちょっとだったのにー!」
つい大声で叫んでしまった。周りからいっせいに注目を浴びたが、それでもお構い無しに両替機に直行し、千円札を崩し、急いでさっきの女の子のところに向かった。
「ちょっと失礼するね? 君このぬいぐるみが欲しいの?」
にこやかな笑顔を貼り付けて話しかけたが、内心不審者扱いされそうで膝から下の震えが止まらない。
しばらく女の子は考えた素振りを見せて小さく頷いた。
「そっ……そそそっかぁー!! よ……よぉーっし! お……おおお兄さんが取ってあげよう!」
震える声を気取られまいと張り切って頑張ったが帰って緊張してどもってしまった。
「え……? いいの??」
女の子が期待の眼差しで見上げてくる。これは……取るしかないでしょう……
「え! ええ! ちょっと待っててね!」
俺はUFOキャッチャーに五百円を入れてボタンに神経を込めた。絶対に負けられない勝負。いくらか買っても絶対にとってやる!!
矢印を移動させながらぬいぐるみの位置関係。角度をくまなくチェックする。
大人気ない?んなもんかんけーねぇーんだよ!!
次の矢印をUFOキャッチャーの横から覗き込みながらぬいぐるみに合わせる。
「よし!! ここだ!!」
勢いよくボタンを押す。アームがゆっくりと降りていき、ぬいぐるみを掴んだ。
(いっけぇー!!)
ぬいぐるみが落ちないことを祈りながらボタンを連打する。
アームはぬいぐるみを運びながら取り出し口前に移動し……寸前のところでぬいぐるみが落下した。
「なんでだよ!! 今の行ける流れだったじゃんかぁ!!」
悔しさに地団駄をふむ。大丈夫……大丈夫だ! まだあと五回はチャンスがある!!
「なぁーに! 今のはただのじゅ……準備運動さ!! こ……ここから本気を出していくぞぉー!」
苦しい言い訳をしながらストレッチの素振りを見せる。後ろから死神が必死に笑いをこらえているのが聞こえた。
(いいだろ! 別に! 取ればいいんだから!)
俺は再びUFOキャッチャーに向かって全神経を集中させた
ボタンを押す。横を確認しながらアームを合わせる……
またダメだった……
もう一回挑戦する……
ダメだった
もう一回……
もう一……
………
やっとの事で無事黒猫のぬいぐるみをゲット出来た。あれから何回か両替機を往復したが……それは見なかったことにしといてくれ。
「はい! お嬢ちゃん! これプレゼント!」
「いいの!? ありがとうお兄さん達!」
笑顔でぬいぐるみを受け取って俺と俺の後ろを見た。手を大きく降ってお辞儀を繰り返す女の子を見て、心が和んだ。
「……???」
「お兄さん達って言った??」
「言ったねぇ……」
もしかしてあの子は死神が……見え………
死神をチラ見すると少し驚いた顔をしていたが内心嬉しそうに笑っていた。
「あ!!!」
俺はふと何かを思い出したように声を上げる。
「ごめん! 死神! あの女の子に夢中で! つい本来の目的忘れてた!!」
死神はゆっくりしっぽを振りながらいいよいいよと手を横に流す。
「代わりに僕にも何かぬいぐるみをとっておくれよ!」
死神はにやにやしながら俺に挑戦状を突きつけてきた。
のぞむところっ!!
取れやすそうな台を探し、一回挑戦してダメそうなら台を変えるを繰り返した。その時にふとあるガチャガチャに目が止まる。
(あれってもしかして?)
俺は財布から三百円を取りだし、そのガチャガチャを引いた。中身を取り出してみると……
「うーん……シークレットの宇宙人が欲しかったけど……ナメクジ型かぁ……」
猫にかぶせる様のずきんを引いていた。お目当てが来なかったのは残念だが……死神は不思議な顔で覗き込んでくる。
「それ何?? なんか変な形」
「これ? これは……」
死神を手招きして呼ぶと、目を瞑るように指示した。その瞬間に死神の頭にさっき当たったナメクジ型のずきんをかぶせる。
「こうするんだよ!!」
「うううわぁぁぁ!!!」
死神は悶えるようにして必死に頭から外そうとするが、しっかりと紐で結んであるのでなかなか取れない。
「いぃぃやぁぁぁだぁぁぁ!!!!」
ずぽっと勢いよく脱ぎ捨てて俺に向かって投げつけてきた。思いっきり毛を逆立てて威嚇の姿勢をとる死神。
「ごめんって! もうしない! もうしないから!!」
鋭い眼光に当て付けられた俺はまたやってしまったという罪悪感が芽生えていた。今朝も死神を怒らせたばかりというのに全く俺は学習しない……
自分に嫌気がさしながらも死神のご機嫌をとるためにゲームセンターで遊び尽くした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
