俺と可愛い死神

ヴルペル

文字の大きさ
53 / 53
俺から見た世界

花は還る

しおりを挟む


街に出て、死神と遊んだ場所はもう巡ったから、逆に行きたい場所を見て回る。

クレープ屋、ドーナツ。死神と食べたかったな。

映画にショッピング。行きたかったな。

街以外で行こうと思えばどこへでも行けた。海外も行ってみたかったし、水族館にも動物園にも、行きたかった。

ゲームセンター。スーパー。本屋。ペットショップ。
街には色んな場所がある。

俺はふとペットショップの前を通りかかった。犬や猫がケージの中で楽しそうに遊んでいる。

黒猫のことを思い出し、涙が込み上げてきた。

さっさとこの場を離れようとしたその時だった。

目の端に黒いものが写った。

俺はペットショップを二度見する。猫のケージの中に黒いこがいる。

俺は恐る恐るペットショップに近づき、ケージを覗いた。

「!?  この目!」

そう。その黒猫は青色とオレンジ色のオッドアイだったのだ。もしかしたら死神かもしれないと思い、マジマジとそのこを見る。

死神の方は気づく気配がなく、他のこと遊んでばかりいる。

「可愛いですよね。あのこ」

後ろから声をかけられた。

店員さんが後ろから覗き込むようにして話しかけてきていた。

「え?  あ……」

「あ!  驚かせてしまいすみません。この黒猫ちゃんのこと見てたんですよね?  さっきから圧がすごかったので(笑)あ!  悪い意味じゃないですよ!  実は、このこ昨日来たばかりで、少しお兄さんだけど……良かったら抱っこしてあげてください!」

「あ……はい」

俺は死神に似た黒猫を抱っこした。
柔らかい。ふわふわしてる。触りごこちは同じだった。でもこのこが死神だと言いきれない……ただ同じ毛並み。ただ同じ目だから死神という訳では無いことはわかっていた……
分かってはいたけど……

俺は涙をポロポロとこぼした。

「えっと……すみませんこのこを……」

そう言い、お姉さんに渡そうとしたが、俺の腕から子猫はなかなか離れたがらない。その時だった……

チリンッ

「?」

鈴の音だ。
一体どこから……
俺はその黒猫の首を触った。

……ある……ついてる。

俺が死神にあげたはずの猫型の鈴の首輪がついていた。

「あれ?  そのこそんなのつけてたかな?  すみません外しますね。このこまだ家族がいないので」

「いえっ!!」

バッ

お姉さんが猫の首輪を取ろうと手を伸ばしたが、俺は遮った。

この子は死神だ……間違いない。



「このこにします!」

そう言い、涙を拭った。



……そして黒猫との新しい生活が始まる。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。 「だって顔に大きな傷があるんだもん!」 体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。 実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。 寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。 スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。 ※フィクションです。 ※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。

処理中です...