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ラルの駆け出し

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そんなに動物が好きなら、テイマーにでもなりなさい! 」
 と言われて、家を出てきて、早三日、ペインウルフ100匹、ピクシー50匹というとんでもない数の魔物をテイムしてきたものがいた。その名はラル。
「アホみたいな数で邪魔だから、誰かどうにかする方法教えてくれないかな……」
 そう、彼はピクシーはともかく、ペインウルフが思っているよりデカく、橋を渡るのに、苦戦している最中である。
「そこのテイマーの方、どうかされました? 」
「こいつら、テイムしたは良いものの、空間を取るんですよね…」
「魔法で、仮想空間を作って、そこに飛ばす、なんてどうでしょうか? 」
 50匹のピクシーに指示させる。すると、魔法陣が、出現して、ペインウルフが消えた。そして、もう一度、ペインウルフを出そうとすると、明らかに、1匹のペインウルフよりもデカく、100匹が、2匹になって出てきた。
「何かしました? 」
「いえ、何も……。ピクシーにもしてみましょう! 」
(もう好奇心に近いものなのでは……)
 ラルはそう思いながら、魔法をかけようとするが、大切なことに気付く。
「俺、魔法できませんよ? 魔法使いじゃあるまいし」
「そっか、君もしかして駆け出し? 王都で十年前、とある変人の貴族が『テイムした魔物のスキルを習得する魔法』を開発したんだ。一時期流行ったんだけど、結局、廃れていったんだよね。」
「教えてください! 」
 全力で懇願するラルをみて、微笑む彼は、
「まず、ピクシーの身体に触れて、魔力を込める! それだけ!」
「 なんでこんな簡単なこと、気付かなかったんですか? 」
「それには、二つあって、一つ目。魔物に触りたくない。二つ目。テイマーが極端に少なく、彼らもまた需要が無い。」
 ラルはピクシーの体に触れ、魔力を込める。すると、同じ魔法陣が出現する。その中に、ピクシーを入れて、異空間に飛ばす。そして、もう一度、魔力を込めようとする前に、
「ラル様~」という声と共に、無理やり魔法陣をこじ開けて出てくる一人の女性が出てきた。
「おお、やったね駆け出し君! いや~こんな感じになるとはね…… 範囲外だよ…」
(知らんて。おまえの性癖なんて)
「ありがとうございます! めっちゃ助かりました! 」
「それは何より。困ったら、王都第3区6丁目に店を構えているから、いつでもきてね! 」
 と言って、風魔法で、飛んで行った。
「ラル様? 」
「俺が、テイムした、150匹が、三体に? 」
 一晩中眠れなかった。
 翌朝、王都の図書館で、この三体についての書物を探していると、
 魔物は、50匹で、上位種に進化する。
 上位種は、人語を喋り、人型のものは人間と交わることも見かける。
 ピクシーの上位種、フェアリー
 高い知能を持ち、テイムはほぼ不可能。人間に化ける事もある。
「なんてものをテイムしたのだろう……」
 彼が自身の才能を自覚した瞬間である。
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