上 下
3 / 11

お酒が入るとキャラ変わる奴。飲ませる?飲ませない?

しおりを挟む
「袴しゃーん。夜は長いですよ?まだまだ遊びましょう?良い子は寝る時間ですけど、悪い子はまだまだこれからです!」
今無理やりエロくなくなるよう、頭の中で変換して飲み込む。
それでも『二人きり』『密室』『隣人』『酔いが回る』要素が消えない。なんなら要素しかない。
しかし、残りの百何日を彼女と一緒に暮らすのだ。そんな中、「やってしまった」ら先が見えない。
必死に考えて、「ダーツでもしましょうか。」と彼女を誘った。
酔いが覚めていないので、時折ダーツの的が、くるくる回って見える。鼎さんが矢を投げると、5回連続ど真ん中に刺さった。もう、たまたまなのか、そもそも酔っていないのか、もしそうなら、ただの隣人にエロいワードを言うだけの痴女ということになる。まぁ、それもいっか。何も文句言われなさそう。
 空気に疲れ、負けて選んだフカフカのベッドで眠りにつく。まだアルコールが回っているのか、沼に落ちていくように意識がなくなっていく。うちの布団とは大違いだ。帰ったら買い換えよう。
 
朝起きたのだが、抱きついてくるような柔らかい感覚に違和感を覚え、布団を捲り上げる。予想通り、鼎さんが僕の胸に抱きついていた。起こさないように、犯さないように、そっと起きて着替える。マジ痴女説、あるかもしれん、と期待を込めて、一人朝食を食べに向かう。生憎月曜日で、有給もどきを取るのにテレワーク推進のテスターになる事を条件で取ったので、8時から最低5時まで働かないといけないのだ。
珈琲とパソコンを机に置いて、仕事を始める。そういえば、父がテレワーク大賛成人間なので、少し興味があったが、ここまでとは。
「豪華客船の部屋で事務処理してるよ、状況が笑えてくる」
 おまけに痴女の疑いのある可愛い隣人もいる。思わず一人笑いが大きくなり声が出て、ベッドの上の袴さんが起きてしまった。
 「!? なぜ、私が、ベッドで、こんな姿で!?」
語弊はあるが、彼女か今着ている服は、船に乗る時に着ていた服だ。きっとお気に入りかなんかで、汗かくのが嫌なんだろう。
 しかしその前に気になることがありすぎて、好奇心のままに質問を投げかける。
「鼎さん、なぜベッドで寝ていたんですか? 本当に酔ってたんですか? もし酔っていたならダーツの記録はなんなんですか?」
「へ!? なんですかいきなり記者会見ですか!? なぜなぜ期ですか!? なぁぜなぁぜですか!?」
状況を整理して伝えてみたが、わざととも思えないので、マジ酔いと思うことにした。また邪な考えに妄想が膨らみそうなので、パソコンに向かって仕事で気を紛らわせるとしよう。
 それから時間が流れ定時になったので、今やっていた仕事を終わらせて、パソコンを閉じる。よし、遊ぼうと思ったのはいつぶりだろうか。持ってきたゲーム機をテレビに繋げて久しぶりにサバゲーを始める。
 しかし、海上ということもあり回線が少々悪い。エイムが安定しない。いつの間にかジャンプがバグみたいな動作をし始めたので、マッチを抜けて、船の娯楽施設で遊ぶことにした。 
「そういえばカジノやってるって聞いたな。まあ一回くらいやってみるか」
 と言って鍵と5000円札をファスナー付きポケットに入れて一階のカジノコーナーに行く。そこは思った通りのイメージ通りの場所で、唯一違う点は、お金を賭けていない、という点だけだろうか。
 そこに大量のコインを獲得されたと思われる客がフロントにコインを持っていく。
 すると、色ごとに分けてからコインを入れる穴に入れていく。なるほど、そうやって機械にコインを回しているのか。
 結局、部屋で、スマブラ開いてローカル対戦を探したら、たまたま見つかって、めっちゃ楽しかった。明日定時になったら、誰だったのか探してみよう。
パソコンとゲーム機で目が疲れたので、そろそろご飯を食べに行こうかな。
しおりを挟む

処理中です...