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俺は百井和。高校2年になる。
「なあー、百井」
「ねぇね、和くん」
「そういや、和~」
進級し、始業式の日。新しいクラスで、去年から親しみのある人から見たこともないような人まで話しかけてくる。
なぜかって、俺は俗に言う"猫被り"であり、それを誰かが俺を優男という言葉で表してしまってからというもの、人気を得てしまっているからだ。
本当は周りに興味の欠片もない、冷酷人間だが。
でも、このキャラを俺は貫き通そうと思う。
「ねえ!聞いてる~?…2-2の名簿、あの浅黄くんがいるんだよ」
「ああごめんね。浅黄くん?初めて聞くなあ。」
あの、って…有名なやつなのか?
確かに聞いたことがあるような。
「百井くん知らないの?喧嘩ばっかしてるって噂のヤンキー、浅黄夕だよ!」
話しかけてきた女子がこの人が浅黄くんだよ、とスマホの画面を見せてくる。
映っていたのは長い金髪をハーフアップにした、美形な男だった。
そんな男が、人を殴っている写真。
「…その、浅黄くんは学校に来てるの?」
「いない日もあるみたいだけど、来てるらしいよ。
でも、屋上でよくサボってる噂もあるって。」
そんなんだ、と笑ってみせる。
確かに今いないっぽいし、サボりかな。
まあ、俺には関係ないけど。多分明日には忘れてるだろうね。
しかし、浅黄ってやつも大変だな。噂が1人歩きして。
そんなことになる前に、俺みたいに猫でも被ればいいのにな。
…やっぱり、それはおすすめできないか。
ホームルームや始業式などの一式を終え、あっという間に帰りの時間。
ゲームセンターやカラオケ、映画など誘われたが断った。バイトが入っている、と言うとなんでこんな日にもバイトを入れるんだ、とキレられた。
俺はバイトが好きだ。
俺のバイトはここ、"Sasaki Flowers"。
通称ササワズであるこの花屋は、俺の家の隣にある。
ササワズの店主である佐々木さんは俺のことをよく思ってくれていて、俺が幼い頃から面倒を見てくれる母親のような存在だ。
そんな佐々木さんのもとで働けるのは、本当に感謝してる。俺の数少ない大切な人だ。
「あら!和くん来てたのね。今日もよろしくね。」
よろしくお願いします、と挨拶をしていつも通り仕事を始める。
今日も順調に仕事が進んでいる。
…つもりだった。
「きゃあああああ!!」
どこからか聞こえた女の人の悲鳴と、かすかなざわめき。
俺は佐々木さんが店内に見当たらないことに嫌な予感を感じ、店の外へ出た。
そこには赤くなった頬を抑える佐々木さんと、倒れている怪我を負った2、3人の男たち。
そして…もう1人の男を殴る、どこか見覚えのある金髪頭の男がいた-...。
倒れていた男たちが逃げ出し、殴られていた男も捨て台詞を言いながら後を追って逃げ出した。
「てめえ浅黄!!覚えてろよ!」
…と。
浅黄、か。
思い出した、浅黄夕だったかな…。
「すみません、浅黄さんですよね?貴方、喧嘩で有名の。こんなところで何を?」
浅黄は俺を睨む。
美形だと思っていたその顔も今は憎らしいな。
「…てめえには、関係ねえよ。」
「関係ない?貴方が佐々木さんに怪我を負わせたのでしょう?あなた方の勝手な喧嘩に、巻き込まないでください。」
後ろで佐々木さんが俺を止める声も、今は聞こえない。ただ、俺は怒っていた。
普段、こんな怒ることなんてないけれど。
新学期によるストレスか…?
うるせえな、と浅黄が呟き去っていく。
俺は引き留めようとして声を出そうとしたが、必死に止めようとする佐々木さんに押され、結局逃がしてしまった。
「なあー、百井」
「ねぇね、和くん」
「そういや、和~」
進級し、始業式の日。新しいクラスで、去年から親しみのある人から見たこともないような人まで話しかけてくる。
なぜかって、俺は俗に言う"猫被り"であり、それを誰かが俺を優男という言葉で表してしまってからというもの、人気を得てしまっているからだ。
本当は周りに興味の欠片もない、冷酷人間だが。
でも、このキャラを俺は貫き通そうと思う。
「ねえ!聞いてる~?…2-2の名簿、あの浅黄くんがいるんだよ」
「ああごめんね。浅黄くん?初めて聞くなあ。」
あの、って…有名なやつなのか?
確かに聞いたことがあるような。
「百井くん知らないの?喧嘩ばっかしてるって噂のヤンキー、浅黄夕だよ!」
話しかけてきた女子がこの人が浅黄くんだよ、とスマホの画面を見せてくる。
映っていたのは長い金髪をハーフアップにした、美形な男だった。
そんな男が、人を殴っている写真。
「…その、浅黄くんは学校に来てるの?」
「いない日もあるみたいだけど、来てるらしいよ。
でも、屋上でよくサボってる噂もあるって。」
そんなんだ、と笑ってみせる。
確かに今いないっぽいし、サボりかな。
まあ、俺には関係ないけど。多分明日には忘れてるだろうね。
しかし、浅黄ってやつも大変だな。噂が1人歩きして。
そんなことになる前に、俺みたいに猫でも被ればいいのにな。
…やっぱり、それはおすすめできないか。
ホームルームや始業式などの一式を終え、あっという間に帰りの時間。
ゲームセンターやカラオケ、映画など誘われたが断った。バイトが入っている、と言うとなんでこんな日にもバイトを入れるんだ、とキレられた。
俺はバイトが好きだ。
俺のバイトはここ、"Sasaki Flowers"。
通称ササワズであるこの花屋は、俺の家の隣にある。
ササワズの店主である佐々木さんは俺のことをよく思ってくれていて、俺が幼い頃から面倒を見てくれる母親のような存在だ。
そんな佐々木さんのもとで働けるのは、本当に感謝してる。俺の数少ない大切な人だ。
「あら!和くん来てたのね。今日もよろしくね。」
よろしくお願いします、と挨拶をしていつも通り仕事を始める。
今日も順調に仕事が進んでいる。
…つもりだった。
「きゃあああああ!!」
どこからか聞こえた女の人の悲鳴と、かすかなざわめき。
俺は佐々木さんが店内に見当たらないことに嫌な予感を感じ、店の外へ出た。
そこには赤くなった頬を抑える佐々木さんと、倒れている怪我を負った2、3人の男たち。
そして…もう1人の男を殴る、どこか見覚えのある金髪頭の男がいた-...。
倒れていた男たちが逃げ出し、殴られていた男も捨て台詞を言いながら後を追って逃げ出した。
「てめえ浅黄!!覚えてろよ!」
…と。
浅黄、か。
思い出した、浅黄夕だったかな…。
「すみません、浅黄さんですよね?貴方、喧嘩で有名の。こんなところで何を?」
浅黄は俺を睨む。
美形だと思っていたその顔も今は憎らしいな。
「…てめえには、関係ねえよ。」
「関係ない?貴方が佐々木さんに怪我を負わせたのでしょう?あなた方の勝手な喧嘩に、巻き込まないでください。」
後ろで佐々木さんが俺を止める声も、今は聞こえない。ただ、俺は怒っていた。
普段、こんな怒ることなんてないけれど。
新学期によるストレスか…?
うるせえな、と浅黄が呟き去っていく。
俺は引き留めようとして声を出そうとしたが、必死に止めようとする佐々木さんに押され、結局逃がしてしまった。
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