この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず

たんぽぽ

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第2章 衛星イオ

イオ宮廷

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外交官4人のおかげで、いろいろあったがなんとかあの人ごみを通り抜け、
やっとリニアモーターカー乗り場が見えてきた。ここにもやはり多くの人がいる。
前の4人はひとがいるところとは別に、右に曲がっていく。
そして部外者立ち入り禁止
と書いてあるドアを通り抜ける。作業員らしき人たちの間を通り抜け、
もうひとつのドアを通り抜ける。

「!!!」

「すごいな‥」
目の前にはぴかぴかの装飾がされているリニアモーターカー。
そしてその奥には美しいイオの中心ビル街が広がっている。
中心部から都市の外側にかけてビルが低くなっていき、その向こうには
とてつもなく広い砂漠が広がっている。こんなに形の整った美しい都市並みを
見るのはいつぶりだろうか。10年くらい見ていない気がする。

青い空、茶色い大地、そしてビル。こんな美しいイオで何が起こっているのだろうか。


「どうぞ、お乗りください」

「はい。車両、きれいですね」

「ありがとうございます。この車両は特別に作られている専用車両です。
 だから他のものとつがうところも多少はありますが、大体のリニアモーターカーに
 対するイメージは持ってもらえたと思います」

「ところで‥こんなに駅は高い所にあるのですか?」

「景色が良く、交通アクセスの面でも都合がいいので。しかし驚かれるのは早いですよ」

「というと?」

「地球に比べて、立体的にいろんなリニアモーターカーが都市内を走っているんです」

「なんか‥凄いですね」
よく映画で見るような、立体的に乗り物が走る様子が想像できる。
おそらくそのような感じだろう。

「では、そろそろは発信します」

ゆっくりと加速していく。それと同時にどんどん高度が下がっていく。
ビル街に入った。速度が速すぎて詳しくはビルの形は分からないが、
光が後ろに流れるときにできる光の線が束となって目の前を通り過ぎていく。
通信ケーブルのなかに入ったらこんな景色が見られるのだろうか。

しばらくすると減速していくのが体で分かった。そして止まった。
降りると、その目の前には頂点がどこにあるのか見えないくらい高い
三角錐の形をしたビル。イオ宮廷、と言うよりは何かの本部のような建物。

「ここが我々の所属しているイオ宮廷です」

「総合総理の部屋に案内します。ついてきて下さい」

案内され、フロントのようなところを通り過ぎるとエレベーターに乗る。
2分くらい上がったぐらいにやっとエレベーターが止まった。
パネルに946階と表示されている。

「着きました。最上階です」
ドアが開く。そして思わず。

「ワア‥すげ‥」
目の前には駐艦場もすっぽりと入り、その奥の奥の地平線までもがはっきりと見える
景色が広がっている。真下には中央都市、地平線の1歩手前にはまた別の赤茶色の
大陸が見えている。

「このビル、高さは何mなんでしょうか」

「2560mです」

「・・・・・はあ」
今の日本にあるもっとも高いビルといえば、確か東京にある宇宙艦隊通信用タワー、
別名ニュータワー、500m。そしてこのビルはその約5倍の高さがある。

「なんでこんな高くしたんですか?」

「それについても各大臣から説明があると思います。この先の会議室で
 全ての説明があります」

右側が全て窓の廊下はゆっくりとしたカーブを描きながら続いていく。そして「会議室」と書いてある看板がドアのそばにあるのが見えた。重苦しい厚そうなドアがマルによって開かれる。確かにそのドアは厚かった。いや、いくらなんでも厚すぎると思います。
このまま360度ドアが回転していきそうな勢い。ガシャン!!
廊下を全てふさぐ形でドア?いや、もうドアじゃないんですけど‥その動きが止まった。

マルがそこに片手をあてる。

「外交省長、○●◎〇☯、認証しました。ワープ通路、開きます」

機械音声がどこからか流れてきた。というか、このさっきからマルと俺が言っている人、
イオ語でもマルばっかりだな。
 ウウィイイン
そのドアからまたエレベータのようなドアが出てきて、左右に開く。

「お乗りください」

ドアが閉まる。中はうす暗く光っている。

「あの‥今からどうなるのですか?」

「ワープのため、少し揺れます」

「・・・・・」

ガガガガガ!!
地震のP波とS波が一気に来たかのような強い揺れ。数十秒続く。

「もうすぐ、到着いたします。強い衝撃に備えてください」

ドン!!!
はあ‥地球に生還した‥。だったらいいのに。

「ドアが開きます。ご注意ください」
プシュ‥

そこは‥会議室のような場所。各大臣と思われるスーツ姿のイオ人が四角い大きなテーブルを囲むようにして等間隔で座っている。日本で言うところの閣議、と言う感じだろう。
そして、一番奥に座っている、一番偉そうな人‥と目があった気がした。
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