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サラのダンジョンその4 徹夜明けのテンション
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「判決、勇者シンにスキル封印を10個ほど施すこととする」
彼の切り札となるスキルを一定期間使用不可能にするスキル封印。だが、シンは一切抵抗を見せずこの判決を受け入れた。
「ウィズ、トーカいろいろ勘違いさせちまったみたいですまなかった」
「もういいよ、シンお兄ちゃん」
少し泣きはしたがトーカ自身はこの状況を受け入れてくれたようだ
「私ももういいわ。あなただけが興味の対象ってわけじゃないからね。でも後悔しないでよ?後で私の方に戻ってきたいって言っても全力で拒否するからね?」
ウィズは手に持っていた紙を握りつぶすのが見えた。それが何を意味しているかは分からないが、彼女の言動から今の我らに危害を加えるつもりはないように見える。あまり考えすぎないほうが良いな。
「ああ、わかった。それじゃあ、いこうかクー」
二人並んで次の階へと歩みを進める。大丈夫、シンが弱体化しても我が何とかしよう。
階段を上がる度ひしひしととてつもない力を感じる。次の階で待ち受けていたのはやはり龍種であった。
アリュー、やはり彼女はサラ様に付いたか。今は人間の姿をしているがそれでも彼女の纏う力の波はこの階層にきていやというほど伝わる。
「久々よのうシン、それとサラの服」
服に化けていたことはやはりばれていたか。だがそれよりも、横に場違いなものが転がっている。頭部に髪がなく浅黒い感じの男。
「ええ、タンゾウさん!?」
シンの知り合いのようだ。
「ああ、そこの男が気になるか。ふふ、まあこやつよく頑張ってくれた。だから寝かせてあげたんじゃよ。あまりかまわないでやってくれ」
本当にただ寝ているだけのようだ。シンもそれを確認し前の階段付近まで男を運んだ。
「タンゾウさんの件は訳ありっぽいからあえて聞きません。でもアリューさん、あなたまで出てくるなんてどうなっているんですか?あのサラって子はもしかしてなにか」
「おや、そこの裏切り者からいろいろ聞いているのではないのか?」
「クーは心の奥底でサラのことを大事にしてるんだと思う。そういった情報は一切話さなかったぜ」
シンもあれこれ探ってこなかった。彼のやさしさのおかげでもある。
「ほう、嘘は言ってないようだ。あまり長々と会話をしたいわけでもなし。さっさとケリをつけるか。サラにはまだまだいろんなことをしてもらいたいからのう」
「アリューさん、今再びあなたという伝説に挑みます」
「龍種よ。そこを通してもらうぞ」
「ふははは、威勢は良し、あとは行動で見せよ!」
言葉と同時に両手から放たれたのは黒い炎の球が二つ。避けようとするがその球は一定のスピードで我らを追跡してくる。その間に第二の攻撃が飛んできた。何もない空間を爪で裂いたように見える。ああ、やはり爪の形の真空波、当たれば切り刻まれること必至。
「防護壁」
仕方なく魔術、物理両方を防ぐスキルを使用する。これならば――
「甘いのう」
「クー!防御はだめだ!」
「あっ……」
防護壁はそこに何もなかったかのようにすり抜けた。我は黒い火球に燃やされながら真空波により全身を裂かれた。なぜだ……なにが……
その場に倒れ伏した。シンも多少ダメージを受けたようだが何とか防いだようだ。
「クー、言うのが遅れた。すまねえ。アリューさんの攻撃には汎用のスキルを解析して無効化するっていう厄介な能力があるんだ」
龍種の特殊能力、100層にいた龍もそうだが、奴らはすべて固有の加護を与えられている。アリューの加護か。
「なんじゃ、もうばれてしもうたか。前回の時は全く見破れなかったのに成長したのう。この加護は簡単じゃ。解析するだけの加護。すべての力を解析しあとは分解系のスキルを組み込めば完成じゃ、ほれ」
再び黒い火球を飛ばしてくる。しっかりと我の方に向けて容赦なく。しかし火球が我に届くことはなかった。シンが切り伏せて見せた。
「要はその火球を切っちまえばいいってだけの話なんだよな」
なるほど、ようは相殺すればよいだけのことか。思考が硬くなっていたようだ。
「ふぁぁ、ようやく戦いがはじめられそうじゃ」
あくびをしながら答えるアリュー。彼女の周りから氷が広がり氷柱がいくつも突き出る。
「凍れ、砕けよ、放て」
我々のいた地面も凍ったため跳躍で回避を試みた刹那、氷柱が突き出たかと思いきやそれが即座に破砕する。そして砕けた氷のつぶては全て我らに向けて飛んでくる。むちゃくちゃだ。
「っっつ」
氷の礫が体を削りに飛来する。
「凍れ」
地面に膝を突く暇もなくまた地面が凍る。と、とばなくては。
「ひれ伏せ」
何とか地面を逃れたと安心した次の瞬間、上からの圧で我は再び地面へとたたきつけられた。重力操作スキル!?
「抱かれよ」
そして、地面に触れた我の体を凍らせていく。
「死ぬかと思った……」
なんとかシンはあのすべてを対処したらしい。
「勇者シン、おまえの適応力には感心する。普通であればそこの服もどきのように氷漬けになるのだがな」
「残念ながら炎系のスキルは得意でね。氷が見えたら常に仕込んでおくのさ」
シンから合図が来る。まったくどれだけ信頼されているのだ我は。素直にうれしい。
「まあよい。残すはお前ひとり、ひねりつぶすのは造作もない」
「今度はこっちのターンだ」
シンが一瞬にして5人に増える。そしてそのままアリューへと突撃する。
「まさか、分身して殴りかかってくるとは」
スキル[数の暴力]を使用しているようだ。体力の消耗は激しいが相手に反撃をさせないほどの物量で拳を入れる。
「なかなか面白い技だが、体力が尽きるのが早いのではないか?」
「ハッ、試してみるか」
さて、シンにここまでおぜん立てをされたのだ我も動くとしよう。
この一撃にすべてを集中させる。このスキルならば我に張り付いた氷をはがして一気にいける。
「一閃」
あの龍種を倒した時のスキル。再びこれを龍種に放つ時がこようとはな。
「おや、なかなかワイルドなのがきた。無駄だだがのう」
我の攻撃は龍の体を斬るに至らない。あの龍よりも固い、といよりスキルによる高質化と硬質化の二重装甲で防がれている
「クー、もったいぶらずにいこうぜ!」
分身は消え本体のみとなったシンが我の心に呼びかける。ああ、わかっている。あの時とは違う。我は今、満たされている。それはこのスキルを更なる高みへ導いてくれる。そう確信できる。
「解放」
あふれだす想いを力に変えて今、通らなかった刃が龍の体を通り抜けた。それは肉体を裂いたのかと聞かれれば否、彼女の中にあったなにかを消し我慢していたナニカを引き出す。
「サラ……すまぬ」
龍はもう限界だったのだ。それを証明するようにその場に倒れるアリュー。彼女を斬ってわかった、あの龍はもう…
「すーすー」
寝た。抑え込んだ欲望こと睡眠欲を貪るために。我は頑張って起きていようとする彼女の心を斬ったのだ。
「クーやっぱお前はすげえよ」
「そうだな。我は強い」
お互いのボロボロの体を見つつ笑いあった。そして上を見つめる。この次の階にサラ様の気配を感じる。たぶん次が最後の試練であろう。ぶつかって導き出せる答えもあるとシンは言っていた。そうであるとそうであってほしいと我も今は願うのみだ。
彼の切り札となるスキルを一定期間使用不可能にするスキル封印。だが、シンは一切抵抗を見せずこの判決を受け入れた。
「ウィズ、トーカいろいろ勘違いさせちまったみたいですまなかった」
「もういいよ、シンお兄ちゃん」
少し泣きはしたがトーカ自身はこの状況を受け入れてくれたようだ
「私ももういいわ。あなただけが興味の対象ってわけじゃないからね。でも後悔しないでよ?後で私の方に戻ってきたいって言っても全力で拒否するからね?」
ウィズは手に持っていた紙を握りつぶすのが見えた。それが何を意味しているかは分からないが、彼女の言動から今の我らに危害を加えるつもりはないように見える。あまり考えすぎないほうが良いな。
「ああ、わかった。それじゃあ、いこうかクー」
二人並んで次の階へと歩みを進める。大丈夫、シンが弱体化しても我が何とかしよう。
階段を上がる度ひしひしととてつもない力を感じる。次の階で待ち受けていたのはやはり龍種であった。
アリュー、やはり彼女はサラ様に付いたか。今は人間の姿をしているがそれでも彼女の纏う力の波はこの階層にきていやというほど伝わる。
「久々よのうシン、それとサラの服」
服に化けていたことはやはりばれていたか。だがそれよりも、横に場違いなものが転がっている。頭部に髪がなく浅黒い感じの男。
「ええ、タンゾウさん!?」
シンの知り合いのようだ。
「ああ、そこの男が気になるか。ふふ、まあこやつよく頑張ってくれた。だから寝かせてあげたんじゃよ。あまりかまわないでやってくれ」
本当にただ寝ているだけのようだ。シンもそれを確認し前の階段付近まで男を運んだ。
「タンゾウさんの件は訳ありっぽいからあえて聞きません。でもアリューさん、あなたまで出てくるなんてどうなっているんですか?あのサラって子はもしかしてなにか」
「おや、そこの裏切り者からいろいろ聞いているのではないのか?」
「クーは心の奥底でサラのことを大事にしてるんだと思う。そういった情報は一切話さなかったぜ」
シンもあれこれ探ってこなかった。彼のやさしさのおかげでもある。
「ほう、嘘は言ってないようだ。あまり長々と会話をしたいわけでもなし。さっさとケリをつけるか。サラにはまだまだいろんなことをしてもらいたいからのう」
「アリューさん、今再びあなたという伝説に挑みます」
「龍種よ。そこを通してもらうぞ」
「ふははは、威勢は良し、あとは行動で見せよ!」
言葉と同時に両手から放たれたのは黒い炎の球が二つ。避けようとするがその球は一定のスピードで我らを追跡してくる。その間に第二の攻撃が飛んできた。何もない空間を爪で裂いたように見える。ああ、やはり爪の形の真空波、当たれば切り刻まれること必至。
「防護壁」
仕方なく魔術、物理両方を防ぐスキルを使用する。これならば――
「甘いのう」
「クー!防御はだめだ!」
「あっ……」
防護壁はそこに何もなかったかのようにすり抜けた。我は黒い火球に燃やされながら真空波により全身を裂かれた。なぜだ……なにが……
その場に倒れ伏した。シンも多少ダメージを受けたようだが何とか防いだようだ。
「クー、言うのが遅れた。すまねえ。アリューさんの攻撃には汎用のスキルを解析して無効化するっていう厄介な能力があるんだ」
龍種の特殊能力、100層にいた龍もそうだが、奴らはすべて固有の加護を与えられている。アリューの加護か。
「なんじゃ、もうばれてしもうたか。前回の時は全く見破れなかったのに成長したのう。この加護は簡単じゃ。解析するだけの加護。すべての力を解析しあとは分解系のスキルを組み込めば完成じゃ、ほれ」
再び黒い火球を飛ばしてくる。しっかりと我の方に向けて容赦なく。しかし火球が我に届くことはなかった。シンが切り伏せて見せた。
「要はその火球を切っちまえばいいってだけの話なんだよな」
なるほど、ようは相殺すればよいだけのことか。思考が硬くなっていたようだ。
「ふぁぁ、ようやく戦いがはじめられそうじゃ」
あくびをしながら答えるアリュー。彼女の周りから氷が広がり氷柱がいくつも突き出る。
「凍れ、砕けよ、放て」
我々のいた地面も凍ったため跳躍で回避を試みた刹那、氷柱が突き出たかと思いきやそれが即座に破砕する。そして砕けた氷のつぶては全て我らに向けて飛んでくる。むちゃくちゃだ。
「っっつ」
氷の礫が体を削りに飛来する。
「凍れ」
地面に膝を突く暇もなくまた地面が凍る。と、とばなくては。
「ひれ伏せ」
何とか地面を逃れたと安心した次の瞬間、上からの圧で我は再び地面へとたたきつけられた。重力操作スキル!?
「抱かれよ」
そして、地面に触れた我の体を凍らせていく。
「死ぬかと思った……」
なんとかシンはあのすべてを対処したらしい。
「勇者シン、おまえの適応力には感心する。普通であればそこの服もどきのように氷漬けになるのだがな」
「残念ながら炎系のスキルは得意でね。氷が見えたら常に仕込んでおくのさ」
シンから合図が来る。まったくどれだけ信頼されているのだ我は。素直にうれしい。
「まあよい。残すはお前ひとり、ひねりつぶすのは造作もない」
「今度はこっちのターンだ」
シンが一瞬にして5人に増える。そしてそのままアリューへと突撃する。
「まさか、分身して殴りかかってくるとは」
スキル[数の暴力]を使用しているようだ。体力の消耗は激しいが相手に反撃をさせないほどの物量で拳を入れる。
「なかなか面白い技だが、体力が尽きるのが早いのではないか?」
「ハッ、試してみるか」
さて、シンにここまでおぜん立てをされたのだ我も動くとしよう。
この一撃にすべてを集中させる。このスキルならば我に張り付いた氷をはがして一気にいける。
「一閃」
あの龍種を倒した時のスキル。再びこれを龍種に放つ時がこようとはな。
「おや、なかなかワイルドなのがきた。無駄だだがのう」
我の攻撃は龍の体を斬るに至らない。あの龍よりも固い、といよりスキルによる高質化と硬質化の二重装甲で防がれている
「クー、もったいぶらずにいこうぜ!」
分身は消え本体のみとなったシンが我の心に呼びかける。ああ、わかっている。あの時とは違う。我は今、満たされている。それはこのスキルを更なる高みへ導いてくれる。そう確信できる。
「解放」
あふれだす想いを力に変えて今、通らなかった刃が龍の体を通り抜けた。それは肉体を裂いたのかと聞かれれば否、彼女の中にあったなにかを消し我慢していたナニカを引き出す。
「サラ……すまぬ」
龍はもう限界だったのだ。それを証明するようにその場に倒れるアリュー。彼女を斬ってわかった、あの龍はもう…
「すーすー」
寝た。抑え込んだ欲望こと睡眠欲を貪るために。我は頑張って起きていようとする彼女の心を斬ったのだ。
「クーやっぱお前はすげえよ」
「そうだな。我は強い」
お互いのボロボロの体を見つつ笑いあった。そして上を見つめる。この次の階にサラ様の気配を感じる。たぶん次が最後の試練であろう。ぶつかって導き出せる答えもあるとシンは言っていた。そうであるとそうであってほしいと我も今は願うのみだ。
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