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第一章 始まりのミス
第一話 私の過去と力
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「リアは、凄いわね」
メアリーを短くして少し入れ替えて、リア。
これが彼女のあだ名だった。
「おかーさん、私、凄い?」
「うん。とっても凄いわ?貴方は私の自慢の娘よ。」
母に褒められるだけで、メアリーの心は浮き上がるように軽くなるのだ。
「えへ。」
(おかーさんに、もっと、褒められ、たい。)
それだけだった。本当に、メアリーにとってはそれだけなのだ。それだけのために、後にメアリーは、尋常じゃないほどの領域まで達することになる。
このメリアード王国には、5人の天才、通称5リット
(ファイブリット)、その上の2人の異端児、2光闇
(ライトダーク)がいるとされていた。
普通の人は、1種類の魔術しか使えない。
水魔法が得意なものは水魔法だけしかつかえない。
同じような種類の氷魔法などでもだめだ。
“1種類”しか使えないのである。
しかし、その5リット、2光闇とされるものは、2つ、あるいは3つの種類の魔法が使える。
そのものたちは大いに讃えられ、頼られる。
(あんな風になったら、もっと、褒めてくれるかな)
幼いメアリーの心は、そう言う思いでいっぱいだった。
メアリーはそう思った日から、魔法の練習を、自身の家の裏の山の中でし始めた。
魔法を使うには、2つの発生条件がある。
一つ目は、杖を使うこと。
学校や国、市から配布される杖を使わないと、魔法を使えない。特殊な素材を使わないと杖は作れないからだ。
そして二つ目は、その魔法の理想系をしっかりと頭でイメージすること。
その発生条件をクリアしないと魔法は使えない。
……………と、されていた。
しかし、それを為さずに魔法を使えてしまった少女が、ひとりいた。
それがメアリー。その二つ名は、
『ファーストプリンセス。』
この国一番の、お姫様に相応しい存在………
はあっ、はあっ。
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!
息を荒くして走る。
16歳になったメアリーは、街に出ていた時に隣人から知らせを受け、涙をこぼしながら走っていた。
「嘘………おか、さ………っ、」
そこには、血を吐いた後のある母が横たわっていた。
そして、医者が顔にそっと布をかける。
(ねぇ、やめてよ。お母さんに何をしてるの?ねぇ……
やめて、ねぇ、ねぇ!何してるのよ。布を顔にかけるなんて、死人にすることじゃない。お母さんに触らないで。やめて、やめて………!?)
思いは胸の中で弾ける。
「いやあああああああああああああっっっ!!」
周りの人が苦しそうに目を伏せる。
「お母さん、お母さぁんっ!うっ、ひっ、ひくっ、あっ、うぁっ、うああぁぁぁっ、」
メアリーは、まるで子供のように泣きじゃくった。
泣きじゃくることしか、出来なかった。
ドォン、ドォン!
母を亡くしたことでメアリーの中の何かが弾けた気がする。虚な瞳で少し彷徨うと、
岩に狙いを定めて、手を少し上げて魔術を放つ。
メアリーは平民のため学校には通ってなかったし、魔法だって教わっていなかった。
だけど、大好きな母に、いつも教えてもらって、魔法に対してはピカイチであった。
だから、杖なしで魔法が使えたし、魔法の種類としては………全て、使えた。
(炎っ!)
パチパチッ
(雷っ!)
バチィッ
(草!)
シュルッ
(水!)
ザァッ
(氷ぃっ!)
ガキーンッ
このように、5リットがつかう五大魔法も、全て使える。
「でも、でもこんなの、意味ないのに。なんで?まだ若かったのに。ねぇ、お母さん。
こんな力あってもお母さんがいなきゃ、なんの意味もないよぉ………っ!!!」
哀しみは消えなかった。いつまでも、いつまでも。
国王であるレオンは、馬を走らせていた。
風の噂で、“全ての魔法を使いこなす少女がいる”とかいたのだ。もちろんレオンはそのことを信じてはいなかった。だが気になったのだ。普通は護衛も付けずに国王が馬を走らすかななんてない。
だが、レオンはそういう人間。
『気になったものは自分で調べる』
それがレオンの中の家訓のようなものだ。
(いるわけ…ない、よな)
……その時。
ドォン!ドゴゴッ!!
岩を壊すような音が聞こえた。
(これは……魔法を使っているな…?)
音が聞こえた方に馬を走らせる。
そこには、1人の少女が静かに佇んでいた。
杖も持っていない。
(この少女ではなさそうだな。ではだれだー……)
ドォン!ドオオオッ!
少女が手を前に突き出すと、氷の刃が生み出される。
そしてその魔法で作り出された氷は簡単に岩を砕く。
(杖なしの魔法だと?ありえない………!
岩を簡単に壊せるほどの魔法もおかしい。)
レオンは無意識に息を呑んだ。
(ーーーだが、これは偉業はこの少女が、起こしていることなのだ。)
ただ、それだけではなかった。
なんと、つぎに雷、炎を組み合わせたもの。
そして草、水。闇、光を合わせたものなど、幾つもの魔法を組み合わす彼女の姿は、もう人間には見えなかった。
(この少女は……本物だ。)
国王レオンは、あることを胸に誓った。
何をしても満たされない。
いっそのこと死んでしまおうか。
そんなことを考えるメアリーは、国王レオンの陰謀に、気付くよしもなかった。
「おい、そこの娘。」
背後から不意に声をかけられる。
「きゃ!」
振り向くと、なんだか威圧感のある男性が立っていた。
「だ、だれ………」
「私のことを知らないのか?私はこのメリアード王国の国王、レオン・メリアードだ。」
メリアード……。上の名があるということは、王族。
貴族であろうとも上の名は普通ない。
だがメアリーは迷った。
(嘘の可能性もある。どうしよう……)
人前で話すことの苦手なメアリーは顔を青くしてその場で足を振るわせながらレオンを見据える。
「これがその証拠だ。」
(王家の、紋章………)
メアリーはその紋章を見たことがあった。
そして同時に理解した。
(この人は、本当に国王様、なんだ。)
この出会いが後にメアリーの人生を大きく変えることを、メアリーも、レオンもまだ知らなかった。
………この時は、まだ。
メアリーを短くして少し入れ替えて、リア。
これが彼女のあだ名だった。
「おかーさん、私、凄い?」
「うん。とっても凄いわ?貴方は私の自慢の娘よ。」
母に褒められるだけで、メアリーの心は浮き上がるように軽くなるのだ。
「えへ。」
(おかーさんに、もっと、褒められ、たい。)
それだけだった。本当に、メアリーにとってはそれだけなのだ。それだけのために、後にメアリーは、尋常じゃないほどの領域まで達することになる。
このメリアード王国には、5人の天才、通称5リット
(ファイブリット)、その上の2人の異端児、2光闇
(ライトダーク)がいるとされていた。
普通の人は、1種類の魔術しか使えない。
水魔法が得意なものは水魔法だけしかつかえない。
同じような種類の氷魔法などでもだめだ。
“1種類”しか使えないのである。
しかし、その5リット、2光闇とされるものは、2つ、あるいは3つの種類の魔法が使える。
そのものたちは大いに讃えられ、頼られる。
(あんな風になったら、もっと、褒めてくれるかな)
幼いメアリーの心は、そう言う思いでいっぱいだった。
メアリーはそう思った日から、魔法の練習を、自身の家の裏の山の中でし始めた。
魔法を使うには、2つの発生条件がある。
一つ目は、杖を使うこと。
学校や国、市から配布される杖を使わないと、魔法を使えない。特殊な素材を使わないと杖は作れないからだ。
そして二つ目は、その魔法の理想系をしっかりと頭でイメージすること。
その発生条件をクリアしないと魔法は使えない。
……………と、されていた。
しかし、それを為さずに魔法を使えてしまった少女が、ひとりいた。
それがメアリー。その二つ名は、
『ファーストプリンセス。』
この国一番の、お姫様に相応しい存在………
はあっ、はあっ。
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!
息を荒くして走る。
16歳になったメアリーは、街に出ていた時に隣人から知らせを受け、涙をこぼしながら走っていた。
「嘘………おか、さ………っ、」
そこには、血を吐いた後のある母が横たわっていた。
そして、医者が顔にそっと布をかける。
(ねぇ、やめてよ。お母さんに何をしてるの?ねぇ……
やめて、ねぇ、ねぇ!何してるのよ。布を顔にかけるなんて、死人にすることじゃない。お母さんに触らないで。やめて、やめて………!?)
思いは胸の中で弾ける。
「いやあああああああああああああっっっ!!」
周りの人が苦しそうに目を伏せる。
「お母さん、お母さぁんっ!うっ、ひっ、ひくっ、あっ、うぁっ、うああぁぁぁっ、」
メアリーは、まるで子供のように泣きじゃくった。
泣きじゃくることしか、出来なかった。
ドォン、ドォン!
母を亡くしたことでメアリーの中の何かが弾けた気がする。虚な瞳で少し彷徨うと、
岩に狙いを定めて、手を少し上げて魔術を放つ。
メアリーは平民のため学校には通ってなかったし、魔法だって教わっていなかった。
だけど、大好きな母に、いつも教えてもらって、魔法に対してはピカイチであった。
だから、杖なしで魔法が使えたし、魔法の種類としては………全て、使えた。
(炎っ!)
パチパチッ
(雷っ!)
バチィッ
(草!)
シュルッ
(水!)
ザァッ
(氷ぃっ!)
ガキーンッ
このように、5リットがつかう五大魔法も、全て使える。
「でも、でもこんなの、意味ないのに。なんで?まだ若かったのに。ねぇ、お母さん。
こんな力あってもお母さんがいなきゃ、なんの意味もないよぉ………っ!!!」
哀しみは消えなかった。いつまでも、いつまでも。
国王であるレオンは、馬を走らせていた。
風の噂で、“全ての魔法を使いこなす少女がいる”とかいたのだ。もちろんレオンはそのことを信じてはいなかった。だが気になったのだ。普通は護衛も付けずに国王が馬を走らすかななんてない。
だが、レオンはそういう人間。
『気になったものは自分で調べる』
それがレオンの中の家訓のようなものだ。
(いるわけ…ない、よな)
……その時。
ドォン!ドゴゴッ!!
岩を壊すような音が聞こえた。
(これは……魔法を使っているな…?)
音が聞こえた方に馬を走らせる。
そこには、1人の少女が静かに佇んでいた。
杖も持っていない。
(この少女ではなさそうだな。ではだれだー……)
ドォン!ドオオオッ!
少女が手を前に突き出すと、氷の刃が生み出される。
そしてその魔法で作り出された氷は簡単に岩を砕く。
(杖なしの魔法だと?ありえない………!
岩を簡単に壊せるほどの魔法もおかしい。)
レオンは無意識に息を呑んだ。
(ーーーだが、これは偉業はこの少女が、起こしていることなのだ。)
ただ、それだけではなかった。
なんと、つぎに雷、炎を組み合わせたもの。
そして草、水。闇、光を合わせたものなど、幾つもの魔法を組み合わす彼女の姿は、もう人間には見えなかった。
(この少女は……本物だ。)
国王レオンは、あることを胸に誓った。
何をしても満たされない。
いっそのこと死んでしまおうか。
そんなことを考えるメアリーは、国王レオンの陰謀に、気付くよしもなかった。
「おい、そこの娘。」
背後から不意に声をかけられる。
「きゃ!」
振り向くと、なんだか威圧感のある男性が立っていた。
「だ、だれ………」
「私のことを知らないのか?私はこのメリアード王国の国王、レオン・メリアードだ。」
メリアード……。上の名があるということは、王族。
貴族であろうとも上の名は普通ない。
だがメアリーは迷った。
(嘘の可能性もある。どうしよう……)
人前で話すことの苦手なメアリーは顔を青くしてその場で足を振るわせながらレオンを見据える。
「これがその証拠だ。」
(王家の、紋章………)
メアリーはその紋章を見たことがあった。
そして同時に理解した。
(この人は、本当に国王様、なんだ。)
この出会いが後にメアリーの人生を大きく変えることを、メアリーも、レオンもまだ知らなかった。
………この時は、まだ。
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