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第30話

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「え?ブラウン家が捕まった?」

 私は突然のニュースに驚く。

「どうやらあの裁判長が気を遣って二つ法律を作ったらしい」

 そうアンドリューは素っ気なく言った。

「そうだったんだ……
ねえ、アンドリュー、嬉しい?」

「あ?ああ、何だろうな、嬉しいっちゃ嬉しいけど、俺としてはもう一人が捕まってないからな」

 そうアンドリューは遠くを見る。
 もう一人とは、アンドリューの家に来たあの取り立て屋の事だろう。
 恐らく雇われていたと思うが、誰だったのだろう……

「……あっ!
こいつだ!こいつに違いない!」

 そうアンドリューはテレビを指差して言った。

 そこには、ユーリと一緒に写っている男がいた。

「あ、あれはユーリの味方してた執事だわ」

 まさか執事が取り立てしてたとは。
 いや考えてみたらそうか、ユーリに直接宝石が手に渡る様に、そうしていたのかもしれない。

 下手に外部の人を雇えば、私の方に宝石が流れかねないから、独り占めしたかったのだろう。

「あの野郎!訴えてやる!」

 私はアンドリューと共に警察に行き、その執事の過去の事を話した。

 後日、あえなくその執事には強盗殺人の罪で無事訴えられた。

 その執事も最初は否認していたが、最終的に罪を認めたらしい。

「あーすっきりした!」

 そうアンドリューは晴れやかな笑顔でそう言った。

「ねえ、まだ殺したいと思ってた?」

 私はそう意地悪っぽく尋ねる。

「あ?いや、正直なんて言うか、もし俺が殺しに手を染めてたら、俺はきっともうあんたの手を繋げなかったと思う」

 そうアンドリューは自身の手を見つめて言った。

「それは大変だわ、私もアンドリューが人殺しにならなくて良かった」

 そう私はアンドリューの手をとって言った。

「あ、あのさ」

 そうアンドリューは急に足を止めた。

「?
どうしたの?」

 私も足を止めて手を繋いだままアンドリューの方へ振り向く。

「あんたの事を散々殺すだのロープで縛ったりだの、酷い事してきたし、そんな俺がこんな事言う資格ないのは分かってるんだけどさ」

 そう夕日に染まるアンドリューの顔がいつもより綺麗に見えた。

「俺、あんたとずっと一緒に生きていきたい!

俺は、レイラ、お前の事が好きだ!」


「え?」

 私はびっくりして目を丸くする。
 するとアンドリューは繋いでいた手を離した。

「返事はいつでもいいし、お前が俺より男爵の方が好きならそれでもいいから、それじゃあ」

 そう言ってアンドリューは走り去ってしまった。


「……」

 私はさっきまでアンドリューと繋いでいた手を見つめて、ギュッと握りしめた。

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