この恋の先にあるもの

愛優

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朝倉舞衣

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ガタン ゴトン ガタン ゴトン
目の前を電車が通り過ぎていく。音と合っていないランプの点滅を見ながら電車が通り過ぎるのを待つ。別に何を急いでる訳でもない。ただ、とにかく私の知らない街で知りもしない場所で方向も分からず迷子になってしまいたかった。適当に乗った電車で終点まで行って降りた。ゆっくり開いた踏切に合わすようにゆっくり歩きだす。周りに私以外誰もいない。終電に街灯もないこの街に来る人は数少ないのだろう。学校で水をかけられ湿った制服はなんとも着心地が悪かった。だが、そんなのが気にならないぐらいに自由な感覚に大きく伸びる。
「ん~」
夜風を肺いっぱいに吸い込み行きよいよく吐き出す。夏も終わり、夜は少し寒いがそれでも家よりは何倍も暖かかった。解放されたんだ。そう思うと心の底から笑えると同時にあるひとつの答えにたどり着いた。
「死ぬか…」
ボソッとそういう。働けない中学生が1人で家を出て残された選択肢はそれしか無かった。でも後悔はしていない。私は最後の最後に自由に自分の選択で人生を進められるのだから。毎日家で七時間の勉強も、兄からの暴力も、学校での虐めも終わるのだ。
「幸せね」
夜空に叫んで何も気にせずに笑った。
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