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二章 狼
一匹
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「そろそろ動くか」
秋斗のその声でソファーから腰を上げる。快気もナイフを回しながら外へと向かっていく。久しぶりの仕事でななまり切った体がよく動いてくれるか不安だがそこそこの身体能力しか持たないマフィアに負けるわけにはいかないかと思い直し伸びる。
「よろしく頼んだよ」
「は~い」
黒の運転で車が出発する。一匹狼と呼ばれている亜蓮という男の奪還へと。
遡ること二週間前
「組長に言われていた仲間探しはどうするの?ここに来てもう数週間たつけど何もしていないのは流石にどうなの?」
秋斗にマチがそういっているのが聞こえた。何もしていないとは思っていないがそれを何も言わないのも確かに納得できない。
「リヤちゃんが数日前からコンピューター操作して何かしているのは知ってるけどだんまりはどうなのかな~」
「快気の言う通りよ」
そう言った私たちを見て秋斗は少し呆れたように笑った。マチはリヤが何かしている事実すら知らずに「え?そうなの!?」などと言っている。同じく気付いていなかったゼラも困惑したようにこちらを見ていた。まったくあの子たちはあれで本部で生き残れてきたのだからタフなものだ。
「まぁ、確かに話すべきものだったよ。組長に昔、本部に連れてこられそうになった少年が本部の者を殺して逃げだしたという話を聞いたことがあったんだ。名は亜蓮。本部では珍しい中途半端な年ごろに来るほどにいわくつきの少年だったらしい。一度捕まったが施設、刑務所、少年院どこも彼が手に負えず最終手段として本部に連れてこられたのだろうが失敗に終わった」
「今彼が何をしてどこにいるのかリヤが探しているとこだよ」
そういって秋斗は「まだ何もめぼしいものは見つかっていない」と付け足した。今、その亜蓮を探してこちらに取り込もうと考えているわけか。
「けど、それだけ殺しを繰り返してリヤが何も見つけられないなんてあるの?」
「それがここ三年全く亜蓮についての情報がわたっていないんだ。もしかしたら殺されたか。あるいはどっかのマフィアが捕らえて何かさせているか」
参った様子のリヤが疲れたようにそう言って水を飲んだ。リヤは本部でも情報収集をメインに動いていたし経験も他の者よりもある。それなのにこれほどに足取りが掴めないんじゃ相当堪えるだろう。いつもはふわふわしている髪も今日はぺったんこになっていたし。
「伝えなかったのはその情報の尻尾が出てくるまで私たちは何もしょうがないからってことかな?」
白のその言葉に秋斗は頷き椅子の背もたれに寄り掛かった。
「わざわざ探しているってことは死んでないと確信に近いものを持っているからなんでしょ?となるとマフィアとの対立は避けられない」
「そういいうことになる。そうなると君たちには戦って貰わなければならんくなる。それでもいいか?」
その問いに反対するものはいなかった。今のここのリーダーは秋斗だから。
その翌日にやはりマフィアである蒼鳥と亜蓮と思われる男が一緒にいた情報が流れてきた。裏社会のマフィアグループでは有名な組だ。本部とも数回ぶつかったことがある厄介な所でほかに有名な二組と比べてもあまり治安もよくない。
「なんで蒼鳥と共に動いているのかわからない。関わりすら見つからないし」
そう言いながらも文字を打つ手は止めずにリヤは言ってくる。好き好んで蒼鳥にいるのであれば私たちの出る幕ではない。だが、何か裏がある。それは昔から裏に触れてきた私たちの確信に近い直感だ。
「亜蓮に兄弟または家族とかがいる線は?」
「ある。家族ではないが隣国の本部にいたときに仲が良かったらしき人物。名前までは分からないが同時期にこちらに来ている」
確かにそれは怪しい。何もなったとしても調べる価値はあるのだろう。あとは私のすることではないため部屋を出てリビングに戻る。
「聞いてきた?」
「えぇ。あの調子ならもう少しでわかりそう」
そう答えると秋斗は想像していたかのように「分かった」とだけ返してきた。この人は昔から計り知れない。だからこそ組長がいなくなった今、誰も何も文句言わずに組長座に秋斗が座ることを許しているのだ。とことん怖い人だ。
どこまで想像がついているのか、
秋斗のその声でソファーから腰を上げる。快気もナイフを回しながら外へと向かっていく。久しぶりの仕事でななまり切った体がよく動いてくれるか不安だがそこそこの身体能力しか持たないマフィアに負けるわけにはいかないかと思い直し伸びる。
「よろしく頼んだよ」
「は~い」
黒の運転で車が出発する。一匹狼と呼ばれている亜蓮という男の奪還へと。
遡ること二週間前
「組長に言われていた仲間探しはどうするの?ここに来てもう数週間たつけど何もしていないのは流石にどうなの?」
秋斗にマチがそういっているのが聞こえた。何もしていないとは思っていないがそれを何も言わないのも確かに納得できない。
「リヤちゃんが数日前からコンピューター操作して何かしているのは知ってるけどだんまりはどうなのかな~」
「快気の言う通りよ」
そう言った私たちを見て秋斗は少し呆れたように笑った。マチはリヤが何かしている事実すら知らずに「え?そうなの!?」などと言っている。同じく気付いていなかったゼラも困惑したようにこちらを見ていた。まったくあの子たちはあれで本部で生き残れてきたのだからタフなものだ。
「まぁ、確かに話すべきものだったよ。組長に昔、本部に連れてこられそうになった少年が本部の者を殺して逃げだしたという話を聞いたことがあったんだ。名は亜蓮。本部では珍しい中途半端な年ごろに来るほどにいわくつきの少年だったらしい。一度捕まったが施設、刑務所、少年院どこも彼が手に負えず最終手段として本部に連れてこられたのだろうが失敗に終わった」
「今彼が何をしてどこにいるのかリヤが探しているとこだよ」
そういって秋斗は「まだ何もめぼしいものは見つかっていない」と付け足した。今、その亜蓮を探してこちらに取り込もうと考えているわけか。
「けど、それだけ殺しを繰り返してリヤが何も見つけられないなんてあるの?」
「それがここ三年全く亜蓮についての情報がわたっていないんだ。もしかしたら殺されたか。あるいはどっかのマフィアが捕らえて何かさせているか」
参った様子のリヤが疲れたようにそう言って水を飲んだ。リヤは本部でも情報収集をメインに動いていたし経験も他の者よりもある。それなのにこれほどに足取りが掴めないんじゃ相当堪えるだろう。いつもはふわふわしている髪も今日はぺったんこになっていたし。
「伝えなかったのはその情報の尻尾が出てくるまで私たちは何もしょうがないからってことかな?」
白のその言葉に秋斗は頷き椅子の背もたれに寄り掛かった。
「わざわざ探しているってことは死んでないと確信に近いものを持っているからなんでしょ?となるとマフィアとの対立は避けられない」
「そういいうことになる。そうなると君たちには戦って貰わなければならんくなる。それでもいいか?」
その問いに反対するものはいなかった。今のここのリーダーは秋斗だから。
その翌日にやはりマフィアである蒼鳥と亜蓮と思われる男が一緒にいた情報が流れてきた。裏社会のマフィアグループでは有名な組だ。本部とも数回ぶつかったことがある厄介な所でほかに有名な二組と比べてもあまり治安もよくない。
「なんで蒼鳥と共に動いているのかわからない。関わりすら見つからないし」
そう言いながらも文字を打つ手は止めずにリヤは言ってくる。好き好んで蒼鳥にいるのであれば私たちの出る幕ではない。だが、何か裏がある。それは昔から裏に触れてきた私たちの確信に近い直感だ。
「亜蓮に兄弟または家族とかがいる線は?」
「ある。家族ではないが隣国の本部にいたときに仲が良かったらしき人物。名前までは分からないが同時期にこちらに来ている」
確かにそれは怪しい。何もなったとしても調べる価値はあるのだろう。あとは私のすることではないため部屋を出てリビングに戻る。
「聞いてきた?」
「えぇ。あの調子ならもう少しでわかりそう」
そう答えると秋斗は想像していたかのように「分かった」とだけ返してきた。この人は昔から計り知れない。だからこそ組長がいなくなった今、誰も何も文句言わずに組長座に秋斗が座ることを許しているのだ。とことん怖い人だ。
どこまで想像がついているのか、
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