死するべき華

愛優

文字の大きさ
上 下
17 / 19

クラスメート

しおりを挟む
私と亜紀ちゃんは話さなくなった。前みたいに一緒に帰ったり遊んだりするのは私ではなく彼女が選んだ友達とするようになっていた。私も私で舞と行動するのが普通になってきていた。そして仲の良いネットの子も出来て普通に笑えるようにもなってきた。
「行こ?移動教室!」
「うん」
私と舞と彼氏さん。三人というのはみんながみんな平等で成り立つのだと私は思っている。友達と彼氏は違う。舞の誘いは嬉しかったが両思いで親しげに話す二人を見ているのはまだしんどかった。何をしていても彼氏は着いてくる。当たり前だ。舞は何をしても許されるぐらいに好きと思ってくれる人間がいるのだから。それだけが胸に引っかかり底にに数滴ずつ毎日溜まっていく。
「あ、今度遊ばない!?この三人と…あ!相澤くん入れて!」
舞と遊ぶといつも男子がいる。それは彼氏さんがいるからしょうがないのだけど私はそこまで相澤くんと仲良くはない。そんなことは舞には分からないし考えもしてないのだろう。元気な舞は好きだし何かと遊んで面倒見が良くて可愛いのは舞のいい所だ。だけど、それと同じくらい病みやすく拒否出来ないのは少し辛い。私以外乗り気なのを見てバレないようにため息をついた。
「どこがいい?」
「ボウリング場がおれの家の近くにあるから行かね!」
「いいね!行こいこ!」
無邪気に笑う舞はかわいい。だから、嫌えないし断れない。舞が亜紀ちゃんのことを嫌いだと知ったのは最近。なんでなのか私には教えてくれない。「好きな人の悪口なんて聞きたくないでしょ?」と言われ流されてしまう。だから、私も話さないようにしてる。本当は普通に話せる彼女が羨ましいし亜紀ちゃんが抱きつくことを許されていることがたまらなく嫉妬する。かわい顔になれば彼女は私が話すことを許すのだろうか。そんなことをぐるぐる結局考えてなにも遊ぶ日程の話が入ってこなかった。やっぱり断ればよかったな。そんなマイナスな考えが頭をよぎり消すように相澤くんを見た。相澤くんもこちらを見ていて目が合ってしまった。
「ん?どうした?」
「いや、イチャイチャしてるね」
誤魔化すように二人の様子を横目で確認して言った。
「な、他でやれよ~」
はやし立てるようにそう言って笑う三人を見て私はやはりいらないのではないかと瞬発的に思ってしまった。考えるつもりはなくても目で見て頭がそう認識してしまったのだ。私を一番で考えてくれる人なんていないのだ。その夜、私はあるアプリに手を出してしまった。
『可愛いね。今度会わない?』
その文面に私はなんの躊躇も無くして
「はい」
と答えてしまった。
しおりを挟む

処理中です...