ホテル月影へようこそ!

田原摩耶

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一○六号室『シンノ』

後輩くん

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「亜虎さん、料理好きなんですか」

 某日、昼下り。
 このホテル月影で働き始めて一週間が過ぎた頃。

 いつものように昼過ぎ頃に起き、ロビ君の休憩のためにフロントに寄り、ついでに客もいないので来客用のベル置いてから休憩室備え付けのちっさい台所で簡単な朝食を用意したのだ。いやもうそれは子供でも作れるような目玉焼きと野菜炒めとレンチンの米くらいのだけど。
 それだけでロビ君は目をキラキラとさせていた。

「別に好きじゃないけど、ロビ君の食生活が気になったからかな」
「俺の?」
「そ、君の」

 普段から飯を食ってるところを見たことない。おまけに細えし、ただでさえ色白だからいつか倒れるんじゃないかと余計な心配があった。

「……まあ、ロビ君には一応世話になってるし? ほら、オーナーに倒れられちゃあ困っちゃうじゃん」
「……オーナー」
「あ、そこ引っかかっちゃう?」
「……いや、」

 とは言うもののやはり思うところはあるようだ。先程まできらきらしていたロビ君の無表情が少しだけ曇った。

「でも、亜虎さんの料理美味いっす」
「あ、そ? そりゃよかった。おかわりはないけど」
「……」

 あ、ちょっとショックそうだ。
 食が細い方なのかと思ってめちゃくちゃ少なめにしか食材買ってきてなかったのだが、これは後で買い足してきた方がいいかもしれない。
 と、そこまで考えて自分の思考に呆れた。別に俺はロビ君に飯を作れと命じられたわけでもこのやり取りに金が発生するわけでもないってのに。

 ロビ君と一緒にいるとほんわかするから多分そのせいか。なんて一人で考えていると、じ……っとこちらを見てくるロビ君と視線がぶつかった。
 もぐもぐと口を動かしながら何かを期待するような目でこちらを見てくるロビ君。なんだその目は。君、そんな顔もできるのか。

「……夜、店が暇そうだったらまたなんか作って持ってってあげるよ」
「いいんすか」
「気が向いたらね」
「それでもいいです」

 嬉しいです、と小さく口にするロビ君はそう言ってまた米をもりもりと食べだしていた。

 ……うーん、なんか飼い慣らされつつある。
 きっと本人にはそのつもりはないのだろうが、ロビ君にもヒモの才能はあるよな。なんて一人で考えながら俺はロビ君がハムスターみたいに両頬を膨らませてるのを眺めていた。

 そして、そんな時間も長くは続かなかった。
ロビ君が食べ終わるよりも先に、フロントに放置していた来客用のベルが叩かれるのだ。
 俺はそのままロビ君を残してフロントへと向かう。

 年季の入った暖簾を潜り、受付カウンターへと向かう。仕切り越し、そこには既にご宿泊カードなる用紙が置かれてた。
 そして、そこに書かれてた名前を見て「ああ」と思った。

『綾瀬宗貴』――ソウキだ。

「来んのはえーよ」

 思わず声に出せば、俺だと気付いたようだ。ガタタと仕切りを壊そうとしてくるソウキだったが諦めたらしい、代わりに鍵を出すところから「亜虎!」と覗き込んできた。こえーから。

「お客様、プライバシーもくそもねえからおやめください」
「……んだよ、お前また俺のメッセージ既読すらしてなかっただろ!」
「携帯見てなかったんだよ。ほら、ニマルサンの鍵」

 つかまだ昼だっての。と呆れながらも鍵を渡そうとすれば、そのまま手を掴まれる。

「見たところどうせ暇なんだろ? ……こっち来いよ」
「ソウキ、お前な」
「んだよ、店に迷惑かけねえって。他の客来たら上に行くから」

「な?いいだろ?」とすりすりと手を撫でてくるソウキ。

 久し振りに再会したあの後、可愛い可愛い彼女には一ヶ月記念日すっぽかした挙げ句別れ話という最低のコンボ決めて警察沙汰になったらしいが本人はというともうこれだ。反省の色などない。それどころか、少し優しくしてやったお陰で棘が抜け落ち甘えてくるお陰でたちの悪さが上がってる。
 ……まあ確かに金蔓には丁度いいが、こいつの場合は色々重たいのだ。何がとは言わないが、色々。あとしつこい。流石にタフさを売りにしてる俺のケツも毎晩あんな抱き方されたら死ぬのだ。

「亜虎……」
「……分かったから、ちゃんと大人しくしろよ」
「! お、おう……っ! 当たり前だろうが!」

 そこは強がんのかよ、と思いつつずっとカウンター前に張り付かれても厄介なので俺は再びベルを設置して一度カウンターからロビーの方へと向かった。


 こっちこいよ、と駄々こねるソウキのため俺はカウンター横の扉からロビーへと出る。

 そしてロビー前、ラウンジ。
 ソウキの前に並べば、なんだか妙な顔で「よう」なんて言うのだ。今更照れてんのか、相変わらずポイントが謎の男だ。
「はいどーも」とソウキの胸を叩き、「そっち座んない?」と声をかける。
 ラウンジのソファーならば客が入店したときもわかる。一応仕事中という意識は俺にもあるのだ。
おう、とやけに従順についてくるソウキを尻目に俺はそのまま使い古しすぎて背もたれ部分がテラテラになった革ソファーに腰をかけた。
 二人がけ用ソファーが二つ向かい合うように並んでるというのに、ソウキはそのまま俺の隣に座ってくる。流石に狭え。が、わざわざ向こうに行けと言ったところでこいつは駄々捏ねるだろう。放っておくことにした。
 妙な沈黙とともに俺たちは顔を合わせた。そのままじっとソウキの顔を見てると、ソウキの方が先に視線を反らすのだ。

「なんだよ、見過ぎだろ」
「顔の腫れ、大分引いたな」
「……まあな」

 そっと右頬を撫でれば、ソウキはそのままむず痒そうな顔をしながらもじっと俺の手を受け入れる。

「つかもうあの似合わない眼鏡やめたんだ?」
「わかってんだろ、もう要らなくなったんだよ」
「はは、そか。浮気じゃなくなったんだもんな」

「ちゃんと別れられて偉い偉い」とそのまま頬を撫でれば、みるみるうちにソウキの顔が赤くなっていく。そして、何かを堪えるようにぐっとこちらを睨むソウキに手首を掴まれ「やべ」と思った矢先。

「……今日は、何時までなんだ?」

 もうスイッチ入ってんだけど、こいつ。

「閉店までって言ってんだろ? だから早く来すぎなんだって、お前は。暇なのか?」
「暇じゃねえし、お前のためにわざわざ――」
「わざわざ?」
「っ……顔、見たかったから」
「へえ」
「あ、あと! お前がちゃんと仕事してんのか見張りに来てやってるのもある」

 自分で言って耐えられなくなったようだ。取ってつけたように慌てて言い足すソウキに「はいはい、そりゃどーもご苦労さん」と頭を撫でてやればそのままぐぬ、と口を閉じるソウキ。不満と歓びが入り混じったような変な顔だ。

「……つか、ここ。酒置いてないのかよ」
「飲み物はそこの自販機のみの販売になりまーす。あと持ち込み自由なんで向かいのコンビニで各自調達よろで~す」
「本当古臭えよな、ここ」
「そこがいいんだろ? 最近のラブホ巡りが好きなソウキ君にはわかんないか」
「ああ? んだよそれ」
「まあ、お前もそのうちこのホテルのよさが分かるよ」

 そう手を離せば、なんだかソウキは変な顔のままだった。拗ねてんのか?相変わらず拗ねポイントがわかりにくいやつだ。
 なんて思ってると、ソウキはキョロキョロと辺りを見渡した。「どうした?」と声をかければ、ソウキはこちらを見た。

「……そういや、今日はあの黒いのはいないのか?」

 黒いのって……まだロビ君の名前覚えてないのか。
 このホテルに来たとき何度かロビ君の話はしたのに。
 まあ、俺も人の名前覚えれないから仲間か。

「ロビ君ならさっきまで休憩してたけど」

 と、答えたときだ。
 噂をすればなんとやら、のっそりとソウキの背後で影が動く。――ロビ君だ。
「亜虎さん」と俺を呼ぶロビ君。ようやくそこでソウキは背後に立つロビ君に気付いたようだ、ソウキは「おわっ!!」とソファーから落ちそうになってた。いいリアクションである。

「ロビ君、丁度よかった。……こっち、俺の高校んときの友達」
「と、友達……?!」
「ども。……龍池です、お世話になっております、ソウキさん」

 別のところでもショック受けてるらしいソウキに向かってぺこりとロビ君は頭を下げる。相変わらずちゃんと挨拶ができる子だ。
 そして対するソウキはというとだ。

「お前がソウキさんって呼ぶな。あと、客に対してなら綾瀬様……あでっ! テメ、亜虎……っ!」
「あー、ロビ君こいつは気にしなくていいから」
「気にしろ! 客だぞ!」
「はいはい、神様神様」

 もごご、と暴れるソウキの口を塞いだまま、俺は「どうしたの、ロビ君」と聞き返す。

「すんません、その……洗濯洗剤が切れてて」
「あー、じゃあ俺行ってこようか?」
「え、でも……ソウキさんが」
「綾瀬つって……もご……ッ!」
「ついでに食材も買い足してこようかと思ってさ。ほら、さっきの話」

 今度こそおかわりさせてあげたい、という気持ちは嘘偽りはない。
 そこまで言えばロビ君にも俺の言いたいことは伝わったようで、少しだけぱっと顔を明るくしたロビ君は「じゃあ、お願いします」と俺に財布を渡してきた。
 財布ごとか、不用心すぎないか。まあ今の俺は無一文に等しいので助かるけども。

「おっけ、任せて」
「急ぎではないので時間は気にしないでください」
「はーい」

 と、財布片手にそのままソファーから立ち上がってホテルを後にしようとしたときだ。

「おい、待てよ亜虎」

 ソウキに呼び止められる。

「なんだよ、今度は」
「……まさか、俺を一人にするつもりじゃねえだろうな」
「は?」
「俺も行く、その買い出し」
「……別にいいし、お客様だろお前は」

 つうか部屋取ったあとに出るのは駄目だって言ってんのに。とソウキをじとりと見たとき。
 ロビ君は「いいですよ」と答えた。

「え、いーの?」
「今回は亜虎さんも一緒なんで大丈夫です」
「……ロビ君、俺のこと信用しすぎじゃん?」

 思わず口に出てしまった。
 けれどロビ君は気を悪くするわけでもなく、寧ろ堂々とした様子で「亜虎さんはいい人なので」と答えた。
 ……うーん、この子もなかなか恐ろしい。

「オーナー直々の許可あればいいだろ、ほら行くぞ」
「あ、コラソウキてめ……っ! ……ロビ君、じゃあちょっと行ってくるね、そんなに時間かかんないと思うけど」
「はい、よろしくお願いします」

 そしてなぜか俺よりも乗り気のソウキに引っ張られながらも、俺はホテル月影を後にした。
 ロビ君から借りた財布と言う名の信用はちょっぴり重い。




「なあ」
「なんだよ」
「あの龍池とかいうやつと、その……寝たのか?」

 近場のスーパーに向かう途中、道端でいきなりそんなことを聞いてくるものだから思わず立ち止まった。
 隣を歩いていたソウキを見上げれば、やつは真剣な顔をしていた。さっきから妙にそわそわとしていると思ったが、もしかしてそんなことを考えてたとは思わなかった。

「違う違う、ロビ君はそんなんじゃないから。……確かに顔は可愛いけど」
「じゃあやっぱ狙ってんじゃねえか」
「声でけーよ、ソウキ」
「……っ、てか、なんだよさっきのも。まさか、お前があいつのために手料理振る舞ってんのか?」

 そこまでしっかりと聞いてたのか。「まあね」とだけ答えたら、さっきまで機嫌良くなったと思ったソウキの顔がムスッとむくれ始める。子供か。わかりやすすぎんだよな、本当。

「……俺には一度だって料理とかそんなの、してくれなかったくせにな」
「お前はいつも俺の作ったやつよりもいいもん食ってただろ」
「……っ、そういう問題じゃねーし……」

……本格的に拗ね始めやがった、こいつ。

「分かった分かった、今度暇だったらなんか簡単なの作ってやるよ」

 ここは一旦折れとくか。せっかく通ってきてくれてるんだしな。
 そう提案すれば、ソウキはこちらを見る。

「……本当に?」
「本当本当。けど、あんま期待すんなよ。得意ってわけじゃねーから」
「……っ、いい、味とか気にしねえし。……お前が作ってくれんなら、いい」

 そうぽそりと呟き、それから、さっきまでの不機嫌顔はどこに行ったのかニヤニヤし始めるソウキ。

「でも、お前料理なんてできたんだな」
「まあ、覚えてた方が可愛がられやすいじゃん。癒やしを求めてる人には」
「……あーそうかよ、お前本当そういうやつだよな」
「けどま、実際役に立つ機会はあんまなかったけどな」

 だからわりと、こんな風に自分の料理を喜んでもらえるのはなかなか新鮮だった。それに、悪い気はしてないのだから余計不思議になる。

 ソウキは何かを言いかけていたが、何も言わなかった。

 暫くも歩けば目的地のスーパーに辿り着いた。ロビ君御用達の激安スーパーらしい。平日の昼間とはいえ、やはり主婦のおばちゃんたちでひしめき合ってる。なんか俺たち浮いてんなーと思いつつも、普段ここに混ざって多数のセール品勝ち取ってくるロビ君のことを考えるとここで日和ってる場合ではない。
 ……ま、取り敢えず頼まれたものはちゃんと買っとかないとな。

 というわけでかごを取って洗剤コーナーに向かう。

「ソウキ、なにキョロキョロしてんの」
「……いや、なんか……俺浮いてる?」
「あー、まあそれは確かに思った」
「……」
「なんで姿勢正してんの」
「……周りから見たら、俺とお前、カップルに見られてるかもしんねえだろ」

 いや、どちらかというと呑みのつまみ買いに来た学生ぐらいにしか思われてないんじゃないか。
 と思ったが、あまりにもそわそわしてるソウキを見てると茶化すのも悪い気がした。
 というかお前、

「カップルに見られたいんだ?」
「……ッ、ち、げえけど?」
「……っ、ふ、くく、声裏返りすぎだろ。……まあいいけど、こんなかっこいい彼氏なら自慢できるだろうし」
「お、お前な……」
「はいダーリン、洗剤パス」
「……って、投げんな馬鹿……重ッ!!」

 おーナイスキャッチ。
 業務用クソデカボトル洗剤を渡せば、そのまま抱きかかえるソウキに頬が緩んだ。

「んじゃ次飯んとこ行くか」
「カート持ってこようぜ、どうせ増えんだろ?」
「そんなに増えるかな」

 なんて話しながら洗剤売り場から移動しようとしたときだった。
 主に主婦やシニアたちで賑わう店内。

「あれ、亜虎君?」

 名前を呼ばれる。不意に声のする方へと振り返れば、そこには見覚えのある顔があった。
 なかなか可愛い女連れのそいつは「やっぱ亜虎君だ」とにぱっと微笑む。そして、俺の隣にいた男を見て「……と、綾瀬先輩」と笑顔を消した。

「あ、お前……宇井楽ういらか?!」
「そーですよ、まさか可愛い後輩の顔もう忘れたんですか?」
「覚えてねえよ、お前見た目コロコロ変わるから」
「それより亜虎君、奇遇ですね。また久し振りに遊んでくださいよ、俺亜虎君から連絡なくてすんごい寂しかったんだからね」

 えーんとわざと泣く仕草をしてみせるこの犬っぽい男は俺の学生時代の後輩のシンノ――宇井楽臣延しんのだ。
 高校のとき一時期毎日のように一緒にいたときもあったが、俺が高校辞めてから疎遠になったんだよな。ソウキとは大学は同じって聞いてたけど。

「あーごめんね、シンノ。けどお前も可愛い彼女連れてるじゃん」
「あーこれセフレですよ」

「ね」と笑いながら女の子の肩を抱くシンノ。
嫌がるどころか「ねーっ」と嬉しそうに抱きつき返すその子といちゃつき出すシンノを見てソウキがドン引きしていたがお前も大概こんな感じだったぞ、と喉元まで出かけるのを堪えるので大変だった。

「そだ、亜虎君また連絡先交換してくださいよ。俺の携帯、前の女に砕かれて連絡先消えちゃったんですよね。あ、これ俺の連絡先」
「はいよ」
「あ、やった。これでまた亜虎君に遊んでもらえる~! 綾瀬先輩に自慢しよっ!」
「うるせえ、俺も連絡先くらいは知ってんだよ!」
「でも先輩、ブロックされてたじゃないっすか」
「ああ?」

 まーた始まった。こいつら、というかソウキはシンノのことが気に食わないらしい。ソウキの場合気に入る人間の方が少ない人間なので仕方ないが、一応ここは店内で周りの客もいる。「どうどう、ソウキ」と顎の下を撫でてやれば「う゛」とソウキが固まった。おもしろ。

「……って、そうだ。もしかして二人で買い物してるって……亜虎君、綾瀬先輩とヨリ戻したんですか?」
「な、ヨリ……ッ」
「あー違う違う。俺はバ先の買い出し。で、こいつはただの客、勝手についてきたから荷物持ってもらおうと思って」

「もっと他に言い方あんだろうが」と噛み付いてくるソウキをあやしながら応えれば、シンノは「亜虎君がバイト?!」と目を丸くした。

「え、てことはようやくあの人と別れたんですか?」
「ん~~~……ま、色々あって今ホテル暮らし。んで、そのホテルで働かせて貰ってる感じ」
「えーまじか、どこですそれ。俺今度遊びに行っていいですか?」
「ん、いいよ。寧ろ客いねーからお泊り大歓迎」

「そこの彼女と一緒にきなよ」と笑いかければシンノは「行く行く~」とはしゃぐ。

「あ、じゃあ俺たちそろそろ行くっすね。また後で連絡するんでそのホテル教えて下さいね!」
「りょうかーい」
「またね~亜虎君っ!」

 ぶんぶんと大きく手を振るシンノと控えめにぺこりと会釈するセフレちゃん。ん~久し振りにシンノを浴びた気分だ。
 シンノが立ち去ったあと、ソウキが苛ついたように舌打ちする。

「あいつ、俺には挨拶なしかよ」
「だってお前高校んときからシンノと仲悪かったじゃん」
「お前が特殊なんだよ、よく付き合えんな。あいつと」

 まあ言われてみれば、シンノのことを嫌ってる男は山ほどいるだろう。
 学生時代はあどけなさの残る可愛い少年だったが、そのときのよさも残してなかなかいい成長してる。……が、中身は相変わらずのようだ。

 シンノの女癖の悪さは学内通り越して街でも有名だった。そりゃーもう女を見かけたら息をするように口説くようなガキだったが、それが今は立派なヤリチンになってるらしい。逆に安心した。
 シンノに彼女や好きな子を取られた男は数知れないだろう、シンノ自身男友達よりも女友達の多いやつだったが――そんなシンノの初めての同性相手のセフレは俺だ。

 そのときの記憶は酒であやふやだったが、その場のノリでシンノとセックスして……んでお互い悪くなかったという理由でそのままずるずる暇さえあればヤッてた時期があった。
 しかし流石にあの良成長っぷりからしたらセフレは他にもいるはずだ。普通の男友達として付き合うつもりなのだろうかと思ってると、早速シンノからメッセージが届いてた。

『ホテル行くとき沢山お土産持っていくね』とどこで買ったのかコンドームが大量に詰まった買い物袋を見せてくるシンノに「変わってねーな」と思わず呟いた。
 まあ俺も大概ではあるが。
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