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4-3.深層心理に潜む悪魔※幻覚
しおりを挟む「に゛ゃ、な゛……っ、ひ――」
なにが起きているのか分からなかった。
目の前でメリア君が笑いかけたと同時に、メリア君の隣にもう一つ影が浮かび上がった。
そこにいたのは巨大な彼と比べるとあまりにも縮み込んだ影だった。それは猫背だったのもあるだろう。メリア君に寄り添うように現れたそれは自分と瓜二つの顔をしていた。
というか、多分俺だ。
それだけならばまだよかった。
唐突に箱庭の中でメリア君と俺はキスをし出す。自分の頭何個分も高いメリア君に必死に爪先立ちになり、背を伸ばしてもそれでも届かない俺の腰を抱き寄せ、そのまま足が地面と離れそうになるほど持ち上げられる。
瞬間、唇に確かに感触があった。
「っ、ぁ、へ?」
これは幻覚、なのに。
幻覚のはずなのに、舌が唇に這う感触がする。それだけではない。腰から臀部へと降りていく手の感触までもがしっかりと脳に刻まれていた。
瞼を持ち上げたそこでメリア君に同じことをされているのかとも思った。けれど、違う。
「ぁ、あ……っ、あ、の」
指が脳から引き抜かれる。それでもその幻覚は消えるどころか、先程以上に激しさを増す舌の痺れに思考はまとまらない。
メリア君とのキスで蕩けたような情けない自分の顔を見せつけられるというだけでも拷問なのに、俺の存在なんて無視して目の前の二人の行為はエスカレートしていく。
「な、なに、メリア君、おかひ……っん、……っん、む……っ」
舌を絡め取られている。けれど、実際には口の中に舌はない。はずなのに。
大きな手のひらは臀部を撫でるだけで腰から下が麻痺したように痺れ、しなだれかかる俺を抱き止めたままメリア君は手慰みにするようにして俺の下半身をいじるのだ。
足を開かせ、下着も無視して肛門に入ってくる指先に息を呑んだとき。形のいい指はあのときとは違い、直接俺の中の弱いところに触れた。
「――っ、ぁ……っ?!」
「ん? どうかしましたか? エンマ」
「ぁ、あ……っ、ぁ、め、りあ……く……っ、ひ……ッ!」
嫌なのに、拒むという選択肢を初めから除外されているかのように逃れることできない。
あっという間に下着をずらされたと思えば、そのまま日に焼けてない真っ白な尻をこちらへと見せつけるかのように広げられる。
見たくもなかった。ましてや、いくら偽物だとしても自分の尻など。
歪なほど赤く腫れぼったくなった肛門はもの寂しそうに口を開いていた。捲れ上がったそこからはメリア君の指が出入りしており、目を逸らしたいのに視線を一センチほどずらすことすらもできなかった。
幻覚は無音だった。その代わり、幻覚の俺の悲鳴は今の俺の口から触れ出した。
それから、メリアに犯されているまで時間は要いなかった。ダイニングテーブルに仰向けになったままM字で開脚をし、メリア君の腰の位置に合わせるかのように腰を振りながら肛門に異物を招き入れる。
今の俺とはかけ離れた酷い顔で。
これはなんなのか。
それを理解する暇もなく、さらに激しくなる愛撫に胸を仰け反った。
「ん゛、ぅ゛……っ、う゛、や゛っ、やめ゛で、メリアく……っ」
「どうしたんですか? エンマ。いきなり暴れ出して」
「っ、ぁ、ど、どめ゛で……ッ! ぉ゛ッ、お゛ぐ……ッ!」
脳と肉体がまるで噛み合ってない。
聴覚は現実、なのに腹の中で確かに何かが蠢き、前立腺を甘く撫で上げる。
瞬間、出したことのない甘い悲鳴が喉から溢れた。目の前では逃げようとしていた俺の体を更に囲い込み、そのままメリア君は玩具かなにかを弄ぶよう指を動かした。
優しく、それなのに激しく苦しいほど。
「ああ……はは、エンマ。君はどうしようもない子ですね? 僕に興奮してるんですか?」
不意に落ちてきた声に目を見開く。
――真っ白な部屋の中、メリア君が俺を抱きしめていた。
これは、本物だ。リビングでもなければ、服も乱れていない俺がいた。それなのに、今度は中の感触が動き出す。ピストンに合わせて腰が揺れ、奥まで突き上げられる度に脳に熱が広がった。
痙攣が止まらない。
「ぢがっ、め、メリア君が……っ、う゛ひ……ッ! ぁ、う゛」
「人のせいにするなんて、感心しませんねえ。エンマ。……君みたいな子をなんと言うか知ってますか? 僕は知ってますよ。ええ、勤勉なのでね」
「――エロガキ」囁かれる声に全身が大きく跳ね上がる。
目の前、現実のメリア君は俺の腹を撫でる。見えない何かが出入りするような感覚だけは神経に刷り込まれ、入り口から結腸の入り口まで硬く熱い何かが出入りしては粘膜をこじ開けた。
形を変えるように何度も体の中を這いずり、耐えきれずにメリア君にしがみついて「どめて」と声をあげるがメリア君はそんな俺をただ見下ろしては薄く微笑んでいる。
「この間のアレ、そんなに気持ちよかったんですか? こんなに癖が着いちゃうまでとはさては君、才能がありますね! それで? 君の中の僕は君に何をしてるんですか? エンマ」
「ぁ゛っ、あぅ゛、い゛、言えな゛……ッ! ぅ゛、い、ひ――ッ!」
「言って」
「ぃ、え゛……っ、んぐ、ひ……ッ!」
痙攣する下半身を押さえ込まれ、見えない何かにより膨らんだ腹部を服の上からメリア君の指がなぞる。
くるくると、丸を描くように。瞬間焼けるような熱が膨れ上がる。中でより怒張したものは激しく出入りし、その抽送に耐えきれずに俺は大きくのけぞった。
「ぁ゛、お゛っ、ぉ゛……ッ! ぐ、じ、ぬ゛、じぬ、どめで、どめでお願いッ!!」
「大丈夫です。人はこの程度では死にませんよ、エンマ。よーく覚えてくださいね、これは『気持ちいい』」
「ぎ、もぢ、ぃ゛……っ、ぐ、ひゅ……ッ!」
「頭の中で僕に奥までズポズポされるの、気持ちいいですよね? エンマ」
「ぁ゛、あ゛ぅ゛……っ、う゛ぅ……っ!」
分からない。もう何も分からない。
現実が悪夢のようにすら思えて、止めようと現実のメリア君を掴んでも中の異物は止められない。
苦しくて怖い、痛いはずなのに、それすらも一定のラインを越えればふわりと転化する。甘さを帯びた強烈な刺激が内側から俺の神経を破壊していく。
「ごめ、ごめんなさ、も、ゆるじ、ぃ゛、ぐ、ぃぐ、お腹おがじ……っ!」
「大丈夫ですよ、君はどこもおかしくありません! 君はただ僕と性行為したくてしたくて夢の中でセックスしてるだけのエロガキです、何もおかしなことはありませんよ。なんなら僕は嬉しくすら思っています、ええ、エンマ君が僕のことをそんなふうに思ってくれているなんて!」
「ざ、ざわらにゃ、いでぇ゛……っ」
「あは、ここですね? 今ここに僕の生殖器――ああ、ペニスが入ってきてるのですか? ふふ、ああ、ボコボコしてますね。ほら、ここ、この間たくさん可愛がってあげたここをたくさん擦るように脳内の僕に言い聞かせてください。そうするともっと気持ちよくなれますよ? 腰を抜くときに浅いところもコリコリ引っ掻いて、そのまま余韻を引き摺るように奥まで一気にずっぽり……ああ、またイキましたね? エンマ。いけませんねえ、ちゃんと僕の声聞いてください。白目を剥いて涎垂らしてる場合ではありませんよ」
「ぉ゛、や゛、べで……も゛……っぉ゛……~~ッ!!」
声を上げる余裕すらもなくなる。
メリア君の言葉を反応するように中のものの動きが早くなる。まるでインプットされるように、わざとずるりと中のものを引き抜かれそうになったと思えば叩きつけられる。既に腫れ上がっていた前立腺を柔らかく引き潰すように何度も往復する性器に息をする暇も与えられなかった。
ぴんと足を伸ばしたまま、浮き上がった腰をただカクカクと震わせる。見えない何かに犯されるみたいに一人跳ね上がる俺の姿は滑稽以外の何者でもないだろう。
けれどエンマ君は馬鹿にすることなく、そんな俺を愛おしそうに見下ろしていた。
「ぉ゛、み゛、にゃ、いで、みないでッ! み、ぃ゛……っ、ぐ、ひ……ッ!」
お願いだから、と下げるよりも先に腰の痙攣により下着の中で性器が擦れる。脱ぎたい。脱がせて。苦しい。漏れる。そんな言葉が頭の中で繰り返される。
汗と涙でぐちゃぐちゃになった視界の中、メリア君は口角を持ち上げた。整った顔が浮かべた微笑みはまるで絵画のようだ。慈愛に満ちた目でメリア君は僕の手を握りしめ、そして優しく抱擁した。
「このままイキなさい、エンマ」
「っ、ぉ゛、ぉ゛……っ、ぐ、ひ……ッ!」
「大丈夫ですよ、僕はここにいます。君がどんなだらしなくて汚い声をあげて粗相しようが、僕が見てあげますよ。全部、全部。恥ずかしいところも全て――だって、君は僕のものなんですから」
「ぁ゛、は、ぁ゛……っ、く、ひ……ッ!」
痙攣で暴れる体を抱き止められる。唇に触れる熱に気を取られるのも一瞬、ようやく動きが緩やかになってきたと思った次の瞬間一気に最奥まで貫かれる。
脳裏に広がる快感は泡沫のように弾け、白く染まった。俺の体も全て炭酸の泡になって消えていくのではないか、いやその方がいいのではないか。そんなことを考えながらも腹の奥、他人の鼓動が響くのをただ感じながら俺は目の前、メリア君にしがみついたまま意識を手放した。
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