馬鹿ばっか

田原摩耶

文字の大きさ
88 / 135
馬鹿ばっか

09

しおりを挟む
 五条に頼み込んだあと、あいつはすぐに行動に移してくれることになった。

 ――生徒会役員たちの捜索。
 現在、風紀委員たちにも同じ名目で動いてもらっている。
 人手だけならば風紀委員だけで十分事足りるだろうが、それとは別に五条に動いてもらう必要があった。
 風紀委員たちの調査報告の裏付けと矛盾・裏切り者の炙り出し――それが主な目的だった。
 とにかく早めに動いてもらう必要があったので野辺が風紀委員たちとなにやら話し込んでる間を縫って俺は五条を逃がした、のだけれども。

「……ん? おい、あの公然猥褻変態眼鏡はどこだ?」

 野辺、お前がそれ言うのか。という突っ込みはさておきだ。

「ああ、あいつはちょっと仕事してもらってる」
「正気か? ちゃんと縄で縛り付けておけ、逃げ出されたらどうするつもりだ!」
「大丈夫だよ、あいつはスキャンダルと金が大好きだからな。簡単には逃げねえって」
「そんなものを信頼するな」

 ……ごもっとも過ぎてなんも言えねえ。

 ――教師寮、ラウンジ。
 流石に人が多くなり、あまりの密度と濃度に「俺の部屋で作戦会議部屋にするのは勘弁してくれ」という宮藤を慮った結果場所を移動することになった。
 L字型のソファーにふんぞり返り、いつの間にかに持ち込んでいた竹刀の切っ先に顎を乗せながら、野辺は校内マップを睨みつけていた。
 そこへ、風紀委員たちから届いた報告を直接極太マーカーペンで書き散らかす野辺。
 そんな野辺の横、俺は宮藤からもらった差し入れのコーヒーを野辺にも渡す。「む」と目だけこちらへと向け、そのまま無言で口をつける野辺。少しだけその周囲の空気が和らいだように見えた。
 ……頼み事をするなら今だろう。

「それより野辺、……ちょっと会いたいやつがいる。そいつらのところまで付き合ってもらっていいか」
「まさか貴様、俺をボディガードとしてタダ働きさせるつもりじゃなかろうな」

 お前も金が大好きじゃねえか。
 喉まで出かかった言葉を飲み込み、俺は野辺に「頼む」と頭を下げる。

「こんなとき頼れるのはアンタしかいないんだよ。……他のやつらはどいつもこいつも口ばっかだしな、アンタほど信頼できる男はいない」
「ふん、分かってるじゃないか」

 どうやら気をよくしたようだ。ふふんとふんぞり返る野辺。
 つくづく扱いやすい男で助かる。

「仕方ない、付き合ってやる。……で? その会いたいやつってのは誰だ。必要ならばここに呼び出すことも可能だが」
「……二人いるんだが、構わないか?」
「俺を誰だと思ってる」

「寝ていようがベッドに縛り付けてベッドごとここへ運び込んでやろう」敵だと厄介なやつほど、味方になるとなんとやらだ。
「それは迷惑だからやめてくれ」と心から声を絞り出す宮藤を他所に、俺は「ありがとう、助かるよ」と微笑んだ。
 正念場はここからだ。
 そう掌に滲む汗を拭い、俺はその二人の名前を野辺に告げた。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

その告白は勘違いです

雨宮里玖
BL
高校三年生の七沢は成績が悪く卒業の危機に直面している。そのため、成績トップの有馬に勉強を教えてもらおうと試みる。 友人の助けで有馬とふたりきりで話す機会を得たのはいいが、勉強を教えてもらうために有馬に話しかけたのに、なぜか有馬のことが好きだから近づいてきたように有馬に勘違いされてしまう。 最初、冷たかったはずの有馬は、ふたりで過ごすうちに態度が変わっていく。 そして、七沢に 「俺も、お前のこと好きになったかもしれない」 と、とんでもないことを言い出して——。 勘違いから始まる、じれきゅん青春BLラブストーリー! 七沢莉紬(17) 受け。 明るく元気、馴れ馴れしいタイプ。いろいろとふざけがち。成績が悪く卒業が危ぶまれている。 有馬真(17) 攻め。 優等生、学級委員長。クールで落ち着いている。

処理中です...