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馬鹿ばっか
09
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五条に頼み込んだあと、あいつはすぐに行動に移してくれることになった。
――生徒会役員たちの捜索。
現在、風紀委員たちにも同じ名目で動いてもらっている。
人手だけならば風紀委員だけで十分事足りるだろうが、それとは別に五条に動いてもらう必要があった。
風紀委員たちの調査報告の裏付けと矛盾・裏切り者の炙り出し――それが主な目的だった。
とにかく早めに動いてもらう必要があったので野辺が風紀委員たちとなにやら話し込んでる間を縫って俺は五条を逃がした、のだけれども。
「……ん? おい、あの公然猥褻変態眼鏡はどこだ?」
野辺、お前がそれ言うのか。という突っ込みはさておきだ。
「ああ、あいつはちょっと仕事してもらってる」
「正気か? ちゃんと縄で縛り付けておけ、逃げ出されたらどうするつもりだ!」
「大丈夫だよ、あいつはスキャンダルと金が大好きだからな。簡単には逃げねえって」
「そんなものを信頼するな」
……ごもっとも過ぎてなんも言えねえ。
――教師寮、ラウンジ。
流石に人が多くなり、あまりの密度と濃度に「俺の部屋で作戦会議部屋にするのは勘弁してくれ」という宮藤を慮った結果場所を移動することになった。
L字型のソファーにふんぞり返り、いつの間にかに持ち込んでいた竹刀の切っ先に顎を乗せながら、野辺は校内マップを睨みつけていた。
そこへ、風紀委員たちから届いた報告を直接極太マーカーペンで書き散らかす野辺。
そんな野辺の横、俺は宮藤からもらった差し入れのコーヒーを野辺にも渡す。「む」と目だけこちらへと向け、そのまま無言で口をつける野辺。少しだけその周囲の空気が和らいだように見えた。
……頼み事をするなら今だろう。
「それより野辺、……ちょっと会いたいやつがいる。そいつらのところまで付き合ってもらっていいか」
「まさか貴様、俺をボディガードとしてタダ働きさせるつもりじゃなかろうな」
お前も金が大好きじゃねえか。
喉まで出かかった言葉を飲み込み、俺は野辺に「頼む」と頭を下げる。
「こんなとき頼れるのはアンタしかいないんだよ。……他のやつらはどいつもこいつも口ばっかだしな、アンタほど信頼できる男はいない」
「ふん、分かってるじゃないか」
どうやら気をよくしたようだ。ふふんとふんぞり返る野辺。
つくづく扱いやすい男で助かる。
「仕方ない、付き合ってやる。……で? その会いたいやつってのは誰だ。必要ならばここに呼び出すことも可能だが」
「……二人いるんだが、構わないか?」
「俺を誰だと思ってる」
「寝ていようがベッドに縛り付けてベッドごとここへ運び込んでやろう」敵だと厄介なやつほど、味方になるとなんとやらだ。
「それは迷惑だからやめてくれ」と心から声を絞り出す宮藤を他所に、俺は「ありがとう、助かるよ」と微笑んだ。
正念場はここからだ。
そう掌に滲む汗を拭い、俺はその二人の名前を野辺に告げた。
――生徒会役員たちの捜索。
現在、風紀委員たちにも同じ名目で動いてもらっている。
人手だけならば風紀委員だけで十分事足りるだろうが、それとは別に五条に動いてもらう必要があった。
風紀委員たちの調査報告の裏付けと矛盾・裏切り者の炙り出し――それが主な目的だった。
とにかく早めに動いてもらう必要があったので野辺が風紀委員たちとなにやら話し込んでる間を縫って俺は五条を逃がした、のだけれども。
「……ん? おい、あの公然猥褻変態眼鏡はどこだ?」
野辺、お前がそれ言うのか。という突っ込みはさておきだ。
「ああ、あいつはちょっと仕事してもらってる」
「正気か? ちゃんと縄で縛り付けておけ、逃げ出されたらどうするつもりだ!」
「大丈夫だよ、あいつはスキャンダルと金が大好きだからな。簡単には逃げねえって」
「そんなものを信頼するな」
……ごもっとも過ぎてなんも言えねえ。
――教師寮、ラウンジ。
流石に人が多くなり、あまりの密度と濃度に「俺の部屋で作戦会議部屋にするのは勘弁してくれ」という宮藤を慮った結果場所を移動することになった。
L字型のソファーにふんぞり返り、いつの間にかに持ち込んでいた竹刀の切っ先に顎を乗せながら、野辺は校内マップを睨みつけていた。
そこへ、風紀委員たちから届いた報告を直接極太マーカーペンで書き散らかす野辺。
そんな野辺の横、俺は宮藤からもらった差し入れのコーヒーを野辺にも渡す。「む」と目だけこちらへと向け、そのまま無言で口をつける野辺。少しだけその周囲の空気が和らいだように見えた。
……頼み事をするなら今だろう。
「それより野辺、……ちょっと会いたいやつがいる。そいつらのところまで付き合ってもらっていいか」
「まさか貴様、俺をボディガードとしてタダ働きさせるつもりじゃなかろうな」
お前も金が大好きじゃねえか。
喉まで出かかった言葉を飲み込み、俺は野辺に「頼む」と頭を下げる。
「こんなとき頼れるのはアンタしかいないんだよ。……他のやつらはどいつもこいつも口ばっかだしな、アンタほど信頼できる男はいない」
「ふん、分かってるじゃないか」
どうやら気をよくしたようだ。ふふんとふんぞり返る野辺。
つくづく扱いやすい男で助かる。
「仕方ない、付き合ってやる。……で? その会いたいやつってのは誰だ。必要ならばここに呼び出すことも可能だが」
「……二人いるんだが、構わないか?」
「俺を誰だと思ってる」
「寝ていようがベッドに縛り付けてベッドごとここへ運び込んでやろう」敵だと厄介なやつほど、味方になるとなんとやらだ。
「それは迷惑だからやめてくれ」と心から声を絞り出す宮藤を他所に、俺は「ありがとう、助かるよ」と微笑んだ。
正念場はここからだ。
そう掌に滲む汗を拭い、俺はその二人の名前を野辺に告げた。
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