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馬鹿ばっか
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「おい、五条。お前今どこにいるんだ?」
『放送室の様子見に行ってたんだけど、ちょーっとしくじってさ。今は副会長様と鬼ごっこ中』
その一言で大体察することが出来た。
五条の声の向こうでは『待ちなさい!』という能義の怒号も聞こえてくる。つかよく話しながら逃げれるなこいつ。
『あ、それと会長様に伝えといて。今放送室行ったら副会長様たち、尾張のこと嵌めて輪姦するつもりだって』
『俺としてはその場面も見たいけど』素直なコメント付きのご忠告にまあそんなことだろうと思ったが、と思わず溜息が出そうになった。なんともあいつらが考えそうなことだ。
「なあ、五十嵐は無事なのか?」
『実は俺も直接見れてなくてさ、けどなんか打たれてたっぽい。多分媚薬だってさ』
又聞きしたような言い方が引っかかったが、もしかして神楽が五条に連絡したのか。それならば先ほどの緊急依頼云々も合点がいく。
媚薬――どこからそんなものを用意したのかと聞きたいところだが、現に俺も飲まされたことはあるので大体察することが出来た。
神楽が味方なのか敵なのか分からないが、今は使えるものは全部使うだけだ。
「……おっけ。大体分かった。んで、そっちは大丈夫か? 助けは?」
『大丈夫。寧ろ一人の方が――あ』
いるか?と聞き返そうとしたときだった。
先ほどから息一つ乱れさせていなかった五条の声が途切れたと思った次の瞬間、大きな雑音が入る。
そして。
『わ、わ、なんですか?!』
この街に放ったら紛れてしまいそうな極めて特徴のない声は――岡部か?!
『っと……まず、尾張一旦切るわ』
「五条、おい……」
大丈夫か、と尋ねるよりも先に通話は一方的に断ち切られる。
さっきの、間違いなく岡部だ。なんであいつが、と思ったがそうだ、岡部のやつには岩片のことを探してもらう名目で校舎内を探ってもらっていたのだ。
よりによってこのタイミングか。なんとか五条に上手くやってもらうしかない。
能義も流石に無関係の岡部にどうこうしてくるようなやつではないと言い切れないのがアレだが。
落ち着かない。
俺が出て行ったところで今は悪手でしかないのは間違いない。けども。
体育館の階段に腰をかける。何度か五条からの折り返しを待ったが、それ以降五条から連絡がかかってくることはなかった。
……というか、政岡のやつどんだけ時間かかってるんだ。
こちらから便所に出向き声をかけるのもおかしな話だし、一先ず俺も一旦冷静になるため目を瞑り深呼吸を繰り返した。
五十嵐のやつのことだ、あいつなら大丈夫だろうという気持ちはあった。だって俺より強いし、タフだし。
……いやでも媚薬って。
岩片のやつ、何を考えてるんだ。理解したくないが、あいつの股の緩さを考えると嫌な想像が過って無性に落ち着かない。
クソ、なんだよ媚薬って……!
考えれば考えるほど見えない迷宮に囚われてしまいそうだ。何度も恐ろしい想像をしてしまう自分の頭を振り思考を払い除けていると、ふと便所の方からよろよろと人影が現れた。
ついそちらへと目を向ければ、何故かさっきよりも疲弊し切った政岡がいた。ついでに顔も洗ってきたらしい。血で汚れていた肌は綺麗になってるが、その分擦り傷や痣が目立った。
目が合うとやつは明後日の方角を見上げる。
「……悪い、待たせた」
本当にな。一人だけすっきりした顔しやがって。
「もう大丈夫そうか?」
「おお、なんとかな……!!」
「……そうか、ならよかったよ」
政岡にどこから伝えるべきか、と考えていると相手にそれを気取られてしまったようだ。
一人照れ照れとしていた政岡の表情が少しずつ険しくなっていく。
「……なんかあったのか?」
動物的本能、というやつか。それとも俺の顔はポーカーフェイスのやり方すらも忘れてしまったのか。
一先ず俺は政岡に今五条からあった連絡のことを伝えることにした。
『放送室の様子見に行ってたんだけど、ちょーっとしくじってさ。今は副会長様と鬼ごっこ中』
その一言で大体察することが出来た。
五条の声の向こうでは『待ちなさい!』という能義の怒号も聞こえてくる。つかよく話しながら逃げれるなこいつ。
『あ、それと会長様に伝えといて。今放送室行ったら副会長様たち、尾張のこと嵌めて輪姦するつもりだって』
『俺としてはその場面も見たいけど』素直なコメント付きのご忠告にまあそんなことだろうと思ったが、と思わず溜息が出そうになった。なんともあいつらが考えそうなことだ。
「なあ、五十嵐は無事なのか?」
『実は俺も直接見れてなくてさ、けどなんか打たれてたっぽい。多分媚薬だってさ』
又聞きしたような言い方が引っかかったが、もしかして神楽が五条に連絡したのか。それならば先ほどの緊急依頼云々も合点がいく。
媚薬――どこからそんなものを用意したのかと聞きたいところだが、現に俺も飲まされたことはあるので大体察することが出来た。
神楽が味方なのか敵なのか分からないが、今は使えるものは全部使うだけだ。
「……おっけ。大体分かった。んで、そっちは大丈夫か? 助けは?」
『大丈夫。寧ろ一人の方が――あ』
いるか?と聞き返そうとしたときだった。
先ほどから息一つ乱れさせていなかった五条の声が途切れたと思った次の瞬間、大きな雑音が入る。
そして。
『わ、わ、なんですか?!』
この街に放ったら紛れてしまいそうな極めて特徴のない声は――岡部か?!
『っと……まず、尾張一旦切るわ』
「五条、おい……」
大丈夫か、と尋ねるよりも先に通話は一方的に断ち切られる。
さっきの、間違いなく岡部だ。なんであいつが、と思ったがそうだ、岡部のやつには岩片のことを探してもらう名目で校舎内を探ってもらっていたのだ。
よりによってこのタイミングか。なんとか五条に上手くやってもらうしかない。
能義も流石に無関係の岡部にどうこうしてくるようなやつではないと言い切れないのがアレだが。
落ち着かない。
俺が出て行ったところで今は悪手でしかないのは間違いない。けども。
体育館の階段に腰をかける。何度か五条からの折り返しを待ったが、それ以降五条から連絡がかかってくることはなかった。
……というか、政岡のやつどんだけ時間かかってるんだ。
こちらから便所に出向き声をかけるのもおかしな話だし、一先ず俺も一旦冷静になるため目を瞑り深呼吸を繰り返した。
五十嵐のやつのことだ、あいつなら大丈夫だろうという気持ちはあった。だって俺より強いし、タフだし。
……いやでも媚薬って。
岩片のやつ、何を考えてるんだ。理解したくないが、あいつの股の緩さを考えると嫌な想像が過って無性に落ち着かない。
クソ、なんだよ媚薬って……!
考えれば考えるほど見えない迷宮に囚われてしまいそうだ。何度も恐ろしい想像をしてしまう自分の頭を振り思考を払い除けていると、ふと便所の方からよろよろと人影が現れた。
ついそちらへと目を向ければ、何故かさっきよりも疲弊し切った政岡がいた。ついでに顔も洗ってきたらしい。血で汚れていた肌は綺麗になってるが、その分擦り傷や痣が目立った。
目が合うとやつは明後日の方角を見上げる。
「……悪い、待たせた」
本当にな。一人だけすっきりした顔しやがって。
「もう大丈夫そうか?」
「おお、なんとかな……!!」
「……そうか、ならよかったよ」
政岡にどこから伝えるべきか、と考えていると相手にそれを気取られてしまったようだ。
一人照れ照れとしていた政岡の表情が少しずつ険しくなっていく。
「……なんかあったのか?」
動物的本能、というやつか。それとも俺の顔はポーカーフェイスのやり方すらも忘れてしまったのか。
一先ず俺は政岡に今五条からあった連絡のことを伝えることにした。
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