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噛ませ犬
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しおりを挟む「え。てか、なに? セクハラ?」
「気になったから聞いただけだっての。興奮すんなよ?」
「しねーよ、引いてんの」
「普段から下ネタばっかのお前がか? 意外と可愛いところあんのな」
こいつ、とちょっとムカついたが、相手にしたところで無駄だ。俺は「まあな」とだけ適当に流しておくことにした。
ポリシーというわけではないが、相馬然り岸本然り近しい人間を“そういう目”で見たことはない。いくら節操がないと言われてきた俺でもあまりにも身内感が強すぎるとノイズになるというか、余計な思い出が多すぎてピンともこないのだ。
相馬の言う通り可愛いやつなのだろう、俺は。友人と寝るくらいなら見ず知らずの人間のがよっぽどいい。楽だし。
「でも、古賀悲しむんじゃねえの? まともに手も繋いだこともない恋人が他の人間と遊びまくってたら」
相馬の言葉にぴくりとこめかみがひくつく。
珍しく一緒に帰ろうとか言い出すからなんだと思ったが、なんだ。ただの説教か?
「なんだよさっきから、人のシモ事情に口出しして。愛斗からなんか言われたわけ?」
「いや、俺が気になっただけ」
「なんだよ、七緒と俺がセックスしてるって聞いて興奮したわけ」
これはちょっとした意趣返しだった。
ドン引きさせてこれ以上口出しさせないようにさせるかと思ったが、相馬の反応は俺が想像していたものと違った。
「ああ、そうだな」
「――は?」
「お前が抱かれてるって聞いて興奮した」
「なに、言って……」
固まる俺を見てにっと笑った相馬はそのまま乱暴に背中を叩いてきた。「イッテ」と蹌踉めけば、そのまま相馬は「冗談に決まってんだろ」と俺の肩を抱く。
冗談にしては笑えねえんだけど。
そう睨めば、目があって相馬はそのまま耳元に「ただ」と口を寄せてきた。
「俺がヤらせてっていったら、お前ヤらせてくれんの?」
聞き間違い、ではないだろう。
じっとこちらを覗き込む二つの目が細められる。冗談とか言うくせにそのめはちっとも笑っていない。
「……愛斗がいいって言ったらな」
「なんだよそれ、一生できねーじゃん」
俺の言葉に相馬は笑った。
愛斗の性格をよく知る相馬だ。それが遠回しの拒否だと相馬にも伝わったのだろう。
「……つか、なに? 相馬、お前そーいう趣味だっけ」
愛斗よりかは浅いが、俺だって一応相馬とは中学の頃からの友人だ。でも、俺はこれまで一度も相馬とヤるだとかそんな会話を交えたことはなかった。
寧ろ、興味があったってこと自体に驚いたくらいだし。
「趣味ってか、ほらやっぱ興味あんじゃん。身近に男とヤってる男がいるとさ、想像とかしちゃうだろ?」
「は。なにそれ、じゃあ俺で想像とかしちゃうわけ?」
「そりゃするだろ」
即答かよ。しかも開き直ってやがるし。
「……ふーん、どんな?」
「なんだよ。聞いてどうすんだよ」
「どうもしねえよ、ただ……気になるだけ」
そう相馬を覗き込めば、「お前こそモノ好きだな」と呆れたように笑った。
人通りは少ないとはいえ、いつ人が来てもおかしくない歩道の上。流石の相馬も一応周りの目は気にしているようだ。流石にこれ以上は聞かない方がよかったか、と思った矢先のことだった。相馬に肩を抱き寄せられる。
そして、耳朶に押し付けられる熱い感触。それが相馬の唇だと理解するのには少し、時間がかかった。
「――古賀の目の前でお前をぐちゃぐちゃに犯す想像」
吐息とともに耳の穴から鼓膜、そして脳に直接囁きかけられる声に、全身の血液が一気に上昇するのが分かった。
「これ、すっげー抜けるから」キスできそうな距離だった。そのまま離れる唇。耳朶にはまだ相馬の熱が残ってるようだった。
「……悪趣味」
柄にもなく童貞のようにドクドクと烈しく脈打つ心臓を抑え、俺は相馬を睨むように見上げた。
やつは先程までと変わらぬ笑みを浮かべたまま、「よく言われる」とだけ付け加える。
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