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イレギュラーは誰なのか
一触即発 *指導室side
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【side:敦賀】
京と別れて、寮から出た敦賀真言は校舎へとやってきていた。
廊下を歩けば生徒たちの鋭い視線が向けられたが、今はそんなものに構ってるほどの余裕はない。
今にも噛み付いてきそうな不良生徒を無視し、颯爽にやってきたのは『指導室』と表示されたプレートが掲げられた扉の前。そこで見張りをしていた風紀委員たちは、敦賀の顔を見るなり慌てて背筋を伸ばす。
「委員長…」
「ご苦労。後は俺に任せておけ」
それだけ告げれば、困惑顔の委員たちもなにも言わずに道をあける。指導室の扉を開けば、そこには見慣れた室内が広がっていた。
そして、部屋の中央。簡素なテーブルとセットで置かれたパイプ椅子には、日桷和真の姿があった。
「見ただろ、あんたらも。キョウのあの顔!俺のこと心配してくれてんだよ、あいつ。涙目になっちゃってあんな風に必死にせがまれたらどうしようもないよな。あーほんと、昔から変わってないんだよなぁ、あいつ。優しいの、すげー。俺が怪我するとすぐ泣きそうになっちゃってさぁ」
日桷のテーブルを囲むように立つ委員たちに、日桷和真はにこにこと笑いながら饒舌に話す。大きな声は敦賀の耳にまで届いていた。
日桷和真は仙道京のことをキョウと呼ぶ。理由はわからないが、それを他委員に聞いていた敦賀は日桷の言葉の内容に、不快感のあまり腸が煮えくり返りそうになる。
それを必死に耐え、ポーカーフェイスのままテーブルへと近付けば、そこでようやく日桷は敦賀の存在に気付いたようだ。
「あ、敦賀!遅いぞ!」
テーブルの上にはお菓子の残骸。ぼろぼろと溢した食べかすに眉を潜める敦賀だったが、すぐに日桷に目を向ける。
「悪いな、待たせて」
「お前来んの遅いからお菓子俺が全部食っちゃったよ」
元々指導室に菓子は用意してないはずだが、もしかしたら日桷の機嫌を損ねさせないために委員が用意したのかもしれない。日桷の傍にいた委員は申し訳なさそうな顔をして敦賀に耳打ちをした。
「すみません、委員長」
「気にするな。悪いけど、二人きりにしてもらえるか?」
「あの、でも」
あくまでも日桷に聞こえないような声量での敦賀の言葉に、風紀委員は動揺を露わにする。
しかし、敦賀が無言で委員の目を見れば、なにが言いたいのか察したようだ。顔を青くした委員は「わ、わかりました!失礼します!」と、他の委員たちを引っ張ってその場を後にした。
いきなり人がいなくなる指導室に驚いたような日桷だったが、向かい側のパイプ椅子に敦賀が腰を下ろすと嬉しそうに破顔する。対する敦賀も、表面上だけ微笑んでみせた。
「それじゃあ、なんの話からしようか」
「んー、そうだな。俺はなんでもいいぞ!お前良いやつだからな、特別になんでも答えてやるよ!」
「……そうだな」
なんでもいい、と言われても聞きたいことは一つしかなかった。
ゆっくりと背もたれから上半身を離した敦賀は、そのまま日桷和真に手をのばす。
「なら、仙道京とお前の関係について聞こうか」
優しく、相手の髪に触れた。近付く敦賀に「あ?」と目を丸くした日桷は、ようやく異変に気付いたようだ。
しかし、遅い。
後頭部。髪を引き千切る勢いで毛先に指を絡め、相手の頭部を鷲掴みにした敦賀は思いっきり相手の顔面をテーブルに叩き付ける。なにかが潰れるような音と手応えがあったが、それでも敦賀は手を離さず、強く、そのまま相手の頭を押さえ付けた。
「……お前、京になにをした?」
京と別れて、寮から出た敦賀真言は校舎へとやってきていた。
廊下を歩けば生徒たちの鋭い視線が向けられたが、今はそんなものに構ってるほどの余裕はない。
今にも噛み付いてきそうな不良生徒を無視し、颯爽にやってきたのは『指導室』と表示されたプレートが掲げられた扉の前。そこで見張りをしていた風紀委員たちは、敦賀の顔を見るなり慌てて背筋を伸ばす。
「委員長…」
「ご苦労。後は俺に任せておけ」
それだけ告げれば、困惑顔の委員たちもなにも言わずに道をあける。指導室の扉を開けば、そこには見慣れた室内が広がっていた。
そして、部屋の中央。簡素なテーブルとセットで置かれたパイプ椅子には、日桷和真の姿があった。
「見ただろ、あんたらも。キョウのあの顔!俺のこと心配してくれてんだよ、あいつ。涙目になっちゃってあんな風に必死にせがまれたらどうしようもないよな。あーほんと、昔から変わってないんだよなぁ、あいつ。優しいの、すげー。俺が怪我するとすぐ泣きそうになっちゃってさぁ」
日桷のテーブルを囲むように立つ委員たちに、日桷和真はにこにこと笑いながら饒舌に話す。大きな声は敦賀の耳にまで届いていた。
日桷和真は仙道京のことをキョウと呼ぶ。理由はわからないが、それを他委員に聞いていた敦賀は日桷の言葉の内容に、不快感のあまり腸が煮えくり返りそうになる。
それを必死に耐え、ポーカーフェイスのままテーブルへと近付けば、そこでようやく日桷は敦賀の存在に気付いたようだ。
「あ、敦賀!遅いぞ!」
テーブルの上にはお菓子の残骸。ぼろぼろと溢した食べかすに眉を潜める敦賀だったが、すぐに日桷に目を向ける。
「悪いな、待たせて」
「お前来んの遅いからお菓子俺が全部食っちゃったよ」
元々指導室に菓子は用意してないはずだが、もしかしたら日桷の機嫌を損ねさせないために委員が用意したのかもしれない。日桷の傍にいた委員は申し訳なさそうな顔をして敦賀に耳打ちをした。
「すみません、委員長」
「気にするな。悪いけど、二人きりにしてもらえるか?」
「あの、でも」
あくまでも日桷に聞こえないような声量での敦賀の言葉に、風紀委員は動揺を露わにする。
しかし、敦賀が無言で委員の目を見れば、なにが言いたいのか察したようだ。顔を青くした委員は「わ、わかりました!失礼します!」と、他の委員たちを引っ張ってその場を後にした。
いきなり人がいなくなる指導室に驚いたような日桷だったが、向かい側のパイプ椅子に敦賀が腰を下ろすと嬉しそうに破顔する。対する敦賀も、表面上だけ微笑んでみせた。
「それじゃあ、なんの話からしようか」
「んー、そうだな。俺はなんでもいいぞ!お前良いやつだからな、特別になんでも答えてやるよ!」
「……そうだな」
なんでもいい、と言われても聞きたいことは一つしかなかった。
ゆっくりと背もたれから上半身を離した敦賀は、そのまま日桷和真に手をのばす。
「なら、仙道京とお前の関係について聞こうか」
優しく、相手の髪に触れた。近付く敦賀に「あ?」と目を丸くした日桷は、ようやく異変に気付いたようだ。
しかし、遅い。
後頭部。髪を引き千切る勢いで毛先に指を絡め、相手の頭部を鷲掴みにした敦賀は思いっきり相手の顔面をテーブルに叩き付ける。なにかが潰れるような音と手応えがあったが、それでも敦賀は手を離さず、強く、そのまま相手の頭を押さえ付けた。
「……お前、京になにをした?」
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