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第7章 事後
1 ファルメニウス公爵家とガルドベンダ公爵家の関係
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さて、アイリン夫人はダイロおっちゃんとガフェルおっちゃんの、正確かつ献身的な治療で、
かなり良くなった…。
ツァリオ閣下は…別についていなくてもいいのだが、アイリン夫人に付いていたいようで、
ずっとファルメニウス公爵家の医療施設に寝泊まりしている。
本当に…仲のいい夫婦だよね、うん。
だから…ジョノァドに付け入るスキを与えちまったなんて、皮肉だなぁ。
私は…このころ家に閉じこもりがちに、ならねばならなかった故、頻繁に医療施設を訪れて
いた。
医療施設でしなきゃいけない事は…色々あったしね。
「もうだいぶ…良くなりましたね。痛みはほぼ引いたようですね」
病室のアイリン夫人は…血色もよくなり、食事も排泄も自分で移動して行えるようになった。
少し前では…考えられなかったことだ。
「本当に…色々ありがとうございました…」
ツァリオ閣下から事情を聞いたのだろう…。
アイリン夫人は、深々と頭を下げてくれた。
「ここまで回復したら…自宅療養で大丈夫とのことです。
ただ…ゴギュラン病は根絶が結構難しいので、油断は禁物です。
また何かあったら、いつでもどうぞ」
そんな話をしつつ…私は忙しいおっちゃんらの代わりに、注意点をもう一度伝えた。
「重症の患者が…何人か来ているようですね…」
「ええ…大抵はファルメニウス病院か、フィリアム病院で対応できているんですが…、
5つの都市で一気に広がってしまったから…、その中には重症の方もいて…直接ダイロおっちゃんと
ガフェルおっちゃんが見ないと、マズいものがありましたから」
「しかし…逆に言えば、地方の病院で対応できるのが凄いですよ」
「あ~、一応…こういう時の対応システムを…構築して試験していた最中だったので…。
それが思いのほか、功を奏しました。
だから…ギリアムにもヒラテス閣下の所に、持っていってもらったんです。
ご意見聞きたくて」
「ほう…それは…、是非わしも見てみたいですな」
「では…後で届けさせますね」
楽しく談笑していると、
「奥様…そろそろお時間です…」
ジェードが呼びに来た。
「あ、そか…、じゃあ私はこれで失礼します」
挨拶もそこそこに、病室を出ると、
「今の所は…怪しい動きはしていません…」
「あそ、まあ…、ゴギュラン病の第2期の重い状態じゃあ…滅多なことは出来ないだろうけど」
「油断は禁物です」
「わかってるわ」
私とジェードは…そんな話をしながら、長い廊下をつかつかと歩いて行った。
-----------------------------------------------------------------------------------------
さて…早いもので、アイリン夫人はガルドベンダ公爵家に帰る日になった。
私は…アイリン夫人とツァリオ閣下が帰る前日に、2人の病室にギリアムと共に行った。
必ず…話しておかなきゃならないことがあったから。
「明日から…ガルドベンダ公爵家で療養して大丈夫…、という事になりました。
だから…お見送りの前に、お話したいことがあり、参りました」
私が口上を述べると、
「本当に…感謝しております…」
2人は…深々と頭を下げた。
「まず…先の法案はありがとうございました…。今後の改定にも協力くださるとのこと…。
一安心です」
「とんでもない。あの法案…もともとわしは賛成でしたよ。素晴らしいものだ」
「そう言っていただけると…とても嬉しいです」
私は…自然と笑顔になった。
ツァリオ閣下は改めて、ギリアムを見て、
「しかし…よく税の項目を分けるところから始まって、免税の考え方など…複雑だが
わかりやすくまとめたものだ。
文の才能がふんだんにある武など…本当に、規格外もいい所だ」
ちょっと…皮肉ってるなぁ。
まあ、皮肉が言えるぐらい、元気になったって事にしとこうか。
「あれは…そもそも最初の法案を作る時、原案を出したのはフィリーです。
それを…私が上手くまとめたにすぎません」
ギリアムの言葉に、
「なんと!!そうでしたか!!
医療だけでなく、税のシステムまで…素晴らしいな」
……あ、いらん事言ったなギリアムよ…。
前世の…税に詳しいお客さんから聞いた知識を…覚えてる限りでひっちゃかめっちゃかに
言っただけだぞ。
「いえ…私は…今まで見聞きした話を、ギリアムにありったけ言っただけです。
それを…上手くまとめたのは、ギリアムの力だと思いますので…」
とりあえず逃げるが、
「とんでもない!!大元…根幹を作る元を提供したなら、それは十分アナタの力ですよ、
オルフィリア公爵夫人…」
剣山が…剣山が追ってきて、イテー。
「しかし…」
ここでツァリオ閣下が少し…顔に陰りを見せ、
「本当に医療費は、正規の料金だけで良いのですかな?」
まあ…そうだよね。
そもそもファルメニウス公爵家と同じで…何かを要求されない方が…おかしい家柄だ。
「そうですね…じゃあ、ギリアムと私と…一つずつ、お願い事を言います」
ちょっとはにかみながら、言ってみる。
「わかりました…」
かなり神妙にしているな…。
多少無理なお願いでも…聞く気でいるに違いない…。
私とギリアムだったら、ジョノァドのような事、要求しないとも思っているんだろう。
「ではまず、私から…。
もし…答えがまだ見つかっていないなら…、そろそろ教えを乞いに行ってくださいませんか?」
「は?」
「言いましたよね…以前…。
太陽の家の人たちに話をしたら、みんなだいたい答えられた…って。
ある程度ご自身で考えることは必要ですが、もうだいぶたちますので、答えを聞きに行かれては
いかがでしょうか?」
すると…ツァリオ閣下は思い出したようで、
「そう…ですね。もう…答えを教えてもらいに行ったほうが、良いですね…」
と。
「じゃあ…貴族の方用の、申込用紙をお渡ししますね」
凄く…素直になってくれて、良かったなぁ。
「では…、次は私だな」
ギリアムは完全に…無表情~って感じで、
「アナタなら…ファルメニウスとガルドベンダの、初代の誓いを覚えていますよね?」
「それは…当然…」
初代の誓い…それは、ともに建国の功臣であった2人が…誓いあったものだ。
「我らの間に、上下などない。
なれ合いなど望まぬ。
武と文にわかれても、その根はともに…国と民の為にあるべし」
ツァリオ閣下は正確に言葉を紡いでくれた。
「今後それを…忠実に守って頂くこと…。
それが私の望みです」
「なに…?」
ツァリオ閣下…これはちょっとわからないみたい。
ギリアムは、そんなツァリオ閣下に説明する。
「そもそもファルメニウスとガルドベンダが、不可侵となったのは…。
国の規定がどうであれ、上か下かを作らない為だったと思うのです。
ベタベタくっつく必要性は無い…第一、そうなれば別の弊害が出ますからね。
ですが、なれ合いを望まないと言うのと、仲良くしないこと、助け合わないことは、決して
イコールではありません」
「お互いがお互い…国と民の事を考え、衝突しても完全に敵対することは無し…そんな思いが
込められているように感じます。
だから…今回のような事があったら、素直に助けを求めて下さればよかったんですよ…」
「ですがそれが出来なかったのは…、ひとえに父の代を経験したからだと思われます。
人の弱みに付け込んで…、ともすれば言いがかりのような形で、人を害するでは…、
弱っている姿なぞ、絶対に見せられませんからね…」
ギリアムは…ここで少し目を閉じ…再度開く。
「ですが私は…父とは違います」
「今回フィリーが…あなた方を助けるにあたり、私を説得した時に…言われました。
もし私がアナタの立場であったなら…ジョノァドの言う事を絶対に聞かなかったと…言い切れますか?
とね」
「私は…絶対に言う事を聞かないと、言い切ることが出来なかった。
それくらい妻を愛しているから…。あなたとてそうでしょう?」
「ああ…」
短い言葉の中に…全ての感情が籠っている…そんな答えだった。
「そもそも法案に関しては…ガルドベンダ公爵家の方が、慣れていらっしゃるでしょう?
今後…新法によって出て来る、様々な問題点を考えつつ、良くしていく…。
それには、ガルドベンダ公爵家の力が必要不可欠なんです。
それも…誰かの意図によって、曲がった状態でない…父と真っ向から対抗したアナタの
力が…ね」
ギリアムは…ここで改めて顔と…気を引き締めたようで、
「フィリーがあなたに…以前言ったでしょう?」
「手加減、手心一切不要!!と。
こちらもそう言った心得で行きますので、何卒あなたもそのおつもりで、ファルメニウス公爵家に
相対してください」
「民の…それも大勢の命を奪える地位にいるのだから、その位でちょうどいいとは思いませんか?」
言いつつも…少しだけ、笑った。
すると少しだけ間をおいて…、ツァリオ閣下も大笑いしだし、
「全く…その通りだな」
とだけ。
私は…この愉快で穏やかな空気が…、永遠であって欲しいと、願ってやまなかった。
かなり良くなった…。
ツァリオ閣下は…別についていなくてもいいのだが、アイリン夫人に付いていたいようで、
ずっとファルメニウス公爵家の医療施設に寝泊まりしている。
本当に…仲のいい夫婦だよね、うん。
だから…ジョノァドに付け入るスキを与えちまったなんて、皮肉だなぁ。
私は…このころ家に閉じこもりがちに、ならねばならなかった故、頻繁に医療施設を訪れて
いた。
医療施設でしなきゃいけない事は…色々あったしね。
「もうだいぶ…良くなりましたね。痛みはほぼ引いたようですね」
病室のアイリン夫人は…血色もよくなり、食事も排泄も自分で移動して行えるようになった。
少し前では…考えられなかったことだ。
「本当に…色々ありがとうございました…」
ツァリオ閣下から事情を聞いたのだろう…。
アイリン夫人は、深々と頭を下げてくれた。
「ここまで回復したら…自宅療養で大丈夫とのことです。
ただ…ゴギュラン病は根絶が結構難しいので、油断は禁物です。
また何かあったら、いつでもどうぞ」
そんな話をしつつ…私は忙しいおっちゃんらの代わりに、注意点をもう一度伝えた。
「重症の患者が…何人か来ているようですね…」
「ええ…大抵はファルメニウス病院か、フィリアム病院で対応できているんですが…、
5つの都市で一気に広がってしまったから…、その中には重症の方もいて…直接ダイロおっちゃんと
ガフェルおっちゃんが見ないと、マズいものがありましたから」
「しかし…逆に言えば、地方の病院で対応できるのが凄いですよ」
「あ~、一応…こういう時の対応システムを…構築して試験していた最中だったので…。
それが思いのほか、功を奏しました。
だから…ギリアムにもヒラテス閣下の所に、持っていってもらったんです。
ご意見聞きたくて」
「ほう…それは…、是非わしも見てみたいですな」
「では…後で届けさせますね」
楽しく談笑していると、
「奥様…そろそろお時間です…」
ジェードが呼びに来た。
「あ、そか…、じゃあ私はこれで失礼します」
挨拶もそこそこに、病室を出ると、
「今の所は…怪しい動きはしていません…」
「あそ、まあ…、ゴギュラン病の第2期の重い状態じゃあ…滅多なことは出来ないだろうけど」
「油断は禁物です」
「わかってるわ」
私とジェードは…そんな話をしながら、長い廊下をつかつかと歩いて行った。
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さて…早いもので、アイリン夫人はガルドベンダ公爵家に帰る日になった。
私は…アイリン夫人とツァリオ閣下が帰る前日に、2人の病室にギリアムと共に行った。
必ず…話しておかなきゃならないことがあったから。
「明日から…ガルドベンダ公爵家で療養して大丈夫…、という事になりました。
だから…お見送りの前に、お話したいことがあり、参りました」
私が口上を述べると、
「本当に…感謝しております…」
2人は…深々と頭を下げた。
「まず…先の法案はありがとうございました…。今後の改定にも協力くださるとのこと…。
一安心です」
「とんでもない。あの法案…もともとわしは賛成でしたよ。素晴らしいものだ」
「そう言っていただけると…とても嬉しいです」
私は…自然と笑顔になった。
ツァリオ閣下は改めて、ギリアムを見て、
「しかし…よく税の項目を分けるところから始まって、免税の考え方など…複雑だが
わかりやすくまとめたものだ。
文の才能がふんだんにある武など…本当に、規格外もいい所だ」
ちょっと…皮肉ってるなぁ。
まあ、皮肉が言えるぐらい、元気になったって事にしとこうか。
「あれは…そもそも最初の法案を作る時、原案を出したのはフィリーです。
それを…私が上手くまとめたにすぎません」
ギリアムの言葉に、
「なんと!!そうでしたか!!
医療だけでなく、税のシステムまで…素晴らしいな」
……あ、いらん事言ったなギリアムよ…。
前世の…税に詳しいお客さんから聞いた知識を…覚えてる限りでひっちゃかめっちゃかに
言っただけだぞ。
「いえ…私は…今まで見聞きした話を、ギリアムにありったけ言っただけです。
それを…上手くまとめたのは、ギリアムの力だと思いますので…」
とりあえず逃げるが、
「とんでもない!!大元…根幹を作る元を提供したなら、それは十分アナタの力ですよ、
オルフィリア公爵夫人…」
剣山が…剣山が追ってきて、イテー。
「しかし…」
ここでツァリオ閣下が少し…顔に陰りを見せ、
「本当に医療費は、正規の料金だけで良いのですかな?」
まあ…そうだよね。
そもそもファルメニウス公爵家と同じで…何かを要求されない方が…おかしい家柄だ。
「そうですね…じゃあ、ギリアムと私と…一つずつ、お願い事を言います」
ちょっとはにかみながら、言ってみる。
「わかりました…」
かなり神妙にしているな…。
多少無理なお願いでも…聞く気でいるに違いない…。
私とギリアムだったら、ジョノァドのような事、要求しないとも思っているんだろう。
「ではまず、私から…。
もし…答えがまだ見つかっていないなら…、そろそろ教えを乞いに行ってくださいませんか?」
「は?」
「言いましたよね…以前…。
太陽の家の人たちに話をしたら、みんなだいたい答えられた…って。
ある程度ご自身で考えることは必要ですが、もうだいぶたちますので、答えを聞きに行かれては
いかがでしょうか?」
すると…ツァリオ閣下は思い出したようで、
「そう…ですね。もう…答えを教えてもらいに行ったほうが、良いですね…」
と。
「じゃあ…貴族の方用の、申込用紙をお渡ししますね」
凄く…素直になってくれて、良かったなぁ。
「では…、次は私だな」
ギリアムは完全に…無表情~って感じで、
「アナタなら…ファルメニウスとガルドベンダの、初代の誓いを覚えていますよね?」
「それは…当然…」
初代の誓い…それは、ともに建国の功臣であった2人が…誓いあったものだ。
「我らの間に、上下などない。
なれ合いなど望まぬ。
武と文にわかれても、その根はともに…国と民の為にあるべし」
ツァリオ閣下は正確に言葉を紡いでくれた。
「今後それを…忠実に守って頂くこと…。
それが私の望みです」
「なに…?」
ツァリオ閣下…これはちょっとわからないみたい。
ギリアムは、そんなツァリオ閣下に説明する。
「そもそもファルメニウスとガルドベンダが、不可侵となったのは…。
国の規定がどうであれ、上か下かを作らない為だったと思うのです。
ベタベタくっつく必要性は無い…第一、そうなれば別の弊害が出ますからね。
ですが、なれ合いを望まないと言うのと、仲良くしないこと、助け合わないことは、決して
イコールではありません」
「お互いがお互い…国と民の事を考え、衝突しても完全に敵対することは無し…そんな思いが
込められているように感じます。
だから…今回のような事があったら、素直に助けを求めて下さればよかったんですよ…」
「ですがそれが出来なかったのは…、ひとえに父の代を経験したからだと思われます。
人の弱みに付け込んで…、ともすれば言いがかりのような形で、人を害するでは…、
弱っている姿なぞ、絶対に見せられませんからね…」
ギリアムは…ここで少し目を閉じ…再度開く。
「ですが私は…父とは違います」
「今回フィリーが…あなた方を助けるにあたり、私を説得した時に…言われました。
もし私がアナタの立場であったなら…ジョノァドの言う事を絶対に聞かなかったと…言い切れますか?
とね」
「私は…絶対に言う事を聞かないと、言い切ることが出来なかった。
それくらい妻を愛しているから…。あなたとてそうでしょう?」
「ああ…」
短い言葉の中に…全ての感情が籠っている…そんな答えだった。
「そもそも法案に関しては…ガルドベンダ公爵家の方が、慣れていらっしゃるでしょう?
今後…新法によって出て来る、様々な問題点を考えつつ、良くしていく…。
それには、ガルドベンダ公爵家の力が必要不可欠なんです。
それも…誰かの意図によって、曲がった状態でない…父と真っ向から対抗したアナタの
力が…ね」
ギリアムは…ここで改めて顔と…気を引き締めたようで、
「フィリーがあなたに…以前言ったでしょう?」
「手加減、手心一切不要!!と。
こちらもそう言った心得で行きますので、何卒あなたもそのおつもりで、ファルメニウス公爵家に
相対してください」
「民の…それも大勢の命を奪える地位にいるのだから、その位でちょうどいいとは思いませんか?」
言いつつも…少しだけ、笑った。
すると少しだけ間をおいて…、ツァリオ閣下も大笑いしだし、
「全く…その通りだな」
とだけ。
私は…この愉快で穏やかな空気が…、永遠であって欲しいと、願ってやまなかった。
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