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第6章 会談
5 ゾフィーナ夫人の思惑
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「ゾフィーナ夫人にとっては…会場がケイシロン公爵家でも、ファルメニウス公爵家でも、
どちらでもよかったんです。
あの人が欲しかったのは…第三者の介入が難しい、密室です。
要求が通らなければ…ファルメニウス公爵家で、ハンガーストライキを始めたでしょう。
だから私は…今回は負けカナ…と、思ったんです。
まあ、ツァリオ閣下がひっくり返してくださったので、本当に助かりましたが」
「じゃ、じゃあどうして、クァーリア夫人はファルメニウス公爵家に行けだなんて…」
マギーよ…それは自分で考えて、クァーリア夫人に聞くべきことだと思うが…。
まあいい。
「私が…少しばかり薬を、融通しようとしたのと同じですよ」
「え…?」
「まず…ゾフィーナ夫人にケイシロン公爵家に居座られると、ローエン閣下が暫く帰って
来れない以上、ファルメニウス公爵家以上にマズい事になるとわかっていたんです」
「だから…ひとまず相手の意のままに、行動してみた…。
ただ…もし私が門前払いしたら、ケイシロン公爵家でハンガーストライキを始めたと
思うから…クァーリア夫人が私の所に、それを知らせに来たと思う。
ハンガーストライキはやり始めはまだしも、時間が経つほど効力が出る。
それを封じるためには、やはり私に受け入れ要請を出す必要があると思うからね」
「ギリアムゥ~」
「なんだ、変な声を出して…」
ギリアムはローカス卿の声に、鳥肌が立っているよう。
「お前のオバハンこえぇよぉ~」
「……今頃わかったのか?」
ギリアムは…苦虫を嚙み潰したような顔に…呆れの色を足している。
「まあ…前置きが長くなったけど…。
私はゾフィーナ夫人の企みがわかっていたし、マーガレット夫人とルリーラ夫人…2人合わせても
ゾフィーナ夫人にかなわないのもわかってたから、特に罪には問わなかった。
でもさっきも言った通り…善良だから罪を犯しても許されるわけじゃない。
あくまで私の好意で、無かったことにしただけ。
私の意思を無視して、押し掛けてきた段階で…その事もわかっていないと判断した。
ティタノ陛下が切れ…って暗にほのめかした理由が…すごくよく分かったわ」
「ご、ごめんなさい、フィリー…。次は絶対にゾフィーナ夫人を入れたりは…」
純粋なのは…マギーのいい所なんだが…、
「いい加減にしろ!!マーガレット夫人!!」
私が何か言う前に、ギリアムが出てしもうた…。
「次は入れないと言うが…、キミはそれがどれだけ不可能な事か、わかっているのか?
叔母上はそれも…全部計算しているぞ!!
どうやって避ける気だ!!」
どうも…ゾフィーナくそばばぁの事となると、熱くなるようだ…。
まあ、それだけ煮え湯を飲まされてきたんだろうが。
「め、迷惑をかけたのだから、門前払いをしても…」
「どんな迷惑を、いつかけた?
言っておくが、貴族の邸宅内に入り込んだが最後、立証は至難の業だぞ。
そして…ケイシロンよりドラヴェルグの方が、爵位が上だ。
断るなら、それ相応の理由がいる。
まして…ドラヴェルグ側に危急の事で、困っていて…そうだな、例えば中に乗っている人間が
急病などだな。
それを断れば、非難はケイシロン公爵家に行く。
どうするんだ?」
マギーは…半泣きになってる…あ~あ。
「ギリアム!!」
私はギリアムの頭を、持っていたバッグでたたく。
「女性に対して、強く出ないでください!!と!!申し上げているでしょう!!」
ギリアムは…渋い顔をして、矛を収めた。
私はそれを確認しつつ、
「でも…ギリアムの言った通りですよ。
ローエン閣下とローカス卿のお立場から…急病などを使われては、入れざるをえません。
ファルメニウス公爵家とてそうです。
よっぽど閉鎖的な家門だったり、ちょっと前に襲撃があったなどがあれば、断るネタにも
なりますが、特にファルメニウス公爵家やケイシロン公爵家にそんなことをするバカもいない
ですから、余計です。
そして入ってしまえば…あとはゾフィーナ夫人はいくらでも自分の持っていきたい方向に
持っていきます。
ローエン閣下がいれば、そうはいかないかもしれませんが…、あなた方2人では…ね」
無表情で言ってのける。
すると…。
「あの…オルフィリア公爵夫人…」
今度はルリーラ夫人が出てきた。
「実は…クァーリア夫人から言われているのです…。
ケイシロン公爵家にオルフィリア公爵夫人を呼びつけたり、ファルメニウス公爵家に乗り込む
事が、ゾフィーナ夫人の本当の目的ではなかった…と。
でも…その答えは自分で考えてみなさいと言われていて…、でも一向にわからなくて…。
オルフィリア公爵夫人には…お分かりになるのでしょうか…?」
「まあ…それはご自分で考えて…と言いたいところですが、あの件からそれなりに経っていますし、
この件と連動するので…、答えを言わせていただきます」
私は少しばかり間を置き、
「ゾフィーナ夫人の本当の目的は…ケイシロン公爵家からファルメニウス公爵家に要請を出して
薬を買い付ける事です」
「!!!!」
あ…皆さまびっくりゃしてる。
「あ、あの人…そんなこと一言も…」
「でしょうね。これは…ゾフィーナ夫人が、クァーリア夫人が来ることを、見越した上で隠した
訳ですから。
事実…クァーリア夫人は見抜いていたようですし…」
「で、でも何でそんなこと…(ローカス)」
「あら、考えてもみてください。それが一番手っ取り早いですよ。
ケイシロン公爵家からの要請であれば、ファルメニウス公爵家は受けたと思います。
そうすれば…薬を買い付けることは、比較的簡単だったでしょう。
その証拠に…ルニヴィア夫人が最初に薬を買って欲しいと、ケイシロン公爵家に要請している
じゃないですか。
あれだって…ゾフィーナ夫人の指示だと思いますよ。
上手くいけば、これ以上はないくらい楽です」
「だったら最初からそう言えば…」
「それはマズいです。
ハッキリそう言ってしまえば…ローエン閣下が帰ってきてから、ひと悶着を覚悟しなければ
ならないので」
「ギリアム同様、ローエン閣下を相手取るのは、一筋縄では行きません。
だから…本当の目的は言わずに、聡い人間に悟らせるのが一番です。
ついでに言うと…、それが通らなかった場合、何をしでかすかも一緒に…ね」
「クァーリア夫人としても、苦渋の決断だったと思いますよ。
ゾフィーナ夫人をファルメニウス公爵家に行かせれば…、そっちで大迷惑をかけるのは
わかりきっていた。
でも…現状として、ケイシロン公爵家に残せば、かなりの被害が出るし、ファルメニウス公爵家
にも、飛び火は避けられない。
だから私に…その辺を含めた、最終判断をしてもらおうと思ったのよ」
その場の空気が…さらに重くなった…。
「だったら…ケイシロンから、少しばかり薬を融通しても…」
じい様!!そりゃ、甘いよ!!
「そうすれば確かに、ファルメニウス公爵家に迷惑をかけないかもしれませんが…。
ゾフィーナ夫人は確実に、ローエン閣下に食い込みます!!」
「はあぁ!!そりゃ無理だろう!!」
まあ…ローカスはじい様の怖さを一番知っているから、そうなるんだろうが…。
「いいえ…やり方によっては、十分可能ですよ…。
身近に一ついい例がありますので…、それでご説明しましょう」
「いい例?」
「カティラの一件です…。
あまりやりたくありませんが、私がもし…ゾフィーナ夫人だったらどうしたか…。
お話ししましょう」
皆が静かになったのを見計らって、
「まず…情報をできるだけ集めるのは変わりませんが、カティラが存命なことは…絶対に
隠します。
場合によっては…始末できる準備まで、整えるでしょう」
「!!!!」
「そして…ルリーラ夫人を脅すとともに、ジィリアの手紙が出てきたら、ジィリアも脅して…
自分の息のかかった人間を、一定数ケイシロンに雇用させますね…。
んで、もともといる使用人で、自分になびく人間は残し、なびかない人間は駆逐します。
そこまでやったら…ローエン閣下の毒殺に入るでしょうね」
「な、なにぃ!!」
いや…驚かないでよ…序の口だよ、これ…。
「ただ…疑われるような、即効性の毒は使いません。
一年以上かけて…徐々に弱る遅効性の毒を使うでしょう。
そうやってローエン閣下を追い出した後は…、ローカス卿が当然継ぎますので…。
そのタイミングで、40年前の事件を持ち出し、公表されたくなければ…云々が始まります。
ああ、場合によっては…私が見せたブローチを使うのも一つですね。
カティラの遺体が握っていた…とでも言えば、より信憑性が高くなる。
ルリーラ夫人は体の調子を崩しやすいので、過酷な牢屋に入ればどうなるか、ローカス卿には
よくわかると思います。
人殺しと後ろ指をさされれば、ケイシロンとてどうなるかわかりません。
実際ゾフィーナ夫人がどういった要求をし、どこまでローカス卿が聞くかはわかりませんが…。
汚れ仕事と借金は、全てケイシロンに持ってくるでしょう。
その中で…やってくれる範囲を見極めて…、生かさず殺さずで、出来るだけ甘い汁を吸う…かな」
あ…ローエンじい様とローカス卿…青くなっとる。
「そしてさらに…」
「ま、まだあるのかよ!!」
当然じゃん、ローカスよ。
「マギーなりジシーなり他の誰かなり…自分が御しやすい人間との間に、複数子供をもうけさせて…。
それが済んだら、ローカス卿も遅効性の毒で、病気に見せかけて毒殺だな。
んで、残った小さい子とその親は…殆どその時点で取り込んでいるだろうから、それを使って、最終的に
ケイシロンを自分の物にしますね…。
それも…表に一切出ないで、裏からやります…。
ケイシロンに利用価値が一切なくなったら、爵位売らせて、その金奪って子供と母親は秘密裏に処理…
ってとこね」
私は言葉を…ここで締めくくった。
まあ、実際ここまでやるかどうかは、さておき…。
私はジョノァドやレベッカとつるむだけでなく、ある程度…利用し合う間柄になれるなら、この程度
やれないと無理と判断したんだ。
じゃなきゃ…他の連中と同じように、うまい所だけ喰われて終わる…。
ただそれだけの存在に、なっちまうはずだ。
…………………………。
ギリアム以外の皆さま…青くなったり白くなったり疲れませんか?
「ギ、ギギギ、ギリアム!!」
ローカス卿がギリアムの肩をがっしりと掴み、
「お、お前のオバハン何とかしろ!!マジで!!うちも出禁にしたい!!
出禁にする方法、お前のいい頭で考えろ!!親友からの頼みだ!!」
「だから…私とローカス卿は、いつから親友になったんだ?」
冷静に返すギリアム…。
「まあ…ここまで色々言ったことの…どこまでやるかはさておいて…。
可能性とは言え、そういった食い込み方ができる…と、お話したかったんですよ」
私は…ここでギャーギャーやっているギリアムとローカス卿をほっといて、脱線した話を戻す事にした。
どちらでもよかったんです。
あの人が欲しかったのは…第三者の介入が難しい、密室です。
要求が通らなければ…ファルメニウス公爵家で、ハンガーストライキを始めたでしょう。
だから私は…今回は負けカナ…と、思ったんです。
まあ、ツァリオ閣下がひっくり返してくださったので、本当に助かりましたが」
「じゃ、じゃあどうして、クァーリア夫人はファルメニウス公爵家に行けだなんて…」
マギーよ…それは自分で考えて、クァーリア夫人に聞くべきことだと思うが…。
まあいい。
「私が…少しばかり薬を、融通しようとしたのと同じですよ」
「え…?」
「まず…ゾフィーナ夫人にケイシロン公爵家に居座られると、ローエン閣下が暫く帰って
来れない以上、ファルメニウス公爵家以上にマズい事になるとわかっていたんです」
「だから…ひとまず相手の意のままに、行動してみた…。
ただ…もし私が門前払いしたら、ケイシロン公爵家でハンガーストライキを始めたと
思うから…クァーリア夫人が私の所に、それを知らせに来たと思う。
ハンガーストライキはやり始めはまだしも、時間が経つほど効力が出る。
それを封じるためには、やはり私に受け入れ要請を出す必要があると思うからね」
「ギリアムゥ~」
「なんだ、変な声を出して…」
ギリアムはローカス卿の声に、鳥肌が立っているよう。
「お前のオバハンこえぇよぉ~」
「……今頃わかったのか?」
ギリアムは…苦虫を嚙み潰したような顔に…呆れの色を足している。
「まあ…前置きが長くなったけど…。
私はゾフィーナ夫人の企みがわかっていたし、マーガレット夫人とルリーラ夫人…2人合わせても
ゾフィーナ夫人にかなわないのもわかってたから、特に罪には問わなかった。
でもさっきも言った通り…善良だから罪を犯しても許されるわけじゃない。
あくまで私の好意で、無かったことにしただけ。
私の意思を無視して、押し掛けてきた段階で…その事もわかっていないと判断した。
ティタノ陛下が切れ…って暗にほのめかした理由が…すごくよく分かったわ」
「ご、ごめんなさい、フィリー…。次は絶対にゾフィーナ夫人を入れたりは…」
純粋なのは…マギーのいい所なんだが…、
「いい加減にしろ!!マーガレット夫人!!」
私が何か言う前に、ギリアムが出てしもうた…。
「次は入れないと言うが…、キミはそれがどれだけ不可能な事か、わかっているのか?
叔母上はそれも…全部計算しているぞ!!
どうやって避ける気だ!!」
どうも…ゾフィーナくそばばぁの事となると、熱くなるようだ…。
まあ、それだけ煮え湯を飲まされてきたんだろうが。
「め、迷惑をかけたのだから、門前払いをしても…」
「どんな迷惑を、いつかけた?
言っておくが、貴族の邸宅内に入り込んだが最後、立証は至難の業だぞ。
そして…ケイシロンよりドラヴェルグの方が、爵位が上だ。
断るなら、それ相応の理由がいる。
まして…ドラヴェルグ側に危急の事で、困っていて…そうだな、例えば中に乗っている人間が
急病などだな。
それを断れば、非難はケイシロン公爵家に行く。
どうするんだ?」
マギーは…半泣きになってる…あ~あ。
「ギリアム!!」
私はギリアムの頭を、持っていたバッグでたたく。
「女性に対して、強く出ないでください!!と!!申し上げているでしょう!!」
ギリアムは…渋い顔をして、矛を収めた。
私はそれを確認しつつ、
「でも…ギリアムの言った通りですよ。
ローエン閣下とローカス卿のお立場から…急病などを使われては、入れざるをえません。
ファルメニウス公爵家とてそうです。
よっぽど閉鎖的な家門だったり、ちょっと前に襲撃があったなどがあれば、断るネタにも
なりますが、特にファルメニウス公爵家やケイシロン公爵家にそんなことをするバカもいない
ですから、余計です。
そして入ってしまえば…あとはゾフィーナ夫人はいくらでも自分の持っていきたい方向に
持っていきます。
ローエン閣下がいれば、そうはいかないかもしれませんが…、あなた方2人では…ね」
無表情で言ってのける。
すると…。
「あの…オルフィリア公爵夫人…」
今度はルリーラ夫人が出てきた。
「実は…クァーリア夫人から言われているのです…。
ケイシロン公爵家にオルフィリア公爵夫人を呼びつけたり、ファルメニウス公爵家に乗り込む
事が、ゾフィーナ夫人の本当の目的ではなかった…と。
でも…その答えは自分で考えてみなさいと言われていて…、でも一向にわからなくて…。
オルフィリア公爵夫人には…お分かりになるのでしょうか…?」
「まあ…それはご自分で考えて…と言いたいところですが、あの件からそれなりに経っていますし、
この件と連動するので…、答えを言わせていただきます」
私は少しばかり間を置き、
「ゾフィーナ夫人の本当の目的は…ケイシロン公爵家からファルメニウス公爵家に要請を出して
薬を買い付ける事です」
「!!!!」
あ…皆さまびっくりゃしてる。
「あ、あの人…そんなこと一言も…」
「でしょうね。これは…ゾフィーナ夫人が、クァーリア夫人が来ることを、見越した上で隠した
訳ですから。
事実…クァーリア夫人は見抜いていたようですし…」
「で、でも何でそんなこと…(ローカス)」
「あら、考えてもみてください。それが一番手っ取り早いですよ。
ケイシロン公爵家からの要請であれば、ファルメニウス公爵家は受けたと思います。
そうすれば…薬を買い付けることは、比較的簡単だったでしょう。
その証拠に…ルニヴィア夫人が最初に薬を買って欲しいと、ケイシロン公爵家に要請している
じゃないですか。
あれだって…ゾフィーナ夫人の指示だと思いますよ。
上手くいけば、これ以上はないくらい楽です」
「だったら最初からそう言えば…」
「それはマズいです。
ハッキリそう言ってしまえば…ローエン閣下が帰ってきてから、ひと悶着を覚悟しなければ
ならないので」
「ギリアム同様、ローエン閣下を相手取るのは、一筋縄では行きません。
だから…本当の目的は言わずに、聡い人間に悟らせるのが一番です。
ついでに言うと…、それが通らなかった場合、何をしでかすかも一緒に…ね」
「クァーリア夫人としても、苦渋の決断だったと思いますよ。
ゾフィーナ夫人をファルメニウス公爵家に行かせれば…、そっちで大迷惑をかけるのは
わかりきっていた。
でも…現状として、ケイシロン公爵家に残せば、かなりの被害が出るし、ファルメニウス公爵家
にも、飛び火は避けられない。
だから私に…その辺を含めた、最終判断をしてもらおうと思ったのよ」
その場の空気が…さらに重くなった…。
「だったら…ケイシロンから、少しばかり薬を融通しても…」
じい様!!そりゃ、甘いよ!!
「そうすれば確かに、ファルメニウス公爵家に迷惑をかけないかもしれませんが…。
ゾフィーナ夫人は確実に、ローエン閣下に食い込みます!!」
「はあぁ!!そりゃ無理だろう!!」
まあ…ローカスはじい様の怖さを一番知っているから、そうなるんだろうが…。
「いいえ…やり方によっては、十分可能ですよ…。
身近に一ついい例がありますので…、それでご説明しましょう」
「いい例?」
「カティラの一件です…。
あまりやりたくありませんが、私がもし…ゾフィーナ夫人だったらどうしたか…。
お話ししましょう」
皆が静かになったのを見計らって、
「まず…情報をできるだけ集めるのは変わりませんが、カティラが存命なことは…絶対に
隠します。
場合によっては…始末できる準備まで、整えるでしょう」
「!!!!」
「そして…ルリーラ夫人を脅すとともに、ジィリアの手紙が出てきたら、ジィリアも脅して…
自分の息のかかった人間を、一定数ケイシロンに雇用させますね…。
んで、もともといる使用人で、自分になびく人間は残し、なびかない人間は駆逐します。
そこまでやったら…ローエン閣下の毒殺に入るでしょうね」
「な、なにぃ!!」
いや…驚かないでよ…序の口だよ、これ…。
「ただ…疑われるような、即効性の毒は使いません。
一年以上かけて…徐々に弱る遅効性の毒を使うでしょう。
そうやってローエン閣下を追い出した後は…、ローカス卿が当然継ぎますので…。
そのタイミングで、40年前の事件を持ち出し、公表されたくなければ…云々が始まります。
ああ、場合によっては…私が見せたブローチを使うのも一つですね。
カティラの遺体が握っていた…とでも言えば、より信憑性が高くなる。
ルリーラ夫人は体の調子を崩しやすいので、過酷な牢屋に入ればどうなるか、ローカス卿には
よくわかると思います。
人殺しと後ろ指をさされれば、ケイシロンとてどうなるかわかりません。
実際ゾフィーナ夫人がどういった要求をし、どこまでローカス卿が聞くかはわかりませんが…。
汚れ仕事と借金は、全てケイシロンに持ってくるでしょう。
その中で…やってくれる範囲を見極めて…、生かさず殺さずで、出来るだけ甘い汁を吸う…かな」
あ…ローエンじい様とローカス卿…青くなっとる。
「そしてさらに…」
「ま、まだあるのかよ!!」
当然じゃん、ローカスよ。
「マギーなりジシーなり他の誰かなり…自分が御しやすい人間との間に、複数子供をもうけさせて…。
それが済んだら、ローカス卿も遅効性の毒で、病気に見せかけて毒殺だな。
んで、残った小さい子とその親は…殆どその時点で取り込んでいるだろうから、それを使って、最終的に
ケイシロンを自分の物にしますね…。
それも…表に一切出ないで、裏からやります…。
ケイシロンに利用価値が一切なくなったら、爵位売らせて、その金奪って子供と母親は秘密裏に処理…
ってとこね」
私は言葉を…ここで締めくくった。
まあ、実際ここまでやるかどうかは、さておき…。
私はジョノァドやレベッカとつるむだけでなく、ある程度…利用し合う間柄になれるなら、この程度
やれないと無理と判断したんだ。
じゃなきゃ…他の連中と同じように、うまい所だけ喰われて終わる…。
ただそれだけの存在に、なっちまうはずだ。
…………………………。
ギリアム以外の皆さま…青くなったり白くなったり疲れませんか?
「ギ、ギギギ、ギリアム!!」
ローカス卿がギリアムの肩をがっしりと掴み、
「お、お前のオバハン何とかしろ!!マジで!!うちも出禁にしたい!!
出禁にする方法、お前のいい頭で考えろ!!親友からの頼みだ!!」
「だから…私とローカス卿は、いつから親友になったんだ?」
冷静に返すギリアム…。
「まあ…ここまで色々言ったことの…どこまでやるかはさておいて…。
可能性とは言え、そういった食い込み方ができる…と、お話したかったんですよ」
私は…ここでギャーギャーやっているギリアムとローカス卿をほっといて、脱線した話を戻す事にした。
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