笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト

不気味な城

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 「それで……どうしますか?」



 「どうするって何がだ?」



 「あの城に入るか入らないかですよ」



 「バカかおまえは!!?」



 ヴァルベルトの城を前にして、真緒は入るか入らないかを仲間達に問うが、当然の如くフォルスに怒鳴られた。



 「さっきの話で、どうしたらそんな質問が出て来るんだ!?」



 「そうですよマオさん!いくら私達が強くなったと言えども、四天王相手は歯が立ちません!!」



 「さすがのオラでも、分かるだよぉ!!」



 「マオさんは命知らずですね~」



 仲間達全員から責め立てられる真緒は、苦笑いを浮かべた。



 「あ、あはは……そ、そうだよね。わざわざ会おうとしなくてもいいんだもんね……じゃ、じゃあ先に進もうか……」



 「「「「当然だ」」」」



 「…………少し、興味はあったのですがね~」



 エジタスは少し残念そうに呟くが、それ以外の仲間達は入らず、先に進むという意見に同意した。



 「それにしても、いきなりあんなに大きな城が現れてビックリしたよ」



 「本当だな、噂通りとても不気味な城だったな」



 「でも、あの城に四天王のヴァルベルトがいるのだとしたら、何故魔王城じゃなくこんな沼地にいるんでしょうか?」



 「さぁ~、色々事情があるのではないですか~?」



 まさか、ヴァルベルトが四天王を脱退しており、代わりにエジタスが入っているなどと口が避けても言えない。その為、必死にお茶を濁すエジタス。



 「まぁ、もうここに寄る事も無いだろうし、もうすぐ“クラウドツリー”に着く筈…………えっ、嘘……」



 真緒達が“クラウドツリー”に向けて歩いていると、目の前に見覚えのある城が見えて来た。



 「お、おい…………どういう事だよ」



 「わ、分かりません!!」



 「私達、確かに城を後にしましたよね!?」



 通り過ぎた筈の城が再び真緒達の目の前に現れ、理解が追い付かない。



 「と、取り敢えず、もう一度行きましょう!」



 「あ、ああ……」



 今度は駆け足で城から離れる真緒達、何かの間違いだと思いながら濃い霧の中を走って行く。



 「そ、そんな…………」



 しかし、現実は残酷である。またしても真緒達の目の前には、不気味にそびえ立つ城が現れた。



 「もしかして、俺達は既に何らかの攻撃を受けているんじゃないか?」



 「いったい誰に……?」



 「決まっているだろ…………」



 フォルスの目線は、不気味な城に注がれる。



 「あの城の城主である魔王軍四天王の“狂乱の王子ヴァルベルト”にだ!!」



 「「「「!!!」」」」



 確かに不思議な話では無い。事実こうして真緒達は“ピースマーシュ”から抜け出せなくなってしまっている。原因があるとすれば、先程から目の前に現れる城にあるだろう。



 「つまり……結局避けては通れない……という事ですか……」



 「ああ、残念ながらな……」



 始めから真緒達には、選択肢など存在していなかった。



 「入るしかないようですね…………皆、覚悟は出来てる?」



 「はは、出来てる訳無いだろう……今までどんな高い壁も越えて来たが……」



 「これは高すぎるよ…………」



 「オラの毛も逆立っているだぁ……」



 「良いですね~、どんな人なのか会って見たかったです」



 エジタス以外は、厳しい現実に屈しそうになる。しかし、これまでの旅が何とか気を持たせる。



 「じゃあ、行きますよ…………」



 真緒は一歩一歩、重い足取りで城へと近づく。



 「うっ…………近くで見ると更に不気味に見えます……」



 「鳥肌が立つぜ……」



 ヴァルベルトの城の外壁は白と紫の二色が使い分けられており、毒々しく感じさせた。



 「うう……装飾品も不気味ですよ」



 壁掛けランプの台として、悪魔の形をした彫像が両手でランプを握っていた。とても細かく作り込まれており、まるで本当に生きているみたいだった。因みに真緒達は気付かなかったが、彫像を通り過ぎた際に目の部分が追う様に動いた。



 「来てしまいましたね…………」



 そして遂に、玄関の前まで来てしまった。扉は木材を使用し、とても古ぼけていた。長年使われていないのか、隅の方にクモの巣が掛かっていた。



 「そ、それじゃあ、ノックしますよ…………」



 真緒は恐る恐る扉をノックした。一回、二回、三回と叩くが返事は無い。



 「あ、あれ……留守ですかね?」



 「…………かもしれないな……」



 「そ、そっかー、留守ならしょうがないよね。やっぱり他の方法を探そう!!出来ればこの城であればよかったけど、留守なら仕方ないからね!!さぁ、ぐずぐずしてないで出発しよー!」



 真緒達は素早く回れ右をし、城から離れようとすると片方の扉だけがキィー、という音を立てながら勝手に開いた。



 「開いたぞ……」



 「そ、そうですか……では行きましょうか」



 真緒達は素直に諦めて、開いた扉から入って行った。



 「中は真っ暗ですね……」



 明かりが付いていないのか、辺りは真っ暗で何も見えていなかった。するとその瞬間!!



 「あっ、ちょっと、嘘!!?」



 開いていた扉がバタン、という音を立てて閉じてしまった。リーマが引っ張るが開かなかった。そして、扉が閉じてしまったせいで何も見えない暗闇になった。



 「暗いだよぉ…………」



 「皆、何が来るか分からないから動かず、一ヶ所に集まろう」



 真緒達が危険に備えて、体を寄せ会うと突然明かりがついた。



 「あっ、ついた……「ようこそ、我が城へ!!」……えっ?」



 明かりがつくと、中はとても綺麗で白と赤の二色で構成されたとても清潔感のある内装となっていた。そんな中、奥の方にある広い階段の上に一人の男性が立っていた。



 「ま、まさかあなたが…………」



 「これは自己紹介が遅れた。我はヴァルベルト……この城の主だ」



 ヴァルベルトは、銀髪の長髪で紐で一本に束ねていた。顔は非常に整っており、まるで女性と見間違えてしまう程に美しかった。



 「まずは謝罪をさせて貰おう。君達をこの城に招き入れる為とは言え、少々強引なやり方をしてしまった。本当に申し訳ない」



 そう言うとヴァルベルトは、丁寧にお辞儀をした。



 「じゃあ、やっぱり歩いても歩いても、ここに戻って来てしまったのはあなたが原因だったんですね!!」



 「その通り、実はこう見えて土魔法に精通していてね……君達が通り過ぎた後に土の向きを違和感の無い様に変えて、ここに戻って来させたのだよ」



 クリックアイは、視界を遮る物や隠された真実を見抜く力。視界を遮る訳でも、隠されている訳でも無い、地面の移動を見抜くのは無理な話だ。



 「そんなまどろっこしい真似をして……いったい何が目的ですか!?」



 「それは勿論、君達を歓迎する為だ!!」



 ヴァルベルトは大きく両手を広げた。それを見た真緒達は身構える。



 「今まで会って来た人達とは違う…………何だかとても気味が悪いです」



 「全く敵意を感じ無い…………強者の余裕という事か……」



 「何て無防備な構え……罠でしょうか……?」



 「お、恐ろじいだぁ……」



 「成る程……あれが“元”四天王ですか…………」



 各々が印象を抱く中、階段の上にいるヴァルベルトがゆっくりと降りて来る。



 「ではまず手始めに、歓迎の印として…………」



 「「「「「…………」」」」」



 額から冷や汗が流れる。これから始まるであろう激闘に全神経を研ぎ澄ませる。



 「一緒に食事をしようではないか!」



 「「「「「へ……?」」」」」
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