笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~

マーキ・ヘイト

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第四章 冒険編 殺人犯サトウマオ

思わぬ再会

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 「へ……へ……へっくしゅん!!」



 「あれ? マオさん風邪ですか?」



 「うーん、体調は良い筈なんだけど……」



 「もしかしたら、誰かが噂しているのかもな」



 「マオぢゃんは有名だがらなぁ」



 「えへへ、そ、そう?」



 「良い意味でも悪い意味でも、ですけどね」



 「……それって素直に喜んで良いのか悪いのか……」



 メユとの一件を終えた真緒達は、リップから新しい情報が手に入るまで、西の大陸を巡る旅をしていた。



 「何だかこうして、のんびりと旅するのって久し振りな感じがしますね」



 「そうだな……今までロストマジックアイテムを探す旅だったからな……純粋な旅は久し振りかもしれないな」



 「ミルドラ……メユ……二人供、今まで戦った人達とは一味違う強さだったね」



 「ぞのぜいで、毎回死ぬ一歩手前を経験ずるのは懲り懲りだぁ……平和が一番だぁ」



 「確かに……だが真面目な話をすれば、これからもあの二人並み……それ以上の強さを持った相手と戦う事になるかもしれない」



 「うぅ……生ぎだ心地がじないだぁ……」



 「(あの二人よりも強い……想像も付かないけれど……師匠の遺したロストマジックアイテムを使っていると考えれば……あるいは……)」



 「そう言えば、これから向かっているのってどんな場所なんですか?」



 真緒が色々と考えている中、リーマがフォルスにこれから向かう場所を聞いた。



 「あぁ、“アイラ村”と呼ばれる村で、西の大陸でも少し名が通っている村だ」



 「名が通っているって……どう言う意味ですか?」



 「それまでは、何処にでもある普通の村だったらしいんだが、何でも一年程前広場に突如“聖女”が現れたらしい」



 「「「“聖女”?」」」



 「何でも……どんな傷も癒してしまうらしいんだ」



 「どんな傷も……という事は“回復魔法”の使い手でしょうか?」



 魔法使いであるリーマは、真っ先に回復魔法の事が頭に浮かんだ。



 「恐らくそうだろう。話によると、折れた足も治したとか……」



 「折れた足を!? そうなるとかなりの使い手という事になりますね……あぁ、早く会いたいです」



 「何か……妙に食い付くね」



 「そりゃあそうですよ。魔法を扱う者として回復魔法は魅力の内の一つなんです。攻撃、防御、治癒、これら三つ全てを魔法で補う事が出来れば、一人前の魔法使いとして胸を張れるんです」



 「へ、へぇ……そうなんだ……」



 「私も攻撃と防御は出来る様になりましたけど……未だに治癒はポーションに頼っているんですよね。だからその聖女さんに会って、回復魔法の知識を教えて頂きたいんです……そうすればもっと皆さんの役に立てると思うんです……」



 「リーマ……」



 もっと皆の役に立ちたい。そんなリーマの想いに、真緒の心は満たされる。



 「それなら私も、回復魔法の知識を教えて貰おうかな」



 「マオさんもですか?」



 「一人よりも二人、一緒だったら頑張れるからね」



 「マオさん……ありがとうございます。一緒に頑張りましょう!!」



 互いに両手を握り、鼓舞し合う真緒とリーマ。そんな二人を冷めた表情で見つめるフォルスとハナコ。



 「……干渉に浸っている所、悪いんだが……その聖女が素直に教えてくれるとは、まだ決まっていないよな?」



 魔法は“ウインド”しか扱えないフォルス。



 「え、えぇ……そうですけど……」



 「何だか気持ち的に教えて貰えるんじゃないかと思っていました……」



 「オラが言うのも何だげど……ぢょっど楽観的過ぎるだぁ」



 魔法その物を全く扱う事の出来ないハナコ。



 「ハ、ハナちゃんまで……」



 魔法にあまり馴染みが無いフォルスとハナコに楽観的と言われてしまった二人は、少し落ち込んでしまった。



 「まぁまぁ、そう分かりやすく落ち込むな。誠心誠意頼み込めば、案外あっさりと教えてくれるかもしれないぞ?」



 表情は暗くなり、足取りも重くなった二人に、フォルスが一つの可能性を口にする。



 「そ、そうですよね!! まだ諦めるのは早いですよね!!」



 フォルスの言葉に、二人は暗い表情から一瞬で明るい表情へと変化した。



 「そう言う事だ」



 「それなら善は急げですね!!」



 すると真緒とリーマは、手を繋ぎながら先を走って行く。



 「ほら、ハナちゃんとフォルスさんも急ぎましょう!!」



 先程とは打って変わって、満面の笑みを見せる二人。足取りは軽く、後ろにいるフォルスとハナコを急かす。



 「……これは……余計な期待を持たせてしまったかもしれないな……」



 「ぞうがもじれないだぁ……」



 期待に胸を膨らませる二人を見ながら、フォルスとハナコの二人は思わず苦笑いを浮かべるのであった。







***







 真緒とリーマの二人を先頭に歩いていると、規模の小さい村が見えて来た。



 「あっ、見えて来ましたよ。あれがアイラ村ですかね?」



 「恐らくそうだろう」



 「それじゃあ早く、聖女さんに会いに行きましょう!!」



 「そう慌てるな。まずは今夜泊まれる宿を探すのが先決だ」



 目的地に辿り着いた真緒は気持ちが高ぶり、一人走り出して村の中へと入った。



 「皆!! 早く早く!!」



 「マオさん、待って下さいよ!!」



 「マオぢゃん!! 待っでぐれだぁ!!」



 「そんなに慌てて走ると危ないぞ」



 後ろを振り向きながら走る真緒に、フォルスが注意するも、気持ちが高ぶっている真緒は聞く耳を持たず、終いにバックで歩き始める。



 「大丈夫ですよ!! 大丈……「きゃっ!?」……あっ!?」



 「「「!!!」」」



 すると案の定、村人の一人とぶつかってしまった。バックで歩いていた真緒は転ばずに済んだが、ぶつかった村人はその場に崩れ落ちてしまった。



 「マオぢゃん!!」



 「大丈夫ですか!?」



 「言った側からこれか!!?」



 「ご、ごめんなさい!! 私余所見していて……お怪我はありませんか!?」



 真緒の側へと駆け寄る三人。真緒は慌てて倒れた村人に謝罪し、立ち上がれる様に手を伸ばす。



 「私の方こそ申し訳ありません……少し考え事をしてしまっていて……」



 そう言うと村人は、差し伸べられた真緒の手を取り、ゆっくりと立ち上がる。



 「…………えっ、あ、あなたは……!!?」



 「この度はご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」



 深々と頭を下げて謝罪する村人だったが、その素顔に一同は驚きの表情を浮かべる。特に真緒は他の三人以上に驚き、声すら上げてしまった。



 「あの……お怪我とかされていませんか? もし何処か怪我しているのであれば仰って下さい。こう見えて私、回復魔法を扱う事が出来るんです」



 「…………“舞子”……」



 それはかつて、真緒と供にこの異世界に転移した一人。石田舞子であった。



 「“マイコ”……?」



 「久し振りだね!! 心配していたんだよ!! 師匠からはカルド王国へと送ったって聞いたけど、実際カルド王国に戻ったら送られていないって言われて……この一年間、行方不明状態で無事かどうかずっと気になっていたけど……良かった……無事で本当に良かった……」



 「あ、あの……」



 「聖一さんや愛子が立て続けに亡くなって……そしたら今度は舞子まで……もう元の世界の繋がりが完全に無くなっちゃったと思ったけど……生きてて良かった……本当に良かった……」



 「えっと……」



 「そう言えばどうしてこの村にいるの? もしかして聖女って舞子の事だったの? 確かに回復魔法は扱えるし、それ以前に職業が“聖女”だから似合っていると言えば似合っているのかもね。私もあれから色々あってさ……ゆっくり話せる様に何処か宿を取ってそれから……「あ、あの!!」……ん、何?」



 「す、すみません……何処かでお会いした事がありましたでしょうか?」



 「…………えっ?」
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