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十七話 元公爵令嬢、フリージアに絶望する
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「なんというか……まさか、殿下とお話することになるとは思わなかったわね……」
「それだけセシリア様がすごいということですわ」
順位を確認した私達は、雑談をしながら長い廊下を歩いていた。
……掲示板を確認しただけでこんなに疲れるなんて……早く教室に戻りたいわ。
「私、結構勉強はできる方だと思っていたのですが……まさか首席の方がこんなに近くにいたなんて! このエドナ、感激いたしました!」
「そんな……たまたま教育水準の高い環境で育てていただいたというだけで、私だけの実力じゃないわよ」
そう言って、尊敬の眼差しを向けてくれているエドナを窘める。
実際、私が教育環境に関して恵まれていたのは確かだもの。
____まぁもちろん、「前世の」教育水準なのだけれどね……。
今の両親も優しくて私は好きだけれど、如何せんセシリアに甘すぎるのよ。
その様子を見ていたソフィアがクスクスと笑いながら、私達に向かって話しかけた。
「エドナったらそんなこと言って、私にも負けていたじゃないの」
「な、七位と八位は誤差じゃん!!」
「そんなこと言って、昔から私に勉強で勝ったことないでしょう?」
「いつも僅差なんだから同じようなものでしょ~! 実際上位なわけだし!!」
そうなのだ。この二人、勉強に自信があると言っていただけあってかなり順位が高い。
この世界の教育水準を考えると、相当な努力をしてきたのでしょうね……。
二人とも子爵令嬢なわけだし、本当にすごいことだわ。
「……ところでフリージア、あなたは何位だったの? 見たところ、上位には名前がなかったけれど……」
「あ、確かにそうですね! フリージアさん、何位だったんです?」
先程から空気だったフリージアに声をかけると、フリージアはぎこちない動きで私達の方を見た。
「……それ、聞いちゃいます?」
「あなただけ順位がわからないんだもの、聞くに決まっているじゃない」
「……セシリア様、笑わない?」
「笑わないわよ」
フリージアの事情はわかっているし……上位に名前がなかったということは、そういうことなのでしょうしね。
「勿体ぶらないで早く教えてくださいよ~!」
エドナがフリージアを急かす。
そのウキウキした表情を見たフリージアは、テストの時と同じく遠い目をしながら小さな声で答えた。
「……五十九位です」
「…………念の為確認だけれど、私達の学年は何人の生徒がいるんだったかしら……」
「……六十名。一クラス三十名で、二クラスあるから……」
「ほぼ最下位じゃないの!!!」
____笑わないと言うより……笑えないわね、これは……。
「ま、まぁ……最下位は回避できているわけですし……ね?」
ソフィアが焦ったようにフォローを入れる。
いつも冷静で穏やかなソフィアが、こんなの焦っているのを初めて見たわ。
そんなソフィアのフォローも虚しく、フリージアが死んだ魚のような目で呟いた。
「……最下位は、入学式から学園をずっとサボり続けていてゼロ点ってだけの、ザカリー様という方なので……」
「なら実質最下位じゃないの!!!」
……もう、ここまで来るとフォローのしようがない。絶望的だわ。
ソフィアも諦めたように「あぁ……」と声を漏らしているし。
「あ~、そういえば、うちのクラスずっと一人空席でしたよね。フリージアさん、気付いていたなんてすごいです!」
流石エドナ、なんて良い子なの……!
これでフリージアも少しは元気になるはず……。
「あぁ、それは攻略対象の一人なので……」
「ちょっとフリージア!?!?」
サラッと重要なことを言わないでちょうだい!!!
というかエドナとソフィアの前で攻略対象なんて言うんじゃないわよ……!!
「攻略対象……ってなんですか?」
そりゃそうなるわよね!!
「ま、まぁ気にしないでちょうだい。フリージアったら、ちょっと疲れちゃってるみたいだから……そ、そうだわ! お昼休み、気晴らしに図書館で勉強するのはどう!?」
流石に無理があるかしら!?
いえ、でも……エドナならきっと……!
「セシリア様……! 気晴らしにお勉強をされるなんて、素晴らしいです! ぜひご一緒させてください!」
勝ったわ!!
ありがとう、エドナ!!!
あなたは最高の友人よ!!!!
「なら、決まりね。昼休みは勉強、頑張るわよ!」
「おー!」
「ふふ、楽しみです」
「私は全然楽しみじゃないんですけどぉ!!! この人達、勉強ジャンキーだよぅ……」
そんなフリージアの嘆きをスルーしながら、私達は教室へ戻るのだった。
「それだけセシリア様がすごいということですわ」
順位を確認した私達は、雑談をしながら長い廊下を歩いていた。
……掲示板を確認しただけでこんなに疲れるなんて……早く教室に戻りたいわ。
「私、結構勉強はできる方だと思っていたのですが……まさか首席の方がこんなに近くにいたなんて! このエドナ、感激いたしました!」
「そんな……たまたま教育水準の高い環境で育てていただいたというだけで、私だけの実力じゃないわよ」
そう言って、尊敬の眼差しを向けてくれているエドナを窘める。
実際、私が教育環境に関して恵まれていたのは確かだもの。
____まぁもちろん、「前世の」教育水準なのだけれどね……。
今の両親も優しくて私は好きだけれど、如何せんセシリアに甘すぎるのよ。
その様子を見ていたソフィアがクスクスと笑いながら、私達に向かって話しかけた。
「エドナったらそんなこと言って、私にも負けていたじゃないの」
「な、七位と八位は誤差じゃん!!」
「そんなこと言って、昔から私に勉強で勝ったことないでしょう?」
「いつも僅差なんだから同じようなものでしょ~! 実際上位なわけだし!!」
そうなのだ。この二人、勉強に自信があると言っていただけあってかなり順位が高い。
この世界の教育水準を考えると、相当な努力をしてきたのでしょうね……。
二人とも子爵令嬢なわけだし、本当にすごいことだわ。
「……ところでフリージア、あなたは何位だったの? 見たところ、上位には名前がなかったけれど……」
「あ、確かにそうですね! フリージアさん、何位だったんです?」
先程から空気だったフリージアに声をかけると、フリージアはぎこちない動きで私達の方を見た。
「……それ、聞いちゃいます?」
「あなただけ順位がわからないんだもの、聞くに決まっているじゃない」
「……セシリア様、笑わない?」
「笑わないわよ」
フリージアの事情はわかっているし……上位に名前がなかったということは、そういうことなのでしょうしね。
「勿体ぶらないで早く教えてくださいよ~!」
エドナがフリージアを急かす。
そのウキウキした表情を見たフリージアは、テストの時と同じく遠い目をしながら小さな声で答えた。
「……五十九位です」
「…………念の為確認だけれど、私達の学年は何人の生徒がいるんだったかしら……」
「……六十名。一クラス三十名で、二クラスあるから……」
「ほぼ最下位じゃないの!!!」
____笑わないと言うより……笑えないわね、これは……。
「ま、まぁ……最下位は回避できているわけですし……ね?」
ソフィアが焦ったようにフォローを入れる。
いつも冷静で穏やかなソフィアが、こんなの焦っているのを初めて見たわ。
そんなソフィアのフォローも虚しく、フリージアが死んだ魚のような目で呟いた。
「……最下位は、入学式から学園をずっとサボり続けていてゼロ点ってだけの、ザカリー様という方なので……」
「なら実質最下位じゃないの!!!」
……もう、ここまで来るとフォローのしようがない。絶望的だわ。
ソフィアも諦めたように「あぁ……」と声を漏らしているし。
「あ~、そういえば、うちのクラスずっと一人空席でしたよね。フリージアさん、気付いていたなんてすごいです!」
流石エドナ、なんて良い子なの……!
これでフリージアも少しは元気になるはず……。
「あぁ、それは攻略対象の一人なので……」
「ちょっとフリージア!?!?」
サラッと重要なことを言わないでちょうだい!!!
というかエドナとソフィアの前で攻略対象なんて言うんじゃないわよ……!!
「攻略対象……ってなんですか?」
そりゃそうなるわよね!!
「ま、まぁ気にしないでちょうだい。フリージアったら、ちょっと疲れちゃってるみたいだから……そ、そうだわ! お昼休み、気晴らしに図書館で勉強するのはどう!?」
流石に無理があるかしら!?
いえ、でも……エドナならきっと……!
「セシリア様……! 気晴らしにお勉強をされるなんて、素晴らしいです! ぜひご一緒させてください!」
勝ったわ!!
ありがとう、エドナ!!!
あなたは最高の友人よ!!!!
「なら、決まりね。昼休みは勉強、頑張るわよ!」
「おー!」
「ふふ、楽しみです」
「私は全然楽しみじゃないんですけどぉ!!! この人達、勉強ジャンキーだよぅ……」
そんなフリージアの嘆きをスルーしながら、私達は教室へ戻るのだった。
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