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二十三話 元公爵令嬢、デートイベントが発生してしまう
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学園生活、五日目。
____私は昨日と同じく、図書室の扉の前に来ていた。
ただ、昨日とは違って一人で……だけど。
本当は、フリージアたちのことも誘って四人で図書室に行こうと思っていたのだけれど……。
レインハルト殿下にお誘いをされたことを話した途端、全員から「セシリア様お一人でどうぞ」と言われてしまった。
しかも皆、心なしか生温かい目で私を見てくるし……!
殿下と私は昨日初めてお会いしたばかりで、そういう感情はお互い一切ないというのに……。
皆してすぐ恋愛につなげようとするのは、やっぱり乙女ゲームの世界だからなのかしらね。……いや、フリージアは元々この世界の住人ではないじゃない!
まぁ、元々このゲームの世界が好きだったのなら、同じようなものね……。
「そろそろ、入らなくてはね……。よし、三秒数えたら入るわよ……! さん、にー……」
「扉の前で立ち止まって、どうしたんだ?」
「いっ……!?」
「……い? やはりまだ、足が痛むのか?」
後ろから急に声をかけられたせいで、変な声が出てしまった。
慌てて振り返ると、そこに立っていたのは予想通りレインハルト殿下。
____殿下、もしかして「痛っ」と聞き間違えていらっしゃるの!? 違います、ただ私は数を数えていただけなんです!!!
「レ、レインハルト殿下、ご機嫌麗しゅう存じます! 再びお目に書かれ、誠に嬉しく思います」
「はは、君は相変わらず礼儀正しいな。学園の中くらい、もっと自由に接してくれて構わないというのに」
急いでスカートの裾をつまみながら挨拶をすると、殿下は優しい笑みで微笑んでくださった。
……こんな笑顔、ほとんどの女性がつい見惚れてしまうでしょうね。
「ここで話しているのも通行人の妨げになってしまうし、共に中に入らないか?」
「は、はい! では、私が扉を開けますね」
「……君は私の護衛ではないのだから、このくらいは私にさせてくれ。レディファーストもできない男だと、君に思われたくないんだ。さぁ、どうぞ」
「…………あ、ありがとう、ございます……」
……ほ、本当にこの殿下、ずるすぎるのだけれど……!?
あまりにも殿下がスマートすぎて、私は一瞬言葉に詰まってしまう。
結局か細い声でお礼を言いながら、大人しく図書室に入ることしかできなかった。
だってセラフィーナ時代には……婚約者だった殿下に、こんな風に接してもらったことなんてなかったんだもの!
思わず動揺するのも、前世を思い出してつい比較してしまうのも……仕方のないことよね?
____図書室に二人で入ると、既に中で勉強をしていた生徒が一気に私達に注目をしたのがわかった。
それもそうよね。だって、悪女呼ばわりされているただの伯爵令嬢ごときがこの国の王太子にエスコートされながら部屋に入ってきたんですもの。
私だって、逆の立場なら「何事!?」と驚いてしまうこと間違いなしよ。
絶妙な居心地の悪さを感じていると、殿下が「こっちへ」と手招きしながら静かに部屋の隅へ誘導してくれた。
……本当に、スマートね。
図書室の奥までは中々人が来ないのか、それともこの机を昨日殿下が使っていたのを皆知っているのか、ここだけ全く人がいなかった。
本棚に囲まれていてとても静かで……まるで秘密基地、なんて子供のようなことを思う。
そんなことを考えていると、私の隣の席に殿下が腰かけた。
……なんだか、顔が近いわ。
少し一人で緊張していると、レインハルト殿下はまるで内緒話をするかのように、小声で私に喋りかけてきた。
「……実は昨日、最近話題になっている舞台のチケットを譲ってもらったんだ。良ければ、私と二人で観に行かないか?」
「で、殿下と二人で、ですか……!?」
「あぁ。私が言うのもなんだが、VIP席だから落ち着いて楽しめると思う。……聡明な君と観劇をした後、一緒に感想や考察を語り合いたいんだ。どうだろうか?」
まさかの展開に、思わず目を見開いた。
殿下はチケットを私に差し出しながら、穏やかに笑っている。
そんなレインハルト殿下を見て、私が出した答えは____
____私は昨日と同じく、図書室の扉の前に来ていた。
ただ、昨日とは違って一人で……だけど。
本当は、フリージアたちのことも誘って四人で図書室に行こうと思っていたのだけれど……。
レインハルト殿下にお誘いをされたことを話した途端、全員から「セシリア様お一人でどうぞ」と言われてしまった。
しかも皆、心なしか生温かい目で私を見てくるし……!
殿下と私は昨日初めてお会いしたばかりで、そういう感情はお互い一切ないというのに……。
皆してすぐ恋愛につなげようとするのは、やっぱり乙女ゲームの世界だからなのかしらね。……いや、フリージアは元々この世界の住人ではないじゃない!
まぁ、元々このゲームの世界が好きだったのなら、同じようなものね……。
「そろそろ、入らなくてはね……。よし、三秒数えたら入るわよ……! さん、にー……」
「扉の前で立ち止まって、どうしたんだ?」
「いっ……!?」
「……い? やはりまだ、足が痛むのか?」
後ろから急に声をかけられたせいで、変な声が出てしまった。
慌てて振り返ると、そこに立っていたのは予想通りレインハルト殿下。
____殿下、もしかして「痛っ」と聞き間違えていらっしゃるの!? 違います、ただ私は数を数えていただけなんです!!!
「レ、レインハルト殿下、ご機嫌麗しゅう存じます! 再びお目に書かれ、誠に嬉しく思います」
「はは、君は相変わらず礼儀正しいな。学園の中くらい、もっと自由に接してくれて構わないというのに」
急いでスカートの裾をつまみながら挨拶をすると、殿下は優しい笑みで微笑んでくださった。
……こんな笑顔、ほとんどの女性がつい見惚れてしまうでしょうね。
「ここで話しているのも通行人の妨げになってしまうし、共に中に入らないか?」
「は、はい! では、私が扉を開けますね」
「……君は私の護衛ではないのだから、このくらいは私にさせてくれ。レディファーストもできない男だと、君に思われたくないんだ。さぁ、どうぞ」
「…………あ、ありがとう、ございます……」
……ほ、本当にこの殿下、ずるすぎるのだけれど……!?
あまりにも殿下がスマートすぎて、私は一瞬言葉に詰まってしまう。
結局か細い声でお礼を言いながら、大人しく図書室に入ることしかできなかった。
だってセラフィーナ時代には……婚約者だった殿下に、こんな風に接してもらったことなんてなかったんだもの!
思わず動揺するのも、前世を思い出してつい比較してしまうのも……仕方のないことよね?
____図書室に二人で入ると、既に中で勉強をしていた生徒が一気に私達に注目をしたのがわかった。
それもそうよね。だって、悪女呼ばわりされているただの伯爵令嬢ごときがこの国の王太子にエスコートされながら部屋に入ってきたんですもの。
私だって、逆の立場なら「何事!?」と驚いてしまうこと間違いなしよ。
絶妙な居心地の悪さを感じていると、殿下が「こっちへ」と手招きしながら静かに部屋の隅へ誘導してくれた。
……本当に、スマートね。
図書室の奥までは中々人が来ないのか、それともこの机を昨日殿下が使っていたのを皆知っているのか、ここだけ全く人がいなかった。
本棚に囲まれていてとても静かで……まるで秘密基地、なんて子供のようなことを思う。
そんなことを考えていると、私の隣の席に殿下が腰かけた。
……なんだか、顔が近いわ。
少し一人で緊張していると、レインハルト殿下はまるで内緒話をするかのように、小声で私に喋りかけてきた。
「……実は昨日、最近話題になっている舞台のチケットを譲ってもらったんだ。良ければ、私と二人で観に行かないか?」
「で、殿下と二人で、ですか……!?」
「あぁ。私が言うのもなんだが、VIP席だから落ち着いて楽しめると思う。……聡明な君と観劇をした後、一緒に感想や考察を語り合いたいんだ。どうだろうか?」
まさかの展開に、思わず目を見開いた。
殿下はチケットを私に差し出しながら、穏やかに笑っている。
そんなレインハルト殿下を見て、私が出した答えは____
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