世界は地球の手のひらで踊る

文月美森

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救出

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 バン!


 突然乱暴に扉が開き、二人はビクッと大きく体を震わせた。

「なーんだ、そうだったんだあ」

 聞きたくはなかったその声。
 ニヤニヤとしながらキョウが戸口に立っている。

 全部聞かれた……?
 アキラの気持ちは一気にどん底まで落とされた。

「君、まだ処女だったんだ? すーっかり騙されたよ。何そのキスマーク、ただのフェイク? いつまでも手を出さないとか、君の彼氏ってバカなの?」

「な……ユウトがバカな訳ない! めちゃくちゃ頭良いんだから!」

「あっそ。まぁ、どーでもいいんだけど、そんなこと」

 そう言いながら、キョウはつかつかと二人に近付いて来る。
 アキラの側にしゃがみ込むと、いきなりグイッと襟元を乱暴に引っ張った。

「やっ! やだ、見んな……!」

「へーっ、で、このアザ? これってヤったら消えるワケ? 何それ超おもしれーじゃん! それに思ったより元気そうだし。いやー予定変更だわ」

 そう言うと、アキラの腕を掴んで強引に立ち上がらせた。
 その拍子に、忘れていた激痛が身体中を駆け抜ける。

「うあ……!」

「ちょっと、やめてあげて! その娘立てないくらいの怪我してるのよ!」

「はあ!? うっせーよ、ババア!」

 言うなり、キョウはキャシーを蹴り飛ばした。

「きゃあッ!」

「キャ、キャシーさ……あうっ!」

 伸ばそうとした手は、男によって乱暴に引き戻される。
 
「君ねぇ、人の心配してるヒマないよ? ほら来いよ、たっぷり可愛がってやるからさぁ」

 その冷酷な表情に、アキラは背筋が凍り付いた。

 やっぱりダメだった……

 キョウが現れてまだ数分。
 既にアキラは痛みのせいで意識が朦朧とし、息も絶え絶えとなっていた。

(ユウト……ユウト、ごめんね……)

 心の中でユウトへの謝罪を繰り返す。
 これは、自分の軽はずみな行動が招いた悲劇だと。


 自分はもうユウトに会えないのかも知れない。

 逃れる術は……完全に無くなった。 
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