ゆうとの幻想物語 戦禍の残滓

すぶらー

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変わり果てた姿と梨沙

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 鏡には一瞬だけ俺が写った。そこに立っていたのはもはや元の俺ではなかった。しかも、人間ですらなかった。
 ゆ「えっ……こんなことありえない……!」
 そう思いたかったが無理だ。俺は鏡にもう写っていない。確かに鏡の前に立っているはずだ。忘れたい。さっき見た鏡に写った自分を。忘れようとすればするほど鮮明になってしまう。羽の生えている尾付きの生物。さらに猫のような耳まで付いている。俺は思い出した。4年前に噛まれたことがある生物の一部だ。
 羽、とゆうより、翼だ。形から察するに吸血鬼。一度も遭遇したことはなかったのになぜだろう?耳は間違いなく猫だ。尻尾、これは狼のものだろう。それぞれの生物の特徴を持った感じがした。 
 梨沙の体が目に入った。その時ありえない感情を抱いた。
 ゆ「……美味しそう。」
 その感情に勝てなかった。食欲に負けた。俺は梨沙の首にかじりついた。あり得ないことが起きた。そんなこと起こるはずがない、絶対にありえないことだ。梨沙の目から涙がこぼれたのだ。さらに、梨沙が俺と同じ姿になってしまったのだ。俺の心は梨沙が生き返った幸福感と、梨沙をこんな姿にしてしまった罪悪感でいっぱいになった。
 梨「……兄ちゃん……」
 ゆ「梨沙……俺は……その……ごめん。」 
 梨「いいよ……わたしたち変な格好だね?」
 そう言う梨沙は微笑んでいた。
 梨「そうだ、わたし見たよ!刺されて死んだ後。父さんたちが何しているかを!」
 ゆ「梨沙、ホントか?教えてくれ」
 梨「いいよ。簡単に言うと、わたしたちがいなくなったことをとても喜んでた。前よりもお金あるみたいだったよ。会社が倒産したのも嘘で、すべてはわたしたちを売ってお金が欲しかっただけみたい。」
 ゆ「そうか。殺りがいがあるな……」
 口に出すつもりはなかったのに呟いていたようだ。
 梨「ん?なにか言った?」
 ゆ「あ……いや。ところで梨沙。両親が憎いか?」
 梨「憎いも何もあいつらはわたしたちを売ったのよ!あんな人たちこの世にいるべきではないわ!」
 ゆ「ああ、俺も同じことを考えていた。行こう。あの館に。俺達を売った憎き両親を殺りに!」
 梨「ええ。分かったわ。ちょうどそこの壁が壊れているからそこから出て向かいましょう。案内するわ!」
 ゆ「頼んだ!」 
 梨「トラックでは時間がかかったけど、今のわたし達には翼がある。飛べるからすぐに着くはずよ。」
 ゆ「そうか!俺達には翼がある。与えられた力は使わないともったいないからな。」
 梨「さあ、行きましょう。ここでグズグズしてても何も起こらないわ。」
 ゆ「そうだね。行こう!」
 そう言って俺達は飛び出した。月の光る夜空に向かって。
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