Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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承黒寺の乱

伝説の大戦

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刺青の男はゆっくりと伝説の大戦について語り始めた。

「私らは龍神族の中でも末端の存在だ。
最後の大戦でもすぐに封印されてしまったから、その後何が起こっていたのかはわからん。
しかしあの大戦の戦局を変えたのはファルファーだということははっきりと言える。
私達龍神族はその大戦までファルファーという男の存在を知らなかった」

「え?」
大戦が始まるまでファルファーは知られていなかったのか?!
確かにファルファーは謎に包まれた人物だ。
彼はどこから現れたのだろうか。

「当時の私達は今と同様に様々な種族やモンスターを配下とし、どんどんと勢力を増して行った。その配下の数は10万を超えた。
その私達の勢いに恐怖をした人間はすぐさま他の種族達と手を組み、連合軍を結成した。
人間側は30の種族と手を結び90万の兵を集めた。
数は圧倒的に人間達の方が多い。
それでも最後の大戦は龍神族の圧勝に終わるとふんでいた。
人間どもがハイエルフやルクス族と結託し、我らを封印する魔法を開発したことは知っていた。
しかしその魔法は発動にとても時間がかかることと、封印対象がある程度近くにいないと発動できないという弱点があった。
当時の配下達も我らの魔力供給を受けて強化されていた。
いかに人間共の数が多くとも、10万の強化兵とモンスターの中を潜り抜けて、私達龍神族の元にたどり着くこと。そして我ら龍神族を魔法発動まで足止めすること、どちらも叶わぬとタカをくくっていた」

歴史の授業や書物でしか聞いたことのない龍神族との大戦。
まさか当事者から直接話を聞けるとは思ってもなかった。
誰もがその歴史に耳を傾けた。

「大戦が始まり1週間が経つ頃には形勢はかなり変わっていた。
我ら龍神族軍は残り7万、連合軍は残り30万と半分以下にまで戦力を削られたからだ。
私達は圧倒的な武力の差に勝ちを確信していた。
…しかし、その時戦場に1人の男が現れた。
それがファルファーだ。
ファルファーの強さは異常だった。
奴が一度剣を振るえば天まで裂け、魔法を放てば大地が震えるような、そんな感覚が戦場に漂っていた。
今までそんな奴が存在していることを知らなかった。
しかしそれでも7万の兵を相手にし、我ら龍神族400人と戦えば体力も魔力も尽きるだろうと、誰もがファルファーの存在は気に留めなかった。
だが奴はハイエルフ族30人と各種族の中でも武と魔力に優れた族長10人。そして各国の手練れ数十人を引き連れ、たった100人程で私達龍神族のいる本陣まで辿り着いた。
奴は底知れぬ体力と魔力で本陣に着いても暴れまわった。
龍神族が直接出向いても奴を抑えきることはできず、苦戦をしいられた。
10人の賢者は封印魔法の発動にかかった。
我らはそれを止めようとしたが、ファルファーとハイエルフ達の壁を破ることはできなかった……。
私が覚えているのはそこまでだ。
一体奴が何者だったのか、その後何があったかはわからない」

そんなことがあったのか。
しかしそれなら何故、歴史からハイエルフ族の名前が消されていたのだ?
何故、ファルファーは裏切りの騎士として歴史に名を刻んだのだ?
その後に一体何が起こったんだ。
クリスの頭の中はこんがらがっていた。

「そうだったのね。話してくれてありがとう」

「さて、私達をどうするつもりだ?
私達を捕虜にして龍神族をおどそうとしても無駄だぞ?
所詮私達は下っ端だ。脅迫などには応じないだろう」

「そうでしょうね。ジーク。どーする?」

「んー。とりあえずこの場は逃してやるか。
四龍貴族のことは教えてくれなかったけど、情報はたくさんくれたし、これ以上苦しめたり、殺したりは勇者として正義に反するからな」

「余裕のつもりか?どこまで龍神族を愚弄すれば気がすむのだ…」

「愚弄なんかしてないさ。今回はちゃんと話してくれたことに対する礼だ。その代わり次に俺たちと戦う時は容赦しないからな?」

そう言うと、ジークは刺青の男の拘束魔法を解いた。
それを見てマオも5人の拘束魔法を解く。

「見逃したこと、後悔させてやるからな…
…最後に私からも1つ質問していいか?」

「なんだ?」

「リーナは元に戻れるのか?」
刺青の男はマオさんの肩の上の黒豚を見て言った。

「戻すことは可能よ。1回元に戻して情報を探ろうとしたことがあるんだけど、この姿が気に入ってるのか、私の解除魔法を拒否するのよ」

「そうか……。とりあえず元気そうにしているならそれでいい。」

刺青の男が立ち去ろうとする。
「おい」
ジークが呼び止める。

「最後にお前の名前聞いといてやるよ」

「……レイフィールド…だ」

そう名乗ると龍神族達は空を飛び逃げ去って行った。

龍神族の姿が見えなくなると、みんな緊張がほぐれたのか、一気に体の力が抜け、中には座り込む者もいた。

「さすがに疲れたな」

「ジークにしてはよく働いたものね」

「あぁ。今日はゆっくり休もう」
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