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もう1人の勇者?!
裏切りの騎士ファルファー
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翌日、私達はレナルーラに向けての旅を再開した。
ウートの街は豊穣の土地だったが、そこを抜けると少しずつ気温が下がり始め、5日も歩いたら辺り一面が銀世界になっていた。
あと3日もすればレナルーラには着くだろう。
そう思っていたが、道中で何か困っている人を見つける度にシグルドは手助けをしていき、寄り道を余儀なくされた。
時には前と同じく野盗から旅人を守り、このままでは埒があかないと野盗の本拠地に乗り込んで壊滅させたり。
時には迷子の犬を探し回ったり。
時にはご老人を家まで送って行ったり。
レナルーラに着いた頃には10日が経っていた。
レナルーラは北西の極寒の土地。
常に雪が積もっており、辺りは一面銀世界だ。
マオさんが炎系の魔法で私達の周りだけ温度調整をしてくれているから、寒さは感じないが、この魔法がなければすぐにでも凍りついてしまうのだろう。
レナルーラ王国は極寒の土地。
作物などは殆ど育たず、川や湖も凍りついており、自給自足が難しく、他国との貿易によって成り立っている国だと、トワイザランにいた時に教わったことがある。
私達はとりあえずいつもの如く、宿を探した。城下町は栄えており、人で賑わっている。
宿を見つけ、宿屋の従業員から、この国の事を色々と教えてもらった。
この国は温泉が有名だということ。
古代の書物は国立図書館に貯蔵されているということ。
そして最近王宮内がバタバタとしていることを。
私達は国立図書館に行こうと思ったが、夜になり国立図書館はもうやっていなかったので、その日は温泉を楽しむことにした。
街の外れにある露天風呂。
男性用と女性用が分かれており、私達は1時間後に出口で待ち合わせをして、それぞれ中に入った。
極寒の白銀の世界を眺めながら入る温泉は格別に気持ちがよかった。
ジャカンの温泉も良かったが、また種類の違う心地よさだ。
時折のぼせそうになり、温泉から出ると冷んやりした風が気持ちよく感じる。
少しクールダウンしたところでまた熱い温泉に浸かる。
たまらなく気持ちが良かった。
私もジークもリガンも時間を忘れて温泉を堪能した。
気づけば1時間半も経っていた。
私達は慌てて出て行くが、出口にはまだマオさんとシグルドの姿はなかった。
更に1時間程経つとようやく2人が出てきた。
「ごめんごめん。覗き魔がいて懲らしめてたら遅くなっちゃった」
シグルドが言う。
「女湯を覗くとはけしからんな。それは懲らしめられて当然だわ」
ジークが言う。
自分だってブァルファーレの時に覗きに行ったくせに……。
「それにしてもシグルド。お前と旅を始めて2週間と経っていないのに、一体俺たちはどれだけの事件に首を突っ込んできたんだ?もう数えきれないぞ」
ジークがうんざりとした表情でいう。
こんだけ文句を言うが、関わった問題は全てシグルド本人か私達が解決していて、ジークは何一つ手伝ったことなどなかった。
「そんなのいちいち考えたこともないわ。怠け者のあなたには分からないでしょうね」
「あぁ。わからないね」
「もしあなたみたいな人が勇者だったらこの世は壊滅ね」
シグルドはケラケラと笑った。
私達はみんな『これでも一応勇者なんだよ…』と心の中で呟いていた。
翌日、私達は国立図書館に足を運んだ。
かなりの数の書物が貯蔵されており、私達はその中でも龍神族に関する物と、1200年前の大戦に関する書物を漁るように読んだ。
1日で読み切れる量ではなく、私達は毎日の様に国立図書館に通った。
それでも殆どの書物は広く言い伝えられているように、10人の賢者が龍神族を封印したこと、大戦士ムーアや他の英雄達が身を呈して、龍神族から10人の賢者を護り抜いたことしか書かれていない。
何故こんなにもあからさまにファルファーのことと、ハイエルフ族の事が歴史から消されているのか、私達は疑問が深まった。
書物を調べてムーアの名前が出てくる度にシグルドは自慢げな笑顔を見せていた。
「そういえば、裏切りの騎士ファルファーって、何故裏切りの騎士って呼ばれているんだ?」
ふとジークが言った。
「どうしたの急に?裏切りの騎士ファルファーなんて龍神族となんの関わりもないでしょ?」
シグルドが答えた。
「ちょっと気になっただけだ。教えてくれ」
「いいわ」
シグルドは図書館の中を歩き回り1冊の本を持ってきた。
「これがファルファーの本よ。
裏切りの騎士ファルファーの話は
ある日、あるとても大きな王国に巨大で凶悪なドラゴンが現れた。
そのドラゴンの力はあまりにも強大で王国の騎士達でも全然歯が立たなかった。
ドラゴンは数ヶ月に1度、王国を訪れては国民達を襲っていった。
このままでは王国が滅亡してしまうと危惧した王様はそのドラゴンを封印する術を王国の魔道士達に開発させた。
そして100人の精鋭部隊を結成し、ドラゴン封印の旅をさせた。
その部隊の隊長に選ばれたのがファルファーだったの。精鋭部隊はドラゴンの巣を目指し旅を始めるの。
途中いくつもの困難があった。それでもファルファーは持ち前の強さとリーダーシップで、困難を乗り越えてゆく。ここまでの話だとファルファーはとても勇敢で頼りになるリーダーって感じね。
まるで勇者のような…。
そしてドラゴンの巣に着き、最終決戦が始まる。ファルファーを筆頭にドラゴンを足止めし、封印魔法が発動された。
封印魔法は成功し、ドラゴンは宝石に封印された。
しかしその時、ファルファーはその封印されたドラゴンの宝石を奪い、ドラゴンの力を我が物とし、精鋭部隊を皆殺しにし、その後はその王国までも滅亡させた。
そして王国を滅亡させた後にファルファーは消息を絶ち、その後歴史に姿を現さなかった。
そんな話よ」
シグルドが話終えるとしばらくの沈黙が訪れた。
私もこのファルファーの話は知っている。
力と欲に溺れた裏切りの騎士。
しかし1200年前の大戦の話を龍神族から聞き、この物語の捉え方が少し変わった。物語に出てくる『ドラゴン』というのは龍神族のことなのだろう。
精鋭部隊を率いてというのはハイエルフ族と10人の賢者。
そう考えると、ファルファーは龍神族の封印に成功した後に、あの黒い宝玉を奪い、人間の連合軍に牙を剥いたということか?
一体何のために??
ファルファーの話はそれで終わりにし、私達は図書館を後にした。
ウートの街は豊穣の土地だったが、そこを抜けると少しずつ気温が下がり始め、5日も歩いたら辺り一面が銀世界になっていた。
あと3日もすればレナルーラには着くだろう。
そう思っていたが、道中で何か困っている人を見つける度にシグルドは手助けをしていき、寄り道を余儀なくされた。
時には前と同じく野盗から旅人を守り、このままでは埒があかないと野盗の本拠地に乗り込んで壊滅させたり。
時には迷子の犬を探し回ったり。
時にはご老人を家まで送って行ったり。
レナルーラに着いた頃には10日が経っていた。
レナルーラは北西の極寒の土地。
常に雪が積もっており、辺りは一面銀世界だ。
マオさんが炎系の魔法で私達の周りだけ温度調整をしてくれているから、寒さは感じないが、この魔法がなければすぐにでも凍りついてしまうのだろう。
レナルーラ王国は極寒の土地。
作物などは殆ど育たず、川や湖も凍りついており、自給自足が難しく、他国との貿易によって成り立っている国だと、トワイザランにいた時に教わったことがある。
私達はとりあえずいつもの如く、宿を探した。城下町は栄えており、人で賑わっている。
宿を見つけ、宿屋の従業員から、この国の事を色々と教えてもらった。
この国は温泉が有名だということ。
古代の書物は国立図書館に貯蔵されているということ。
そして最近王宮内がバタバタとしていることを。
私達は国立図書館に行こうと思ったが、夜になり国立図書館はもうやっていなかったので、その日は温泉を楽しむことにした。
街の外れにある露天風呂。
男性用と女性用が分かれており、私達は1時間後に出口で待ち合わせをして、それぞれ中に入った。
極寒の白銀の世界を眺めながら入る温泉は格別に気持ちがよかった。
ジャカンの温泉も良かったが、また種類の違う心地よさだ。
時折のぼせそうになり、温泉から出ると冷んやりした風が気持ちよく感じる。
少しクールダウンしたところでまた熱い温泉に浸かる。
たまらなく気持ちが良かった。
私もジークもリガンも時間を忘れて温泉を堪能した。
気づけば1時間半も経っていた。
私達は慌てて出て行くが、出口にはまだマオさんとシグルドの姿はなかった。
更に1時間程経つとようやく2人が出てきた。
「ごめんごめん。覗き魔がいて懲らしめてたら遅くなっちゃった」
シグルドが言う。
「女湯を覗くとはけしからんな。それは懲らしめられて当然だわ」
ジークが言う。
自分だってブァルファーレの時に覗きに行ったくせに……。
「それにしてもシグルド。お前と旅を始めて2週間と経っていないのに、一体俺たちはどれだけの事件に首を突っ込んできたんだ?もう数えきれないぞ」
ジークがうんざりとした表情でいう。
こんだけ文句を言うが、関わった問題は全てシグルド本人か私達が解決していて、ジークは何一つ手伝ったことなどなかった。
「そんなのいちいち考えたこともないわ。怠け者のあなたには分からないでしょうね」
「あぁ。わからないね」
「もしあなたみたいな人が勇者だったらこの世は壊滅ね」
シグルドはケラケラと笑った。
私達はみんな『これでも一応勇者なんだよ…』と心の中で呟いていた。
翌日、私達は国立図書館に足を運んだ。
かなりの数の書物が貯蔵されており、私達はその中でも龍神族に関する物と、1200年前の大戦に関する書物を漁るように読んだ。
1日で読み切れる量ではなく、私達は毎日の様に国立図書館に通った。
それでも殆どの書物は広く言い伝えられているように、10人の賢者が龍神族を封印したこと、大戦士ムーアや他の英雄達が身を呈して、龍神族から10人の賢者を護り抜いたことしか書かれていない。
何故こんなにもあからさまにファルファーのことと、ハイエルフ族の事が歴史から消されているのか、私達は疑問が深まった。
書物を調べてムーアの名前が出てくる度にシグルドは自慢げな笑顔を見せていた。
「そういえば、裏切りの騎士ファルファーって、何故裏切りの騎士って呼ばれているんだ?」
ふとジークが言った。
「どうしたの急に?裏切りの騎士ファルファーなんて龍神族となんの関わりもないでしょ?」
シグルドが答えた。
「ちょっと気になっただけだ。教えてくれ」
「いいわ」
シグルドは図書館の中を歩き回り1冊の本を持ってきた。
「これがファルファーの本よ。
裏切りの騎士ファルファーの話は
ある日、あるとても大きな王国に巨大で凶悪なドラゴンが現れた。
そのドラゴンの力はあまりにも強大で王国の騎士達でも全然歯が立たなかった。
ドラゴンは数ヶ月に1度、王国を訪れては国民達を襲っていった。
このままでは王国が滅亡してしまうと危惧した王様はそのドラゴンを封印する術を王国の魔道士達に開発させた。
そして100人の精鋭部隊を結成し、ドラゴン封印の旅をさせた。
その部隊の隊長に選ばれたのがファルファーだったの。精鋭部隊はドラゴンの巣を目指し旅を始めるの。
途中いくつもの困難があった。それでもファルファーは持ち前の強さとリーダーシップで、困難を乗り越えてゆく。ここまでの話だとファルファーはとても勇敢で頼りになるリーダーって感じね。
まるで勇者のような…。
そしてドラゴンの巣に着き、最終決戦が始まる。ファルファーを筆頭にドラゴンを足止めし、封印魔法が発動された。
封印魔法は成功し、ドラゴンは宝石に封印された。
しかしその時、ファルファーはその封印されたドラゴンの宝石を奪い、ドラゴンの力を我が物とし、精鋭部隊を皆殺しにし、その後はその王国までも滅亡させた。
そして王国を滅亡させた後にファルファーは消息を絶ち、その後歴史に姿を現さなかった。
そんな話よ」
シグルドが話終えるとしばらくの沈黙が訪れた。
私もこのファルファーの話は知っている。
力と欲に溺れた裏切りの騎士。
しかし1200年前の大戦の話を龍神族から聞き、この物語の捉え方が少し変わった。物語に出てくる『ドラゴン』というのは龍神族のことなのだろう。
精鋭部隊を率いてというのはハイエルフ族と10人の賢者。
そう考えると、ファルファーは龍神族の封印に成功した後に、あの黒い宝玉を奪い、人間の連合軍に牙を剥いたということか?
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