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新たなる出会い
目覚めし本能の剣
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大会二回戦が中盤へと差し掛かった頃――
突如として、会場の外がざわめき始めた。どこからともなく聞こえてくる悲鳴と怒声。
その直後、血相を変えた若者が会場へと駆け込んできた。
「たいへんですッ!近くの山から、モンスターが……モンスターが、こっちへ向かってきてます!」
その言葉に、空気が凍りついた。
「全選手に告ぐ、大会は中断とする!町の防衛を最優先とする!」
即座に指揮を取ったのは、ゼクスであった。王国騎士団長としての威厳に満ちたその声に、剣士たちは一斉に動き出した。
ライザルド一行も、民の避難誘導と戦闘の準備へと移る。
数刻と経たぬうちに、町の入り口は即席の前線へと変貌した。
そして現れたのは、百を超える野生のモンスター群。
牙を剥く獣型、爪を振るう四足の魔獣、まばたきの間に姿を変える幻影のような魔物たちが、次々と町に迫る。
「リィナ!右側の突破を防げ!」
「心得た!」
リィナは素手でモンスターたちに飛びかかり、拳一閃、魔獣の巨躯を地に沈める。
その技は鋭く、華麗で、美しく、そして圧倒的であった。
一方のゼクスも、剣を振るえば敵をなぎ払い、背中で民を守りながらも前線を維持し続ける。
王国の顔として名を馳せるにふさわしい、英雄の如き立ち回り。
「ふむ……やはり、この二人は強いのう……」
ライザルドは感嘆を漏らしながらも、幽体のまま状況を観察していた。
実体化するべきかと身構えたその時――
彼の視界に、あの少女の姿が映る。
「……イリス?」
少女は一人、木刀一本でモンスターに立ち向かっていた。
その姿は果敢で、恐れを知らぬもののように映った。
「ば、ばかたれ……そんなもんで、通用する相手ではなかろうに……!」
ライザルドが急ぎ助けに入ろうとした――その時だった。
彼の目に映ったのは、イリスの“動きの迷い”だった。
振るう前に、瞬きほどの一瞬――ほんのわずか、ためらうような仕草。
それは「剣術の型」を守ろうとする“無意識の枷”だった。
それが彼女の本能的な動きを封じているのではないか……そう思った瞬間、ライザルドは叫んだ。
「イリス!! 型に囚われるな!おぬしの好きなように、思うがままに剣を振るうのじゃ!!」
その声に、イリスの動きがピタリと止まった。
彼女の瞳に、確かに“何か”が灯った。
次の瞬間――
彼女の体が、猛獣のように躍動した。
鋭く、荒々しく、そして自由に。
型に縛られない、奔放な剣がモンスターたちを切り裂いてゆく。
獣のような叫びを上げながら、彼女は駆け、跳ね、斬り伏せる。
その戦いぶりは、もはや「剣術」とは呼べぬかもしれぬ。
しかし、否――
「……こりゃあ……ええのう……」
ライザルドは思わず笑みを浮かべた。
「これが……おぬしの“本物”の剣か。なんと荒削りで、野生的で……それでいて、輝いとる」
彼女の剣才は、形に縛られていたがゆえに眠っていた。
だが今――解き放たれた。
躍動感溢れるその剣技にライザルドは久々に胸の高鳴りを覚えた。
イリスの剣が、真に覚醒した瞬間であった。
突如として、会場の外がざわめき始めた。どこからともなく聞こえてくる悲鳴と怒声。
その直後、血相を変えた若者が会場へと駆け込んできた。
「たいへんですッ!近くの山から、モンスターが……モンスターが、こっちへ向かってきてます!」
その言葉に、空気が凍りついた。
「全選手に告ぐ、大会は中断とする!町の防衛を最優先とする!」
即座に指揮を取ったのは、ゼクスであった。王国騎士団長としての威厳に満ちたその声に、剣士たちは一斉に動き出した。
ライザルド一行も、民の避難誘導と戦闘の準備へと移る。
数刻と経たぬうちに、町の入り口は即席の前線へと変貌した。
そして現れたのは、百を超える野生のモンスター群。
牙を剥く獣型、爪を振るう四足の魔獣、まばたきの間に姿を変える幻影のような魔物たちが、次々と町に迫る。
「リィナ!右側の突破を防げ!」
「心得た!」
リィナは素手でモンスターたちに飛びかかり、拳一閃、魔獣の巨躯を地に沈める。
その技は鋭く、華麗で、美しく、そして圧倒的であった。
一方のゼクスも、剣を振るえば敵をなぎ払い、背中で民を守りながらも前線を維持し続ける。
王国の顔として名を馳せるにふさわしい、英雄の如き立ち回り。
「ふむ……やはり、この二人は強いのう……」
ライザルドは感嘆を漏らしながらも、幽体のまま状況を観察していた。
実体化するべきかと身構えたその時――
彼の視界に、あの少女の姿が映る。
「……イリス?」
少女は一人、木刀一本でモンスターに立ち向かっていた。
その姿は果敢で、恐れを知らぬもののように映った。
「ば、ばかたれ……そんなもんで、通用する相手ではなかろうに……!」
ライザルドが急ぎ助けに入ろうとした――その時だった。
彼の目に映ったのは、イリスの“動きの迷い”だった。
振るう前に、瞬きほどの一瞬――ほんのわずか、ためらうような仕草。
それは「剣術の型」を守ろうとする“無意識の枷”だった。
それが彼女の本能的な動きを封じているのではないか……そう思った瞬間、ライザルドは叫んだ。
「イリス!! 型に囚われるな!おぬしの好きなように、思うがままに剣を振るうのじゃ!!」
その声に、イリスの動きがピタリと止まった。
彼女の瞳に、確かに“何か”が灯った。
次の瞬間――
彼女の体が、猛獣のように躍動した。
鋭く、荒々しく、そして自由に。
型に縛られない、奔放な剣がモンスターたちを切り裂いてゆく。
獣のような叫びを上げながら、彼女は駆け、跳ね、斬り伏せる。
その戦いぶりは、もはや「剣術」とは呼べぬかもしれぬ。
しかし、否――
「……こりゃあ……ええのう……」
ライザルドは思わず笑みを浮かべた。
「これが……おぬしの“本物”の剣か。なんと荒削りで、野生的で……それでいて、輝いとる」
彼女の剣才は、形に縛られていたがゆえに眠っていた。
だが今――解き放たれた。
躍動感溢れるその剣技にライザルドは久々に胸の高鳴りを覚えた。
イリスの剣が、真に覚醒した瞬間であった。
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