転生した世界が前世で知っているゲームだったので、一言アドバイスをしたらいつの間にか教祖として祭り上げられていた

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教祖になりました

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前世の僕に今、自分は異世界で『教祖』になっていますと言ったら信じてくれるだろうか。

十中八九信じてくれるわけないよね。

だって今の僕ですら信じられないし、なんでこんなことになったんだろうと毎日寝る前に考える。
僕はこの異世界と呼べるような場所でのんびりスローライフを送りたかった。前世でやったことがなかった農業や色んな人とコミュニケーションを取って忙しいけど、それなりに楽しい毎日を予想していたのに。


皆に自分は大した力も持っていないただの人間だと宣言したことは何度かあった。でも彼ら彼女らはそんな僕の言葉に耳を傾けることはない。
毎回、「何をおっしゃっているんですか、教祖様はとても素晴らしい力をお持ちです」とか「神よ、私たちに何なりとご命令を!」とかおかしい反応ばっかりだしさ。


僕のことを教祖と祭り上げている人たちこと、崇拝者たちの特徴は全部で2つだ。


1つ目に絶対にこの変な団体こと宗教団体のマークが体に刻まれている。焼き印なんて入れている時点でこの組織がおかしいのは一目瞭然だ。

2つ目に頭が少しイカれていて、僕に対する忠誠心はヤバいぐらいに高いこと。極端な例だけど、もし僕が『死ね』と命令すればその場で自害することも厭わないと思う。それぐらいに崇拝している理由は分からないし、崇拝されている側の僕でも怖いと感じるんだから。



僕が大した力を持っていないけど、一つだけ持っている力がある。それは魔力を分け与える力というものがある。まずはこの世界において、魔力というものがどんな風な位置づけにあるのかを説明した方がいいかな。


この世界は前世であったライトノベルの世界。

もっとも大事なこととしてこの世界に魔術というものは存在しているが、使えるものはほとんどいない。なので、この世界においての戦闘はほぼ武器によるものだ。なので、この世界の主人公も平民でありながら、少しずつ力を付けて成り上がっていくもの。
そして成り上がる時に戦う手段は武器を使うだけで魔法というものは出てこなかった。プレイしている時はそういうものなんだと疑問に思わなかったけど、転生してみるとこういう世界で魔法がないのは珍しいなぁと思う。


そしてそんな世界で僕は転生した時のギフトなのか、魔法が使えた。それだけでも結構この世界じゃすごいことで、それに加えて僕は魔法の源こと魔力を分け与えることが出来るため、今まで魔法が使えなかった者が使えるようになる。この世界の人間は別に魔法を使えないわけじゃない。魔法を使うための魔力の源の魔素《マソ》はこの世界の空気に満ち満ちているので普通に息していれば誰でも魔素《マソ》を取り込むことはできる。


ではなぜ魔法を使えないのか?



それは実に単純で魔法を使うための機能の回路が動かないのだ。



まるで氷漬けにされたように動かないので、魔法が使えない。そして僕が魔力を分け与える時にその氷漬けにされているところを溶かしてあげれば自ずと魔法が使えるようになる。そこからがスタートラインで自分なりに魔法を発展させていけばいい。




―――――

僕の目の前に様々な髪色の男女が頭を下げている。その光景にも慣れていき、少しずつ扱いが上手くなっていく。


「顔をあげて

僕の言葉で全員が顔をあげて、改めて思う。


こいつら、美青年に美少女ばっかり。男はとってもカッコいいし、女はとっても可愛い。異世界だから当たり前のことなのかもしれないけど、本当にすごい。前世だったら絶対にモデルになっているような感じだ。


「今日も来てくれてありがとね」

なるべく笑顔でいることにしている。僕はなぜかこの村から出ることを禁じられているので、出ることはできない。なので色々と苦労を掛けているのでせめて笑顔でいようと決めているのだ。


青髪の少女が少し涙を浮かべながら話し始めた。

「いえ、私どもは教祖様のために生きるものです。あなた様のお陰で私たちは本当の生きる意味に気付けた。だから私共の命をあなた様に捧げます」

重すぎる。この子たち、重すぎるの。本当に僕の命が危なくなった時に躊躇なく、犠牲になりそうで本当に怖い。守ってもらえているのは有難いけど、別に彼ら彼女らの自由な時間を奪ってまでして欲しいとは思っていないんだけどな。


「ありがとう、エスリン」


「私の名前を…っ…」

そりゃあ覚えているよ。というかほとんどの人たちの名前ぐらいは覚えるようにしている。さすがに名前が分かっていなかったら失礼だろうし。まぁ、僕なんかを崇拝している変わっている人だけどね。


「エスリンを含めて、ここに来てくれた全ての者に感謝を伝えたい」

すると今度は赤髪のロングで凛々しい顔立ちの男性エルフが感謝を伝えてきた。


「感謝などいりませぬ。俺たちは教祖様に忠誠を誓っていますので、教祖様は俺たちのことを手足のように操ってくださればそれでいいのだ」

この子はたしか…マロンだったか。本当にどの子も忠誠心が高すぎて怖いな。


「マロン、ありがとう。これからもキミたちの忠誠に答えられように僕も頑張ろうかな」

このままここに閉じ込められるのは避けたい。少しぐらい、他の国も見て回りたいという気持ちもやっぱりあるし。

どうやら僕の言葉は受け入れられなかったようで、マロンが首を振り答えて来る。


「いえ、教祖様が動く必要はありません」


「え…」


「俺たちで全ての障壁は打ち破ります。そうでなければ教祖様からなぜ力を開け与えられたのか分かりません。教祖様の敵は俺たちの敵であり、殲滅するのが人類のため」

やっぱり怖い。ちょっとこのまま行くと……まずい方向に行ってしまう感じがするのは気の所為じゃないと思う。


「まぁ…程々にね」


「分かっております。全ては教祖様のため、この世界のため」


これ本当に大丈夫かな。
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