一振りの刃となって

なんてこった

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125.戦争の終わり

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 さて、都市モニカから電撃作戦並の撤退戦を成功させた魔王軍はその勢いに任せノスモニアよりハーモニア大陸からの脱出を試みる。
 ニコルやその取り巻きは基本的に追撃戦には不干渉を貫く姿勢をとっていたために魔王軍の被害は種族差などからくる戦闘力の差によってほとんど受けなかったのだ、尤もそれによって勘違いした一部の兵の暴走にはニコルが出ばりそういった輩によって無駄な被害は出ることはあった。
 そして神国軍は魔王軍の船によるの脱出をみすみす許してしまう。
 もちろんそれも追撃しようとした神国軍だったが魔王軍が脱出する際に残る船はほとんど破壊されており、新たな船を用意する暇もなく隣国、ハーモニア共和国に応援を頼むも航路に現れた幻術を看破するレヴィアタンの出現によってたどり着くことはなかった。
 結局、神聖ハーモニア王国はサームスギ南端のサウススギまでの奪還は諦めて、ノスモニアの防備の増強をすることでサームスギから再び来るかもしれない魔王軍に備えることにする。
 その際、ノスモニアにいた領主などに連なる貴族らは今回の騒乱に一掃されていたために誰が統治するかという話題がしばし上がったのだが・・・言うまでもなくこの戦争の功労者であるニコルに白羽の矢が立つ。
 実際単騎で魔王軍と相対できるニコルがいれば言うほど早急な防備の増強も必要ないという目論見もあったのだが。
 
 ノスモニア元領主が住んでいた屋敷の一室にて。
 4人の護衛に囲まれながら、ニコルが前領主の執務室にある机の椅子に座り溜息をつく。
「僕が領主ですか・・・一奴隷だった僕が」
 ニコルのつぶやきが聞こえる、確かにこうまでうまく事が運ぶのは割といいことなんだが・・・正直物足りない。
 せっかく俺もパワーアップしたのに、どうやって知ったのか知らないが、ニコルが追撃戦には消極的なスタンスだと知った魔王軍は基本ニコルには兵を向けずさっさと撤退していったからだ。
 逃げた連中をセイレムに襲わせても楽しいかと思ったが・・・魔王軍に恨みがあるわけじゃないし、むしろいてくれれば神国ももう少し緊張感を持った国になるかと思いあえて見逃し援軍もこっちに来させないように手を打った。
 その内サームスギには行こうかな?って思っているのだが、今はそこまで興味も湧かないし本格的にその内にすることにして今はニコルに伝えようと思っていたことを伝えておく。
『ニコル、これから先の事の指示をだそうとおもうのだが、大丈夫か?』
 という俺の問いにニコルは頷いて答える。
『よし、これからはお前がここの領主となり治めていく事になる。
 そしてそれは基本的にここに長く住みつくこととなる、そうなると俺には正直つまんない日々が続くわけだ』
 まぁニコルの事をよく思ってない連中もいるだろうけどそんな奴らもニコルにちょっかい出して結果どんな目にあうのかくらい考える頭くらいあるだろうから大した事も出来ないだろう。
「確かに兄さんにとって刺激の無い日々しか続かないかと思います」
 ニコルも俺の言葉を肯定する。
『というわけで俺は、お前がヒューマンの成長限界を超えるまでは”ソウルブリーダー”をかけるために起きるがそれ以外は随時スリープモードを維持し意識を閉じることにする』
 という言葉にその場にいた者達は一瞬狼狽える・・・ような気がしたが狼狽えたのはニコルだけだった、因みに俺は執務机に飾られるように置いてある。
「僕を見捨てるということでしょうか?」
 ニコルが動揺を隠すことなく震える声でそう訊いてくる。
『なんでそうなる?まぁなんでそうなるのか分からんがお前は俺の物だから捨てんぞ?
 ただこのままつまらない日々が続けば俺の心が壊れるかもしれないからそうしようと思ったんだ。
 お前を英雄にするという俺の目標はだいたい叶ったみたいだし、そうなると俺の次の目標のためにも寝て待っとこうかと思ってね』
 俺の言葉に若干の安心と俺の中ではもう決定事項なんだと分かって落ち込むニコルが何とか質問する。
「次の目標はなんでしょうか?」
 聞かないと納得できないといった顔でそれを聞くニコル、まぁ言うつもりだから別に気張らんでもいいんだが。
『次の目標は魔王の討伐だ』
 俺はそう一言で伝える。
「魔王討伐ですか?」
 ニコルも聞き返す。
『そう、そして召喚される次の勇者を手助けすることだ』
 そういった俺にニコルは。
「勇者の手助けをして魔王を倒すのではないんですか?」
 ときた、まぁ若干間違えた感があるが・・・間違いではないんだ。
『勿論魔王を倒す手助けもするが、俺の目的は異世界送還だ。
 この世界の奴らは喚んだら喚びっぱなしだそうだな?
 俺はそれが気にくわん。
 勇者に帰るか残るかの選択肢を与えないこの世界が気にくわん。
 だから勇者と同行して送還魔法を創ろうと思ってな』
 とまで言うとニコルが。
「でしたら今のうちに召喚術を解読したらいいのではないですか?」
 とあながち間違いじゃないことを言ってくる、だが残念。
『召喚術と勇者召喚術では術式がなのか分からないが全くの別物らしい。
 その証拠に召喚術で呼ばれた異世界人と勇者召喚で呼ばれた異世界人では戦闘力に隔絶した差があるそうだ。
 だから、俺は勇者に付き添い勇者召喚の秘密を探り勇者送還術を創り上げる。
 ”ライブラリ”によると勇者召喚は魔王がいないと使えない可能性があるそうだから、魔王が出現するまで俺は寝ることにすた』
 俺がスリープモードに入る理由も混ぜて説明するとようやくニコルも折れる、納得はしてないようだが反論は諦めたようだ。
「分かりました兄さん、これからは僕に任せてしばらくお休みください」
『あっ!ついでに”脱衣”』
 俺が唐突にそういうと俺を包んでいた鞘がスライムのようにぐにゃぐにゃになりニコルの首に向かっていき剣のレリーフを形作ったネックレスになる。
『鎧はお前に預ける、今度からは”抜刀”じゃなく”装着”の後にタイプを言うようにしろ、ネックレスにするときは”脱衣”だ』
 と説明し。
『俺を起こすときは俺を持って”解放”って唱えろ、それじゃあ俺はもう寝る、次の”ソウルブリーダー”を使うときかどうしても俺に報告したいことがあるときだけ起こすようにな。
 じゃあ、”おやすみ”』
 俺は”封印”をで改造した”おやすみ”をつかっていしきを・・・。
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