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「次の仕事は僕の護衛、だ。最初に言ったよね?住みこみのアルバイトを探してると」
だ、騙された。何日もかけて仕事をこなしたというのに。

ふーっと大きなため息をついた。
「いつからですか?」
するとリンは嬉しそうな顔をする。
「おっ。君、聞き分けがいいねえ!それなら、早速今日からお願いしてしまおう」
「今日からですか、、、」
人手が不足しているのだろうか。
「僕には魔力が見える。だからこの短期間で爆発的に魔力が増えた君に少し興味が湧いたのかも」
リンには魔力が見える!?
私だって見ることは出来ないのに、聖女でない彼になぜ見えるのか。

「人はいつか死にます。だから私が護衛したって結局は無意味なことですよ」
知り合いだったお爺さんはある日ポックリと逝ってしまった。
誰にだってそうなる可能性はある。
突然不治の病にかかるもしれないし、寝ておきたら目を開けなくなっているかもしれない。
誰かの護衛をするというのは正直怖い。その人の生死を握っているかのようだ。
しくじったらどうしよう。私のせいでリンが死んだら、、、
「死ぬのは怖くないんだ。一番怖いのはいなくなってしまうこと。連絡が取れなくなること」
「誰か連絡の取れなくなった相手がいるの?」
リンの消え入りそうな声を聞いてなんだか心配になった。
「ミュウラ、ぎゅってしてもいい?」
「それはちょっと遠慮しーー」
私の返事などお構いなしで大きな体が覆いかぶさった。華奢なのに筋肉がしっかりついている。
温かい…
!!!
今ハグされてる?
正気に戻った私はリンの体から逃げ出そうと必死に抵抗する。
力で対抗できないことを悟り魔力の力を借りようとする。
『抵抗』
新しく覚えたものだ。手に入れたばかりの魔法は大いに力を発揮してくれた。
「急になんなんですか」
「…嬉しくって」
「はあぁ。今後、ハグは禁止です。二度と半径1メートル以内に入ってこないでください」
素直に私の話を聞いてくれる人でなく、話をはぐらかされてしまった。
「さあ、日が暮れてきたなあ。一旦支度をしなきゃいけないだろうし、今日はもう帰っていい。護衛の仕事は明日から。荷物は明日持ってきな」
明日からここに住んで、リンの護衛をする。護衛とかやったことはないけど、友達を守るのに悪い気はしない。
あれ、そういえばリンって友達?
私の友達はリン。
「リンの友達は私?」
「ふふっ。友達かあ。僕と君は友達だよ!いわゆる、ズッ友だ」
友達。リンにとっても友達だと言うことだ。
 






屋敷の中には彼女を知る人がもう一人いた。
「はっ!お前は…」
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