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異世界探査1ー2
エンドレス◯TR
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一瞬の痛みと体の中に何かが通過した感覚がハキヤを襲う。だが、実際に体を見ても二つには分かれていなかった。そこでハキヤは天照大御神様の意図に気づいた。
「ふふふふふっ、こんなもの私に効くとでも思いました?」
先ほどの刀の一振りによりなぜか、急に血が上っていた頭が落ち着いた。よくわからないが、おそらく今の一瞬の痛みがショック療法的に彼女の頭を現実に引き戻したのだろう。
それに今の攻撃で目の前にいる神がやろうとしていることが自分に効かないことと分かった。それが彼女に余裕を生ませ、口調が天照大御神様と戦った時の口調に戻ったのだ。
「そうやって、何度も痛みを与えて私の心が折ろうとしているようですが、無駄ですよ。私を何の神だと思っているのですか?痛みや絶望なんて私の司る権能の一部にすぎませんよ。」
今、意識を集中してみたら彼の魂の居場所がなんと無くだが掴めた。それにより、ハキヤは苦しむどころかにこやかに笑っていた。だが、その笑みはとても不気味で不吉なものだった。
しかし、そんな彼女の言葉を無言で聞いていた天照大御神様はハキヤの言葉を無視する様にもう一度刀を振り下ろした。
「ふんっ、だから私には効かな」
「なあ、お前の愛する人って誰だっけ?」
ハキヤの言葉を遮り、天照大御神様は彼女にとって当然を通り越した常識的な質問をした。
「はい?何を突然。もしかして私を揺さぶろうとしているのですか?私がこんなことで揺さぶられ・・・え?」
そこでやっとハキヤは気づいた。自分が今何をされたかを。
「え、そんな、なぜ、わ、私の、私の」
どんなに考えても、どんなに記憶を探っても彼女の頭に愛すべき彼の事が一切浮かんでこない。
「ままままさか、お、お前!」
「貴様が何に驚いているのかは知らないが、勘違いしているようだから一応この刀の話をしておこう。この刀はな、相手の体を切るのではなく相手の記憶を切り、破壊する刀なんだ。」
「っ!!!!????」
目の前が真っ暗になった。彼女が言うことが真実ならば今の私の記憶の中には私の愛すべきが彼の存在が無くなっているということだ。
そこでやっとハキヤは自分が冷静になった理由がわかった。実際にハキヤは冷静になったのでは無く怒る理由を失っただけだったのだ。
つまり、今の私は彼を思う心そのものがないというわけだ。
「天照!私の!私の記憶を返せ!」
心にぽっかり空いた穴を埋めるようにして、不安や憎悪、怒りなどが彼女の支配する。
「返せ?聞いていなかったのか?私は切って破壊した言ったのだ。奪ったのではない。私はお前の記憶など持ってないのだから返せるわけないないだろう。まあ、返せたとしても返さないが。」
ハキヤはまるで死の宣告を受けた少女のような絶望の表情を浮かべた。いや、実際に彼女からしたらそれ以上だ。死に対しての絶望は死ねば終わるが、彼女のこの絶望は死というゴールがない、つまり永遠に解放されることない絶望だ。それがいかに地獄かは言うまでもない。
「ああ、あああ、ああああ、ああああああああああああああああああああ!」
まさしく絶望を声に変えたような狂気の叫びであった。それは終わりのないこの神界を埋め尽くすように広がる。もしこの、体を気持ち悪く舐め回す叫び声を聞いた人がいれば、頭がおかしくなり、精神が崩壊するだろう。しかし、その叫びを直に受けている天照大御神様の表情はハキヤとは真逆のものだった。
「やっと、いい表情になったな。ハキヤ。」
それは新しいオモチャ買ってもらった少女のような純粋な笑みだった。
「だが、これは煩いな。もっと聞いてはみたいが少し頭に響く。」
パチンッと指を鳴らすと、ハキヤの声が消えた。しかし、それでもハキヤは声なき声を出し続ける。まるで音を消したテレビの様なきみの悪い光景だ。
「おいおい、まだこれで終わりではないんだから、さっさと正気に戻れ。」
天照大御神様がもう一度刀を振るった。すると、ハキヤは突然叫びをやめた。
「あ」
彼女の中からある物が消えた。それが何なのかわからない。もうすでその記憶は失われたのだから。
「は、ははっ、はははははっ、」
灼熱の砂漠の様な乾いた笑いがハキヤの口から漏れた。もうすでに彼女の中に吐き出せるものは何もなかった。
「殺して、もう私を殺して」
もう嫌だった。これ以上生きているのも、絶望を味合うのも全てが嫌だった。とにかくこの地獄から解放されたかった。がしかし
「ん?何で私がお前を殺さなくてはならないんだ。」
それを天照大御神様は許さなかった。そもそも許される筈がなかった。彼女は未だに誰に喧嘩を売ったか理解ができていなかった。
「お前をこれから人の身に降す。そこでたっぷりと自分のした事を人として体験してこい。
ああそれと、たった一回の人生で終わると思うなよ。お前の罪が清算されるまで何度でも何度でも繰り返される。」
ハキヤのいる場所に大きな暗い穴が開く。
「それじゃあ、私の世界を存分に楽しんでくれ。まあ、ここに戻ってくるまで記憶は無くなるが、その方がよいだろ。より一層、絶望が味わえて。」
ゴミ箱に捨てられるゴミの様に何の抵抗も無くハキヤの体は暗い穴に覆われた。
「ふふふふふっ、こんなもの私に効くとでも思いました?」
先ほどの刀の一振りによりなぜか、急に血が上っていた頭が落ち着いた。よくわからないが、おそらく今の一瞬の痛みがショック療法的に彼女の頭を現実に引き戻したのだろう。
それに今の攻撃で目の前にいる神がやろうとしていることが自分に効かないことと分かった。それが彼女に余裕を生ませ、口調が天照大御神様と戦った時の口調に戻ったのだ。
「そうやって、何度も痛みを与えて私の心が折ろうとしているようですが、無駄ですよ。私を何の神だと思っているのですか?痛みや絶望なんて私の司る権能の一部にすぎませんよ。」
今、意識を集中してみたら彼の魂の居場所がなんと無くだが掴めた。それにより、ハキヤは苦しむどころかにこやかに笑っていた。だが、その笑みはとても不気味で不吉なものだった。
しかし、そんな彼女の言葉を無言で聞いていた天照大御神様はハキヤの言葉を無視する様にもう一度刀を振り下ろした。
「ふんっ、だから私には効かな」
「なあ、お前の愛する人って誰だっけ?」
ハキヤの言葉を遮り、天照大御神様は彼女にとって当然を通り越した常識的な質問をした。
「はい?何を突然。もしかして私を揺さぶろうとしているのですか?私がこんなことで揺さぶられ・・・え?」
そこでやっとハキヤは気づいた。自分が今何をされたかを。
「え、そんな、なぜ、わ、私の、私の」
どんなに考えても、どんなに記憶を探っても彼女の頭に愛すべき彼の事が一切浮かんでこない。
「ままままさか、お、お前!」
「貴様が何に驚いているのかは知らないが、勘違いしているようだから一応この刀の話をしておこう。この刀はな、相手の体を切るのではなく相手の記憶を切り、破壊する刀なんだ。」
「っ!!!!????」
目の前が真っ暗になった。彼女が言うことが真実ならば今の私の記憶の中には私の愛すべきが彼の存在が無くなっているということだ。
そこでやっとハキヤは自分が冷静になった理由がわかった。実際にハキヤは冷静になったのでは無く怒る理由を失っただけだったのだ。
つまり、今の私は彼を思う心そのものがないというわけだ。
「天照!私の!私の記憶を返せ!」
心にぽっかり空いた穴を埋めるようにして、不安や憎悪、怒りなどが彼女の支配する。
「返せ?聞いていなかったのか?私は切って破壊した言ったのだ。奪ったのではない。私はお前の記憶など持ってないのだから返せるわけないないだろう。まあ、返せたとしても返さないが。」
ハキヤはまるで死の宣告を受けた少女のような絶望の表情を浮かべた。いや、実際に彼女からしたらそれ以上だ。死に対しての絶望は死ねば終わるが、彼女のこの絶望は死というゴールがない、つまり永遠に解放されることない絶望だ。それがいかに地獄かは言うまでもない。
「ああ、あああ、ああああ、ああああああああああああああああああああ!」
まさしく絶望を声に変えたような狂気の叫びであった。それは終わりのないこの神界を埋め尽くすように広がる。もしこの、体を気持ち悪く舐め回す叫び声を聞いた人がいれば、頭がおかしくなり、精神が崩壊するだろう。しかし、その叫びを直に受けている天照大御神様の表情はハキヤとは真逆のものだった。
「やっと、いい表情になったな。ハキヤ。」
それは新しいオモチャ買ってもらった少女のような純粋な笑みだった。
「だが、これは煩いな。もっと聞いてはみたいが少し頭に響く。」
パチンッと指を鳴らすと、ハキヤの声が消えた。しかし、それでもハキヤは声なき声を出し続ける。まるで音を消したテレビの様なきみの悪い光景だ。
「おいおい、まだこれで終わりではないんだから、さっさと正気に戻れ。」
天照大御神様がもう一度刀を振るった。すると、ハキヤは突然叫びをやめた。
「あ」
彼女の中からある物が消えた。それが何なのかわからない。もうすでその記憶は失われたのだから。
「は、ははっ、はははははっ、」
灼熱の砂漠の様な乾いた笑いがハキヤの口から漏れた。もうすでに彼女の中に吐き出せるものは何もなかった。
「殺して、もう私を殺して」
もう嫌だった。これ以上生きているのも、絶望を味合うのも全てが嫌だった。とにかくこの地獄から解放されたかった。がしかし
「ん?何で私がお前を殺さなくてはならないんだ。」
それを天照大御神様は許さなかった。そもそも許される筈がなかった。彼女は未だに誰に喧嘩を売ったか理解ができていなかった。
「お前をこれから人の身に降す。そこでたっぷりと自分のした事を人として体験してこい。
ああそれと、たった一回の人生で終わると思うなよ。お前の罪が清算されるまで何度でも何度でも繰り返される。」
ハキヤのいる場所に大きな暗い穴が開く。
「それじゃあ、私の世界を存分に楽しんでくれ。まあ、ここに戻ってくるまで記憶は無くなるが、その方がよいだろ。より一層、絶望が味わえて。」
ゴミ箱に捨てられるゴミの様に何の抵抗も無くハキヤの体は暗い穴に覆われた。
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