虹の軍勢

神無月 紅

文字の大きさ
13 / 76

13話

しおりを挟む
 白夜と杏、弓奈の三人は山の中を歩く。
 ノーラは白夜たちの上を飛んでいるので、たまに他の三人から羨ましそうな視線を向けられるが……全く気にした様子もない。
 もっとも、ノーラは偵察要員としての役目も果たしているのだから、より多くの情報を得られるように空を飛ぶというのは決して間違った移動手段ではないのだが。
 最大の問題は、ノーラが何かを言っても白夜が完全には理解出来ないことか。

「っとに……歩きにくいったらありゃしねえ」
「白夜の言いたいことも分かるけど、しょうがないでしょ? ゴブリンが歩いているような場所を私たちが進めば、一発で見つかってしまうんだから」

 茂みを払いながら歩いている白夜に、その後ろの杏は言葉を返す。

「いいよな、先頭を俺に任せてる奴は」
「……あのね。元々魔法使いの私は後衛。白夜は前衛でしょ? それに……ゴブリンの魔石をなくしたのを、忘れたとは言わせないわよ?」

 白夜の闇がゴブリンの死体を呑み込んだことを言われれば、言い返す言葉もない。
 結局それ以上は黙り込み、山の中を進んでいく。

(にしても、ゴブリンを呑み込んだけど全く何もないよな。せめてパワーアップしてるとか、そういうことでもあればいいのに)

 あの行為には恐らく何か意味がある。
 それは分かっているのだが、それでもどのような意味があるのかが分からない。
 自分の能力なのに、使いこなせないもどかしさが白夜の中にあった。
 そんなことを考えながら歩いている白夜たちだったが、不意に空を移動しているノーラが動きを止める。

「みゃ!」

 短い一言。
 だが、そこにある緊張の色は間違いなく、何か異変があったというのははっきりしている。
 白夜も、それを追う杏と弓奈の二人も、緊張しながら前に進み……山の中を歩いている五匹のゴブリンを発見した。

「ゴブリン」

 白夜は背後で呟かれた弓奈の声を聞く。
 それがただ呟いただけであれば、特に何かを感じるようなことはなかっただろう。
 だが、弓奈の口から出た言葉には、苛立ちの色があった。

(まぁ、俺たちに見つからなければ、女として最悪の目に遭っていたのは間違いないんだから仕方がないか)

 白夜たちに見つけられたのはまさに僥倖と呼ぶべきもので、普通ならまずありえないことだ。
 だからこそ、弓奈がゴブリンに対して苛立ちを持つのは白夜にも理解出来たし……それ以上に弓奈と同じ女の杏は、むしろすぐにでもゴブリンを殺してやりたいと、そう思ってしまう。

「落ち着けよ。ここでゴブリンを攻撃しても、意味はないからな」
「分かってるわ」

 落ち着かせようと告げられた白夜の言葉に、弓奈は短く言葉を返す。
 その言葉にはまだ苛立ちの色があったが、それでもこのままゴブリンに攻撃を行うような危うさの類は感じられない。
 もっとも、そのような真似をしようとしても、弓奈の持っている武器はナイフだけだ。
 それでゴブリンに襲いかかっても、苦戦するのは間違いない。
 ……それでも錆びた武器や木の枝を折って作られた棍棒くらいしか持っていないゴブリンと比べれば、十分に強力な武器なのだが。

(今は大人しくしているのよ。この苛立ちは、あとで纏めて返してやるんだから)

 そう思いつつ、弓奈は握り締めている拳に力が入るのを感じる。

「……とにかく、あのゴブリンを追おう。このまま集落を見つけることが出来れば、こっちとしても最善の結果だ」

 白夜の言葉に従い、全員はゴブリンを追うノーラを追うといった形で山道を進んでいく。
 途中で何度かノーラの姿がゴブリンに見つかりそうになったが、それも山の木々に紛れるようにしながら進めば、幸いなことに本格的に怪しまれたりはしなかった。
 そうして進んでいく白夜達だったが、やがて追っているゴブリンたちが嬉しそうに鳴き声を上げているのが聞こえてくる。

「いよいよか?」

 小さく呟いて声のしてきた方に視線を向けると……

「は?」

 白夜の口から、間の抜けた声が出る。
 当然だろう。そこには、一人の子供がいたのだから。
 正確には、今にもゴブリンに殺されそうになっている子供だ。
 弓奈以外にも捕まった相手がいたのかと、そんな風に心のどこかで思いながら……白夜の目は、かなり距離のある位置――大体百メートルほど――先にいる子供の顔をしっかりと見ることが出来ていた。
 その子供を見て白夜が驚いたのは、何故こんな山の中に子供がいるのかという疑問もある。
 弓奈のように何らかの依頼を受けて山の中にやってきて、結果としてゴブリンと遭遇して捕まったというのであれば納得も出来る。
 だが、あのような子供が何故山の中にいるのかというのは、白夜にはさっぱり理解出来なかったし、白夜の後ろからその様子を見た杏や弓奈も同様だった。
 しかし……それでも分かることがある。
 このまま放っておけば、あの子供はすぐにゴブリンに殺されてしまうということだ。
 ゴブリンたちの餌として。または、面白半分な暴力の対象として。
 そう、白夜の顔見知りでもある南風音也が。

「みゃ-!」

 ノーラも、子供が音也だというのに気が付いたのだろう。
 助けないの!? と白夜に向かって鳴き声を上げる。

「……ちくしょうっ、行くぞ!」

 音也の周囲には、ゴブリンが三十匹ほどもいる。
 また、白夜の位置から確認出来るのがそのくらいの数である以上、実際にはもっと数が多い可能性もあるだろう。
 茂みの中から飛び出しながら、白夜は金属の棍を構えて素早く周囲の様子を確認する。
 家と呼べるような建物はなく、掘っ立て小屋と呼ぶのも躊躇うような、そんな粗末な建物がいくつかあるだけ。
 それでも、ここがゴブリンたちの集落であるのは間違いないだろう。
 以前白夜が見たことのあるゴブリンの集落に比べれば随分と小さいのだが、それでも自分たちだけでゴブリン全てをどうにかするのは難しいだろうと思えた。

(杏の魔法を使って混乱している中で、音也を助けてその場を離脱。ギルドに報告して、改めて戦力を揃える……ってのが一般的か?)

 頭の中でそれだけを考えるのと、白夜が走ってくるのにゴブリンたちが気が付くのは、ほとんど同時だった。

「ギャギャギャギャ!」

 音也に向かって棍棒を振り下ろそうとしていた一匹のゴブリンが、白夜を見て鳴き声を上げる。
 ゴブリン語が分からない以上、白夜にはゴブリンが何と言っているのかは分からない。
 だが、それでも……敵意を持っているというのは、これ以上ないほどに理解出来た。

「うるせえっ! ノーラ!」
「みゃーっ!」

 白夜の叫びに合わせ、ノーラが毛針を発射する。
 ノーラの放つ毛針は、痛覚を刺激するという意味ではかなり高性能な攻撃方法だが、純粋な威力として考えれば決して突出している訳ではない。
 また、射程距離もそれほど長い訳ではなかった。
 だが……今回に限っては、ノーラの一念が通じたのか、それとも山の風に乗ったのか。ともあれ、放たれた毛針は途中で地上に落ちることもないままゴブリンに突き刺さる。

「ギャギャギャギャ!」

 目に毛針が突き刺さったゴブリンの一匹が、顔を押さえながら悲鳴を上げる。
 そして痛みのあまり地面を転げ回り……その行動が周囲のゴブリンたち注目を集めるという幸運をもたらす。

「ゲギャ」
「ゲギョギョ」

 そんな鳴き声を上げるゴブリンたちの中には、音也に棍棒を振り下ろそうとしていた者もいる。

「おらああぁあっ!」

 そしてゴブリンがそちらに意識を集中している間に白夜はゴブリンとの距離を詰め、金属の棍を大きく振るう。

「ギャ!」

 金属の棍を通して、ゴブリンの頭蓋骨が砕ける感触が伝わってくる。
 その感触に一瞬顔を顰める白夜だったが、今はそんな感触にどうこう出来るような余裕がないことは理解している。
 再び金属の棍を振るい、音也の近くにいる別のゴブリンの頭部を砕く。
 ゴブリンと戦うときに狙う場所として、一番狙いやすいのは頭部だ。
 そもそもゴブリンは小さいので、胴体や手足を狙うより頭部の方が手近な位置にあって狙いやすい。
 同時に、頭部を砕けばゴブリンも確実に死ぬ。
 下手にいらない情けを出してゴブリンを生かし、結果としてあとで逆襲を食らうような真似は絶対にしたくなかった。
 特に今は弓奈や杏といった女を連れているのだから、その気持ちは人一倍強い。
 それを抜きにしても、自分の知り合い……自分を師匠にしたいと、そう言うような物好きな音也を捕らえていた相手だ。
 ましてやその音也を殺そうとしていたのだから、鷹揚な気持ちを抱けるはずもなかった。
 だが、ゴブリンたちも続けて二匹も仲間を殺されれば、金属の棍を持っている白夜を敵として認識するのは当然だろう。
 もっとも、ゴブリンはこの時点でも白夜の実力を見抜けない者もおり、そのゴブリンにとっては、むしろ餌が増えたと食欲に視線を向ける者もいる。
 それらのゴブリンたちが、手に持つ武器……錆びた短剣や棍棒といった武器を手にして、白夜を囲む。

「白夜、避けて! ウィンドアロー!」

 杏の言葉に、白夜は木の蔦で縛られて地面に転がされている音也を拾い上げ、その場を離れる。
 それを追おうとしたゴブリンは、白夜の側に浮かんでいたノーラから毛針を食らって痛みに呻く。
 そして……一瞬動きの止まったゴブリンたちに、杏が放った魔法が炸裂した。
 一撃でゴブリンを殺すだけの威力を持っている訳ではないが、風の矢は数が多く、次々にゴブリンに傷を与えていく。
 中には運が悪く、首筋を切られて派手に血を流しているゴブリンの姿もある。
 だが、ほとんどのゴブリンは小さな切り傷程度の傷で、すぐに音也を……自分たちの獲物として攫ってきた子供を抱えて逃げている白夜を追う。

「我が内に眠る、大いなる闇よ! その力を以て敵に暗黒の世界を与えよ!」

 逃げながら叫ぶと同時に、白夜の影から闇が姿を現す。
 いつもは粘液のような状態で姿を現す闇なのだが、今回は霧のような……もしくは燃え尽きた灰が粉になって散らばっていくような……そんな状態で闇が顕現する。
 だが、いつも使っている闇の使い方とは違うためか、その闇はそこまで広範囲には広がらない。
 それでも、白夜を追うゴブリンたちの目を眩ますという意味では十分役に立つ。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
「え? ……白夜さん!?」

 音也は、自分を抱えているのが白夜だと気が付くと強張った顔で叫ぶ。
 自分が師匠にしたいと、そう思っていた人物がそこにいたのだから、驚くのは当然だろう。

「少し黙ってろ! ノーラ!」
「みゃーっ!」

 人間を抱いて運ぶというのは、普通に同じ大きさの荷物を持って運ぶよりもかなり厳しい。
 だというのに、白夜は音也を抱きながら運びつつ、自分の金属の棍も持っているのだ。
 その分動きにくくなり、白夜が近くを飛んでいるノーラに追ってくるゴブリンの足を止めるように指示を出すのは当然だった。
 自分たちの食料を持って逃げ出した白夜を追っていた、複数のゴブリンが悲鳴を上げる。
 放たれた毛針が身体や顔、中には目に突き刺さったことによる悲鳴だ。
 その痛みに地面を転がるゴブリンは、当然のように背後から追ってくる別のゴブリンの邪魔になる。
 躓(つまず)かれた程度であればまだしも、運の悪いゴブリンは背後からやってきた仲間に踏み潰された者もいた。
 だが、その程度で減ったゴブリンの数はそう多くない。
 元々非常に繁殖力が強いのがゴブリンの特徴だ。
 仲間が数匹死んだところで、特に気にした様子もなく白夜を追う。

「くそっ、ゴブリンが相手でも、これだけの数をどうしろってんだ!」

 一瞬だけ後ろに視線を向け、自分を追ってきているゴブリンの数が十匹や二十匹程度ではないことに、白夜の口から苛立ちが漏れる。
 それこそ数匹のゴブリンであれば、白夜も自分の力でどうにか出来る自信があった。
 また、魔法を使える杏の存在も考えれば、それこそ十匹や二十匹くらいであれば、どうにか出来たかもしれない。
 だが……今、追ってきている数をどうにか出来るかと言えば、それは難しいだろう。
 ましてや、ゴブリンの集落から逃げているのだから追ってきているゴブリンの数は増えることはあっても減ることは殆どない。
 ……その数少ない例外が、仲間のゴブリンに踏み潰されて殺されただろうゴブリンたちだったのだが……

(くそっ、どこかで道のない場所に逃げ込まないと)

 元々白夜は、七色に輝く虹色の髪を持っている。
 人よりも目立つという点や、女と話すときに話のとっかかりになるという点では有利なのだが……逆に言えば、隠れるといった隠密行動をするには全く向いていない髪だった。
 切ったり、もしくは帽子を被るといった手段を使えば虹色の髪も隠せるのだが……そんな真似をした場合、闇の能力に悪影響が出るというのは、これまでの経験から理解している。
 白夜は音也を抱えたまま、ゴブリンに追いつかれないように走りながら道も何もない茂みの中へ突っ込むのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...