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異世界へ
0012話
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「え? 俺がソフィアさんと同じ馬車に乗るんですか?」
ゴブリンの死体の処理はそれなりに時間がかかった。
大半のゴブリンはメテオによって肉片すら残さずに消滅していたものの、それでも元が軍勢だっただけに死体が残ったゴブリンはそれなりに多かったためだ。
ましてや残っていた死体も五体満足の死体ではなく、手足や首がなくなってるような死体も多い。
そんな死体の中から魔石を取り出し、上位種は討伐証明部位や使える素材を剥ぎ取り、ゴブリンの持っている武器で使えそうな武器や防具、杖……中には何故か宝石の類を持つ者もいたので、そのような敵からはそれを取り上げる。
そんなことをしていたので結局のところ数時間くらいが経過し、それが終わって街に戻るといったところでイオがソフィアに言われたのは、自分の馬車に同乗していくようにということだった。
当然ながらソフィアのその言葉は周囲に他の傭兵たちがいる前で言われたので、他の者たちもそれを聞いている。
そして自分たちが忠誠を誓っているソフィアに特別扱いを受けるイオに対し、複雑な視線を向ける者が多数。
……その複雑な視線の中には嫉妬の類も入っていたのだが、幸いなことにイオはその辺りについて察するような真似は出来なかった。
「そうよ。イオは私が黎明の覇者に勧誘したのだから、私たちがどのような存在なのか知っておく必要があるでしょう?」
そのように言われると、イオも断りにくい。
現在のところ、イオが知っている傭兵団は黎明の覇者しか存在しない。
つまり、ここにいる者たちがイオの傭兵団の標準になっているのだが……これは他の傭兵団が聞けば、止めてくれと言いたくなるだろう。
ランクA傭兵団である黎明の覇者は、言ってみれば傭兵団の中でも最高峰の存在の一つだ。
もちろん他にもランクA傭兵団は存在するし、それよりもさらに上のランクS傭兵団も存在している以上、決して黎明の覇者が最強という訳ではない。
最強という訳ではなが、限りなく最強の近い存在であるのは間違いない事実だ。
そんな傭兵団に所属する傭兵と一緒にされるというのは、傭兵に対する基準がかなり高くなることを意味していた。
「分かりました」
結局、イオはソフィアの言葉に対し、素直に頷く。
……頷いた理由の中に、ソフィアのような美人と一緒にいられるというのがあったのは間違いなかったが。
「ありがとう。それと……買い取った魔石や素材、武器、防具といった諸々だけど、代金はドレミナに戻ってからでいいわよね?」
「ドレミナ、ですか?」
いきなり出て来た単語に、イオは不思議そうに尋ねる。
ソフィアはそんなイオの様子に首を傾げ、すぐに納得した。
「そう言えば言ってなかったわね。現在私たち黎明の覇者を雇っているのが、ドレミナという街なのよ。もっとも、街というよりは都市という規模に近いけど。そんな規模じゃなければ、私たちを雇う金額は用意出来ないでしょうし」
「なるほど。つまり、あのゴブリンの軍勢はそのドレミナに向かっていた訳ですね」
「有力候補の一つではあったけど、絶対とは言えないわ。ドレミナの周囲には小さいけど他にも街や……村の類もあるから」
それでもドレミナが一番狙われる可能性が高いのは間違いなく、だからこそドレミナの領主は黎明の覇者を雇ったのだろう。
「その辺については馬車の中で教えてあげる。イオも、この状況だと落ち着いて私の説明を聞けないでしょう?」
魅力的な笑みを浮かべたソフィアは、周囲にいる他の傭兵たちを見る。
当然ながら、ソフィアは自分が皆にどのように思われているのか、そして自分の誘ったイオが嫉妬されているのも理解はしている。
しているのだが、だからといってこれだけの力を持つイオをここで誘わないという選択肢はなかった。
「……そうですね」
ソフィアの言葉に集中していたイオも、その言葉に納得して素直に頷く。
そうして話が決まると、黎明の覇者の傭兵たちはそれぞれ動き出す。
ある者はゴブリンの死体を燃やしたり、ある者はイオから買い取る予定の諸々を馬車に積み込んだり。
そんな中でイオはふと疑問を抱く。
傭兵の一人が持っている鞄に次々と魔石を入れているのだが、その入れている量は明らかに鞄の容量よりも多いのだ。
(え? ちょっと待った。あれってもしかして……)
イオにとって、異世界に転移したのなら流星魔法と同様……いや、商人として活動する場合、ある意味で流星魔法よりも欲しかった才能……アイテムボックスではないかと。
「ソフィアさん、あの人が持ってるのってもしかして……」
そんなイオの言葉に、ソフィアはイオが見ている方を見て納得する。
「ああ、あの鞄のことね。凄いでしょう? イオも分かると思うけど、あの鞄は空間魔法によって内部は少し広い部屋と同じくらいの大きさを持っているわ」
「やっぱり」
容量無限のアイテムボックスというイオが予想していた物より性能は低かったものの、それでも似たような効果を持っているのは間違いない。
「ふふっ、イオも驚いているようね。あの鞄は以前ダンジョンで入手したマジックアイテムの一つよ。アーティファクトの中には容量が無限の鞄もあるらしいけど、さすがにそれは入手出来なかったわ。けど、あの鞄があるお陰で随分と楽になったのも事実」
「ああいうアイテムボ……いえ、鞄の類はやっぱりかなり高価なんですか?」
イオにしてみれば、自分が欲しかったアイテムボックスがマジックアイテムとしてあるという点で疑問を抱いたのだが、それを聞いたソフィアは一瞬、その美しい眉を動かしてから口を開く。
「そうね。ランクA傭兵団の私たちでも購入するのは厳しいくらいには高価よ。……もしかして、イオのいた場所ではあの手の鞄はそこまで高額ではなかったのかしら?」
しまった。
ソフィアの言葉に、イオがそう思ったのは当然だった。
一応イオには水晶から与えられた、この世界のある程度の知識がある。
しかし、それはあくまでもある程度で、大雑把な知識でしかない。
そうである以上、イオはこの世界の常識を必ずしも完全に理解している訳ではなかった。
だからこそマジックアイテムの鞄について聞いたのだが、ソフィアの言葉から考えると、それは明らかにイオにとって致命的なミス。
「それは……その、俺はあまりそういうのに詳しくなかったので」
自分で苦しい言い訳だというのは、イオも分かっていた。
だが、まさか異世界から来たなどといったようなことを言っても、頭がどうかしているとしか思われないだろう。
そうである以上、何とか話を誤魔化すしかなかった。
「へぇ」
イオの言葉を聞き、小さく呟くソフィア。
それでいて、じっと観察するかのようにイオの顔を見る。
いつものイオなら、ソフィアの美貌に目を奪われてもおかしくはない。
しかし、今は自分がとんでもないミスをしたと理解していたので、その美貌に視線を奪われるようなことはなく、ソフィアが次にどんな行動に出るのかをじっと待つ。
そして、お互い視線を交えるといったような、普通なら羨ましいとしか言えないようなことをしている中……ソフィアの一言がその沈黙を破る。
「そう。ならこれ以上は聞かないわ。けど、この辺りの常識については、しっかりと覚えておいた方がいいわよ?」
「それでいいんですか?」
予想外にあっさりとした言葉に思わず尋ねるイオだったが、ソフィアは笑みを浮かべて口を開く。
「あら、もっと詳しく聞いて欲しいの?」
「そんなことはないですけど」
「なら、それでいいじゃない。それに……傭兵の中には人に言えないような過去を持ってる者も、決して少なくないわ」
そう言ったソフィアは、憂いの表情を浮かべる。
ソフィアこそが、人に言いたくないような過去を持つのだろうと、そうイオに思わせるには十分な憂いを。
そんなソフィアの様子に、イオは半ば反射的に口を開く。
「ソフィアさんにも過去に何かあったんですか?」
そう尋ねたのは、イオから見たソフィアは完璧な存在に思えたからだろう。
絶世という評価に相応しい美貌を持ち、その身体も男なら――場合によっては女も――抱きたいと思わせるような優美な曲線を描き、黎明の覇者というランクA傭兵団を率いてるだけあって当然のように強さも相当なはずだ。
それ以外にも、ギュンターから聞いた話によるとソフィアの持っている武器はダンジョンで発見された古代魔法文明のアーティファクトらしい。
どこからどう見ても、勝ち組なのは間違いないだろう。
イオにとってそう思ったからこそ尋ねたのだが……
「っ!?」
ソフィアが自分を見た瞬間、それは迂闊なことであったと本能的に察する。
別にソフィアが殺意の籠もった視線を向けた訳ではない。……イオは殺意を感じたりといった真似は出来ないので、もし実際に殺意を向けられてもそれを理解するとことは出来なかっただろうが。
だが、殺意を感じることが出来ないからといって、危険を感じない訳ではない。
何かを間違った。
そう思えるだけの本能は、イオの中にも残っていた。
そのまま数秒……イオにしてみればたっぷり数分は経過したのではないかと思える濃密な数秒が経過すると、やがてイオを見ていたソフィアの視線が逸らされる。
ソフィアのような美女と視線を合わせるのは、本来なら男冥利につきるだろう。
それはイオも理解していたが、それでも今の状況を思えば素直に喜ぶことも出来なかった。
まるで吸い込まれるような金色の瞳。
それはある意味で何らかの能力を使わなくても、人を魅了状態にするには十分なものだった。
……だからといって、今のような状況になりたいかと言われれば、イオは恐らく否と答えるが。
「そうね。イオが自分の秘密を……もしくはまだ私に言ってないことを教えてくれたら、私の過去を教えてもいいわよ? 言っておくけど、私の過去は高いから、ちょっとやそっとの秘密では話すことは出来ないけどね」
そう言い、ソフィアはイオの目を惹き付けるような笑みを浮かべるのだった。
ゴブリンの死体の処理はそれなりに時間がかかった。
大半のゴブリンはメテオによって肉片すら残さずに消滅していたものの、それでも元が軍勢だっただけに死体が残ったゴブリンはそれなりに多かったためだ。
ましてや残っていた死体も五体満足の死体ではなく、手足や首がなくなってるような死体も多い。
そんな死体の中から魔石を取り出し、上位種は討伐証明部位や使える素材を剥ぎ取り、ゴブリンの持っている武器で使えそうな武器や防具、杖……中には何故か宝石の類を持つ者もいたので、そのような敵からはそれを取り上げる。
そんなことをしていたので結局のところ数時間くらいが経過し、それが終わって街に戻るといったところでイオがソフィアに言われたのは、自分の馬車に同乗していくようにということだった。
当然ながらソフィアのその言葉は周囲に他の傭兵たちがいる前で言われたので、他の者たちもそれを聞いている。
そして自分たちが忠誠を誓っているソフィアに特別扱いを受けるイオに対し、複雑な視線を向ける者が多数。
……その複雑な視線の中には嫉妬の類も入っていたのだが、幸いなことにイオはその辺りについて察するような真似は出来なかった。
「そうよ。イオは私が黎明の覇者に勧誘したのだから、私たちがどのような存在なのか知っておく必要があるでしょう?」
そのように言われると、イオも断りにくい。
現在のところ、イオが知っている傭兵団は黎明の覇者しか存在しない。
つまり、ここにいる者たちがイオの傭兵団の標準になっているのだが……これは他の傭兵団が聞けば、止めてくれと言いたくなるだろう。
ランクA傭兵団である黎明の覇者は、言ってみれば傭兵団の中でも最高峰の存在の一つだ。
もちろん他にもランクA傭兵団は存在するし、それよりもさらに上のランクS傭兵団も存在している以上、決して黎明の覇者が最強という訳ではない。
最強という訳ではなが、限りなく最強の近い存在であるのは間違いない事実だ。
そんな傭兵団に所属する傭兵と一緒にされるというのは、傭兵に対する基準がかなり高くなることを意味していた。
「分かりました」
結局、イオはソフィアの言葉に対し、素直に頷く。
……頷いた理由の中に、ソフィアのような美人と一緒にいられるというのがあったのは間違いなかったが。
「ありがとう。それと……買い取った魔石や素材、武器、防具といった諸々だけど、代金はドレミナに戻ってからでいいわよね?」
「ドレミナ、ですか?」
いきなり出て来た単語に、イオは不思議そうに尋ねる。
ソフィアはそんなイオの様子に首を傾げ、すぐに納得した。
「そう言えば言ってなかったわね。現在私たち黎明の覇者を雇っているのが、ドレミナという街なのよ。もっとも、街というよりは都市という規模に近いけど。そんな規模じゃなければ、私たちを雇う金額は用意出来ないでしょうし」
「なるほど。つまり、あのゴブリンの軍勢はそのドレミナに向かっていた訳ですね」
「有力候補の一つではあったけど、絶対とは言えないわ。ドレミナの周囲には小さいけど他にも街や……村の類もあるから」
それでもドレミナが一番狙われる可能性が高いのは間違いなく、だからこそドレミナの領主は黎明の覇者を雇ったのだろう。
「その辺については馬車の中で教えてあげる。イオも、この状況だと落ち着いて私の説明を聞けないでしょう?」
魅力的な笑みを浮かべたソフィアは、周囲にいる他の傭兵たちを見る。
当然ながら、ソフィアは自分が皆にどのように思われているのか、そして自分の誘ったイオが嫉妬されているのも理解はしている。
しているのだが、だからといってこれだけの力を持つイオをここで誘わないという選択肢はなかった。
「……そうですね」
ソフィアの言葉に集中していたイオも、その言葉に納得して素直に頷く。
そうして話が決まると、黎明の覇者の傭兵たちはそれぞれ動き出す。
ある者はゴブリンの死体を燃やしたり、ある者はイオから買い取る予定の諸々を馬車に積み込んだり。
そんな中でイオはふと疑問を抱く。
傭兵の一人が持っている鞄に次々と魔石を入れているのだが、その入れている量は明らかに鞄の容量よりも多いのだ。
(え? ちょっと待った。あれってもしかして……)
イオにとって、異世界に転移したのなら流星魔法と同様……いや、商人として活動する場合、ある意味で流星魔法よりも欲しかった才能……アイテムボックスではないかと。
「ソフィアさん、あの人が持ってるのってもしかして……」
そんなイオの言葉に、ソフィアはイオが見ている方を見て納得する。
「ああ、あの鞄のことね。凄いでしょう? イオも分かると思うけど、あの鞄は空間魔法によって内部は少し広い部屋と同じくらいの大きさを持っているわ」
「やっぱり」
容量無限のアイテムボックスというイオが予想していた物より性能は低かったものの、それでも似たような効果を持っているのは間違いない。
「ふふっ、イオも驚いているようね。あの鞄は以前ダンジョンで入手したマジックアイテムの一つよ。アーティファクトの中には容量が無限の鞄もあるらしいけど、さすがにそれは入手出来なかったわ。けど、あの鞄があるお陰で随分と楽になったのも事実」
「ああいうアイテムボ……いえ、鞄の類はやっぱりかなり高価なんですか?」
イオにしてみれば、自分が欲しかったアイテムボックスがマジックアイテムとしてあるという点で疑問を抱いたのだが、それを聞いたソフィアは一瞬、その美しい眉を動かしてから口を開く。
「そうね。ランクA傭兵団の私たちでも購入するのは厳しいくらいには高価よ。……もしかして、イオのいた場所ではあの手の鞄はそこまで高額ではなかったのかしら?」
しまった。
ソフィアの言葉に、イオがそう思ったのは当然だった。
一応イオには水晶から与えられた、この世界のある程度の知識がある。
しかし、それはあくまでもある程度で、大雑把な知識でしかない。
そうである以上、イオはこの世界の常識を必ずしも完全に理解している訳ではなかった。
だからこそマジックアイテムの鞄について聞いたのだが、ソフィアの言葉から考えると、それは明らかにイオにとって致命的なミス。
「それは……その、俺はあまりそういうのに詳しくなかったので」
自分で苦しい言い訳だというのは、イオも分かっていた。
だが、まさか異世界から来たなどといったようなことを言っても、頭がどうかしているとしか思われないだろう。
そうである以上、何とか話を誤魔化すしかなかった。
「へぇ」
イオの言葉を聞き、小さく呟くソフィア。
それでいて、じっと観察するかのようにイオの顔を見る。
いつものイオなら、ソフィアの美貌に目を奪われてもおかしくはない。
しかし、今は自分がとんでもないミスをしたと理解していたので、その美貌に視線を奪われるようなことはなく、ソフィアが次にどんな行動に出るのかをじっと待つ。
そして、お互い視線を交えるといったような、普通なら羨ましいとしか言えないようなことをしている中……ソフィアの一言がその沈黙を破る。
「そう。ならこれ以上は聞かないわ。けど、この辺りの常識については、しっかりと覚えておいた方がいいわよ?」
「それでいいんですか?」
予想外にあっさりとした言葉に思わず尋ねるイオだったが、ソフィアは笑みを浮かべて口を開く。
「あら、もっと詳しく聞いて欲しいの?」
「そんなことはないですけど」
「なら、それでいいじゃない。それに……傭兵の中には人に言えないような過去を持ってる者も、決して少なくないわ」
そう言ったソフィアは、憂いの表情を浮かべる。
ソフィアこそが、人に言いたくないような過去を持つのだろうと、そうイオに思わせるには十分な憂いを。
そんなソフィアの様子に、イオは半ば反射的に口を開く。
「ソフィアさんにも過去に何かあったんですか?」
そう尋ねたのは、イオから見たソフィアは完璧な存在に思えたからだろう。
絶世という評価に相応しい美貌を持ち、その身体も男なら――場合によっては女も――抱きたいと思わせるような優美な曲線を描き、黎明の覇者というランクA傭兵団を率いてるだけあって当然のように強さも相当なはずだ。
それ以外にも、ギュンターから聞いた話によるとソフィアの持っている武器はダンジョンで発見された古代魔法文明のアーティファクトらしい。
どこからどう見ても、勝ち組なのは間違いないだろう。
イオにとってそう思ったからこそ尋ねたのだが……
「っ!?」
ソフィアが自分を見た瞬間、それは迂闊なことであったと本能的に察する。
別にソフィアが殺意の籠もった視線を向けた訳ではない。……イオは殺意を感じたりといった真似は出来ないので、もし実際に殺意を向けられてもそれを理解するとことは出来なかっただろうが。
だが、殺意を感じることが出来ないからといって、危険を感じない訳ではない。
何かを間違った。
そう思えるだけの本能は、イオの中にも残っていた。
そのまま数秒……イオにしてみればたっぷり数分は経過したのではないかと思える濃密な数秒が経過すると、やがてイオを見ていたソフィアの視線が逸らされる。
ソフィアのような美女と視線を合わせるのは、本来なら男冥利につきるだろう。
それはイオも理解していたが、それでも今の状況を思えば素直に喜ぶことも出来なかった。
まるで吸い込まれるような金色の瞳。
それはある意味で何らかの能力を使わなくても、人を魅了状態にするには十分なものだった。
……だからといって、今のような状況になりたいかと言われれば、イオは恐らく否と答えるが。
「そうね。イオが自分の秘密を……もしくはまだ私に言ってないことを教えてくれたら、私の過去を教えてもいいわよ? 言っておくけど、私の過去は高いから、ちょっとやそっとの秘密では話すことは出来ないけどね」
そう言い、ソフィアはイオの目を惹き付けるような笑みを浮かべるのだった。
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