45 / 178
異世界へ
0045話
しおりを挟む
最初こそ、矢筒を運ぶときにドラインのような相手に絡まれるといったことがあったものの、それ以後は特に面倒なことは起きなかった。
イオのことを任されたルダイナが、ドラインのようなことをする連中が他にいないか目を光らせていたからというのもあるが、そもそも黎明の覇者に所属する者の多くは人格的な面でもある程度選別されている。
……そういう意味では、ドラインのような人物がいるのは問題なのだろう。
とはいえ、ドラインは自分の実力に自信を持っているが、傭兵として見た場合それは決してマイナスではない。
自分の実力を過信しすぎて周囲が見えなくなるといったようなことになれば問題だったが、幸いなことにそのようなことにはなっていない。
最近は多少その傾向が見られるようになってきているのも事実だったが。
つまり、イオにしてみればドラインは性格的に問題があるのでは? と思ったものの、黎明の覇者にしてみればドラインの性格は何の問題もないということなのだろう。
そうして荷物の積み込みが終わると、ルダイナの指示に従って出発する。
「よし、餓狼の牙を倒しに行くぞ!」
ルダイナのその宣言により、馬車は進み出す。
イオを含めて大半の者は馬車に乗っているが、それ以外に馬に乗っている者もいる。
(取りあえず狭いのは何とかして欲しいけどな。いやまぁ、徒歩で移動する奴がいれば、移動速度が極端に落ちるんだからしょうがないけど)
集団としての移動速度を考えると、それが一番遅く移動している者に合わせるのは当然だ。
そうである以上、全員が馬や馬車に乗るというこの選択は、戦術の類に詳しくない――漫画で知ってる程度――のイオから見ても、そんなに間違っていないように思えた。
「イオさん、緊張してますか?」
馬車の中でそんな風に尋ねてきたのは、イオの世話役として選ばれたレックス。
レザーアーマーを着ているその様子は一端の傭兵のように思える。……いや、実際にきちんとギルドに登録されている傭兵であるのは間違いないのだが。
「そうだな。少し緊張してるかもしれない。ただ、俺は直接戦う訳でもない以上、実際に戦いに参加する奴よりは緊張していないよ。それより、レックスの方が緊張してるんじゃないか?」
「あはは。そうかもしれませんね。黒き蛇では雑用ばっかりで、実際に戦いに出ることはなかったですし」
そう言うレックスだったが、たった一晩でもう黒き蛇の件についてはそこまで気にしていないのか、笑みすら浮かべていた。
傭兵というのはそういうものだと言われれば、イオも納得するしかなかったが。
(こういうのも、傭兵らしいと言えばそれらしいのか?)
イオはレックスの言葉に笑っている他の傭兵達を見ながら、そんな風に思う。
「なら、レックスも俺と同じくこれが初陣みたいなものか」
「初陣……初陣ですか。それが盗賊団というのは、ある意味で当然の流れなのかもしれませんね」
「俺も初陣は盗賊だったな。もっとも、こうして盗賊団のアジトに向かうんじゃなくて、盗賊に遭遇して戦いになったって感じだったけど」
「私はゴブリンだったわよ? 討伐依頼を受けて村の畑を荒らすゴブリンの討伐」
「俺は傭兵らしく、他の領地との戦いに参加したな。あのときは、敵の指揮官を倒すことが出来て大きな手柄になったんだよ」
「また始まったよ」
レックスの言葉から、馬車の中にいる傭兵たちは自分の初陣について話し始める。
幸いなことに、この馬車の中にいるのはイオに友好的か……あるいは中立といった者たちだ。
イオを嫌悪しているドラインやその仲間はこの馬車に乗っていない。
イオとドラインのやり取りを見たルダイナによって、きちんと配慮された形だろう。
「皆さんは……」
「ああ、いい、いい。俺たちは傭兵なんだし、年齢も同じくらいだろ? 別にそんなに丁寧な言葉遣いをしなくても、普通に喋ってくれ」
イオの言葉を聞いていた男の一人がそう言うと、他の者たちもその言葉に同意するように頷いていた。
「えっと……分かりま……いや、分かった。じゃあ、そうさせて貰う」
少し考えたイオは、最終的にその言葉に頷いてレックスに対するような言葉遣いにする。
その方がイオにとってもやりやすいので、そういう意味でもこの提案は悪いものではなかった。
「おう、それでいい。……大体傭兵として働いてるんだから、丁寧な言葉遣いなんていらないんだよ。もちろん上の人たちのように貴族を相手にするとかなら話は別だがな」
その言葉に、イオは少しだけ楽になったような気がする。
ドラインとの一件もあり、自分でも知らないうちに多少は気負っていたのだろう。
「それで……えっと、これから俺たちが向かうのは餓狼の牙とかいう盗賊団らしいけど、勝算はあるんだよな?」
「はぁ? 当然だろ? 相手は多少手強いかもしれないが、結局のところ盗賊だぜ? そんな相手に、俺達が負けると思ってるのかよ?」
それは強がりでも、あるいは自分の実力を過剰に評価している訳でもなく、正確に自分の実力を理解しているからこの言葉だとイオにも理解出来た。
「そうなのか? ギルドで聞いた話だと、かなり頭のいい盗賊団だって話だったけど」
その後、英雄の宴亭でローザから黎明の覇者の見習いたちなら大丈夫だと聞かされていたのだが、取りあえずそれは黙っておく。
そんな風に話している間も馬車は進み、やがてドレミナの外に出る。
ゴブリンの軍勢の一件が解決したので、ドレミナに避難していた者たち、あるいは危ないから出発出来なかった者たちでかなり混在していたものの、イオたちは優先的にドレミナを出ることに成功する。
(この辺り、ランクA傭兵団の本領発揮だよな)
なお、当然のようにイオはギルドカードのような身分証がなかったが、ソフィアの指示でローザがしっかりと根回しをしておいたので、特に問題になるようなことはなかった。
この辺はローザにあとで感謝しないといけないなとイオは思う。
ともあれ、何の問題もなくドレミナから出た馬車は速度を上げた。
街中での移動の場合は、危険がないようにかなり速度を落として移動する必要がある。
しかし、外に出てしまえばゆっくりと移動する必要はない。
街の近くでは全速力で移動するといった真似は出来ないものの、街から離れて人の数が少なくなれば速度を上げることは出来る。
……もっとも、馬の疲労を考えれば全速力を長時間行うといった訳にはいかないが。
ただでさえ結構な重量の馬車を牽いているのだから、馬車での移動であってもある程度余裕を持たせる必要がある。
そんな話を馬車の中で聞いていたイオは、馬車を牽く馬の値段を聞いて驚く。
「それ、本当か? ……馬って一頭でそんな値段がするのか」
イオが驚いた表情が面白かったのだろう。
男が笑みを浮かべながら頷く。
「そうなるな。とはいえ、もちろん馬の値段も様々だ。農耕馬とかそういう馬なら、そこそこの値段で買える」
「ちょっと待った。そこそこの値段って言っても、それは傭兵にとってのそこそこの値段だからな。農家にしてみれば、農耕馬であってもそう簡単には買えないんだ。……くそっ、小さい頃に馬がいればな」
その言葉から、ぼやいていた男は農家出身なのだろうとイオは判断する。
農家の家に生まれた子供が傭兵や冒険者になるというのは、そんなに珍しい話ではない。
農業をやるにも、畑の面積が限られているのだから。
結果的に農家を継ぐのは長男となり、それ以外の子供たちは別の道を選ぶ必要がある。
そうした者たちにとって人気なのが、傭兵や冒険者だった。
子供の頃から傭兵や冒険者の活躍した話を聞いて、そのまま傭兵や冒険者に憧れる者が多い。
憧れからではなく、実力さえあれば農業とは比べものにならないくらい稼げるからという者もいる。
「農耕馬って、やっぱり農業をやる上で便利なのか?」
日本にいたときは、東北の田舎ということもあり周囲に農業をやっている者が多くいたイオだったが、さすがに農耕馬を使ったりといったような真似はしていなかった。
普通に耕運機を始めとした機械を使って農業をしていたので、農耕馬があればどれだけ便利なのかというのはちょっと分からない。
いや、正確には何となく予想は出来るものの、実感がなかった。
「当然だろ! 農耕馬がいれば、農業をする上でもの凄く便利なんだぞ。もちろん、マジックアイテムがあればもっと便利になるだろうが、俺たちはそう簡単に入手出来る物じゃないしな。場合によっては、マジックアイテムは農耕馬よりも高くなるし」
しみじみと告げるその様子は、農業をしている者にとって心の底から農耕馬やマジックアイテムを欲しているのだろうと理解出来た。
「農業ってやっぱり大変なんだな」
誰かがしみじみと呟く声がイオの耳に聞こえてくる。
イオも正直なところその意見には賛成だった。
何しろ各種の作業用の機械がある日本であっても、農業は厳しい上に儲からない仕事だと言われているのだ。
農業をやっている者は若者よりも老人や初老の者が割合的に増しているとTVで見たこともある。
その辺の事情を考えると、機械の類がなく、農耕馬を使って農業をやるこの世界では日本よりもさらに厳しいのは間違いない。
イオもそれが分かっている――正確には分かったつもりになっている――ので、農業が大変だというのは理解出来た。
(機械がない代わりに、この世界には魔法があるけど……そもそも魔法を使える者が少ない以上、需要に供給が追い付かないのは間違いないのか。それに魔法を使えるのなら、農業をするよりもっと楽に高給取りになるような場所はいくらでもあるだろうし)
一瞬流星魔法で農業は出来るか? と考えたイオだったが、畑が消滅するといった未来しか見えないのですぐに諦めた。
あるいは落下させる隕石の大きさや速度といったものをもう少しコントロール出来るようになれば、もしかしたら……本当にもしかしたらどうにかなるもしれないと考え、将来の道に傭兵や冒険者、商人といったものの他に、取りあえず農業も入れてみてもいいのかも? と思う。
思うのだが……せっかく剣と魔法のファンタジー世界にやって来たのだから、出来れば農業ではなくもっと派手なことをやりたいと思うのは、当然の話だった。
イオのことを任されたルダイナが、ドラインのようなことをする連中が他にいないか目を光らせていたからというのもあるが、そもそも黎明の覇者に所属する者の多くは人格的な面でもある程度選別されている。
……そういう意味では、ドラインのような人物がいるのは問題なのだろう。
とはいえ、ドラインは自分の実力に自信を持っているが、傭兵として見た場合それは決してマイナスではない。
自分の実力を過信しすぎて周囲が見えなくなるといったようなことになれば問題だったが、幸いなことにそのようなことにはなっていない。
最近は多少その傾向が見られるようになってきているのも事実だったが。
つまり、イオにしてみればドラインは性格的に問題があるのでは? と思ったものの、黎明の覇者にしてみればドラインの性格は何の問題もないということなのだろう。
そうして荷物の積み込みが終わると、ルダイナの指示に従って出発する。
「よし、餓狼の牙を倒しに行くぞ!」
ルダイナのその宣言により、馬車は進み出す。
イオを含めて大半の者は馬車に乗っているが、それ以外に馬に乗っている者もいる。
(取りあえず狭いのは何とかして欲しいけどな。いやまぁ、徒歩で移動する奴がいれば、移動速度が極端に落ちるんだからしょうがないけど)
集団としての移動速度を考えると、それが一番遅く移動している者に合わせるのは当然だ。
そうである以上、全員が馬や馬車に乗るというこの選択は、戦術の類に詳しくない――漫画で知ってる程度――のイオから見ても、そんなに間違っていないように思えた。
「イオさん、緊張してますか?」
馬車の中でそんな風に尋ねてきたのは、イオの世話役として選ばれたレックス。
レザーアーマーを着ているその様子は一端の傭兵のように思える。……いや、実際にきちんとギルドに登録されている傭兵であるのは間違いないのだが。
「そうだな。少し緊張してるかもしれない。ただ、俺は直接戦う訳でもない以上、実際に戦いに参加する奴よりは緊張していないよ。それより、レックスの方が緊張してるんじゃないか?」
「あはは。そうかもしれませんね。黒き蛇では雑用ばっかりで、実際に戦いに出ることはなかったですし」
そう言うレックスだったが、たった一晩でもう黒き蛇の件についてはそこまで気にしていないのか、笑みすら浮かべていた。
傭兵というのはそういうものだと言われれば、イオも納得するしかなかったが。
(こういうのも、傭兵らしいと言えばそれらしいのか?)
イオはレックスの言葉に笑っている他の傭兵達を見ながら、そんな風に思う。
「なら、レックスも俺と同じくこれが初陣みたいなものか」
「初陣……初陣ですか。それが盗賊団というのは、ある意味で当然の流れなのかもしれませんね」
「俺も初陣は盗賊だったな。もっとも、こうして盗賊団のアジトに向かうんじゃなくて、盗賊に遭遇して戦いになったって感じだったけど」
「私はゴブリンだったわよ? 討伐依頼を受けて村の畑を荒らすゴブリンの討伐」
「俺は傭兵らしく、他の領地との戦いに参加したな。あのときは、敵の指揮官を倒すことが出来て大きな手柄になったんだよ」
「また始まったよ」
レックスの言葉から、馬車の中にいる傭兵たちは自分の初陣について話し始める。
幸いなことに、この馬車の中にいるのはイオに友好的か……あるいは中立といった者たちだ。
イオを嫌悪しているドラインやその仲間はこの馬車に乗っていない。
イオとドラインのやり取りを見たルダイナによって、きちんと配慮された形だろう。
「皆さんは……」
「ああ、いい、いい。俺たちは傭兵なんだし、年齢も同じくらいだろ? 別にそんなに丁寧な言葉遣いをしなくても、普通に喋ってくれ」
イオの言葉を聞いていた男の一人がそう言うと、他の者たちもその言葉に同意するように頷いていた。
「えっと……分かりま……いや、分かった。じゃあ、そうさせて貰う」
少し考えたイオは、最終的にその言葉に頷いてレックスに対するような言葉遣いにする。
その方がイオにとってもやりやすいので、そういう意味でもこの提案は悪いものではなかった。
「おう、それでいい。……大体傭兵として働いてるんだから、丁寧な言葉遣いなんていらないんだよ。もちろん上の人たちのように貴族を相手にするとかなら話は別だがな」
その言葉に、イオは少しだけ楽になったような気がする。
ドラインとの一件もあり、自分でも知らないうちに多少は気負っていたのだろう。
「それで……えっと、これから俺たちが向かうのは餓狼の牙とかいう盗賊団らしいけど、勝算はあるんだよな?」
「はぁ? 当然だろ? 相手は多少手強いかもしれないが、結局のところ盗賊だぜ? そんな相手に、俺達が負けると思ってるのかよ?」
それは強がりでも、あるいは自分の実力を過剰に評価している訳でもなく、正確に自分の実力を理解しているからこの言葉だとイオにも理解出来た。
「そうなのか? ギルドで聞いた話だと、かなり頭のいい盗賊団だって話だったけど」
その後、英雄の宴亭でローザから黎明の覇者の見習いたちなら大丈夫だと聞かされていたのだが、取りあえずそれは黙っておく。
そんな風に話している間も馬車は進み、やがてドレミナの外に出る。
ゴブリンの軍勢の一件が解決したので、ドレミナに避難していた者たち、あるいは危ないから出発出来なかった者たちでかなり混在していたものの、イオたちは優先的にドレミナを出ることに成功する。
(この辺り、ランクA傭兵団の本領発揮だよな)
なお、当然のようにイオはギルドカードのような身分証がなかったが、ソフィアの指示でローザがしっかりと根回しをしておいたので、特に問題になるようなことはなかった。
この辺はローザにあとで感謝しないといけないなとイオは思う。
ともあれ、何の問題もなくドレミナから出た馬車は速度を上げた。
街中での移動の場合は、危険がないようにかなり速度を落として移動する必要がある。
しかし、外に出てしまえばゆっくりと移動する必要はない。
街の近くでは全速力で移動するといった真似は出来ないものの、街から離れて人の数が少なくなれば速度を上げることは出来る。
……もっとも、馬の疲労を考えれば全速力を長時間行うといった訳にはいかないが。
ただでさえ結構な重量の馬車を牽いているのだから、馬車での移動であってもある程度余裕を持たせる必要がある。
そんな話を馬車の中で聞いていたイオは、馬車を牽く馬の値段を聞いて驚く。
「それ、本当か? ……馬って一頭でそんな値段がするのか」
イオが驚いた表情が面白かったのだろう。
男が笑みを浮かべながら頷く。
「そうなるな。とはいえ、もちろん馬の値段も様々だ。農耕馬とかそういう馬なら、そこそこの値段で買える」
「ちょっと待った。そこそこの値段って言っても、それは傭兵にとってのそこそこの値段だからな。農家にしてみれば、農耕馬であってもそう簡単には買えないんだ。……くそっ、小さい頃に馬がいればな」
その言葉から、ぼやいていた男は農家出身なのだろうとイオは判断する。
農家の家に生まれた子供が傭兵や冒険者になるというのは、そんなに珍しい話ではない。
農業をやるにも、畑の面積が限られているのだから。
結果的に農家を継ぐのは長男となり、それ以外の子供たちは別の道を選ぶ必要がある。
そうした者たちにとって人気なのが、傭兵や冒険者だった。
子供の頃から傭兵や冒険者の活躍した話を聞いて、そのまま傭兵や冒険者に憧れる者が多い。
憧れからではなく、実力さえあれば農業とは比べものにならないくらい稼げるからという者もいる。
「農耕馬って、やっぱり農業をやる上で便利なのか?」
日本にいたときは、東北の田舎ということもあり周囲に農業をやっている者が多くいたイオだったが、さすがに農耕馬を使ったりといったような真似はしていなかった。
普通に耕運機を始めとした機械を使って農業をしていたので、農耕馬があればどれだけ便利なのかというのはちょっと分からない。
いや、正確には何となく予想は出来るものの、実感がなかった。
「当然だろ! 農耕馬がいれば、農業をする上でもの凄く便利なんだぞ。もちろん、マジックアイテムがあればもっと便利になるだろうが、俺たちはそう簡単に入手出来る物じゃないしな。場合によっては、マジックアイテムは農耕馬よりも高くなるし」
しみじみと告げるその様子は、農業をしている者にとって心の底から農耕馬やマジックアイテムを欲しているのだろうと理解出来た。
「農業ってやっぱり大変なんだな」
誰かがしみじみと呟く声がイオの耳に聞こえてくる。
イオも正直なところその意見には賛成だった。
何しろ各種の作業用の機械がある日本であっても、農業は厳しい上に儲からない仕事だと言われているのだ。
農業をやっている者は若者よりも老人や初老の者が割合的に増しているとTVで見たこともある。
その辺の事情を考えると、機械の類がなく、農耕馬を使って農業をやるこの世界では日本よりもさらに厳しいのは間違いない。
イオもそれが分かっている――正確には分かったつもりになっている――ので、農業が大変だというのは理解出来た。
(機械がない代わりに、この世界には魔法があるけど……そもそも魔法を使える者が少ない以上、需要に供給が追い付かないのは間違いないのか。それに魔法を使えるのなら、農業をするよりもっと楽に高給取りになるような場所はいくらでもあるだろうし)
一瞬流星魔法で農業は出来るか? と考えたイオだったが、畑が消滅するといった未来しか見えないのですぐに諦めた。
あるいは落下させる隕石の大きさや速度といったものをもう少しコントロール出来るようになれば、もしかしたら……本当にもしかしたらどうにかなるもしれないと考え、将来の道に傭兵や冒険者、商人といったものの他に、取りあえず農業も入れてみてもいいのかも? と思う。
思うのだが……せっかく剣と魔法のファンタジー世界にやって来たのだから、出来れば農業ではなくもっと派手なことをやりたいと思うのは、当然の話だった。
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
【完結】甘やかな聖獣たちは、聖女様がとろけるようにキスをする
楠結衣
恋愛
女子大生の花恋は、いつものように大学に向かう途中、季節外れの鯉のぼりと共に異世界に聖女として召喚される。
ところが花恋を召喚した王様や黒ローブの集団に偽聖女と言われて知らない森に放り出されてしまう。
涙がこぼれてしまうと鯉のぼりがなぜか執事の格好をした三人組みの聖獣に変わり、元の世界に戻るために、一日三回のキスが必要だと言いだして……。
女子大生の花恋と甘やかな聖獣たちが、いちゃいちゃほのぼの逆ハーレムをしながら元の世界に戻るためにちょこっと冒険するおはなし。
◇表紙イラスト/知さま
◇鯉のぼりについては諸説あります。
◇小説家になろうさまでも連載しています。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる