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異世界へ
0052話
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ベヒモスは逃げる馬車を追う。
そんなベヒモスに対し、馬車で逃げている黎明の覇者の傭兵たちはひたすらに矢を射続ける。
ランクA傭兵団の傭兵たちだけに、放たれる矢はどれもがきちんとベヒモスに向かう。
だが、その矢のほとんどはベヒモスの持つ鋼のような体毛によってあっさり弾かれる。
当然のように馬車の中には弓を専門に扱っている者もおり、そのような者が射る矢はベヒモスの眼球に集中的に向けられているのだが……ランクAモンスターのベヒモスの眼球は、そんな矢を正面から受けても傷を負うことはない。
それでもベヒモスにしてみれば、眼にゴミが入ったかのような痛みを感じるだろう。
ベヒモスはよけいに苛立ちを露わにして馬車を追う。
それでも矢の攻撃を嫌がって馬車を追う速度は若干遅くなっていたのは間違いないのだが……それはあくまでも、矢があってのことだ。
「これで矢は最後だ! もう矢はないぞ!」
最後の矢筒を渡しながら、イオは必死に叫ぶ。
そんなイオの言葉を聞いた傭兵たちは、絶望の表情を浮かべる。
今この状況において自分たちが生き残っているのは、あくまでも矢でベヒモスの行動を牽制しているからだ。
もし矢がなくなれば、ベヒモスはその速度によって馬車に追い付いてくるだろう。
必死に逃げる傭兵たち……特に馬車を牽いている馬は、まだそこまで長時間走っている訳でもないのにほぼ限界に近い状態になっていた。
そうである以上、矢がなくなるというのはイオたちにとって最悪の結末を迎えることになる。
(どうする? やるか? 今ならまだ矢が少しだけだがある。けど、矢がなくなればベヒーモスとの間合いが近付いてしまうから、流星魔法を使うにも難しくなる)
イオが流星魔法を使えるのは出来るだけ秘密にするように、ソフィアやローザから言われている。
それでも今の状況を思えば、その要請を守るといった真似をする訳にはいかない。
イオも、秘密を守るために自分が死ぬという選択は絶対に選びたくなかった。
であれば、ここで魔法を使ってベヒモスを倒してしまった方がいい。
そうイオが判断するのは当然のことだった。
「ちょっといいか? ルダイナさんのいる馬車の方に近づけてくれ」
「はぁ!? いきなり何を言うんだよ!」
イオの口から出て来たその言葉に、馬車の中にいた男の一人が一体何を言ってるんだといった様子で叫ぶ。
イオはそんな叫びを聞きながらも、そのようなことになるのは当然だろうと思いつつ、それでも今の状況を打破するためには自分の力が必要だと、杖を握る手に力を込めて口を開く。
「何を言ってるのかというのは、分かる。本来なら、俺は魔法使い見習いでしかないと聞いてるんだろうからな。だが……それでも、今は俺の頼みを聞いてくれ。この状況で生き延びるためには、そうするしかないんだ」
イオの様子に、男はどうするべきか迷う。
当然だろう。男にとってイオはあくまでも客人でしかなく、ましてや魔法もろくに使えない魔法使い見習いという認識なのだから。
だが、同時に現在の自分たちに何か他に出来ることがある訳ではないのも事実。
現在は何とかベヒモスを牽制している――効果そのものはないのだが――矢も、残り少ない。
そうである以上、現状で打てる手はどのような無謀なものであっても行うべきだ。
でなければ、ベヒモスからは逃げ切れず……最悪、正面から戦うといったようなことになる可能性がある。
ルダイナを始めとして、ここにいるのは黎明の覇者の中でも見習いたちだ。
それはあくまでもランクA傭兵団の黎明の覇者では見習いというだけであって、他のもっとランクの低い傭兵団であれば、主力となれるだけの力を持っている。
そんなルダイナたちだが、だからといってベヒモスと正面から戦って勝てるかと言われれば、その答えは当然のように否だ。
だからこそ、イオの能力でもし何か出来るようなことがあるのなら、何とかしたいと思うのは当然だろう。
「分かった。判断についてはルダイナさんに任せよう。どのみちこのままだと、俺たちはベヒモスから逃げ切るのは不可能だし」
そう言うと、他の傭兵たちも同意するように頷く。
レックスのみは、イオの言葉を聞いても心配そうな様子だったが。
レックスにとって、イオは恩人だ。
恩人ではあるが、だからといってイオがベヒモスを相手に何か出来るとは思えなかったのだろう。
「安心しろ、レックス。俺なら何とか出来る……かもしれない」
「そこはせめて言い切ってくれないと」
そんなやり取りをしている間にも、馬車はルダイナが乗っている馬車に近付いていく。
当然ながら、馬車で走る際には適当に走っている訳ではなく、きちんと隊列を組んで走っている。
そんな中で、いきなりイオたちの乗る馬車がルダイナの乗っている馬車に近付いてきたのだから、それに驚くなという方が無理だろう。
「おい! 一体何を考えている! もっとしっかりと馬車を走らせろ!」
ルダイナの乗っている馬車の御者が、イオの乗っている馬車に向かって叫ぶ。
背後からベヒモスが追ってきているこの状況で、突然仲間がこのような行動に出れば苛立つのも当然だろう。
しかし、そんな相手の態度に構うこともなくイオは叫ぶ。
「ルダイナさん、聞いて下さい! 俺にはベヒモスを倒せる……かもしれない、奥の手があります!」
馬車の前、御者台に乗り出しながらイオが叫ぶ。
最初それを聞いたルダイナの乗っている馬車の御者は、一体何を言ってるのかといった表情を浮かべる。
それでもすぐに怒鳴らなかったのは、イオが客人であると……黎明の覇者の上層部から眼をかけられている何かがあると、そう判断したからだろう。
「ルダイナさん、話を聞いて下さい……ルダイナさん! このままだと、ベヒモスに追い付かれます! その前にどうにかしないといけません!」
そんな叫びがルダイナにも聞こえたのだろう。
あるいはルダイナも、このままだと色々と不味いと理解していたから、藁にも縋る思いだったのかもしれないが。
ともあれ、ルダイナがイオと同じように御者台に顔を出すと、鋭い視線を向けて口を開く。
「本当に何とか出来るのか!?」
「正直なところ、分かりません! ですが、今の状況を考えると可能性はあると思います!」
「そう言える根拠はあるのか!?」
「黎明の覇者の上層部が、俺を客人として扱っているのは何でだと思います!? それに……」
そこまで言ったイオだったが、そこで一旦言葉を切る。
これを言えば、どうしようもなくなる。
もう退くことは出来なくなるだろう。
それは分かっていたが……それでも、ルダイナから信じて貰うには相手が納得する理由を口にする必要があった。
「ドレミナに迫っていたゴブリンの軍勢を殲滅したのは、俺の力です!」
叫ぶイオ。
そんなイオの言葉に、イオが乗っている馬車やルダイナの乗っている馬車の面々はもちろん、他の馬車に乗っている者たちまでもが驚愕の表情を浮かべる。
普段なら、イオの言葉を素直に信じるような真似はしないだろう。
だが、今はイオもまた生き残るために必死になっている以上、その言葉を嘘だと決めつける者はいなかった。……ほとんどは、だが。
ほとんどということは、当然ながら少数はそのような者たちがいる訳で……
「嘘を吐くな!」
イオとルダイナの会話を聞いていた近くの馬車から、そんな怒声が飛ぶ。
その声を発したのは、イオを嫌っているドライン。
ドラインにしてみれば、イオは何も出来ないのに運によって黎明の覇者の客人になったような男だ。
そのような男が、一体何故ベヒモスをどうにか出来るのか。
とてもではないが、そんなイオの言葉に納得出来ずに叫ぶのは当然だった。
「黙っていろ!」
だが、そんなドラインに対してルダイナは鋭く叫ぶ。
ルダイナもまた、イオの言葉を完全に信じた訳ではない。信じた訳ではないが、もしイオが何も出来なくても、このような場所で今のようなことを言ってくるのかとなると頷くことは出来ないだろう。
そしてルダイナの叫びは、ドラインを黙らせるのに十分な迫力を持っている。
ドラインが黙ったのを確認すると、ルダイナは改めてイオに向かって尋ねる。
「それで? 本当にどうにか出来るんだな?」
イオが嘘を吐いているとは思えない。
だが同時に、本当にイオがベヒモスを倒せる手段を持っているというのも、心の底から信用は出来なかった。
「大丈夫です! それに……こう言っては何ですけど、俺が何かしなくてもこのままだとベヒモスに追い付かれる可能性が高いですよね? なら、ソフィアさんたちが期待している俺の実力に賭けてみてもいいと思いませんか?」
「それは……ふむ」
イオの口から出たその言葉は、信用するに値するものだ。
本当にイオがベヒモスを倒せるのかどうかは、正直なところ分からない。
分からないが、それでもイオがベヒモスを倒すことに成功した場合、それは大きな意味を持つのは間違いない。
「何をすればいい?」
ルダイナの口からそのような言葉が出たことに、同じ馬車に乗っていた者たち……そしてイオと同じ馬車に乗っていた者たちも驚く。
現在の状況でベヒモスを倒す手段はイオくらいにしかないとはいえ、だからといってこんなに素直にイオを信じるとは思いも寄らなかったのだろう。
「ありがとうございます。俺の使う魔法……流星魔法は、強力な代わりに色々と使い勝手がよくありません。狙いを付けるためにも、ベヒモスを一ヶ所……とまではいかないまでも、一定の範囲内に留めておく必要があります」
流星魔法という言葉に、ルダイナはゴブリンの軍勢のいる方に落ちた隕石について思い出す。
そしてイオはゴブリンの軍勢を倒したのは自分だと言っていたのだ。
であれば、流星魔法というのがどのような魔法なのかは容易に想像出来る。
出来るが……本当にそのような魔法があるのか?
そんな風に思うのも事実だった。
それでも今は詳しい事情を聞いてる暇はなく……ベヒモスを一定の範囲内に留めるという難しい言葉に頷きを返すのだった。
そんなベヒモスに対し、馬車で逃げている黎明の覇者の傭兵たちはひたすらに矢を射続ける。
ランクA傭兵団の傭兵たちだけに、放たれる矢はどれもがきちんとベヒモスに向かう。
だが、その矢のほとんどはベヒモスの持つ鋼のような体毛によってあっさり弾かれる。
当然のように馬車の中には弓を専門に扱っている者もおり、そのような者が射る矢はベヒモスの眼球に集中的に向けられているのだが……ランクAモンスターのベヒモスの眼球は、そんな矢を正面から受けても傷を負うことはない。
それでもベヒモスにしてみれば、眼にゴミが入ったかのような痛みを感じるだろう。
ベヒモスはよけいに苛立ちを露わにして馬車を追う。
それでも矢の攻撃を嫌がって馬車を追う速度は若干遅くなっていたのは間違いないのだが……それはあくまでも、矢があってのことだ。
「これで矢は最後だ! もう矢はないぞ!」
最後の矢筒を渡しながら、イオは必死に叫ぶ。
そんなイオの言葉を聞いた傭兵たちは、絶望の表情を浮かべる。
今この状況において自分たちが生き残っているのは、あくまでも矢でベヒモスの行動を牽制しているからだ。
もし矢がなくなれば、ベヒモスはその速度によって馬車に追い付いてくるだろう。
必死に逃げる傭兵たち……特に馬車を牽いている馬は、まだそこまで長時間走っている訳でもないのにほぼ限界に近い状態になっていた。
そうである以上、矢がなくなるというのはイオたちにとって最悪の結末を迎えることになる。
(どうする? やるか? 今ならまだ矢が少しだけだがある。けど、矢がなくなればベヒーモスとの間合いが近付いてしまうから、流星魔法を使うにも難しくなる)
イオが流星魔法を使えるのは出来るだけ秘密にするように、ソフィアやローザから言われている。
それでも今の状況を思えば、その要請を守るといった真似をする訳にはいかない。
イオも、秘密を守るために自分が死ぬという選択は絶対に選びたくなかった。
であれば、ここで魔法を使ってベヒモスを倒してしまった方がいい。
そうイオが判断するのは当然のことだった。
「ちょっといいか? ルダイナさんのいる馬車の方に近づけてくれ」
「はぁ!? いきなり何を言うんだよ!」
イオの口から出て来たその言葉に、馬車の中にいた男の一人が一体何を言ってるんだといった様子で叫ぶ。
イオはそんな叫びを聞きながらも、そのようなことになるのは当然だろうと思いつつ、それでも今の状況を打破するためには自分の力が必要だと、杖を握る手に力を込めて口を開く。
「何を言ってるのかというのは、分かる。本来なら、俺は魔法使い見習いでしかないと聞いてるんだろうからな。だが……それでも、今は俺の頼みを聞いてくれ。この状況で生き延びるためには、そうするしかないんだ」
イオの様子に、男はどうするべきか迷う。
当然だろう。男にとってイオはあくまでも客人でしかなく、ましてや魔法もろくに使えない魔法使い見習いという認識なのだから。
だが、同時に現在の自分たちに何か他に出来ることがある訳ではないのも事実。
現在は何とかベヒモスを牽制している――効果そのものはないのだが――矢も、残り少ない。
そうである以上、現状で打てる手はどのような無謀なものであっても行うべきだ。
でなければ、ベヒモスからは逃げ切れず……最悪、正面から戦うといったようなことになる可能性がある。
ルダイナを始めとして、ここにいるのは黎明の覇者の中でも見習いたちだ。
それはあくまでもランクA傭兵団の黎明の覇者では見習いというだけであって、他のもっとランクの低い傭兵団であれば、主力となれるだけの力を持っている。
そんなルダイナたちだが、だからといってベヒモスと正面から戦って勝てるかと言われれば、その答えは当然のように否だ。
だからこそ、イオの能力でもし何か出来るようなことがあるのなら、何とかしたいと思うのは当然だろう。
「分かった。判断についてはルダイナさんに任せよう。どのみちこのままだと、俺たちはベヒモスから逃げ切るのは不可能だし」
そう言うと、他の傭兵たちも同意するように頷く。
レックスのみは、イオの言葉を聞いても心配そうな様子だったが。
レックスにとって、イオは恩人だ。
恩人ではあるが、だからといってイオがベヒモスを相手に何か出来るとは思えなかったのだろう。
「安心しろ、レックス。俺なら何とか出来る……かもしれない」
「そこはせめて言い切ってくれないと」
そんなやり取りをしている間にも、馬車はルダイナが乗っている馬車に近付いていく。
当然ながら、馬車で走る際には適当に走っている訳ではなく、きちんと隊列を組んで走っている。
そんな中で、いきなりイオたちの乗る馬車がルダイナの乗っている馬車に近付いてきたのだから、それに驚くなという方が無理だろう。
「おい! 一体何を考えている! もっとしっかりと馬車を走らせろ!」
ルダイナの乗っている馬車の御者が、イオの乗っている馬車に向かって叫ぶ。
背後からベヒモスが追ってきているこの状況で、突然仲間がこのような行動に出れば苛立つのも当然だろう。
しかし、そんな相手の態度に構うこともなくイオは叫ぶ。
「ルダイナさん、聞いて下さい! 俺にはベヒモスを倒せる……かもしれない、奥の手があります!」
馬車の前、御者台に乗り出しながらイオが叫ぶ。
最初それを聞いたルダイナの乗っている馬車の御者は、一体何を言ってるのかといった表情を浮かべる。
それでもすぐに怒鳴らなかったのは、イオが客人であると……黎明の覇者の上層部から眼をかけられている何かがあると、そう判断したからだろう。
「ルダイナさん、話を聞いて下さい……ルダイナさん! このままだと、ベヒモスに追い付かれます! その前にどうにかしないといけません!」
そんな叫びがルダイナにも聞こえたのだろう。
あるいはルダイナも、このままだと色々と不味いと理解していたから、藁にも縋る思いだったのかもしれないが。
ともあれ、ルダイナがイオと同じように御者台に顔を出すと、鋭い視線を向けて口を開く。
「本当に何とか出来るのか!?」
「正直なところ、分かりません! ですが、今の状況を考えると可能性はあると思います!」
「そう言える根拠はあるのか!?」
「黎明の覇者の上層部が、俺を客人として扱っているのは何でだと思います!? それに……」
そこまで言ったイオだったが、そこで一旦言葉を切る。
これを言えば、どうしようもなくなる。
もう退くことは出来なくなるだろう。
それは分かっていたが……それでも、ルダイナから信じて貰うには相手が納得する理由を口にする必要があった。
「ドレミナに迫っていたゴブリンの軍勢を殲滅したのは、俺の力です!」
叫ぶイオ。
そんなイオの言葉に、イオが乗っている馬車やルダイナの乗っている馬車の面々はもちろん、他の馬車に乗っている者たちまでもが驚愕の表情を浮かべる。
普段なら、イオの言葉を素直に信じるような真似はしないだろう。
だが、今はイオもまた生き残るために必死になっている以上、その言葉を嘘だと決めつける者はいなかった。……ほとんどは、だが。
ほとんどということは、当然ながら少数はそのような者たちがいる訳で……
「嘘を吐くな!」
イオとルダイナの会話を聞いていた近くの馬車から、そんな怒声が飛ぶ。
その声を発したのは、イオを嫌っているドライン。
ドラインにしてみれば、イオは何も出来ないのに運によって黎明の覇者の客人になったような男だ。
そのような男が、一体何故ベヒモスをどうにか出来るのか。
とてもではないが、そんなイオの言葉に納得出来ずに叫ぶのは当然だった。
「黙っていろ!」
だが、そんなドラインに対してルダイナは鋭く叫ぶ。
ルダイナもまた、イオの言葉を完全に信じた訳ではない。信じた訳ではないが、もしイオが何も出来なくても、このような場所で今のようなことを言ってくるのかとなると頷くことは出来ないだろう。
そしてルダイナの叫びは、ドラインを黙らせるのに十分な迫力を持っている。
ドラインが黙ったのを確認すると、ルダイナは改めてイオに向かって尋ねる。
「それで? 本当にどうにか出来るんだな?」
イオが嘘を吐いているとは思えない。
だが同時に、本当にイオがベヒモスを倒せる手段を持っているというのも、心の底から信用は出来なかった。
「大丈夫です! それに……こう言っては何ですけど、俺が何かしなくてもこのままだとベヒモスに追い付かれる可能性が高いですよね? なら、ソフィアさんたちが期待している俺の実力に賭けてみてもいいと思いませんか?」
「それは……ふむ」
イオの口から出たその言葉は、信用するに値するものだ。
本当にイオがベヒモスを倒せるのかどうかは、正直なところ分からない。
分からないが、それでもイオがベヒモスを倒すことに成功した場合、それは大きな意味を持つのは間違いない。
「何をすればいい?」
ルダイナの口からそのような言葉が出たことに、同じ馬車に乗っていた者たち……そしてイオと同じ馬車に乗っていた者たちも驚く。
現在の状況でベヒモスを倒す手段はイオくらいにしかないとはいえ、だからといってこんなに素直にイオを信じるとは思いも寄らなかったのだろう。
「ありがとうございます。俺の使う魔法……流星魔法は、強力な代わりに色々と使い勝手がよくありません。狙いを付けるためにも、ベヒモスを一ヶ所……とまではいかないまでも、一定の範囲内に留めておく必要があります」
流星魔法という言葉に、ルダイナはゴブリンの軍勢のいる方に落ちた隕石について思い出す。
そしてイオはゴブリンの軍勢を倒したのは自分だと言っていたのだ。
であれば、流星魔法というのがどのような魔法なのかは容易に想像出来る。
出来るが……本当にそのような魔法があるのか?
そんな風に思うのも事実だった。
それでも今は詳しい事情を聞いてる暇はなく……ベヒモスを一定の範囲内に留めるという難しい言葉に頷きを返すのだった。
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