真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森椿

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不思議の国の

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「...これ...みゆきの怒タイム?」
「...多分。」

サトも察したのか声を抑えた。

「先輩が怖いからって手抜くわけ?」
「...はい。優等生ぶるなって...言われるし。」

「ハッ、ならもっと本気でやろうよ。」
あれ?
みゆきが怒ってるのって...なみちゃんにじゃない。

「で、でも...後で何か言われたら...。」
「本気でやらない方が舐められるじゃない。それって"八百屋"って言うのよ!」

「...はい?」
「みゆき...それって多分"八百長"。」
「」

サト...ナイスツッコミ...。

「そ、そう!それ!八百長って言うのよ!」
そしてみゆき、ナイス乗っかり!

「...。」
一方なみちゃんは、まだ踏ん切りがつかないみたいにモジモジとしてうつむいてる。

「んもう!あんただって本気でやりたいんでしょ?」
「...それは...でも...。」

「何のために私の雑誌見てたわけ?こういう時に活かすためでしょ?」

ん、みゆきの雑誌?...あれって確かいつも机の中にしまってあるあれだよね...?

みゆきの一言になみちゃんはサーっと血の気を失ってしまった。

...そっか...隠れて見てたんだ...。
私は納得したけど、里はきょとんと頬杖をついている。

「ご、ごめんなさ「謝って欲しくないし。」...ごめんなさい。」

「興味あるならいくらでも貸すよ、私は。」
そう言うとみゆきは制服のポケットから白い栞を取り出した。

「あ...それ。」
「あれ、結構適当に書かれてるから、真似しない方がいいよ。」

「...?」
「あれはモデルに合う服。人それぞれの服の相性ができてない。」
「...へぇ。」
みゆきはドヤ顔だけど...二人以外、世界の外側だよ...。

「だからさ、コーデは本気でやんないとダメ。クラスでくらい本気コーデしようよ!」
「...ありがと...。」
後でなみちゃんに聞いた話だけど、みゆきはなみちゃんと一緒に『服飾部』に入ったらしい。

でも、今の部長の風潮と合わなくて大喧嘩して帰ってきたってことみたい。

服の方は...解決...かな?

それからは服飾のグループは見るみる服のイメージができたらしく試着もしていた。

一方の食品グループは...

「まずい。」
サトの"まずいまずい攻撃"でグループの中を堅苦しくしていた。

「なんで甘味だけなの?素材の味が潰れてる。生クリームの甘み抑えて。後もっとクリームは固めに作って!」
「は、はいぃ...。」

私らのクラスではアリスに因んでお茶会をイメージした雰囲気を出すお店と決めていた分、サトのお口は相当厳しいみたい...。

「文化祭だからってあまっちょろいものなんかお客さんに出せないから!」

と本人は気合十分だけど...既にグループのこの心潰れちゃってるよ...。

ってあれ?1人だけ黙々と里の言葉なのかメモしてる男子がいる...。

「あの...サトさん。」
「なにー?」

「出す飲み物って紅茶だよね?」
「ん?うん。そだけど。」

「なら、紅茶の種類によってお菓子って変えた方がいいんじゃない?」
「...え?」

あ...サトが固まった...。
たしかあの男子は...

「俺、紅茶ソムリエっていう資格持ってるから協力してもいいかな?」

「うん!待ってた!」

おお...サトを丸め込んだ...。なんか握手してるし...。
サトのお目目がキランキランしてるしッ

食品グループも...ほかの子が耐えられれば...問題ないかな...。

そして私たち装飾グループは...
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