真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森椿

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遅すぎた告白

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「…ッ…ッ!」
「ん…?」

「莢菜!どーしたの?ボーッとして!!」
…あれ?私…なんでカフェに…。

「龍央と何かあったの?」
あぁ、そうか…私、あいつに振られたんだった…それから何となくスマホ開いて、2人がここにいるって通知が来てたからなんとなく来たんだった…。


「そうそう!あれからどうなったの?」
「さっきふたりきりになってたって事は…もしかしてて…ラブイチャしてきたとか!?」

「あ~…うん…その事なんだけどさ…」
うわ…二人の視線が痛い…そんな期待した目を向けられても…。

「…振られた…。」
「「」」
「」

「え?」「はぁ?!?!」
二人の甲高い声に、私は顔を歪めた。
その反応に、サトは悲しそうに眉を下げたけど、みゆきは怒りが抑えられないようで、キツめの目尻をよりきつく上げた。

「あいつ…やりやがった…。ちょっと〆てくる。」
美幸がいきり立って立ち上がったのを、慌てて止めようと口を開いたとき、サトが冷静な声を上げた。
「オコすんのちょい待ち…。何があったの?」

「それがね…。」
私はさっき起きたことって言っても急な出来事でまとまりのない話をぶちまけることにした。
話始めると、みゆきは少しは落ち着きを取り戻して見えた…んだけど…?

「つまり…理由も言わないであいつから別れろって言ってきたってこと?ハッ、ないわ!!ありえない!!やっぱりあいつ〆ないとやってらんない!!」
「あ!ちょ…みゆき!!」

追いかけないと…。
私がみゆきの声に合わせて立ち上がると、サトが今度は私を制した。

「サト…」
「大丈夫だよ。みゆきのことだし、確かにすぐ行動派だけど、きっと何か考えてあるんだよ。」
「でも…。」

「とりあえず今は私たちでパフェでも頼んで落ち着こう?ね?」
サトはこういう時こそ落ち着いていて、不安な顔一つ見せない。

「…うん。」
「じゃ、私先に頼んじゃうね?すいませ~ん!!」
というよりは、このパフェ食べたくてうずうずしてたってだけなのかな…。

私はこの穏やかな甘いもの大好き女子を横に、一人心を落ち着かせる努力をすることにした。
それを見て、サトが何を感じていたのかは、その時の私には知るよしもない。
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