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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移
第二十一話 アンリの機嫌がすこぶる悪いんだが・・・
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「お、お疲れ様です」
「おう、お疲れ」
ギルドの宿は荒くれ者の集まりにも関わらず、男女でしっかりと分けられている。男は女宿には入れないし、女は男宿には入れない。故に男に襲われないという事で女性冒険者からは意外と人気である。
メアリーと宿前で別れ、風呂に入りに行こうとするとポンと右肩に手が置かれる。俺の手ではない。女性の声だ。
「コウスケ・・・」
「おお、アンリか。昨日はどうしたんだ?いきなりいなくなったけd──────」
「そんな事はどうでもいいでしょ?それよりも──────」
アンリはゆっくりと俺の前へとやってくると、じっと俺の目を見つめてきた。
「あの娘誰?」
「あの子って・・・ああ!メアリーの事か!今日からパーティ組む事にしたんだよ。彼女のエンチャント魔術中々使いどころあるからさ」
ステゴロ癖を治す為でもあるのだが、別に言わなくていいだろう。
「・・・・・・」
「あの・・・アンリ?」
何も言わずにじっとこちらを見つめてくる。アンリの目は輝きを失い淀んでおり、見ていると、心の底から恐怖心がじわじわとこみあがってくる。いつも明るく元気なアンリとは真反対とも言えるだろう。
「その娘だけどさ・・・関わらない方が良いよ」
「・・・えっ?」
唐突のアンリからの提案に頭が理解を拒む。アンリはメアリーと組んだことがあるのだろうか?
「な、なんでそんな事を言うんだ?以前にメアリーと組んだ事があるのか?」
「ううん、全然。関わりたくもない。でもね、関わっちゃいけない理由がちゃんとあるの。それはね・・・彼女がアモーラ教信者じゃないからだよ」
「・・・・・・それだけ?」
「うん、それだけ。でも関わらない方が良いって分かるでしょ?」
フラム王国はアモーラ信者が多く、アモーラ教を国教としている。しかし、他の神を信仰する事を否定してはおらず、実際に先輩冒険者もアモーラではなく、闘神を信仰している。だから、アモーラ教信者ではないからと言って迫害されるわけでもないし、差別されるわけでもないのだ。
その事実は国民だけでなく、この国に住んでいる人なら全員周知していてもおかしくない常識のはずだ。アンリはからかっているのだろうか?いや、そうに違いない。
「じょ、冗談が上手いね~アンリは。ハハハッ!一本取られたよ!」
「冗談に聞こえる?」
こちらを見つめてくるアンリの瞳が更に黒く澱んでいく。何故、こんなになったんだ?いや、もしかしたら今まで見せていなかっただけで、前からアモーラ教以外を許さない過激派だったのかもしれない。
大きな宗教ともなれば、考え方の違いにより派閥が生まれる。キリスト教のカトリックとプロテスタントが良い例だろう。国教にもなるほどの宗教だ。アモーラ以外の神は存在しないと考える者も少なからず存在するだろう。
だとするなら俺もヤバいのでは?ラコルト教に改心した俺も粛清対象なのでは?ここは、逃げるべきか?
「だっておかしくない?存在しない神を崇めてるんだよ?そんな頭のおかしい人と話してたらこっちまで頭おかしくなっちゃうって。アモーラ教じゃないあの魔術師もそう。こんなに素晴らしい宗教に入ってないってことはきっと裏で女神アモーラに言えないような事してるんだよ」
言いがかりにも程があるし、決めつけが酷い。これは相当ヤバめの信者かもしれない。下手をすれば狂信者にも匹敵するヤバさかもしれない。
ここで逃げて今後一切関わらない事も不可能ではない。だが、このまま放っておいたらもっと過激になるのでは?そしていつしか俺やメアリーを殺しにくるのでは?
ヤバめの信者だとしても、アンリが俺を魔物から助けてくれたことには変わりない。しかもその恩も全く返していない。かなり自分の利益も含まれているが、ここは優しく他にも神がいると諭すべきかもしれない。いや、諭すべきだ。じゃなきゃ死人が出る。
かなり傲慢かもしれないが、許してほしい。これも未来の死者を出さないためだ。アンリはまだレベル3だというのにかなり強い。他宗教の一般教徒達を皆殺しにできるくらいには強い。だからここで止めなければならないのだ。
「アンリはさ、何で女神アモーラ以外の神様は存在しないと思ってるの?」
「それは勿論、姿が残っていないからだよ。神様なら、後世にその姿を見せるために人間に石像やら自画像やらを残すはず。それなのに女神アモーラ以外はまるで残ってないじゃん!」
「全部の神様が女神アモーラのように自画像を残したいと思ってるとは限らないよ。人間に人格があるように神にも神格なるものが存在するはずだ。きっと自画像を残さなかったのはわけがあるし、残したとしても既に壊れてしまっている可能性がある」
「神話にしか出てこない存在だよ?」
「女神アモーラだって、言い伝えでしか存在は知られていない」
「この国の国教なんだよ?何度も世界を救うために異世界人を送ってくれたんだよ?」
「女神アモーラだけが世界を救って来たと証明できるのかい?」
「それは・・・・・・」
「証明できないだろう?結局はアモーラ教も他の宗教も見えないものを崇めているんだよ。それにもし、女神アモーラが全能の神で他の存在はいないとするなら、今頃他の神を崇めてる宗教は異端も見做されて迫害されているはずだよ」
「・・・・・・」
下を俯いて黙りこくってしまう。これではどう思ってくれたのか分からない。
「・・・うん、わかったよ。確かに私がちょっとおかしかったのかもしれない」
「・・・!おかしいまでは言ってないけど、もう少し寛容になってくれれば良いなってだけで・・・」
「それじゃあ、私、宿に戻るね!お休み、コウスケ」
そう言い残し、アンリは女性用の宿へと帰っていった。
「おう、お疲れ」
ギルドの宿は荒くれ者の集まりにも関わらず、男女でしっかりと分けられている。男は女宿には入れないし、女は男宿には入れない。故に男に襲われないという事で女性冒険者からは意外と人気である。
メアリーと宿前で別れ、風呂に入りに行こうとするとポンと右肩に手が置かれる。俺の手ではない。女性の声だ。
「コウスケ・・・」
「おお、アンリか。昨日はどうしたんだ?いきなりいなくなったけd──────」
「そんな事はどうでもいいでしょ?それよりも──────」
アンリはゆっくりと俺の前へとやってくると、じっと俺の目を見つめてきた。
「あの娘誰?」
「あの子って・・・ああ!メアリーの事か!今日からパーティ組む事にしたんだよ。彼女のエンチャント魔術中々使いどころあるからさ」
ステゴロ癖を治す為でもあるのだが、別に言わなくていいだろう。
「・・・・・・」
「あの・・・アンリ?」
何も言わずにじっとこちらを見つめてくる。アンリの目は輝きを失い淀んでおり、見ていると、心の底から恐怖心がじわじわとこみあがってくる。いつも明るく元気なアンリとは真反対とも言えるだろう。
「その娘だけどさ・・・関わらない方が良いよ」
「・・・えっ?」
唐突のアンリからの提案に頭が理解を拒む。アンリはメアリーと組んだことがあるのだろうか?
「な、なんでそんな事を言うんだ?以前にメアリーと組んだ事があるのか?」
「ううん、全然。関わりたくもない。でもね、関わっちゃいけない理由がちゃんとあるの。それはね・・・彼女がアモーラ教信者じゃないからだよ」
「・・・・・・それだけ?」
「うん、それだけ。でも関わらない方が良いって分かるでしょ?」
フラム王国はアモーラ信者が多く、アモーラ教を国教としている。しかし、他の神を信仰する事を否定してはおらず、実際に先輩冒険者もアモーラではなく、闘神を信仰している。だから、アモーラ教信者ではないからと言って迫害されるわけでもないし、差別されるわけでもないのだ。
その事実は国民だけでなく、この国に住んでいる人なら全員周知していてもおかしくない常識のはずだ。アンリはからかっているのだろうか?いや、そうに違いない。
「じょ、冗談が上手いね~アンリは。ハハハッ!一本取られたよ!」
「冗談に聞こえる?」
こちらを見つめてくるアンリの瞳が更に黒く澱んでいく。何故、こんなになったんだ?いや、もしかしたら今まで見せていなかっただけで、前からアモーラ教以外を許さない過激派だったのかもしれない。
大きな宗教ともなれば、考え方の違いにより派閥が生まれる。キリスト教のカトリックとプロテスタントが良い例だろう。国教にもなるほどの宗教だ。アモーラ以外の神は存在しないと考える者も少なからず存在するだろう。
だとするなら俺もヤバいのでは?ラコルト教に改心した俺も粛清対象なのでは?ここは、逃げるべきか?
「だっておかしくない?存在しない神を崇めてるんだよ?そんな頭のおかしい人と話してたらこっちまで頭おかしくなっちゃうって。アモーラ教じゃないあの魔術師もそう。こんなに素晴らしい宗教に入ってないってことはきっと裏で女神アモーラに言えないような事してるんだよ」
言いがかりにも程があるし、決めつけが酷い。これは相当ヤバめの信者かもしれない。下手をすれば狂信者にも匹敵するヤバさかもしれない。
ここで逃げて今後一切関わらない事も不可能ではない。だが、このまま放っておいたらもっと過激になるのでは?そしていつしか俺やメアリーを殺しにくるのでは?
ヤバめの信者だとしても、アンリが俺を魔物から助けてくれたことには変わりない。しかもその恩も全く返していない。かなり自分の利益も含まれているが、ここは優しく他にも神がいると諭すべきかもしれない。いや、諭すべきだ。じゃなきゃ死人が出る。
かなり傲慢かもしれないが、許してほしい。これも未来の死者を出さないためだ。アンリはまだレベル3だというのにかなり強い。他宗教の一般教徒達を皆殺しにできるくらいには強い。だからここで止めなければならないのだ。
「アンリはさ、何で女神アモーラ以外の神様は存在しないと思ってるの?」
「それは勿論、姿が残っていないからだよ。神様なら、後世にその姿を見せるために人間に石像やら自画像やらを残すはず。それなのに女神アモーラ以外はまるで残ってないじゃん!」
「全部の神様が女神アモーラのように自画像を残したいと思ってるとは限らないよ。人間に人格があるように神にも神格なるものが存在するはずだ。きっと自画像を残さなかったのはわけがあるし、残したとしても既に壊れてしまっている可能性がある」
「神話にしか出てこない存在だよ?」
「女神アモーラだって、言い伝えでしか存在は知られていない」
「この国の国教なんだよ?何度も世界を救うために異世界人を送ってくれたんだよ?」
「女神アモーラだけが世界を救って来たと証明できるのかい?」
「それは・・・・・・」
「証明できないだろう?結局はアモーラ教も他の宗教も見えないものを崇めているんだよ。それにもし、女神アモーラが全能の神で他の存在はいないとするなら、今頃他の神を崇めてる宗教は異端も見做されて迫害されているはずだよ」
「・・・・・・」
下を俯いて黙りこくってしまう。これではどう思ってくれたのか分からない。
「・・・うん、わかったよ。確かに私がちょっとおかしかったのかもしれない」
「・・・!おかしいまでは言ってないけど、もう少し寛容になってくれれば良いなってだけで・・・」
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そう言い残し、アンリは女性用の宿へと帰っていった。
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