大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第七話 長旅の始まり

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 2日後、幸助と仲間達はトーマ達が待つ城下町の門前へとやってきた。門前には既にトーマ、ジューペ、フラン、ジェイクは到着しており、1番最後の到着は幸助達だったようだ。

「すみません、もしかして遅れちゃいましたか?」

「いや、全然!むしろ1分早いね!」

 陽気に答えるツーブロックの男は冤罪をかけられて1年間牢獄にぶち込まれていたジェイク・ワトー。日の光を浴びたからか昔の陽気さを完全に取り戻した。

「コウスケ、武器を全て新調したのか!?良いな!その防具!」

 幸助の肩を叩きながら豪快に笑うおしゃれ坊主の大男は幸助のことを可愛がるギルドの先輩フラン・キスカ。まだまだ筋力の足りない幸助と違って鉄板が厚い鉄鎧を着ても素早い動きが出来る実力者だ。

「えっと、今いる8人でワイバーンを倒しに行くんですよね?」

「ああ、そうだ!食料や傷薬は持ったか?」

「はい、食料は昨日のうちに買い溜めておきました。傷薬はボニーさんが」

「まだまだいっぱいありますので、欲しい方がいればどうぞ言って下さいね~」

「・・・致死量ギリギリの毒とか入ってないよな?」

「入っていませんよ♪その代わり、滅茶苦茶苦いですが♪」

 ボニーの作る傷薬に警戒する頬にイナズマ型の傷痕がある戦士はトーマ・ホーク。ボニーと一度パーティを組んで酷い目に合った可哀想な男である。

「な、なあコウスケ・・・僕達生きて帰ってこれるのかな・・・それ以前に途中で魔物に殺されたりしないかな・・・」

「それはジューペの頑張り次第だろ」

「ええええええ!そんなぁぁ!!」

 後ろ髪を三つ編みにした自他共に認める天才魔術師ジューペも元気なようで幸助は安心する。

「それじゃあ、全員集まった事だし!行きますか!!」

 今回の臨時の8人パーティのリーダーを務めるのは経験豊富なフランさん。因みに依頼を持ってきたのもフランである。以前まではワイバーン退治のような高難易度の依頼は、他のベテラン冒険者達と一緒に行っていたのだが、ギルドの評判低下に伴って別のギルドへと旅立ってしまい、高難易度依頼を受ける事が不可能に。しかし、彼は冒険者。依頼をこなさなければ生活する事ができない。悩んだ末、フランはトーマ達に頼んだのだ。

「トーマ、もう一回依頼内容見せてくれないか?」

「んあ?良いぞ」

 トーマから依頼書を渡された幸助は記された詳細をもう一度確認する。最初に見た時はあまり気にしていなかったが、かなりボロボロで、少しでも力を入れたら破れてしまいそうだ。

「『山脈のワイバーン退治』ね・・・って、この依頼1か月前の依頼じゃん!!」

「皆怖がってやらなかったんだってよ。報酬も釣り合ってねえし」

「500万アモも報酬が出てるのに?」

「ワイバーン退治なら700万アモでてもおかしくはないんだがな」

 そんなに月日が経っているのなら、依頼主が住んでいるマロン山脈の村も滅ぼされてるんじゃないのかと幸助は考えたが、トーマ曰く、村人達はしぶとく生き残っているらしい。1か月もワイバーンから攻撃を受けているのに生き残っているのなら、自分らでワイバーンを倒せば良いのにと思ってしまう。

「ランマル!聞いたぞ!銀ピカの翼が生えた騎士に酷い目にあったらしいな!身体の方はもう大丈夫なのか!?」

「早期に発見してくれたじゅーぺのお陰でな。足は元通り繋がった。そして、自分の無力さを痛感した・・・」

 蘭丸は銀の翼の騎士に負けて以降、大きく落ち込んでいた。パーティの最高戦力にも関わらず、負けてしまった事、自分がまだまだ弱い事を理由に酷くテンションが落ち込んでしまっていた。今、彼の心には『強くなりたい』の一言しかない。強くなって守る事こそが、自分がパーティの為に出来る唯一の事だと信じて。

「落ち込む気持ちは分かるが、気負いしすぎるな。考え過ぎたら出来ることも出来なくなる」

「心得ている。いつでも守れるように気を引き締めている。拙者にはあやつらしかいないからな」

 女神の勝手によって愛する者、固い絆で結ばれた仲間、自分についてきてくれる部下を失った武士・小林蘭丸。彼の仲間達を見つめる目は少しだけドブ色に濁っていた。



 城下町を出てから早十数時間。歩いた距離はおよそ32kmの時点で空がオレンジ色に染まり始めた。

「よし!今日はここら辺で野宿しよう!ジューペ君、火を頼む!」

 夜は当たり前だがら、静けさと共に危険が数多く潜んでいる。飢えた狼、狡賢いゴブリン、一攫千金を狙う人攫い。

 それにずっと歩きっぱなしというわけにもいかない。人間が活動するには栄養補給と睡眠が必要。その為の野宿である。

「へいへい。『ファイア』!」

 水分を少し含んだ薪と雑草に火が灯る。火が灯ると同時にフランはフライパンとステーキ肉と薪を取り出した。

「最初の夜はやっぱりこれだよな。フラン、もう1つ火を頼めるか?」

「フランの旦那・・・あんた本当に肉好きだよな。ほれ」

 フランの薪に火が灯る。フランは手に持ったフライパンに油を敷き、肉の塊をボトリと落とす。火の熱を受け取ったフライパンは徐々に上に乗っかった肉を煙と油が弾ける音と共に焼き始める。

「美味そう・・・俺もそのぐらい大きな肉持ってくれば良かった」

「なら、少し夜道を歩いてこい。肉が歩いてくるぞ」

「それ名案かも。ジューペ、一緒に来てくれるか?」

「おい!絶対僕を餌にする気だろぉ!!」

「「「「「「ハハハハハハハハ!!」」」」」」

 幸助とジューぺの即興漫才は、歩き疲れた冒険者に笑いを届けた。
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